2023年5月24日(水)都内にて記者会見が行われ、K-1三階級制覇の武尊(team VASILEUS)が「7代目タイガーマスク」を襲名したことが発表された。
初代タイガーマスクである佐山聡が武尊を正式に7代目タイガーマスクとして認定。これは武尊がタイガーマスクを被ってプロレスのリングに上がるわけではなく、「7代目タイガーマスクプロジェクト」として慈善活動をしていくというもの。
会見に出席した武尊は「いろいろな会見をやりましたが今日が一番緊張しています。僕が小さい頃、両親の影響でプロレスを見ていて。その中で初代タイガーマスクの試合がカッコよくて。強さに憧れて格闘技を始めたんですが、その最初がタイガーマスクでした。子供たちに夢を与える姿に憧れを持っていたし、強い人は優しいし、たくさんの人に夢とか希望とかパワーを与える人なんだなと。競技は違いますが、僕も子供たちに夢を与えられるようにって気持ちで試合をしていたので、今回7代目を襲名させていただくことになって、ここからさらにタイガーマスクの名前を広めていってたくさんの人たちにパワーを与える選手でいないなと思います。これからも頑張ります」と挨拶。
佐山は「武尊選手と会ってビックリしたことがありました。なんて爽やかで人間性に優れている青年だろうと。まずご両親に会いたいという気持ちになりました。そして今日、お母さんに会わせていただいてありがとうございます。世界をまとめていく、格闘技が進んで行くために人間性が必要なことは彼によって実現していくと思います。慈善事業は大変なことですが、それを継承していってくれないかなということです。慈善事業は人間性が優れていないと出来ないことです。これからもvs―マスクの名前を紡いでいって欲しいです。反対に武尊選手に選ばれて光栄です。これからも頑張っていただきたい」とメッセージを送った。
続いて7代目タイガーマスクのマスクが佐山から手渡され、武尊はその場で装着。「僕のラッキーカラーを入れて作っていただきました」という。
佐山はここで退席し、続いて武尊が足立区の児童養護施設とラオスの小学校に教育思念活動に行ったVTRが上映された。武尊がミットを持って指導したり、武尊自身がミット打ちを披露したりし、「運動すると身体も健康になるけれど心も健康になる」と運動を勧め、グローブとミットをプレゼントするところなどが映し出された。
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武尊は「こういう児童養護施設の訪問は、最初は3~4年前。地元の施設に行かせてもらって。子供たちは心に傷を持っていたり家庭環境に不安を抱えてたりするんですけれど、一緒に遊ぶと心を開いて楽しんでくれるし、何かやりたいというパワーを持っていると感じたので、そういう機会を増やしたいという気持ちでやっています」と、このプロジェクトがスタートする前から活動していたことを明かす。
「格闘技を体験してもらったりして、いろいろな可能性を与えられればと。僕は格闘家になりたい目標と同じように保育士になりたい気持ちもあってそのための学校にも行っていました。昔から子供たちのために何か出来ることをやりたい気持ちがあって。僕は格闘技という形で子供たちにパワーを与えられたらいいなって気持ちでやっているんですけれど、現役でやっている間に影響力も付いてきて、このタイミングでこれを活かせるのは何かなと考えた時に慈善活動をやろうと。全ての問題解決は出来ないけれど、僕が活動することによってたくさんの人が賛同してくれたり、もっと大きなプロジェクトとして出来るのかなと思ったので、タイガーマスクとして活動していくのがいいと思いました。
児童養護施設を回らせてもらっているけれど、海外でも生活が貧しい地域とか、ラオスは同じアジアの中でも一番貧困と言われている場所で、靴も履いてないで服もボロボロだったり、舗装もされていないところで土にもウイルスがあるところで裸足で歩いていたりとか。教育が受けられないことで大人になったら仕事がなくて貧困が続いているという現状を生で観て。僕が活躍してある程度お金を持っているから出来るんじゃないかと思うと思うんですが、ラオスの賃金やお金の現状を見ると一般の方でも協力できる額でいろいろな問題が解決できるんです。
学校の先生は日本円で1万5000円の給料でやっていると聞いて。でも、それも払われない人もいて、勉強を学べない現状を聞いて、普通の人が一食我慢すれば払える額だったりとか、そういうお金でも支援が出来ると知ったので。僕もプロジェクトを大きくしていきたいですけれど、僕一人では出来ない。僕のファンや賛同してくれる方がいれば力を合わせて、こういう恵まれない生活に不安がある子供たちを助けることが出来たり、生活をいいように世界中の子供たちにして行けると思うので、賛同していただける方がおられたらプロジェクトを盛り上げてたくさんの子供たちに夢や希望を持って夢に迎える環境を作ってあげたいと思います」
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今後の活動方針については「養護施設出身者の自立支援を中心とした社会貢献活動」を行っていく。まず児童養護施設の課題として①施設を出た後の生活が不安定②進学後の学費問題③離職率が高い④1回就職を失敗したらたちまち窮地に、という4つの課題があることから、施設を退所した後も支援活動を継続することをあげた。
具体的に「7代目タイガーマスクプロジェクト」の支援内容としては、「7代目タイガーマスク基金」の設立を予定し、養護施設の子供たちが自立できるように「自立に必要な物品の寄付」「自立に必要なスキルアップ授業を実施」「養護施設の状況の調査と発信」「募金活動」などを行っていく。
すでに数社の企業がプロジェクトに賛同し、支援が始まっているという。
武尊は「今日発表だったのでこのお話はまだ誰にも出来ていません。慈善活動は僕のジムの仲間だったり、ラオスの協力支援の時も同い年の格闘家の大岩龍矢を一緒に連れて行って、向こうで格闘技のパフォーマンスを見てもらったりしたので、このプロジェクトに賛同してくれる選手がいたら一緒にやっていただけたらなと思うし、格闘家だけじゃなくて著名人の方や他のアスリートの方とかも交流させてもらっているので、こういう話をした時に『ぜひ』と言っていただける方もたくさんいたので、協力してくれる方がおられたらたくさんのみんなと一緒にやらせてもらえたらと思います」と、格闘技団体や選手、格闘技以外のアスリートや著名人にもプロジェクトに賛同してもらい協力して欲しいと呼びかけた。
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記者会見での質疑応答
――リング上で何らかのマスクを被っての戦いが見たいとの声もあると思うが、エキシビションなどでもそういった動きは?
「今のところ予定はありませんが、それをやることによって7代目タイガーマスクプロジェクトが広がっていくのであれば考えたいと思います」
――タイガーマスクになった気分は?
「嬉しい気持ちもたくさんあるし、子供の頃に憧れたスーパースターで、その名前を受け継げることは責任もあるので身が引き締まる思いです。これからもっと頑張っていこうという気持ちです」
――佐山さんが武尊選手のお母さんと会ったとのこと。その感想は?
「この話を初めて母にした時に感動してくれたし、今日もお会いする前は緊張して震えているみたいな感じだったので。佐山さんのおかげでこのプロジェクトも大きくなって、母にも会っていただいていい親孝行をさせていただいたと思います」
――チャリティーや支援活動は有名な芸能人やスポーツ選手がやっているイメージがある。そういう世間に顔を出している人間としての責任を以前から感じていた?
「責任と言うよりも、僕は有名になる前からこういう活動をしたいと思っていたし、自分に出来ることで施設に訪れてミット打ちを見せたり、僕の体験談や今までの経験を話したり、そういうことでパワーになるのだったらということでそういう活動をさせてもらっていました。僕が有名とか関係なく、今の知名度をこういう形で利用できるのであれば、それによって助かる人やこのプロジェクトが大きくなればありがたいと思います」
――試合とこの活動を両立、ハードなトレーニングをしながらは大変なのでは?
「そこは大変なこともあると思いますが、今までも試合前からそういう場所や子供たちに会いに行ったりすると逆にパワーをもらえるんです。子供たちに、この前会った武尊選手が勝ったとなればパワーをあげられると思うし、僕も会いに行った時に子供たちに勝つ姿を見せなければといういいモチベーションやパワーをもらえているので。大変なことももちろんあると思うんですけれども、僕がパワーをもらえる方が大きいと思うので全然問題ないと思います」
――今後タイガーマスクを被っている姿はどんな場所で見られる?
「訪問の時だったりとかで喜んでもらえるのであれば、マスクで登場したいと思います、僕がこのマスク姿で試合をすることがあって、それによってプロジェクトが広がっていくのであれば、ちゃんと準備をしてそういった舞台もあればいいかなと思っています」
――試合の入場や退場で被ることは考えていない?
「それもこれから考えていこうかなと考えています」