キックボクシング
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RIZINはなぜブアカーオ、安保瑠輝也、城戸康裕を獲得したのか「熱のある立ち技の選手たちと新しいムーブメントを作り出す」(榊原CEO)

2023/04/15 16:04
 2023年5月6日(土)東京・有明アリーナ『RIZIN.42』の追加対戦カード発表記者会見が4月13日(木)都内にて行われ、70kg契約3分3Rで安保瑠輝也(フリー)vs.ブアカーオ・バンチャメーク(タイ)、69.0kg契約3分3Rで城戸康裕(TEAM ONE)vs.木村“ケルベロス”颯太(NJKF心将塾)のキックボクシングマッチ2試合が発表された。  会見の中で城戸は70kg級のトーナメントの開催要望、安保は立っても寝ても殴り合う新ルールを提案したいと発言し、榊原信行RIZIN CEOは「常々言ってるようにRIZINは選手の特性を活かすルールをアジャストする。ユニファイドでこのルールじゃないとダメだと決めてはいないので、まずは安保、ブアカーオ、城戸、この選手たちが5月6日にどれくらいの存在感を見せられるか。MMAを中心に見に来ているファンに、もう1回安保見たいなと 城戸見たい、ブアカーオ凄いじゃんという試合を見せることがひとつ。  今後、僕らはいろいろなことを安保とブアカーオと城戸とでスタートしていく上では、そういう熱を作り出す、そういう原点の機会になると思っています。僕はこのルールでないといけないと決めてはいないので、新機軸で新しい競技を生み出してもいいと、そういう想いも持っていますからフレキシブルに、中心となって熱を作り出せる選手たちと進めていきたい。そういう意味では5月6日、3選手の活躍がとても楽しみですね」と、新しい競技を作り出してもいいのではとの見解を示した。  会見後の囲み取材で、ブアカーオが参戦することになった経緯を聞かれると榊原CEOは次のように答えた。 「まず(三浦)孝太と(タイでブアカーオがエキシビションマッチを)やったじゃないですか。その中でブアカーオにも注目が集まったし、孝太と絡んだことでいろいろコミュニケーションを取るようになりました。せっかくだったら是非参戦をしてもらいたいなというところで、参戦に向けた交渉を去年の9月以降からしていました。我々としても今後の立ち技のマッチメイクを『THE MATCH 2022』が終わった中で、(那須川)天心がボクシングに行った中で、キックの選手の試合をどう組み上げていくのか、どう熱を作り出していくかがひとつのテーマだと思っていて。その中の起爆剤になればいいなというところで安保選手と去年の年末くらいから交渉が始まりました。  そうなってくるとブアカーオがぜひ欲しいなってところで話をしていくうちに、出場交渉のために3月にタイへ行ってそこで単発というよりは今後、ブアカーオが言うようにタイには若くていい選手がいっぱいいるんですよ。日本になかなか出てくる道がない中で、そういう選手たちをもっと日本に紹介したいし、ブアカーオとしてもそういう選手たちの水先案内人になれればという想いもあって。新機軸をキックボクシングもMMAも含めて何か新しいチャレンジ、ルールにあまり捉われずに今後しっかり向きあっていこうということで意気投合しまして一気に話が進みました。ブアカーオが前向きな中で安保選手にも提案して、待っていましたって感じだったのでこの5月6日に電撃的にこのカードが組めたというところです」 [nextpage] ジャンルvs.ジャンルの中で彼らが気を吐いた試合を見せられるのか  それはブアカーオ、安保と軸になる選手を獲得してキックボクシング部門を再構築したいとのことなのだろうか。榊原CEOはそうではない、と断言した。 「僕らも新しいことをやってみたらいいかなと思っているんですよ、漠然と。また時が来たら言いますけれど、安保を始めK-1離脱組だけじゃなくて。THE MATCHなんか追いかけてもしょうがないからね。あんなのは何十年に1回できることなので。新しいものを自分たちで作り出していくことが必要だし、PRIDEの時もそうだけれどPRIDEの幻想を追いかけた団体は成功していないんですよ。過去を否定して新しいものをスクラップ&ビルドしていかないといけないと僕は思っていて。  その中で立ち技でもああやって発信力があって新しいチャレンジをしている人たちがいっぱいいる。そういう人たちの受け皿になれればいいし、そういう人たちとファンも巻き込んで新しいムーブメントが作り出せていくことになる、その中に城戸が言っているようなトーナメントがファンの求めているものになるのか。何かそれにワクワクドキドキするようなチャレンジを、立ち技系の選手たちと一緒に作れたらいいなと思っています」  もう一度『THE MATCH 2022』のような立ち技のドリームイベントをやりたいというのではなく、それこそ1993年に始まったK-1のように既存のキックボクシングではなく新しいものをキックボクサーたちと作っていきたいのだという。  これまで榊原CEOは「一歩踏み出す勇気が見たい」とし、立ち技選手たちのMMA挑戦を推奨していた。しかし、その考え方もRIZINのレベルアップと共に変わってきたようだ。 「芦澤選手のようにMMAをやりますというのは素晴らしい志だと思いますけれど、まあ大変なんですよ。久保(優太)にしても平本(蓮)にしても何年もかかって、今でもコンプリートな完成形のMMAの選手にはなりきれていない部分もある。そうやって考えると、芦澤がMMAファイターとしてチャレンジしていく過程をどう見せていくのかっていうのは難しいんですよ。今のバンタム級にどーんと放り込んで太刀打ち出来るわけがない。そこも含めて僕らの中でも模索はしています。だから思い切って熱のある立ち技の選手たちと新しいムーブメントを作り出す。  それは5月6日にブアカーオ、安保、城戸、あとの若い選手たちが、俺たち立ち技の選手でこんなにイキがよくてこんなに激しい試合を見せられるよと、ファンのハートをわしづかみにするようなことになれば、それがひとつの求心力になって僕らも新しいチャレンジを一緒にしようということになる。そういう意味でいうとジャンルvs.ジャンルの中でこのキックボクシング2試合で彼らが気を吐いた試合を見せられるのか。そこに注目して欲しいし、僕も注目しています」  5月6日はキックボクシング2試合が、MMAの好カードがずらりと並ぶ中で何らかの爪痕を残せるかどうかの戦いである、とした。そしてここで存在感を示してくれるはずだと榊原CEOはそこから次の展開を期待しているようだ。 [nextpage] キックボクシングにはMMAにはない魅力が絶対にある  新しいムーブメントとは、キックボクシングルールとMMAルールの中間のようなルールを模索しているのか、と聞かれると「そこは今日の時点でどこまで言えるかだけれど、瑠輝也がああいう風に言っているのも含めて、僕らの中にはそういうようなアイデアがあります。その辺も含めて安保選手とも…今日もっと言うかと思ったけれど意外と大人しくて(笑)。もっとぶちかましたいところはあると思うけれど、それは多分5月6日にブアカーオをKOしてぶち上げたいんじゃない?」と、安保が提案したいと言った新ルールではなく、RIZINにも何かアイデアがすでにあるようなコメント。 「そうやって熱をどう作っていくかだし、各キックボクシング団体の人たちともニュートラルにアライアンスを組んでいきたいので、僕らが単純にRIZINキックトーナメントをやりますっていうのが正しいことなのかどうか。それはKNOKC OUTだったり、シュートボクシングだったり、RISEだったり、K-1だったりの人たちともバランスをとらないといけない。  まあ、RIZINとしての新しいチャレンジがあった方が、ファンも新しいものを求めているところがあると思うんですね。いろいろ5月6日をひとつの起点にして、どんっと作り出せたらいいなと。キック系の選手たちを中心とした新しいムーブメントを作っていけるような、起爆剤になるような試合を安保、ブアカーオ、城戸には期待しています」  立ち技となると、大晦日で平本と戦う代わりに立ち技の大会を開く約束を榊原CEOとしたという梅野源治も黙ってはいないだろう。 「梅野も新しいチャレンジをしたいって言っているし、芦澤もそうだと思うけれど、気を吐きたいと思っている選手はいっぱいいると思うので、梅野にもちょっと期待しています」と気を吐きたい選手の存在は大歓迎だとした。  もし立ち技の大会をやるとなれば年間大会数が増えることになるが、「バランスだと思います。増えすぎるのも良くないので。いずれにしてもルールにあまり捉われずに熱のあるものを旬なタイミングで、ファンの人たちが求める半歩先・一歩先でマッチメイク出来るのが…ランキングだとかいろいろなものに捉われずに常にファンの想いとか選手たちの熱とか、そういうものに寄り添ってその嗅覚を研ぎ澄まして、これからもはみ出していきたいと思っています」とした。  ズバリ、RIZINとは別ブランドを立ち上げるということか。榊原CEOは「それくらいの熱になればいいなと思っています」という。 「間違いなくキックの選手たちにもじくじたる思いがあるし、キックの分かりやすい殴る・蹴るのダイナミズムというストレートに伝わるものってMMAにはない魅力が絶対にあるんです。そこをもう1回しっかり選手と一緒に磨いて、やっぱりキックボクシング面白いじゃん、キックボクシング良いよって言わせられるかどうかなんだろうなって気がします」と、MMAとは違う魅力を伝えられるかどうかがカギになるとした。  その中で、ブアカーオに期待したいことは何か。 「新しいキックボクシングの流れを作り出せたらいいなと。本当にキックボクシングの中で言ったらスーパースターですし、10年前に一世を風靡した魔裟斗を中心としたK-1MAXのマスターピースのひとつじゃないですか。その選手が10年ぶりに日本に帰って来るというのはキック界にとってはひとつの大きな出来事だと思うので、それをひとつの起爆剤にして。そこにK-1を辞めてBreakingDownに出て、今発信力を持っている安保が絡んでくる。その中でキック界にも新しい風が吹かせられるといいな、と。そういう起爆剤になって欲しいと思います」との期待をかけた。
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