2023年5月13日(日本時間14日)米国フロリダ州マイアミのユニビジョン・スタジオにて『Combate Global』「Mexico vs. Japan」が開催された。日本から澤田千優(AACC)、安西信昌(TEAM CLIMB)、エフェヴィガ雄志(TRIBE TOKYO MMA)が出場した(ABEMA配信)。
安西信昌が3年5カ月ぶり復帰戦でTKO負け
▼ウェルター級 5分3R×安西信昌(TEAM CLIMB)9勝5敗[2R 0分54秒 TKO] ※パウンド〇ヴィクトル・ヴァレンズエラ(チリ)10勝3敗
MMA9勝4敗の安西は、アジア・ジュニア選手権5位などの実績を持つグレコローマンレスラー。2014年6月に川村亮にTKO勝ちしPANCRASEミドル級王座獲得。同年8月からUFCに参戦し、2015年9月にロジャー・ザパタにTKO勝ちでオクタゴン初勝利。
2017年9月にルーク・ジュモーに判定勝ちでUFC連勝も、2018年6月にジェイク・マシューズに1R TKO負けでリリース。DEEPでの1戦を経て、2019年12月のBELLATOR JAPANでマイケル・ペイジと対戦し、KO負けして以来の試合となる。
対するヴィクトル・ヴァレンズエラ(チリ・29)はMMA9勝3敗。2021年7月にアレックス・ペレイラに敗れているトーマス・パウエルとRing Of Combat 73で対戦し、反則負けも、以降はCombate Globalなどで3連勝中。
175cmのオーソドックス構えでキックボクシングでも戦い、左右の蹴り、踵落としなども器用にこなし、ケージレスリングも厭わないパワフルなファイターだ。腰の故障からの治癒を経て、約3年5カ月ぶりの試合を米国フロリダでウェルター級で戦う安西はどんな動きを見せるか。
1R、ともにオーソドックス構え。右ローから入る安西。最初の前足へのタックルは深追いせず。ヴァレンズエラはワンツーで圧力をかけると、そこに左を差して押し込む安西。突き放すヴァレンズエラに離れて飛び込む安西は左を突く。さらにヒザを触りに行く安西。
ヴァレンズエラの右ハイをかわして、右アッパーを潰しながら腕を手繰る。右の蹴りを上下に突くヴァレンズエラ。右から左で前に出る安西に迎え撃つヴァレンズエラは右から左を返すを金網に詰めて右ヒジ。
突き放してシングルレッグの安西だが、片足立ちで足を抜くヴァレンズエラが左ボディを効かせて、左右連打! ガードを固めて動かない安西に、レフェリーが入ろうとした瞬間に安西が右をヒット! さらに左での打ち合いで2Rへのゴングを聞いた。
2R、前に出る安西。左インローをヒット。左ボディを当ててミドルに繋ぐヴァレンズエラ! 追打に崩れた安西に詰めるヴァレンズエラはパウンド!
ハーフガードで凌ぐ安西だが、鉄槌の連打を浴びて頭を抱えて動けず。レフェリーが間に入った。日本チームは大将戦で敗北し、3連勝はならなかった。
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チーム・オーヤマ修行の澤田はフルマークの判定勝ち
▼女子アトム級 5分3R〇澤田千優(AACC)5勝0敗1分 修斗女子アトム級王者[判定3-0] ※30-27×3×アナ・パラシオス(メキシコ)7勝2敗1分
エフェヴィガと澤田は「ABEMA格闘チャンネル 海外武者修行プロジェクト」の第6期生と7期生による『Combate Global』出場となる。
同プロジェクトはABEMAと「ON THE ROAD MANAGEMANT」が連携し、MMAの若手格闘家に海外での練習環境を提供するもの。今回から留学の最後に、ABEMAで生中継される北米での試合出場、さらにコーチも帯同し、北米MMAジムを視察し、コーナーマンとして選手とともに試合に臨むことになる。今回は、エフェヴィガのコーナーに長南亮TRIBE代表、澤田のコーナーに阿部裕幸AACC代表がついている。
澤田は、2018年東日本学生選手権フリースタイル50kg級優勝、全日本社会人選手権優勝、全日本選手権5位などの実績を持つレスラー。兄・澤田龍人の背中を追って2021年5月に修斗でデビュー。リーグ戦で優勝するなど3勝1分で11月に初代女子アトム級王者に輝いた。
2023年2月17日にタイのルンピニースタジアムで行われた『ONE Friday Fights 5』では初出場で2R アメリカーナで一本勝ち。そのときはリングで行われた大会だったが、今回の『Combat Global』では修斗同様にケージのなかで戦うことになる。MMA4勝0敗1分。
今回のアトム級戦に向け澤田は、UFC登竜門『LFA』で活躍中の堀内佑馬、前UFC世界女子ストロー級王者カール・エスパルザらが所属するチーム・オーヤマで修行してきた。
澤田はABEMAの『Fighter's Diary』で、アメリカーナなど4つの一本勝ちを誇る対戦相手のアナ・パラシオス(メキシコ・7勝1敗1分)について、「ここ2、3試合を全部一本で勝っている。際で強かったり、身体が強いと見て思ったので、そこは気をつけないといけない。1カ月やってきたことを出せなきゃ意味がない」と意気込みを語っている。
1R、サウスポー構えの澤田の入りに右アッパーを狙い、左ローを打つパラシオス。最初の澤田の遠間からの組みを切る。
左目を腫らした澤田だが、シングルレッグテイクダウン。腰を切りフルガードに入れるパラシオス。金網に押し込もうとする澤田に首の向きを変える。いったん体を離してからパウンドで飛び込んで金網に詰まらせる澤田。
草刈を狙うパラシオスから立ち上がり手首を外し中に。その際で三角絞めを狙い、腕十字に移行。ヒジはは外している澤田に、下からオモプラッタ狙いでヒジを突くパラシオスに、またいで外してインサイドガードに入る澤田はパウンド、ヒジ、鉄槌。パラシオスはクローズドガードのままゴング。
2R、左で飛び込む澤田に右アッパーを突くパラシオス。澤田の詰めにサイドにステップする。さらに右インロー、左カーフと繋ぐパラシオス。左右を突く澤田。
レベルチェンジを見せながら、前手の右フックを突く澤田。左インローも。その入りに右アッパーもパラシオスの右ローを掴んでテイクダウンは澤田。しかし立ったまま澤田が足を越える前に立つパラシオス。
パラシオスの左の蹴りに左ストレートを当てる澤田だが、パラシオスも右ストレートをヒット。さらに入りに右アッパーを被弾する澤田だが、蹴り足を掴んでテイクダウン! 金網に詰めていったん立って足を捌いてパウンドを狙うが、そのスペースでパラシオスが立ち上がる。
スタンドでパラシオスの左右フックにダブルレッグテイクダウンは澤田。ハーフから1発左ヒジもゴング。オープンスコアを聞いたか、コーナーは「全部取っている」と伝える。
3R、左インローを当てて前に出る澤田がシングルレッグテイクダウン。下からスイープを狙う際で上をキープした澤田は、右目尻から出血するパラシオスをハーフからヒザを抜きパスガード。サイドからバックを奪い、バックマウントからパラシオスの身体を伸ばしてパウンド! ハーフ、フルガードに戻すパラシオスだが背中をついて動けず。
判定は3-0(30-27×3)で5つのテイクダウンを成功させてパウンドで削った澤田が勝利。「ABEMA格闘チャンネル 海外武者修行プロジェクト」の第6期生と7期生が連勝で対抗戦の勝ち越しを決めた。
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キルクリフ修行のエフェヴィガがTKO勝ち
▼ライト級 5分3R〇エフェヴィガ雄志(TRIBE TOKYO MMA)4勝0敗 2022年修斗ウェルター級新人王[3R 2分44秒 TKO] ※バックマウントからパウンド×ギルバート・カスティロ(米国)5勝4敗
一方のエフェヴィガは、2019年北斗旗全日本空道体力別選手権(男子-260)で準決勝進出者。2022年3月の『EXFIGHT 4』で岡澤弘太に1R TKO勝ちでプロMMAデビューを飾ると、LDHの『POUNDSTORM』では、グンター・カルンダに判定勝ち。
2023年1月には、プロ修斗「2022年度新人王決定トーナメント フライ級決勝戦」でクアト驎を1R TKOに下して優勝するなど、プロ3連勝中。
そのエフェヴィガは、元UFC世界ウェルター級王者のカマル・ウスマン、元Bellator世界ライト級王者のマイケル・チャンドラー、現UFCファイターの佐藤天らが所属し、5期生の木下憂朔もトレーニングしたキルクリフFCでトレーニングを重ねてきた。
ライト級でエフェヴィガが戦うギルバート・カスティロ(米国)はMMA5勝3敗。オーソドックス構えから前手の左フック、左の蹴り、思い切りのいい右ストレートなどを武器に、2020年6月にはTitan FC王者のランドン・キノネスからワンツーの右でダウンを奪っている。
一方で、頭が下がる打撃とテイクダウン狙いにキノネスのヒザ蹴りをもらい、2021年1月の「XMMA」ではCFFC王者のチャーリー・ラドックに組み負けている。リーチのあるサウスポー構えのエフェヴィガにとってはスタンドでペースを握りたい相手だ。
1R、開始早々のカスティロの右のダブルのストレートを被弾してダウンしたエフェヴィガ。すぐに下から差して立ち上がり、カスティロを金網に詰めて、ボディロックテイクダウン。
ハーフからパス、マウントでパウンド、バックマウントを奪い、リアネイキドチョークを狙う。いったん亀になるカスティロを仰向けにさせて4の字ロック。バックからパウンド連打。序盤以降を支配する。
2R、サウスポー構えから左ミドルを当てるエフェヴィガ。オーソのカスティロはワンツー、そして左も、エフェヴィガは金網に詰めて跳びヒザ、左ハイを見せる。
左インローから左ストレートを狙うエフェヴィガ。そこに右を合わせに行くカスティロ。詰めるエフェヴィガは左ストレートをヒット。さらに左の蹴り、金網に詰めてダブルレッグテイクダウンを決める。
エフェヴィガの頭を抱えるカスティロだが、サイドに出ているエフェヴィガ。ハーフに戻してからクローズドに入れてアームインギロチンを絞るカスティロ。中腰になりサムアップをして首を抜いたエフェヴィガがケージに運んで頭を詰まらせ、パウンド。カスティロは下から腕十字狙いもさばくエフェヴィガ。
3R、左ストレートで金網に詰めて左テンカオを決めるエフェヴィガ。長い距離で出入りするが、打ち終わりに右を狙われる。さらに詰めて左ヒザ。右で差して組むエフェヴィガはテイクダウン! そのままニアマウントを奪い、右手首をコントロールして背後から左パウンド。
さらに完全マウントから亀のカスティロをバックマウントからパウンド。亀でヒザを立てながらも打たれるままのカスティロを見て、レフェリーが少し早めに間に入った。TKO勝ちしたエフェヴィガは「よっしゃー」と咆哮。
試合後、エフェヴィガは「世界でもベストのジムのキリクルフFCで3カ月練習してきました。とても嬉しいです。サポートしてくれたみんなに感謝します」と語った。