2023年7月22日(土)東京・後楽園ホール『Krush.151』の対戦カード第一弾が、6月8日(木)都内にて行われた記者会見で発表された。
「Krushスーパーバンタム級タイトルマッチ」3分3R延長1Rで、王者・王者・璃明武(=りあむ/K-1ジム総本部チームペガサス)が挑戦者に永坂吏羅(=ながさか・りら/K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST) を迎えての初防衛戦が決定。
璃明武は空手のバックボーンを持ち、第15回「K-1アマチュア」Aクラス-55kgトーナメントで優勝。2018年4月にプロデビューを果たし、デビューから5連勝を飾ったが、7戦目で元Krushバンタム級王者・佐々木洵樹に判定で敗れ初黒星。2021年2月の再起戦で蒼士に判定勝ちして再起を飾ると、8月から開幕した「第7代Krushスーパー・バンタム級王座決定トーナメント」で優勝して王座に就いた。2022年2月の「K-1 WORLD GP第3代スーパー・バンタム級王座決定トーナメント」では準決勝へ進出するも金子晃大に敗れ、6月の『THE MATCH 2022』では江幡睦にも敗れて連敗。今回が初防衛戦となる。戦績は11勝(4KO)3敗。
永坂は全日本テコンドー選手権大会2連覇&MVP受賞、全九州テコンドー選手権大会7回優勝の実績を持ち、2018年11月からK-1 JAPAN GROUPに参戦。2戦目で璃明武、5戦目で小倉尚也に敗れるも、その後は3連勝。5月大会では第6代Krushバンタム級王者の吉岡ビギンを2RでKOし、7月大会では「K-1 WORLD GP第3代スーパー・バンタム級王座決定トーナメント」に出場した内田晶もKOした。戦績は6勝(6KO)3敗1分。
前述の通り、両者は2019年3月に対戦し、璃明武は3戦目、永坂は2戦目で璃明武が判定勝ちしている。また、このタイトルマッチは2022年11月のKrushにて行われることが決まっていたが、璃明武が練習中に右拳を負傷。右環指中手骨骨折と診断されたため欠場し、延期となっていた。
待たされる形となった永坂は「相手にとってこの期間は寿命が伸びてよかったと思っています」と、前回の対戦発表会見に続いての挑発。璃明武は「長い間お待たせしました。期間が空いてしまった分、レベルの高いタイトルマッチにふさわしい試合を見せるので期待してください」と挨拶した。
仕切り直しでの対戦が決まり、この半年間の心境を聞かれると、永坂は「前回タイトルマッチが決まってから、ずっといつ爆発させられるかって自分の葛藤と戦いながらやっていました。前回と比べて別人のように仕上がっているので1か月半後が楽しみです」と、溜めに溜めたものがあるとする。
璃明武は「自分も前回決まって試合へ向けての練習で2~3週間前にスパーリングで怪我をして欠場してしまって。そこから大きい怪我だったのでしっかり治しつつ、その期間も相手はもちろん強くなっているし、タイトルマッチへ向けて練習していたと思うので、自分も出来ることは動けるようになってからずっとやっていました。長い期間空いたので自分もやることをやってきたので、あと1カ月半しっかり仕上げて最高の試合を見せます」と意気込んだ。
永坂は待っていた心境を聞かれると「怪我に関しては仕方ないと思うんですけれど、ジムの大先輩の武尊さんとか(野杁)正明さんは拳が壊れても怪我をしていても試合をやってきている選手たちなので。そういう選手が上に行けると思っているので、俺が王者だったら絶対にさじを投げてないですね」と挑発的な回答。
これに璃明武は「永坂選手が言ってることも合っていると思うんですけれども、自分はずっと拳を怪我してやってきて、それが限界を迎えて試合が出来なくなってしまったので。自分ももちろん11月にタイトルマッチが決まった時に気合いが入って全てを懸けていたので、やりたい気持ちもあったんですけれども周りと相談して試合が出来ないということになりました。怪我も治っているのでしっかりタイトルマッチで王者としての強さを見せたいと思います」と、言っていることは分かるがやむを得なかったと答えた。
この半年間、いかに自分が進化したか。永坂は「一個一個の技の研ぎ澄まし、鋭さ、スピード、殺傷能力の全てを高めてきました。前回の公式戦だと内田選手との試合からは全く別の人間のような攻撃もディフェンスも全て兼ね備えた選手になったと思っています」と、大きな進化を遂げたとする。
【写真】璃明武の前戦は昨年6月の『THE MATCH 2022』での江幡塁戦 待っていた間のタイトルへの想いを聞かれると「正直、自分が見据えるビジョンはここも大切ですが、K-1の2強(金子晃大、玖村将史)がいる中で、自分が一番脂がのっている時期なので早くやりたいなという心境でずっと待っていました」と、Krushタイトルのその先を見据えて早く前へ進みたいとの心境だったという。
一方、璃明武は右拳が使えない間、「拳を怪我して手術をして。そこから手を使えない間は反対の手と足と、フィジカルとか走り込みとか、そこもしっかり自分でトレーニングプランを考えてやっていました。治ってからはすぐにスパーリングをして、試合期間をそんなに長く開けたくなかったので、すぐに試合に入れるように準備をしていました」と、出来る限りのことをやってきた。
その結果、「今まで怪我がなければ2~4カ月の間で試合があったと思うんですけれど、自分も前回の試合が1年前の6月なので、もちろん伸びているところはあると思いますね」と停滞していたわけではないとする。
自分の怪我で試合を流してしまったことには「永坂選手は11月の時点で自分に勝って王者になるつもりだったと思うので、そこに関してはシンプルに申し訳ないと思っています」と話した。
【写真】野性的なファイトスタイルの永坂 会見の冒頭では中村拓己K-1プロデューサーより、「タイトルマッチにふさわしい試合を見せて欲しい」との言葉があった。それはどんな試合だと思うかと問われると、永坂は「自分ら格闘家は、手足を使ってリング上で何かを表現するアーティストだと思っているので、しっかり自分の芸術的な感性をリング上に落とし込んでKOで勝ちたいと思っています」と“アート”を見せたいとする。
対する璃明武は「Krushは毎回いい大会だと思いますが、このタイトルマッチは他のタイトルマッチとはレベルが違うタイトルマッチになると思うので、自分もしっかりKOで決めます」と、他の階級よりもレベルが高い試合を見せてKOで終わらせると宣言。
このタイトルマッチの先には何を見据えているか。その質問に永坂は「言わなくてもみんな分かっていると思いますが、55kgにはさっき言った2強がいるのでそこにいち早く俺が名乗り出て、絡んで行ければと思っています。そこのビジョンへのプロセスとして今回は絶対に落とせない試合だと思っているので必ず勝ちます」と、あくまでもK-1のトップ2に食い込んでいくことだと答える。
それに対して璃明武は「自分は怪我があって約1年空いたので、この試合のことしか今は考えていないです。この試合でしっかりレベルの差を見せて勝てば今後につながると思うので、この試合に勝ってから考えたいと思います」と、この試合に集中するとした。
最後に、永坂は「前回11月に試合が決まってから7月まで約8カ月くらい、ファンの皆さま、スポンサーさん、自分を支えてくれる全ての人たちを待たせてしまったのは申し訳ないと思っているので、待たせてしまったぶん試合で魅せる勝ち方をして、みんなを裏切らないように俺らしい試合をしたいと思います」、璃明武は「約1年ぶりの試合になるので、誰が見ても璃明武は強くなったなって思われるような試合をして、勝つのは当たり前でこのベルトの価値を高めるような試合をしたいと思います」と、それぞれメッセージを送った。