7月28日(日)さいたまスーパーアリーナにて開催される『RIZIN.17』で、元UFCのジョニー・ケース(米国/MMA LAB)と対戦する北岡悟(ロータス世田谷/パンクラスイズム横浜)が22日、公開練習を行った。
元DEEP&戦極ライト級王者の北岡はMMA70戦を超えるベテランファイター。RIZINでは元UFCファイターのダロン・クルックシャンク、川尻達也に勝利し、矢地祐介、ストラッサー起一(75kg契約)、ディエゴ・ブランダオン、ホベルト・サトシ・ソウザに敗れている。
公開練習ではサウスポー構えから、ロータス世田谷の八隅孝平代表が持つミットに、パンチのコンビネーション、ミドルキックなどを2分間打ち込んだ後、囲み取材に応じた。
1週間後に大一番を控える北岡だが、前夜はPANCRASE新木場大会で自身が代表を務めるパンクラスイズム横浜の松岡嵩志と、練習拠点のロータス世田谷の中村龍之のセコンドにつくというハードワーク。毎週末の所属選手のコーナーマンとしての務めについて北岡は「自分の格闘技に還元される」と言いながらも、「僕にとってそういうのは“サブチャンネル”。メインは自分だなと改めて気づいた」と、自身の試合に向けて集中していることを語った。
対戦相手のジョニー・ケースはUFC4勝2敗。2014年9月のUFC JAPANで徳留一樹にギロチンチョークで一本勝ち後、フランキー・ペレス、フラシスコ・トレヴィノ、ヤンカブラルに連勝。ジェイク・マシューズとトニー・マーチンに敗れている。
2018年年末のRIZINデビュー戦では、矢地祐介を相手にパンチで右目尻をカットさせレフェリーストップ勝ち。25勝のうち17勝が打撃による勝利、さらに1Rでの打撃の勝利が14勝と、決定力のある打撃を誇る。また、レスリングベースらしく重い腰を持ち、ダブル・シングルレッグのみならず、1本脇を差せば崩して投げる組み技の強さも見せており、がぶりからのギロチンも得意としている。
これまでに北岡が敗れている徳留一樹と矢地祐介という2人の強豪選手に勝利しているケースについて北岡は、「ざっくりに言うと強い。全てにおいて」と最警戒が必要な相手であることを認めると、「(自分は)考え方によっては単なる“生贄”だし、考え方によってはまだ(ファイターとして)可能性があるから、こうして強い選手と当てられる」と、マッチアップの自身なりの解釈を語った。
「いろんな準備はしているけど、基本的には自分をぶつける、自分の持っているカードを惜しみなく切る──勝つために」と、決意を表明した北岡。MMA19年目、プロMMA42勝19敗9分けの“毎試合が集大成”となる北岡による、勝利への渇望とは──。
北岡「自分をぶつけるだけ」
──現在のコンディションはいかがですか?
「こういう時に『絶不調』とか言う人いるんですかね? 普通ということで」
──対戦相手の印象は?
「うーん、ざっくり言うと強い。全部において」
──注意しなければならないところは?
「まっすぐの右の攻撃かな」
──次の試合はどういう試合展開に持ち込みたい?
「それは言いたくない」
──今回の試合に向けて特に強化した部分はありますか?
「全部、強化した。特に強化した部分もあるけど、言いたくない」
──10月からライト級GPが開幕しますが……。
「(遮って)関係ない。すみません。別に怒っているわけじゃないので。すいません」
──前回のソウザ戦で自分自身の課題になった部分はありますか?
「あるけど言いたくない。負けたからそれは悔しいのは当たり前」
──昨日のPANCRASEでセコンドに付いていました。試合直前、追い込みは終わっていてもナーバスな時期だと思うのですが。
「2試合だけつきました。でも前の週はFighting NEXUSでもついたし、その1週前はパンクラスのアマチュア大会でアマチュア選手につき、その前もパンクラスで井上学さんのセコンドにつきましたし……。何だろう、必要とされているし。(セコンドを)やることによって自分も格闘技の勉強や自分の格闘技を磨く事にもなるので、決して何もないわけではないけれど、意味はあると思ってやっています。でも、最近行き着いたのは僕にとって、そういうのは“サブチャンネル”だなと。メインは自分だなと改めて気づいたので。YouTuberとかでサブチャンネルとかあるじゃないですか。それだなって。やっぱりゆるいというか、サブだな、メインじゃないなと思いました。でもまぁ、還元されるものだし」
──昨夜はパンクラスイズム横浜の松岡嵩志選手とロータスの中村龍之選手のセコンドに付かれてたと思いますが、二つの試合で還元されたことは?
「松岡は内容は良くなかったんですけど、彼の『どうしても勝ちたいんだ』という気持ちが伝わって、その部分は(意思)疎通が取れたので、それがすごい良かったと思うし。中村とかは、ちょっとまだ未熟というか、まだ“修羅”に慣れていないような部分が感じられたんですけど、逆に言うと変化や成長の可能性を感じるので、そういったものを見届けてあげられたのは良かったと思ってます」
──「修羅になれていない」というのは試合で必要になってくる?
「そうですね。厳しいものだから。僕も、今度の試合も自分自身でもそうだと分かっているから」
──ジョニー・ケースがそういう相手だと?
「はい。1年前にディエゴ(ブランダオン)とやって、その時も自分なりに覚悟とか準備とかを持って挑んだけど、結局ああいう試合になってしまって……。あれはあっさり負けた割に、勝負しているから、仕掛けているから関係者内にはそんなに悪い評価ではなく、僕はこうやってRIZINに出続けているわけですけど、僕的には全然、話になってなくて、あっさり負けたなと思っていて。で、あの頃よりは間違いなく強いとは思うけど、そんなのは自分の体感でしかなくて、結果が全てだから。その後も1勝2敗、求めているものはそういうのではないから。RIZINに出始めて比較的スイングした試合に結果的になっているから誤解されているけど、僕が求めているものはそういうものじゃないから。
本当は発言権すらない立場だと思うんですけど、またこうしてまたRIZIにN呼ばれているので。そしてまたこうして強い選手と当てられるという。考え方によっては単なる“生贄”だし、考え方によってはまだ可能性があるから、だと思っているし。その可能性っていうのは絶対、僕だけが感じているものではないと思うから」
──何かを見せてくれるという期待があるからだと思うのですが、北岡選手の望む勝ち方とは違う?
「勝ち方に拘りは無い、勝てばいいから。俺はいまだに自分の中でのベストバウトは中村大介戦だと思ってるから」
──あの引き込むようにガードに誘った試合ですね。
「引き込むというか、超流した。あれは『勝ちたい』という事を本当に表現した試合だと思っていて、その上で勝てたし。あれは大好きな試合で、分からない人は調べてください(笑)」
──ジョニー・ケースは本当に厳しい相手だと思うのですが。
「知らない人もいると思うんですけど、(ジョニー・ケース選手は)俺をKOしている日本人の徳留(一樹)や矢地(祐介)を仕留めて勝っているので、それだけ厳しい試合っていう事なんですけど、あんまりみんなは分かってらっしゃらないので、自分で説明しなきゃいけないんですけど」
──奥の右手が長く、レスリングも強いです。
「たぶん、きっと全部出来るでしょう。試合を見る限り、寝技のディフェンスも柔術黒帯のブラジル人とやって結構際どい形になっても、エスケープして綺麗に立っていましたし」
──その相手に戦うイメージは?
「イメージはもちろんありますよ」
──どんな試合になりますか?
「そうですね。『見ろ』って感じなんですけど。僕がやることは、自分の得意な事をぶつけるだけ。自分をぶつけるだけ。もちろんいろんな準備はしているけど、基本的には、自分をぶつける、自分の持っているカードを惜しみなく切る。それは勝つために、ですね」