キックボクシング
レポート

【BOUT】山川賢誠がようやく実現した宮崎就斗戦でダウンを奪う快勝「K-1との対抗戦で戦っていける選手になりたい」

2023/03/07 17:03
ノースエリア格闘技イベントBOUT462023年3月5日(日)北海道・札幌ホテルエミシア3F パレスホール ▼RISEランキング戦 フェザー級 3分3R延長1R×宮崎就斗(TARGET/RISEフェザー級5位・DEEP☆KICK57.5kg級チャンピオン)判定0-3 ※27-30×2、26-30〇山川賢誠(Kickboxing Academy Sapporo/RISEフェザー級7位)  ついに宮崎就斗vs.山川賢誠の一騎討ちが実現した。今回が初対決ながら、過去に両者のマッチメークは実に5回も組まれそうになっては流れていたというドラマがあったのだ。山川にとっては昨年10月に安本晴翔に1RKO負けして以来、5カ月ぶりの地元での再起戦だった。対する宮崎は保持するDEEP☆KICKフェザー級のベルトを昨年12月にKING龍蔵を挑戦者に迎えて王座防衛戦を1RTKOで下して以来の一戦となる。  1Rの出方はお互い慎重だった。山川が左ストレートを狙えば、それを宮崎は前蹴りでストップさせる。そうすると山川はミドルキックで追撃し、右ジャブでリズムを掴もうとする。2分過ぎになると、試合はさらにヒートアップし、ともに打ち合いを辞さない流れに。気がつけば、山川の右の太股は紫色に腫れ上がっていた。それだけ宮崎のローに威力があったのか。そんな宮崎も左のスネがパックリと割れ、出血を余儀なくされていた。  2R、ついに宮崎はスネの出血により、ドクターチェックを受ける。このとき山川は「自分の気持ちを切らさないように」と必死だったと打ち明ける。「(チェックの時間が長いと)身体が冷えてしまうので、そこから気持ちを上げていこうと気持ちを切り換えました」 この冷静な気持ちの切り換えが功を奏した。試合再開後、山川はワンツーからのロー、さらにはカウンターのヒザ蹴りで宮崎を追い込む。さらに左ローで追い打ちをかけると、宮崎がバランスを崩す場面も。そしてラウンド終了間際には右フックで先制のダウンを奪った。  3Rになると、もうあとがない宮崎は必死の形相で反撃を試みる。すると、山川は宮崎のアタックをかわして逆にカウンターを当てていく。結局、そのまま試合の流れは動かず、判定は30-27(二者)、30-26で山川が勝利を収めた。  試合後、北海道のキックボクサーの顔になりつつある山川は「めっちゃうれしいです」と相好を崩した。「宮崎選手を意識していたこともあるし、デビューしたときからずっとランキング的にも立ち位置的にも自分よりちょっと上にいたので、つねに意識する存在だった。だから絶対に負けたくない。絶対に越えないといけない存在だと思っていました」  自分よりランキングが上の宮崎を倒したことでランクアップは確実。この勝利を糧に山川はさらに上を目指す。「ひとりひとり倒してチャンピオンを狙っていきたい。負けた相手からリベンジしていって誰にも文句を言われない感じでタイトル挑戦したい。いまK-1との対抗戦も始まったけど、そこで闘っていけるような選手にもなりたい」  地元の試合で山川はいつも力強いファイトを見せてくれる。今回はベストバウトといえる試合内容だった。東京でも同じ調子で闘うことができれば、さらなる上位進出も決して夢ではない。 [nextpage] ▼RISEオープンフィンガーグローブマッチ -60kg契約 3分3R×嶋田将典(Stay Gold/RISEスーパーフェザー級10位)KO 2R 1分07秒〇愛翔(Kickboxing Academy Sapporo)  セミファイナルではRISEスーパーフェザー級10位の嶋田将典と地元札幌期待の愛翔というオープンフィンガーグローブマッチが組まれた。嶋田は一昨年11月のBOUTで愛翔の先輩である安斎宙をKOしているだけに、愛翔にとっては先輩の敵討ちというシチュエーションもあるマッチメークだ。  さらに昨年7月のBOUTで組まれた北海道初のオープンフィンガーグローブマッチで愛翔は勝利を飾っているが、4カ月後の『RISE EVOL』ではRISEフェザー級14位・白石舜(TEAM TEPPEN)との対戦が決定していながら試合前日に減量失敗からの体調不良による欠場という失態を犯してしまった。愛翔にとっては視察に訪れたRISEの伊藤隆代表の前で失地回復を計る一戦でもあった。  1R開始早々、カーフキックで襲いかかる嶋田に対して愛翔は右クロスで応戦する。お互い思い切りのいい攻撃に観客席からは「すげぇ」という感嘆の声が漏れた。  その後嶋田のカーフキックで愛翔は何度かスリップダウンを喫したり後退する場面もあったが、ラウンド終了間際には左右の連打で嶋田を窮地に追い込んだ。  2Rになるとあとがない嶋田はカーフキックで勝負をかけるが、愛翔の左ストレートで先制のダウンを許してしまう。ここで愛翔はチャンスとばかり立て続けてダウンを奪い熱戦に終止符を打った。とどめを差したのはハイキックだったが、勝利をあげた瞬間愛翔は「見たか!」と涙を流しながら絶叫した。  試合後、マイクを握った勝者は先日20歳で結婚したことをカミングアウト。リングサイドで試合を見守っていた妻のお腹には新しい命が宿っていることも打ち明けた。 「格闘家としての自分はまだまだなので、お父さんとしてもっと頑張っていきたい」  控室では「試合のことはよく覚えていない。カーフが効いてしまって、いかなきゃヤバいと思ったのでいくしかなかった」と打ち明けた愛翔。試合前セコンドに就いた先輩の後藤丈治を相手にした「アップで軽くやっていたものが当たった感じ」ともつけ加えた。山川賢誠に続き、Kickboxing Academy Sapporoから北海道2人目のRISEのランカーになれるか。 [nextpage] ▼BOUTキックボクシングルール 68㎏契約 3分3R〇ファーパヤップ GRABS(タイ)KO 1R 2分00秒×小島大輝(エスジム)  来る3月19日には藤原乃愛が保持するミネルヴァ認定ピン級王座に挑戦する撫子を筆頭に女子選手の台頭が目立つGRABSでトレーナーを務めるファーパヤップGRABSが鮮烈な日本デビューを果たした。  対戦相手の小島大輝は第5回K-1アマチュア日本一決定トーナメント-70㎏級優勝の実績を引っ提げてプロ転向を果たしたエスジム札幌の雄だが、「昨年10月『THAI FIGHT』で勝利した」というデータ以外情報のないファーパヤップと対峙すると緊張の色を隠せない。 果たしてサウスポーのこのタイ人は挨拶代わりの左ミドルキックで場内をどよめかせると、一気に小島を呑み込んだ。  小島が右ミドルで反撃しても俊敏にカットして、痛烈なハイキックを返していく。そして距離を縮めるや、ヒジやフックを浴びせ続け、最後は左ストレートでダウンを奪う。腰を振らつかせながら立ち上がった小島のダメージを目の当たりにしたレフェリーはすぐ試合を止めた。と同時に小島陣営からもタオルが投げ込まれた。1R2分ちょうどで、ファーパヤップは戦慄の日本デビューを果たした。 今後はヒジ・ヒザあり以外のルールにも挑んでいくのか? ▼BOUTキックボクシングルール 55kg契約 3分3R―がんばれ!ふるかわくん(GRABS)試合中止―朝日彗仁(TARGET SHIBUYA)※減量中の朝日が緊急搬送されたため試合前日にドクターストップ。 ▼BOUTセレクションマッチ 60㎏契約 2分3R〇藤原英司(SEED Fighting club)判定2-0×須藤智也(TEAM TEPPEN)
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