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インタビュー

【RIZIN】朝倉海「試合前のメラブを体感できたのは大きい」「パッチーはバケモノだけど共に王者として戦いたい」=5月6日(土)有明で元谷友貴と対戦

2023/05/05 21:05
 2023年5月6日(土)東京・有明アリーナ『RIZIN.42』のメインイベントのバンタム級(5分3R)で元谷友貴(フリー)と対戦する、元同級王者の朝倉海(トライフォース赤坂)が本誌個別インタビューに応じた。  朝倉は右拳の手術を経て、2021年大みそか以来、1年5カ月ぶりの復帰戦。対する元谷は、2022年大みそかに元UFCのホジェリオ・ボントリンを2R KOに下し、5連勝中。  朝倉vs.元谷の勝者と、同日に行われる同階級の井上直樹vs.フアン・アーチュレッタの勝者同士が、7月さいたまで王者決定戦に臨むバンタム級の“見えないトーナメント”に、朝倉はいかに臨むか。  2021年の大晦日のバンタム級GPでは、渡部修斗、アラン“ヒロ”ヤマニハ、瀧澤謙太を撃破も、決勝で扇久保博正に判定負けで優勝ならず。今回の元谷戦までに手術と2度の米国合宿を経て、復帰戦に臨む。  UFC世界バンタム級1位のメラブ・ドヴァリシヴィリ、Bellator同級王者になる直前のパッチー・ミックスとのラスベガスでのスパーリング。さらにシンジケートMMAで出会ったフランス人コーチのエリー・ケーリッシュとのトレーニングは、朝倉海に何をもたらしたのか。  YouTuberとしても成功を収める朝倉は、大一番に向け、「僕の人生の一番の優先順位は格闘技。格闘技でトップにならなきゃいけない」と決意を語った。 エリーコーチはタイミングや連動を教えてくれた ーー米国ラスベガスのシンジケートMMAで出会ったフランス人コーチのエリー・ケーリッシュトレーナーと朝倉未来選手がセコンドで試合に臨むようですね。散打ベースで元MMAファイターのエリートレーナーはグレッグ・ジャクソンのもとで修行し、GSPとも交流があったそうです。散打ベースの彼のミットはいかがですか。 「エリーはMMAファイターとして21歳で腎臓病を患いドクターストップで引退したんですけど、ラスベガスのシンジケートジムを訪れた際にちょうど同じタイミングで彼もトレーナーとして腕を磨くために来ていて。そこでエリーの方から『君のコーチをしたい。ミットを持ちたい』と言ってくれて。知らなかった技術を教えてもらったりとか、彼の知識量や技術量に驚かされて、いま僕に必要な人だと感じて、今回の試合のチームにと声をかけました。  彼の蹴りのミットもそうですし、何と言ったらいいのかな、タイミングですね。“こういうときにこの攻撃を出せばいい”というタイミングとか、あとはコンビネーションだったり身体の位置というのがすごく連動しているのがいいです」 ーー打ち方よりもMMAとして次の動きに連動しているのがいいと。 「はい。それに距離感も。僕が苦手だった部分をすごく詳しく見て、こう直した方がいいとアドバイスして教えてくれてそこからかなり伸びましたね」 ーーミット打ちを拝見しましたが、コンビネーションも多彩でした。ワンツーから関節蹴り、ジャブから関節蹴りなど、散打ベースからか独特な動きのように感じました。 「たしかに。彼のアイデアもあるし、あるUFCファイターの動きを採り入れていて、それがその選手の体型やスタイルに合うか。彼は本当にめちゃめちゃ頭がよくて研究熱心なので、世界中の選手の映像を見ていて、いい技があったら研究して教えてくれるんです。  たいてい有名な選手には有名なコーチがすでについてて、彼自身も腕はあるけど、ちょうど新たな選手を探しているところだったのが良かったです」 ーー米国での練習を持ち帰り、トライフォース赤坂のフルケージで練習していると。 「すごくいい練習が出来ました。アメリカで吸収したことをここで試すのと、エリーコーチもきてくれて実際に動きを見ながらアドバイスくれて。毎日毎日悪い部分は改善していい部分は伸ばしていくという」 ーーそういえば、今日は堀江圭功選手の姿も見られました。組むこともありますか。階級が変わってましたが(笑)。 「いやあ堀江くんどうなんですかね、デカいですからね、大きすぎるからやらないかもしれない(笑)」 ──ともあれ、米国から続いて日本での直前の動きをチェックしてもらえるのは安心ですね。 「はい。自分が米国で感じたのは、向こうの選手は対戦相手の分析をものすごいやってるなっていうことでした。コーチと選手が一緒に映像を見ながら話したり、その対策練習をずっとやり続けたりとか。  メラブ(ドヴァリシヴィリ=現UFCバンタム級1位)選手も試合直前まで相手の試合映像見て、『直前でも分析した方がいい』と教えてもらって。メラブの試合への向き合い方はとても刺激になりました。僕も今までも分析はしていたんですけど、今回はコーチとともにかなり分析してきましたね。僕の目線での分析とセコンド目線の分析をお互い出し合って、完璧なものにできたと思います」 [nextpage] メラブの連続テイクダウンは、そういう練習を常にしているから ーーメラブ・ドヴァリシヴィリといえば、UFCでのピョートル・ヤンのバンタム級戦を現地観戦しましたね。練習仲間のドヴァリシヴィリの実戦の動きをどう感じましたか。 「いやあ、すごいですよね。スタミナ、精神力……」 ーー5R、ずっとテイクダウンし続けられる。ちょっと考えにくい動きです。 「練習でももうずっと、あの感覚でタックル来ますよ。自分も体感できています。僕もずっとあの練習をさせてもらってました。前回もだし、今回も。だから彼のスタミナ、精神力は本当にすごいです」 ーーなぜあれが可能だと感じましたか。 「そういう練習を常にしているから。練習からずっとタックル、タックル。あとは彼が言っていたのは『すべてに力を使っていないんだ。コントロールしている』と。相手を疲れさせるタックルと、本当に取りに行くタックルを使い分けているんです。相手としては様々な意識も下がるし、疲れるしっていう。でも……普通できないですよ、あれは。体感できたのは凄いし、僕の練習としてもすごく自信になりましたね、そこを切る練習だったりが。あそこまでテイクダウンのパワー、技術が高い人ってなかなかいないから」 ーーそういう話を聞くと、朝倉海選手のケージでの試合も見たくなりますね。 「そうですね。ケージもやりたいですね。ROAD FCではやってますけど、RIZINでは1回もケージでやっていないので、いつか」 ──2021年の大晦日以来、実戦から離れていたなかで、実戦形式のスパーリングはどのように行ってきましたか。 「アメリカでも8割くらいの強度でメラブらUFCの選手とかとやってきたので、そこは問題ないですね」 ──手術した右の拳についてもフルパワーで打つことに不安無く出来ていると。 「楽しみな気持ちしかないですね。直近3試合は全部骨折していた状態で躊躇してましたから、完璧なコンディションで試合に出るのは……トーナメントの2回戦(バンタム級GPアラン“ヒロ”ヤマニハ戦)の前くらいですかね。溜まっているものを全部ぶつけます。今回は不安なことはないです。思いっきり出来ます」 ──さて、今回の対戦相手の元谷友貴選手は何でも出来る選手です。どうとらえていますか。 「5連勝している強い選手で、全体的に全部こなせますよね。相手によって自分の戦い方ができる選手。ただ、何でもできるからこそ勝負してくれる。そこを突けるんじゃないかなと思います」 ──バックを取らせたら危険な相手に対して組みの部分での自信は? 「寝技で一本を極めきれる力をもっているのでそこを一番警戒していますが、その部分もずっと練習してきましたし、それこそアメリカで元谷選手よりもっと組みの強い選手と練習してきましたから問題ありません。それにフィジカル面でも、まず練習で同じ階級の選手と組んであまり組み負けたことがないので、そこはすごく自信を持っています」 ーー元谷選手のことを「雑なときがある」と言っていたのは、スタンドでも組みでも? 「両方ですね。結構あります。雑に、強引に行って試合を決められたり、テイクダウンから寝技も結構無理やりなときがあるんで。寝技が強いですが、テイクダウン能力がめちゃくちゃ高いわけではない。なので僕もそういう雑な瞬間を絶対逃さない自信がありますし、僕を相手にそのミスをしたら一撃で倒せる自信はあります」 ーー2021年9月の瀧澤謙太戦では、元谷選手を相手に瀧澤選手が、蹴りと近い距離でのサイドに移動しての左フックを当てています。空手の間合いを活かしていましたが、あの試合は参考に? 「なりましたね。まあでも本人も警戒していると思います、自分のミスという部分で。なのでそこだけに固執していることはないです」 ──相手の分析は万全のようですね。 「そうですね。元谷選手の最近の試合動画はたくさんあるので研究が出来ました。一方で僕は試合間隔は空きましたが、その間に増えた引き出しは分析出来ない。相手は驚くことになると思います」 [nextpage] パッチーとは僕もチャンピオンになって戦いたい ──今回、海選手のセコンドにもつく朝倉未来選手が、牛久絢太郎選手に判定勝ちしました。あの試合をどう見ていましたか。 「僕も楽しみながら見ていましたね。兄貴がしっかり勝ってくれたので、次は僕がやる番だなという感じで、スイッチが入りました」 ーー元谷戦に勝てば、7月のさいたまスーパーアリーナでタイトルマッチです。 「先のことを考えるよりも、まず直近の試合を考えなきゃいけない強い相手です。まず今回しっかり元谷選手のことだけを考えて、戦略を立ててそれだけの練習をしてきたので、まずは確実に勝ちます」 ──タイトルいえば、Bellatorバンタム級GPで優勝したパッチー・ミックス選手とも海選手は肌を合わせていますね。 「やってます、はい。なので組み技にもかなり自信ありますね」 ーーあのギロチンを体感したと。ミックス選手は本誌の取材に「BellatorとRIZINバンタム級の新王者とダブルタイトル戦をやりたい」と言っていました。 「ラスベガスでパッチーとは1回しか練習できてないんですけど、めちゃくちゃ強かったです……恐ろしいですね、攻撃は。バケモンでした(苦笑)。でもそのときはパッチーもかなり大きくて体重差もめちゃめちゃあって。だから、彼がチャンピオンになって、僕もチャンピオンになって、戦いたいです。年末のBellatorとの対抗戦も自分が出られず責任を感じました。日本の格闘技がナメられたなって。だから世界を相手に日本中を巻き込むファイトをしたいと思います」 ーーYouTubeでも成功し、5年前には考えられない豊かな生活を手にしたなかで、MMAファイターとして、ハングリー精神を持ってトップに、という気持ちはどうやって湧き上がってくるものですか。 「僕の人生のなかの一番の優先順位は格闘技。格闘技が好きだし、格闘技でトップになりたいのが一番で、それはずっと変わらないんです。そのためにYouTubeとかも始めて、強くなるために生活の基盤を作り、格闘技を広めるためにやっている。なのでこの大好きな格闘技をもっとたくさんの人に広めるのが僕の使命だし、やっぱり日本人ファイターとして、トップにならなきゃいけない。だからいくらお金をもらえるとかは関係なしに、MMAでトップになること、それを目指したいと思っています」 ーーBreakingDownもその一環でしょうか。 「彼らも強くなってますし、僕はBreakingDownの選手たちにも自分の強さをしっかり見せて証明したい。僕が弱かったら説得力がないので、本当の強さを見せたいし。僕らに憧れて出場してきている選手もたくさんいるので、そういう人たちの模範となれるようにしたいと思っています」 ──先週の大会のダブルメインがフェザー級トップどころの2試合でした。今回がバンタム級トップの2試合になります。そのメインの内容や結果で比較もされることもあると思いますが、意識はしますか。 「そうですね、両試合ともすごくいい試合だったと思うのですけど判定決着だったのと、アグレッシブな試合ではなかった。僕の試合はもっと派手なものを見せたいと思います!」
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