MMA
インタビュー

【修斗】台湾からAACCに来たジェニー・ファン「若者の考え方は変わってきている」

2023/06/05 22:06
【修斗】台湾からAACCに来たジェニー・ファン「若者の考え方は変わってきている」

(C)ゴング格闘技

 2023年5月21日(日)修斗二部興行となった第一部の女子修斗公式戦「COLORS Produce by SHOOTO」が昼に開催され、セミファイナルの女子アトム級で、台湾のジェニー・ファン(AACC)が古賀愛蘭(BURST)に逆転の一本勝ちを決めた。

 ジェニー・ファンは、テコンドーと柔道をベースにプレッシャーをかけて距離を詰めるスタイルでONE Championshipで活躍。2015年のプロデビュー後、ONEで4連勝も、その後、山口芽生との2戦の判定負けを含む5連敗を喫した。しかし、2022年12月にはPANCRASE横浜大会に参戦し、沙弥子を打撃で上回り、2Rにリアネイキドチョークで極めて再起を果たしている。

 対する古賀は、5歳から始めた日本拳法で培った鋭い打撃に加え、MMAの基礎を学ぶため、佐々木信治&藤井惠のBURSTの門を叩いた21歳。鋭いステップワークと抜群の距離感で戦い、RIZINの大舞台でも物怖じしない舞台度胸を持つZ世代期待の女子ファイターの一人だ。

 2021年11月のRIZINでにっせーにスプリット判定負け後、2022年4月にパク・シウにフィニッシュさせずも判定負け。2022年12月に宝珠山桃花とドロー判定後、2023年3月に、檜山美樹子を1R TKOで下している。

 試合は、打撃ベースの古賀が、打ち合い上等のファンを相手に絶妙なタイミングでテイクダウンを奪うなど、MMAの進化でペースを握る展開に。しかし3R、古賀のダブルレッグテイクダウンに柔術立ちするファンは、ノーアームギロチンチョークへ。首を抜いて上になる古賀にオモプラッタを極めたまま首も絞めてチョークへ。キムラの形で極められ、チョークも絞められた「クラークプラッタ」(クラーク・グレイシーの得意技)に古賀がタップし、ファンが逆転勝利を決めた。

格闘技が発展している国で女子で強い人たちと戦うのが私の夢

 勝ち名乗りを受けたファンは、マット上であらかじめ用意した紙を見ながら日本語で、「AACCの阿部先生、仲間たち、周りにいる方々に感謝します。格闘技が発展している国で女子で強い人たちと戦うのが私の夢でした。両親は私が格闘技に出ることは望んでいませんが、私自身は夢に向かって頑張れることが、すごく嬉しいです。今後も頑張っていきます」と語り、大きな拍手を受けた。

 試合後のファンに話を聞いた。

──テイクダウンを決められながらも、最後まで諦めずに、オモプラッタからチョークでタップを奪いました。どう極めたのでしょうか。

「テイクダウンされるたびにサブミッションの機会を狙っていて、ゴゴプラッタをしたかったけれど、足をアゴの下に入れられなかったから、疲れていたけど、ゴゴプラッタじゃなくオモプラッタに変えて腕を極めたまま、全力でチョークで絞めました」

──メインで渡辺彩華選手もベルトを巻きましたが、AACCでトレーニングできることはどんな影響がありますか。

「チームメイトがみんな優しく、みんなが助け合っているところがいいです。しかもみんな強くて、いつも練習で自分に勝っていて……みんな強いから、一緒に強くなれるのがいいです」

──日本語の勉強ノートで読み書きまでされているようで、日本語でのマイクにも驚きました。

「PANCRASEに出たときは全然できなかったけど、日本に来て半年で、日本の皆さんと良い関係をつくりたくて。あとちょっと自分のこともシェアしたいから、日本の言葉で伝えたかったんです」

──ご両親はMMAに反対しているということですが、今日のような試合を見たら、少し考えを変えてくれるのではないでしょうか。

「台湾では、MMAにいいイメージがなく、自分と両親とは考え方が違い、変えてもらうのはすごく難しいと思ってます。私は自由にやりたいことをやっていられてはいるけど、両親は応援してくれていなくて、結婚したり、違う仕事をしたほうがいいと思ってるから、なかなか難しいですが、若者の考え方は変わってきているから、若い友人はみんな応援してくれています。そういう友達がたくさんいることが幸せです」

MAGAZINE

ゴング格闘技 NO.335
2024年11月22日発売
年末年始の主役たちを特集。UFC世界王座に挑む朝倉海、パントージャ独占インタビュー、大晦日・鈴木千裕vs.クレベル、井上直樹、久保優太。武尊、KANA。「武の世界」でプロハースカ、石井慧も
ブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリアブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリア