テクニックと経験の無さを痛感したというぱんちゃん。今週中にも海外へ武者修行に出かけるという
2023年4月22日(土)東京・後楽園ホールで開催された『KNOCK OUT 2023 vol.1』の一夜明け会見が、23日(日)都内にて行われた。
メインイベントのKNOCK OUT-BLACK女子 -49.5kg契約3分3R延長1Rでワン・チンロン(台湾/TKBA)に判定2-0で勝利したぱんちゃん璃奈(フリー)は、デビュー以来無敗の14連勝(2KO)をマーク。会見に出席し、前夜の試合を振り返った。
声がガサガサだったぱんちゃんだが、これは試合の影響ではなく「黄砂がはやりだした頃から咳が出て声が枯れちゃって…」とのこと。
「復帰戦で無事立ててホッとしています」というぱんちゃんだが、「もっと頑張ろうと思いました。判定結果がどうのじゃなく、1年1カ月ぶりに試合で戦ってみて課題が多いと戦いながら思っていました」と、試合中に課題を感じていたという。
「一番は対策不足だと思いましたね。今まで通りの戦いで勝てると思ってしまったので。2歩下がってのカウンターをやったんですが、私の2歩より相手のリーチの方が長かったので下がる間に相手の攻撃もらってしまいました。それを試合中に修正できなかったのは経験不足です」
チンロンのリーチの長さが予想外だったのかと聞かれると、「攻撃力はそんなに強いとは思わなかったんですが、スピードは今までで一番ありました。あと、上から振り下ろされるのが初めてだったので見にくかったです」と、想定外のことがいくつかあったと答える。
「私にはフィジカルくらいしかないので、リーチとフィジカルで最後勝っちゃうんですよね。今回もフィジカルで押して勝ったのかなと思ったので、このままではこの先勝てないと思うのでテクニックを付けたいと思います」と、リーチの長さとフィジカルの強さだけに頼っているようでは世界に勝てないと痛感したとする。
そこでどんな改善方法を考えているかと問われると「もっといろいろな女子選手を見たいのでしばらく日本を離れようと思います。世界で活躍している選手とどれくらい差があるかのかを知りたいなと思うので、しばらく(海外で)修行していこうかなと思います」と、海外へ武者修行に行きたいと明かす。
具体的には「タイのいろいろな地域を歩きながらいろいろまわって、ONEに出ている女子選手と練習しようかなと思っています」とまずはタイへ行くという。しかも「今週から行こうかなと思っています」とすぐに旅立つようだ。
「今までタイへ行った時は普通に自分が練習して、テクニックを教わる感じでしたが、今回は女子選手がメインのジムをいろいろまわっていきたいと思っていて。世界トップ選手の実力がどれくらいなのか、ボコられてきたいなというのがあります」と、スパーリングを中心にやりたいという。
他の国に関しては「タイ以外知らないんです。宮田さん(KNOCK OUTプロデューサー)が紹介してくれたらすぐに行きます。タイ以外も行ってみたいですね。強い女子選手がどこにいるのか知らなくて、どこかおすすめがあれば来週でも行こうと思います。海外がいいです。日本を出たいです」と、強い女子選手がいるジムが分かればどこにでも行きたいとした。宮田Pは「よく考えて、手伝えるところは手伝いたいと思います」と協力を約束した。
今回の試合前には大阪の正道会館へ行き、石井和義館長から直々に技術を教わった。その中でローキックを教わったことを明かしていたが、「カーフローを狙っていたんですけれど、館長が教えてくださった威力のある攻撃が出来ていなかったと思います。ローが届いてなかったですね。足の甲は届いていたんですけれど、本当はスネで蹴りたかったんです。向かい合ってみると身長以上にリーチが凄い差があったと感じました。今まで私と戦った対戦相手は、こういう気持ちだったんだなと思いました(笑)」と、初めて自分よりリーチの長い相手と戦ったことで感覚が違ったとする。
全体的にパンチが多く、蹴りがこれまでの試合のように出なかったことに関しては「自分でもビックリしました。蹴りが出ないもんなんだ、と自分でも思いました。この1カ月半はしっかり練習したので、練習では出来たので蹴りが出ると思っていたんですが、いざ本番になると出ないもんなんだなって、自分でもショックでした。自分は蹴りの選手だと思っていたのに。いつもパンチを打った後、蹴りで終わるのにパンチで終わったのがやっぱりブランクあるなと感じて。選手として悲しかったです」と、1年1カ月のブランクは大きく出せなかったという。
それは2022年4月に練習中に前十字靭帯を断裂して手術したことで、蹴りを出すことに不安があったのではと聞かれると「リングに上がる以上は足の怪我のことは考えずに上がっているので、習慣的に身に着けていなかったんだなと思いました」と、怪我は関係なく蹴りがまだ身体にしみ込んでいなかったと答えた。
判定勝ちが告げられた時、笑顔はなくうなだれるような姿を見せていたのは、「悔しいという言葉よりも自分まだまだ弱いなって。親からも言われました。まだ強くないなって、それに尽きると思います。ワン・チンロン選手が強かったのもあるんですけれど、まだまだですよね」と、自分の弱さを痛感したからだとした。
マイクでは「自分は才能があったわけじゃなくて、ただの凡人がキックボクシングを始めてこうやってリングに立っているだけなので」との発言があったが、試合後で興奮していることもあり、真意が分かりづらかった。
それを聞くと「今回の事件の後に『ぱんちゃんは才能があるから頑張って』と応援コメントをたくさんいただいたんですけれど、昨日の試合を見てもらったら分かるんですけれど別に才能はないんですよ。倒せる選手でもなく、泥臭い不器用な選手なんです。ただスピードとフィジカルで勝ってきた選手なので、本当にただの凡人がリングに立っているのが改めて自分でも分かったので、もっと努力して行かないと才能のある選手には勝てないと思ったということでした」と説明。
前回から1.5kg重い49.5kg契約で試合をしたことには「昨日の試合だとあまり手応えはないです…階級をどうしよう思っていますね。46kg、47kgから49.5に初めて上げてみたんですけれど、やっぱり大きいなと思いましたね。ただフィジカル的には通用すると思うんですけれど、そこに技術がないと世界のトップ選手に対しては厳しいんじゃないかなと思っています」と、やはりテクニックを身に着ける必要があるとした。
そして次の試合については「レントゲンを撮ってきて骨が大丈夫だったので、6月11日に出てもいいですか?」と、6・11後楽園ホール大会への出場をその場で宮田Pに直訴。
この一夜明け会見で6月にも連続参戦したいとの選手のアピールが多く、宮田Pは「プロモーターとしては喜ばしいことですが、試合数があるのでどうしたものかと。気持ちとしてはすぐに行けるってことですね」と困った表情を見せたが、「毎月でも試合していかないと経験が積めないので毎月でもやりたいです」と食い下がるぱんちゃん。宮田Pは「考えたいと思います」と答えた。
最後はシンプルに「もっと頑張ります」との言葉で締めくくったぱんちゃん。次回の試合で今回の反省が活かせるか。