2023年5月21日(日)修斗二部興行となった第一部の女子修斗公式戦「COLORS Produce by SHOOTO」が昼に開催され、メインイベントの女子スーパーアトム級世界戦で、渡辺彩華(AACC)がSARAMI(パンクラスイズム横浜)が持つ王座に挑戦。2R、渡辺が2度の左ハイをヒットさせてパウンドアウト。プロMMA4戦目にしてベルトを巻いた。
15年の柔道歴を持つもファイトスタイルは打撃中心。RIZINで浜崎朱加や浅倉カンナの試合を見てMMAを志した渡辺は、最初はパラエストラ柏に入門。負傷後、ジムから離れていたときに大島沙緒里に誘われてAACCに移籍した。
プロMMAではまだ4戦。DEEP JEWELSで神野あかりに1R パウンドでTKO勝ちすると、2022年10月にわずか2戦目で52キロ契約で前PANCRASEストロー級王者の藤野恵実と対戦。韓国のソン・へユン欠場による代打での緊急出場のなか、藤野のパンチを被弾し、力負けもして悔しい判定負けを喫した。
2023年1月には階級を下げて修斗に参戦。元修斗女子世界スーパーアトム級王者&元DEEP JEWELSアトム級王者の黒部三奈を相手に2R、右アッパーでKO勝ち。「スーパーアトム級のベルトを目指す」と宣言し、今回のSARAMI戦での戴冠となった。
プロ4戦中3試合をフィニュシュ勝利し、王者となった25歳の渡辺は、いかにSARAMIを攻略したのか。試合後に聞いた。
もう1人のアヤカの「背中を追いかけます」
──SARAMI選手に2R 左ハイキックでTKO勝ちでした。あれは……。
「作戦通りです」
──作戦通り……あの左ハイは、アリーシャ・ガルシア戦を彷彿とさせました。
「あっ、その試合を映像で見てもらって作戦を立てていました」
──どのタイミングで当たると考えていましたか。
「それはちょっとやってみないと分からないところもあるなと。そこは対峙してみてと」
──ガルシアはあのとき、それまでオーソに構えていたのを、右ジャブを当ててからそのままサウスポー構えで詰めて左ハイを当てました。今回の渡辺選手が最初に効かせた左ハイも、右ジャブからの左ハイでしたね。
「そうなんです。やっぱりSARAMI選手は強いんで、単発のハイキックだと当たらないとは思っていたので、“1個挟んで当てる”を練習していました」
──その“1個挟んで”で右をジャブのようにを打つとSARAMI選手が左に頭を傾けた。そこに左ハイでした。しかし、その直後のSARAMI選手の驚異的な組みを切ってからは、オーソから左ジャブ。そのまま歩いてサウスポー構えになって左ハイで2度目のダウンを奪ってパウンドアウト。相手には見えていない攻撃のようでした。
「あれは練習していて。でも1Rはめちゃ距離を支配されて当てられていて“打てないな”と思っていたんです。インターバルのときに阿部(裕幸・AACC代表)さんが『右に動け、真ん中にいちゃダメだ』と言われて、位置取りに注意して阿部さんの言う通りにしてだいぶ余裕が出来ました」
──AACCで練習するジェニー・ファン選手が1試合前に逆転勝利ともいうべき一本勝ちでした。
「見てました。もう、自分も負けられないなと思いましたね」
──そして、4戦目でベルトを巻きました。
「嬉しいですね、純粋に。AACCに移籍してきたんで、ほんとうにAACCのみんなのおかげですね」
──ベルトを取るためにパラエストラ柏から移籍してきたわけですからね。でももう1人の“アヤカ”がAACCにはいますよ。
「えっ!?(笑) もう強すぎて。背中を追いかけて頑張ります」
──どんなチャンピオンになりたいですか。「そうですね……AACC、結構チャンピオンがいるので、唯一無二の、ほかにいないようなチャンピオンになりたいです。KOを量産します!」