シュートボクシング
レポート

【シュートボクシング】笠原弘希がOFG戦でランボーに判定勝ち、SB初のOFGマッチは空手家の遊笑が勝利、山田彪太朗が王座奪取でツインズ王者誕生、笠原友希がムエタイに大差判定勝ち

2023/04/30 19:04
SHOOT BOXING 2023 act.22023年4月30日(日)東京・後楽園ホール※U-NEXTにて見逃し配信あり ▼第8試合 SB日本スーパーライト級(-65.0kg契約) オープンフィンガーグローブマッチ エキスパートクラス特別ルール 3分3R延長無制限R○笠原弘希(シーザージム/SB日本ライト級王者)判定3-0 ※30-29、30-28×2×ランボー・モー・ラッタナバンディット(タイ/元ラジャダムナンスタジアム認定ウェルター級王者、元ルンピニースタジアム認定スーパーライト級王者、元プロムエタイ認定スーパーライト級王者)  笠原はフェザー級・スーパーフェザー級・ライト級とSB史上初の三階級制覇を達成し、前口太尊、スアレック、重森陽太など他団体の王者クラスを相手に10連勝だったが、昨年12月にチャド・コリンズに判定で敗れ連勝が途絶えた。しかし今年2月、2022年RWSライト級リーグ戦優勝者のラムナムムーンレック・ティーデット99を延長3回にわたる激闘の末に判定3-0で降してみせた。  対するランボーはムエタイ戦績100勝50敗4分の戦績を誇り、2023年3月31日にルンピニーで開催された『ONE Friday Fights 11』にポンシリの欠場を受けて急遽出場し、タイソン・ハリソンに3R KOで敗れているが、この試合でOFGマッチを経験している。  1R、いきなり右を打ったランボーはジャブ2発から強い右ロー。右ミドルには笠原が左フックを合わせる。右ボディを打つ笠原。左ミドルをキャッチしての攻撃も見せる。右ミドル、右ストレートのランボーに笠原は距離を詰めて右ストレート、組み付くと投げを見舞うがこれは不発に。オープンスコアは10-10×3。  2R、ミドル連打からいきなりの顔面前蹴りをヒットさせたランボーだが、すぐに笠原が左ボディを強打。ワンツーを空振りしたランボーに笠原が組み付いてバックドロップを放ったが不完全。ジャブ、ボディと前蹴りを放つランボーへ笠原は左ロー。強烈な右ミドルを見舞ったランボーへ笠原が左右フックでラッシュ、グラつかせると組み付き、両脇を差しての投げでシュートポイントを奪う。  3R、偶発的なサミングで笠原にインターバルが与えられる。互いに前蹴りをつかんでの攻撃を見せ、笠原が“打ってこい”と挑発するとランボーは左右フックを打つ。笠原は左ミドル。ランボーの左ミドルと前蹴りには右ボディからの左フック。ランボーは前蹴りを多用し始める。右を打ち合う中、終盤に笠原が右フックからのラッシュで優勢な場面を作り、判定3-0で勝利を収めた。  笠原はマイクを持つと「とりあえず勝ってホッとしているんですけれど、僕の望む形ではなかった結果です。でも僕が先頭に立って新しいチャレンジを受けさせてくれてありがとうございます。この結果では大きいことは言えませんが、どの団体でも誰がかかって来ても相手が出来る準備は出来ています。OFGで試合が出来たことでどの団体ともどの選手とでも戦いの幅が広がっていきます。シュートボクサーの笠原としてどんどん戦っていきたいです」と、誰とでも戦うと宣言した。 [nextpage] ▼第7試合 SB日本ヘビー級 オープンフィンガーグローブマッチ エキスパートクラス特別ルール 3分3R延長無制限R×坂本優起(シーザージム)判定0-3 ※28-29×2、28-30○遊笑(Y's glow)  シュートボクシング初のオープンフィンガーグローブ着用マッチ。その第1試合はヘビー級マッチとなった。  坂本は2009年11月にプロデビュー戦を行い敗れたものの、その後は12連勝をマーク。2013年4月には鈴木悟を破り、SB日本スーパーウェルター級王座を奪取した。2014年4月には小西拓槙、11月には内村洋次郎、2015年2月には長島☆自演乙☆雄一郎、6月にはT-98を破るなどSB中量級のエースとして大活躍したが、2015年後半からは黒星が増え、2020年12月に思い切ってヘビー級に転向。6連勝を飾ったがマウンテンRYUGOに判定負け。10月には韓国で無差別級トーナメントに挑み、2勝して優勝した。12月にはRISEの南原健太と対戦し、ダウンを先取するも逆転TKO負けを喫した。戦績は38勝(8KO)19敗。  遊笑はフルコンタクト空手出身で、2011年に円心会館主催の『17th Sabaki Challenge spirit』にて銅メダル(スーパーヘビー級)を獲得し、日本人初の入賞を遂げている。キックボクシング転向後はヘビー級で戦い、J-NETWORKではヘビー級1位にまで登り詰めた。身長178cm、体重100kg。戦績は9勝(4KO)10敗4分で、試合は2021年10月に達磨石川に2RでKO勝ちして以来となる。  1R、ローを蹴って左右フックにつなげる遊笑に坂本はボディを打ちながら前へ出ていく。コーナーに詰まる遊笑は左ミドルも蹴るが、坂本は右ストレートを直撃。徹底してボディを狙っていく坂本に遊笑は鉄槌のようにしてパンチを見舞っていく。さらに左ミドル、左ハイ。坂本は攻撃の手を休めず左右ボディと左右フックの連打。遊笑は投げを繰り出そうとするが失敗。オープンスコアは10-9×2で坂本。  2Rも坂本は接近していき、遊笑は左ミドル。坂本が右ボディ、右フック。遊笑は左ミドルから首相撲に持ち込んでのヒザ蹴りを連打。さらに左右フックで坂本をコーナーへ詰める。遊笑は左目上からの出血も左ハイを2発叩き込む。これで動きが鈍る坂本へ遊笑は左右の連打からヒザ蹴り。遊笑はフロントチョーク狙いから離して左右ハイ。坂本の右ボディをかわしてのワンツーと坂本追い込む。オープンスコアは10-9×3で遊笑。  3R、遊笑の左ハイをブロックして右ボディストレートの坂本へ、遊笑が左ミドルを蹴る。思い切り右ストレートを打ち込む坂本へ遊笑は柔軟な身体で蹴り続ける。遊笑のワンツー、左ハイに棒立ちとなる坂本。遊笑が押していって坂本にロープを背負わせて連打を当てる。坂本も打ち返すが遊笑のハイキック、ヒザ蹴りで防戦一方に追い込まれる。  判定は3-0で遊笑の勝利。SB初のOFGマッチの扉は、シュートボクサーではなく空手家&キックボクサーの遊笑が開いた。 [nextpage] ▼第6試合 SB日本フェザー級タイトルマッチ 57.5kg契約 エキスパートクラスルール 3分5R延長無制限R×川上 叶(龍生塾/SB日本フェザー級王者)判定0-2 ※49-50×2、50-50○山田彪太朗(シーザージム/SB日本フェザー級1位・挑戦者)※山田が新王座に就く。川上は初防衛に失敗。  川上は2019年11月にSB日本バンタム級王座決定戦で佐藤執斗を2R KOで下して新王者に輝き、2022年4月には魁斗を判定に破り、SB日本フェザー級王者となって2階級制覇を達成。昨年12月に両国国技館で開催された『RISE WORLD SERIES/SHOOT BOXING KNGS 2022』では、当時15連勝中とノリに乗っていた安本晴翔と対戦し、下馬評を覆しての殊勲の判定勝ち。今年2月には初のムエタイとの戦いでガオパヤックに勝利した。戦績は12勝(5KO)5敗。  山田は2019年8月にプロデビューすると4連勝(無効試合を挟む)を飾ったが、2021年4月に翔に初黒星を付けられた。その後は元貴、田渕神太を破ったが、12月の川上叶戦で延長戦の末に惜敗。2022年2月には翔にリベンジを果たし、6月には初参戦の蒼士を判定に破り、9月にはRISEフェザー級5位の宮崎就斗を右ストレートでマットに沈めた。11月の次期挑戦者決定トーナメントで優勝して今回の挑戦権を手にしたが、12月の門口佳佑戦ではシュートポイントを奪いながらもダウンを喫して逆転負け。戦績11勝(3KO)3敗1無効試合。  1R、サウスポーの川上はスタンスを大きくやや斜に構えたスタイルで左ボディ。山田は右インローを蹴っていく。川上の蹴り足をキャッチしてコカそうとした山田だが、川上はロープを背にしてバランスを保つ。川上の左ミドルに山田は右の三日月、すぐに川上が左ボディを返す。川上は頭を振って山田のパンチをかわしていく。オープンスコアは10-10×3。  2R、左ストレートを顔面とボディに打ち分ける川上。山田が右を打って来ると右フックを合わせに行く。お互いに相手のパンチをかわし合う展開が続く。このラウンドも10-10×3。  3R、川上の左ストレートに山田は右ボディ。お互いに相手のパンチをかわし合う展開が続き、こんなにもパンチが当たらないのかというほど。川上は左、山田は右を狙い撃ちし、1発当たるたびに場内が沸く。山田の右が浅くだが連続でヒットも10-10×3。  4R、川上の左オーバーハンドがヒット。山田も右から左フックを打ち返す。前へ出る山田が右を浅くだがヒットさせていき、川上が右フックを打ち返す。川上は左を打っては離れ、山田が近付くと組んで動きを止める。  5R、ワンツーを打ちに行く山田に川上は左フックを狙い撃ち。山田も左フック、右ストレート左ミドル。ここへ来て山田が手数を増やし、打ち合いでヒットさせていく。川上の左を空振りさせて右を顔面とボディに打つ山田。前へ出る山田のヒットが目立ち始め、川上も左フックを当てるが手数で山田が上回ったか。  判定は2-0で山田。弟・虎矢太のスーパーバンタム級王座に続いて、彪太朗がフェザー級王座を奪取した。 「以前2年前に川上選手に負けていてリベンジという形で挑戦したんですが不安で。前回、彪太朗が王者になって僕ら双子なんですが僕が兄なので先に王者にならないといけないのになれなくて。不安があったんですが、川上選手だったから自分を追い込めたし、こうして王者になれました。自分は小3からSBを始めて12年目で才能もなくて不器用で前に出るしかない戦い方しか出来なくて。お前なら王者になれるよと応援してくれた民さんのおかげで本当に王者になることが出来ました。  僕をここまで育ててくれたお母さん、4月から働き始めて朝が早くて夜の練習の疲れと精神的にきつかったんですが、毎日僕の出勤時間に母が一緒に起きてくれて僕もう20なのに正直それが毎日嬉しくて母と話してから出勤できるのが楽しみです、お母さん、ありがとうとざいます。僕と彪太朗と山田ツインズで王者になることが出来て、借りを返さないといけない王者たちもいますし、これからも山田ツインズの応援よろしくお願いします」と山田は感謝の気持ちを述べた。 [nextpage] ▼第5試合 SB日本スーパーフェザー級(-60.0kg契約) エキスパートクラス特別ルール 3分3R延長無制限R○笠原友希(シーザージム/SB日本スーパーフェザー級王者)判定3-0 ※30-27、30-24×2×ポームロップ・ルークスアン(タイ/S-1 130P王者)  ポームロップは89戦60勝25敗4分の戦績があり、S-1 130Pタイトルを獲得している。昨年10月に初来日し、ユウ・ウォーワンチャイ(=大田原友亮)を翻弄し4Rに強烈な左ボディブローで一発KOしインパクトを残した。  そのポームロップを迎え撃つ笠原は2019年6月に国内55kg級トップクラスの小笠原瑛作をヒジ打ちによるカットでTKOに破る大番狂わせを演じ、2020年7月に那須川天心の対戦相手に選ばれたが初回KO負け。再起戦では手塚翔太と大激闘の末、KO勝ちでSB日本フェザー級王座に就き、2021年12月にはスーパーフェザー級王座決定戦を制してSBで2階級制覇を達成した。2022年3月にはRIZINに初参戦し、豪快な飛びヒザ蹴りで初回TKO勝ち。6月の『THE MATCH 2022』ではKrush王者の中島千博から勝利を奪ったが、9月にRISEランカーの常陸飛雄馬にKO負けを喫した。12月は石月祐作に大差の判定勝ち、今年2月にはTAaaaCHANに判定勝ち。これまでvs.ムエタイは3戦全勝。戦績は22勝(10KO)3敗のサウスポー。  1R、笠原はサウスポー。左ミドルと右ミドルの蹴り合いから、笠原が蹴りで圧をかけてポームロップを追いかけていく。笠原が接近しようとすると右足を上げて防ぐポームロップ。笠原は入りにくそうだが、後ろ蹴りを放つ。  2R、ポームロップの右ミドルに右フックを合わせる笠原。ポームロップは変わらずロープを背負って右足を上げて笠原に潜入を防ぐが、笠原は左ボディストレートを伸ばしてダウンを奪う。さらに左ボディストレート、ヒザで畳変える笠原はヒザ蹴りから鮮やかな首投げでシュートポイントを奪う、さらにこれがダウンとなる。左右ボディ、左ミドルで仕留めに行く笠原にポームロップは左フック。攻撃の手を緩めない笠原が左右ボディ、ヒザと畳みかけるもポームロップはタフだ。  3Rもロープを背負って動くポームロップは笠原が前へ出てくるところへワンツー、右ハイと狙い撃ち。左ストレートを当てるが攻めあぐねる笠原だったが、ポームロップが前へ出てくるところへ左ストレートを合わせてダウンを奪う。両手を広げて“かかって来い”と挑発する笠原だったが、ポームロップは攻めてこずにタイムアップ。  笠原が最大6ポイントの大差をつけて判定勝ちした。 [nextpage] ▼第4試合 63.0kg契約 エキスパートクラス特別ルール 3分3R延長無制限R○基山幹太(BELLWOOD FIGHT TEAM/SB日本ライト級2位)判定3-0 ※30-26、30-25、30-24×ヒュン・ツェイ・ヘイデン(香港)  自国で定期的にシュートボクシングの公式戦を開催しているシュートボクシング香港支部からヘイデンが参戦する。ヘイデンは、“ボンバー(爆撃機)”のニックネームで活躍し、坂本優起を2度破っている向柏榮の息子。SB日本ライト級2位・基山と対戦するボンバー二世はどんなインパクトを残すか。  1R、ヘイデンは左右に構えをスイッチしての左右ミドル。基山はそこにパンチを合わせていく。ヘイデンのパンチに基山が左ヒザを合わせ、ダウンを奪う。基山の左ヒザに身体を丸めるヘイデン。このラウンドは何とか耐えた。  2R、ヘイデンは基山の蹴りをキャッチしての投げを狙うが失敗。基山は左ボディを狙い撃ちにし、ダウンを奪う。サウスポーになる基山は左ボディとヒザで倒しに行くが、ヘイデンは組み付いて必死の抵抗。粘るヘイデンに基山も攻めあぐねる。  3R、ヘイデンは組み付いて基山を組み倒す。ヘイデンの右ハイがヒット、これでリズムに乗ったかヘイデンは低い構えから左ストレート、さらに右ハイ。基山は思い切り左を振り回すがヘイデンは頭を振ってかわす。基山が左右連打からボディへのヒザ蹴り、さらに左右フックを振り回すがヘイデンは上体を振ってこれをかわすが、ヒザはボディにもらう。  大差の判定3-0で基山が勝利した。 [nextpage] ▼第3試合 70.0kg契約 エキスパートクラス特別ルール 3分3R延長無制限R○風間大輝(橋本道場/SB日本ウェルター級5位)KO 2R 1分08秒 ※左右連打×有馬伶弍(龍生塾)  シリーズ開幕戦で、打倒極のシュートボクシングを体現し、SB日本ウェルター級ランキング入りを果たした風間は龍生塾の新鋭・有馬と対戦する。  1R、サウスポーの有馬が左ミドルで先制。風間は右の三日月を蹴る。両者とも様子見のラウンドに。  2Rが始まってすぐ、左右の連打を繰り出してコーナーへ追い込んだ風間がダウンを奪う。2度目もコーナーへ追い込んでの連打でダウンを奪い、風間が圧倒的なパワーでKO勝ちを収めた。 [nextpage] ▼第2試合 53.0kg契約 フレッシュマンクラスルール 3分3R延長2R○笠原直希(シーザージム)判定3-0 ※30-27×3×佐野和英(A☆R KICK!)  佐野は37歳にしてデビュー戦。17歳の笠原とはなんと20歳差。1R、ジャブと右ローで先手を取る笠原はスピードのあるコンビネーションを回転させていく。佐野は右ローを蹴り、左フックへとつなぐが笠原は蹴りからパンチ、パンチから蹴りへとつないで左ボディを叩く。ジャブから左ボディ、さらに右カーフと佐野をにロープを背負わせる笠原。左右ボディ、左ボディの連打、右ストレートと圧倒するが、佐野もミドルを蹴って反撃。  2R、顔面にパンチを集めてガードを上げさせ、左ボディを打つ笠原。佐野はジャブと右ロー。笠原の右には左右フックを返す。左ミドルから飛びヒザ蹴りを発射する笠原だが、佐野はこれをブロック。  3R、左右のヒザもボディへ突き刺していく笠原に下がる佐野。笠原はすかさず左右ボディで追い込んでいくが佐野も左ミドルで応戦。左ボディが何度もクリーンヒットするが、佐野は顔を歪めながらも打ち返す。さらに佐野は起死回生を狙って右ハイ。笠原が左ミドルで最後は追い込んだが、佐野が最後まで踏ん張り、会場からは大きな拍手が送られた。 [nextpage] ▼第1試合 62.5kg契約 スターティングクラスルール 2分3R延長1R○長谷川平蔵(シーザージム)判定3-0 ※30-28×3×柳澤翔太(クロスポイント吉祥寺)  両者デビュー戦。1R、前に出ていく柳澤に長谷川は下がりながらの左ミドル、左ストレートで迎え撃つ。柳澤は右ミドルとワンツー。長谷川は胴に組み付いて投げ捨てる。  2R、長谷川は左ストレートからスーパーマンパンチ。左ストレートを狙う長谷川に柳澤は前蹴りで対抗。長谷川が左ミドルから後ろ蹴りを放つ。柳澤は鼻血を出して苦しそう。  3R、前に出てくるところへ長谷川が左ストレートを直撃。それでも突進する柳澤に長谷川が左ストレート。長谷川がスーパーマンパンチから後ろ蹴りを決めて試合終了。長谷川がデビュー戦を勝利で飾った。
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