MMA
インタビュー

【RIZIN】フアン・アーチュレッタ「今回の戦いのテーマは古代の決闘というイメージ。井上は寡黙な日本の侍だ」

2023/05/04 16:05
 2023年5月6日(土)東京・有明アリーナ『RIZIN.42』に出場する全選手の個別インタビューが、4日(木)都内にて行われた。  第12試合のバンタム級(61.0kg)5分3Rで井上直樹(セラ・ロンゴ・ファイトチーム)と対戦する、フアン・アーチュレッタ(米国)が試合前の意気込みを語った。2022年大晦日のRIZINでキム・スーチョルと激闘を展開し、大きなインパクトを残したアーチュレッタ。RIZINバンタム級王座決定戦への進出を懸けた井上戦は「真のタイトルマッチだと思っている」とし、今回も激闘を予感させる言葉を残した。 数々の歴史に名を残す選手たちと同列に自分の名前を並べたい ――現在の心境は? 「とてもエキサイティングです。まさしくこれは大きな機会ですから、自分にとって。今はこの試合のことだけ考えています」 ――試合に向けて強化した部分は? 「素晴らしいチームとともに素晴らしいトレーニングキャンプができました。たとえばここに自分のトレーニングパートナーのアーノルドが来ていますが、アーノルドは対戦相手であるイノウエの仮想として素晴らしいトレーニングパートナーでしたし、非常に素晴らしいキャンプがができました。素晴らしい練習でできてきたことを早くRIZINで見せられたらと思っています。作戦は、ティキ・ゴーセンとポール・ヘレイラがしっかり立ててくれています」 ――改めて対戦相手の印象は? 「イージーファイトとはいかないことはよく分かっている。イノウエは若くて、速くて、自信に満ち溢れている相手。対する自分としては、必ず彼の先手を取っている状態を保てるようにして、自分の持ち合わせているレベルのスキルや経験というのを駆使して、彼が試合を諦めたくなるくらい、深海の奥底まで引きずり込みたいと思っています」 ――前回の来日でいろいろな場所に行ったようですが、一番思い出に残っているのは? 「日光ですかね。とても特別な気持ちが自分のなかにあります。とても美しかった。湖に行ったり滝に行ったりしましたが、そのなかでも、将軍のために戦った侍が眠る24基の墓石が並んでいる、”殉死の墓”ですね。自分にとって、そこで侍のバイブレーションのようなものを感じることができましたそ。の戦士たちは、かつて、今我々がやっている格闘技というものの礎を築いたひとたちであり、彼らの人生を、己が信じるもののために捧げてきたひとたちです。その波動のようなものを感じたんです、まるで、地面の下からエネルギーが沸き上がってくるような感覚があった。  そういうこともあって、この国には、何か特別なものがあると分からせてくれました。だから自分としてはもっともっと深いところまで潜っていって、歴史であったり、人であったりというものを知って確かめたいと思ったんです、本を読むだけではなくね。  僕は旅行をすることが好きで、そして、食文化を体験することが好きなんです。それで、大豆の食べ物がるでしょう? 納豆が。実際に口にして自分は『美味しい』って思ったんですよ。『おお、これ、美味めえな!』って思ったのに周囲からは、『おいおい、それが気に入ったのかよ』って感じで見られていて(笑)。それで“サムライ・フード”を試してみたいなと思って。かつての戦士が食べてきたものっていうのは特別なものだと思う。あと、この試合の後の次の試合に向けてやろうと思っていることがあるんだけど、『SAMURAI RUN(沼や森の中を走る障害物レース)』というのかな? そういうふうに呼ばれているものがあって、挑戦したいと思っているんだ。ただ、この試合が終わったらなんですが。そうやって、自分の先人たちの歩みというのを経験してみたいと思っているんです」 【写真】自身のルーツのひとつであるアステカのジャガー戦士の装束で入場したアーチュレッタ――前回のコスチュームは一番インパクトを残した。今回もスペシャルなものは用意している? 「この試合のイメージとしては、僕にとっては、2人のまさしく最高の者たちが、真っ向勝負をするという点で、古のサムライと、古代のコンキスタドールの、決闘のようなものです。そしてこの試合というのは、それを象徴するようなものになる。だから自分としては入場によって、歴史に対しての畏怖の念を持つ人たちに対して、不敬の意味はもちろんないです。だから、自分が入場してくるときの旗や持ち物だったりというものは、今の生きている世界へと繋がっている古えの時間をそのままに表現しているだけ、ということではあるので、間違った印象で捉えられたくないとは思っています。  井上選手のことは寡黙な“サムライ”だと思っています。彼は口先で戦いを作っていかない、そいう人だ。彼は戦うことで自分が何者かを語る、それは自分と似ているんだ、自分の戦いが自分は何者かを表現することであって、それは古の戦いのスタイルとも言える。そして、それこそが真のファンが観たいと望むものなんだ。だから、花道を入場するときの衣装というのは、それを象徴するもの。二つの国が戦争をする、それは敵対心ではなく、ただそれは競い合うことであり、ただファンのためになんだ。そういう、古えの決闘が行われるのだ」 ――Bellator王者になったアーチュレッタ選手にとって、RIZINのベルトにはどういう価値を感じている? 「自分の出発点というのか、自分がこの競技を始めた時から、第一の目標は、日本でチャンピオンになること。アイドルのように見て憧れていたダン・ヘンダーソンのPRIDE、リングオブファイアの活躍を見ていて、幼い頃の自分にとっては、ヒーローのような存在で自分もなりたいとすごく憧れていた。その後の選手たち、エメリヤーエンコ・ヒョードルだったり、ヴァンダレイ・シウバだったりアンデウソン・シウバだったりが、みんなすごい試合をしていたし、自分にとっては、彼らの名前の横に自分の名前も連なり、レガシーを築き上げ、生涯忘れられないようなものになるということ。日本のタイトルを獲ることはMMAというもののなかで自分が不滅(不死身)の存在になるということであり、より良いものになりたいと思っている」 [nextpage] ファンが一つだけ損をすることは、この試合が3Rだということ ――来日してから、早稲田大学のレスリング部で安楽龍馬選手(U23世界選手権3位)、元U23王者でMMAファイターの河名マスト選手、須﨑優衣選手らとピュアレスリングの練習をしたのは、この試合でレスリングがキーになると思ったから? 「レスリングは、MMAファイターとしてのプラットフォームで、ドミネートする試合を出来るようにする基礎。だからレスリングの練習を続けることや、素晴らしいレスラーに囲まれている状態というのは、自分の思いどおりに行っていない時やうまく作戦が機能していないときに、いつも試合を研ぎ澄ませてくれている。自分としては、100%、自分のレスリングに頼れるし、誰もそれを止められない。レスリングの進化に合わせて、自分の試合というものを進化させ続けなくてはいけないという風に思っています。だからこそ、日本で須崎優衣さんをはじめとする、早稲田大学で練習したみんなは素晴らしいレスリングができて、現時点の世界最高峰のレスラーたちです。だから彼らとレスリングをする機会を得られえるということは夢が叶ったと言えます。そしていつか自分の子供たちを連れてきて関係を築けるようにしたいなと。そうすれば、自分たちが来日するとき、子供も日本で練習しながら、次の試合に臨めることになります」 ――井上選手は素晴らしいストライカーであると同時にサブミッションファイターでもあります。アメリカではブライアン・オルテガやアルジャメイン・スターリングとも練習していましたが、vs.サブミッションファイターの対策はどのように? 「もちろんゲームプランというのは用意しているけれど、ひとたびリングに上がって、観客たちが熱狂して、拳が飛び交い、テイクダウンがあって、というなかで状況はどんどん変わっていく。だから自分として、規律をしっかり守って、自分が練習してきたこと、自分の引き出しに入っているものを、試合になったら確実に出せるようにしなくてはならない。だからこそ、この試合が楽しみだ。FIGHT OF THE NIGHTのポテンシャルのある試合だと思ってる。自分としてはこの試合が真のタイトルマッチだと思っている。自分も相手もしっかりいい作戦を練って準備してきて、僕の名前を使って上に上がろうとする若者と、この国で自分の名前を不動にしたい者との戦いというのは素晴らしい試合になるだろう」 ――日本でベルトを獲得して引退したいと聞いた。MMAファイターの最後のキャリアを日本で積みたいという思いも? 「今の状況を鑑みるに、どうあれ5年から7年くらいは戦い続けられる。そうですね、自分のキャリアを日本で終わらせるというのは、選択肢としてありえますね、それはここ日本では大きなお金が動く、儲かる試合が組まれるから。日本で、自分の認知度を確固たるものにすれば、格闘技界のかなり上の方に位置させてもらえるということがあって、そうするとすごく儲かる試合をやらせてもらえる、なんてことも起きるだろう。家族のために経済面を自由にしたいっていうのがあって、そのためにもたくさんお金を稼ぎたいんだ、そういう仕事で。だから、たとえば『ボブ・サップとやれ』って言われて、それに見合うだけの報酬がもらえるのなら、やったっていいかもしれない。繰り返しになるけれど、日本が大好きで、この国の根っこにあるものを知れば知るほど、もっと深くハマっていく感じがある。そして自分では分からないことがあったりする」 ――過去にアーチュレッタ選手がBelllatorで対戦した相手と比較して、井上選手はどのレベルにいる? 「今回の井上選手は、自分が最初にパッチーと試合したときに似ているような感じがしています。若くてハングリーで速いスピードで撹乱して、こちらが崩せないようにペースを押し付けようとしてきたあの感じに。そういう風に試合に取り組んでくると思う。相手は速くくる、タイトルが欲しいからね」 ――井上選手は打撃のスピードや手数の多さが特徴だと思うが、そこは厄介? 「手数が多くて速いということはこの試合が面白くなるということ。自分も手数は多いから、たくさん動きのある面白い試合になる、“アクション詰め合わせ”だよ。そして唯一、ファンが損することになるのは、5ラウンドマッチじゃないということ。3ラウウンドしかなくてトータルで15分間しかないこと。25分間楽しませてあげたいが、今回はお互いにリングでとにかくやるべきことをやって、ファンに短い時間でも楽しんでもらうようにできたら良いなと思う」 ――勝利した場合、すぐにタイトルが絡む試合をしたい? それとも他の試合を挟みたい? 「榊原(信行CEO)さんが会見で言っていた通り、この試合ともう1試合のカード(朝倉海vs.元谷友貴)の勝者は、7月に開催予定のタイトルファイトに次の試合で進むことになると聞いている」
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