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【UFC】マカチェフがヴォルカノフスキーに5R判定勝ちでライト級王座防衛、ヤイール・ロドリゲスがフェザー級暫定王者に、マダレナがUFC4連続1Rフィニッシュ、タファがハントばりKO! クリバオが元K-1バグダザリアンを極める、ルックブーンミーが一本勝ち!

2023/02/12 08:02
 2023年2月12日(日)豪州パースのRACアリーナにて『UFC 284: Makhachev vs. Volkanovski』が開催された(※高阪剛解説)。観客数は14,124人で満員。総収益は5,911,598豪州ドル、4,083,141USドルを記録。これはオーストラリア開催イベントの最高興行収入となった。 ▼UFC世界ライト級選手権試合 5分5R〇イスラム・マカチェフ(ロシア)王者 24勝1敗(UFC13勝1敗)※UFC12連勝[判定3-0] ※48-47×2, 49-46×アレクサンダー・ヴォルカノフスキー(豪州)挑戦者 25勝2敗(UFC12勝1敗)※UFC12連勝でストップ※マカチェフがライト級王座防衛  3年3カ月ぶりの豪州大会のメインイベントは、現UFC世界ライト級王者イスラム・マカチェフ(ロシア)が、現UFC世界フェザー級王者のアレクサンダー・ヴォルカノフスキー(豪州)を迎えうつライト級王座初防衛戦。  マカチェフ(31歳)は、ダゲスタン共和国マハチカラ出身で、ハビブ・ヌルマゴメドフと同じくアメリカン・キックボクシング・アカデミー(AKA)でもトレーニングする。  サンボ、ダゲスタンレスリングをベースに、2010年にプロMMAデビュー。2016年にコンバットサンボ世界選手権(74kg未満級)でも金メダルを獲得している。  驚異の11連勝でUFC入り。オクタゴンデビューイヤーの2015年10月にアドリアーノ・マルチンスに1R TKO負けで、キャリア13戦目にして初黒星を喫した以外は、MMA23勝1敗(4KO・TKO/11SUB)で、11連勝中。  2022年10月の前戦では、シャーウス・オリヴェイラ(ブラジル)に左でダウンを奪っての肩固めで2R 一本勝ちし、ライト級新王者に輝いた。  対する地元のヴォルカノフスキー(34歳)は、ラグビー出身。グループ7ラグビーリーグに所属するワリラレイク・サウス・ゴリラズのフロントローとして活躍後、MMAに転向。  UFCデビューから12連勝中(MMA22連勝)。2022年7月の前戦では、2019年と2020年に対戦し、いずれも判定勝ちしているホロウェイと3度目の対戦で判定勝ち。フェザー級4度目の王座防衛に成功している。  前日計量では、王者のイスラム・マカチェフは本計量でパンツを脱ぐなど減量に苦しみながらも、155ポンド(70.31kg)でパス。フェザー級から階級を上げるヴォルカノフスキーは154.5ポンド(70.08kg)で計量している。  公開のフェイスオフでは、地元のヴォルカノフスキーが「すべてを賭けて危険な戦いをする。全てをブッ飛ばしてやるよ。レッツ・ゴー!」と煽ると大歓声。  ブーイングを受けたマカチェフは、「ここに20日間もいたんだ、みんな愛している。でも明日はみながうろたえることになるだろう」と挑発した。  クレイグ・ジョーンズと組み技の対策もしてきたヴォルカノフスキーは、前日会見でも「相手は俺をナメてるから、たいして対策もしてきてないんだろう。だから自分が最高だと証明し、自分こそがパウンド・フォー・パウンドに君臨する」と自信。  マカチェフは、「この試合は柔術じゃない。クレイグ・ジョーンズが何をしようと関係ない。俺はアレックスが対戦してきたどの相手とも違う。自分は違うレベルにいる。パウンドフォーパウンドの座を奪うためにこの試合をする」と応戦している。  果たして真のパウンドフォーパウンド1位は、マカチェフか、ヴォルカノフスキーか。地元の満員の大観衆による豪州のメンアットワーク『Down Under』の大合唱で迎えられたヴォルカノフスキー。続けて、ブーイングのなか、マカチェフがDJ nariman『Dreams』でケージイン。  1R、オーソドックス構えのヴォルカノフスキーに、サウスポー構えのマカチェフ。向かい合うと身長差が際立つ両者。喧嘩四つから前手争い。  マカチェフの左ローがかすめるが、ヴォルカノフスキーの右ローは空振り。左前手のフックから胸への右ストレートでマカチェフは後退! しかし続くヴォルカノフスキーの前進をいなすマカチェフ。 「オージーオージー」の大歓声のなか、近距離で左を当てたマカチェフ! 一瞬崩れたヴォルカノフスキーに左ハイも。ブロックするヴォルカノフスキーは打ち返しにスタンドバックに。後方に崩して左足をかけると、右足もかけて右腕でアゴ上から絞めに! しかし時間を見ているか。ここは凌ぐヴォルカノフスキーとマカチェフも笑顔。  2R、中央を取るヴォルカノフスキー。マカチェフの左フックをダッキングでかわす。左の蹴りはマカチェフ。ヴォルカノフスキーは右から左! テンプルに受けて腰を落としたマカチェフに殴りかかるが、シングルレッグで足を手繰るマカチェフ。スイッチを狙うヴォルカノフスキーはスタンドバックのマカチェフの投げを切り返して上に。離れる。  首相撲からボディロックに移行するマカチェフに体を入れ変えたヴォルカノフスキーは離れる。圧力をかけるマカチェフ。ヴォルカノフスキーは左から右の飛び込みも軸がぶれる。左からカーフのヴォルカノフスキー。マカチェフも左を当てるとヴォルカノフスキーが後退。しかし、左ローを当てて押し戻すヴォルカノフスキーが金網背に。飛び込んで首相撲のマカチェフに体を入れ替えて押し込むヴォルカノフスキーが右を差してホーン。  3R、ヴォルカノフスキーの前手を警戒し、右手を下げないマカチェフ。ヴォルカノフスキーは一瞬スイッチするもオーソに戻す。圧力をかけるマカチェフ。ヴォルカノフスキーの入りに首相撲。それを嫌って突き放すヴォルカノフスキーに、左ミドルを当てるマカチェフ。  左ストレートを打つマカチェフ。ヴォルカノフスキーは右インロー! バランスを崩したマカチェフに左の飛び込み、そこに右を合わせようとするマカチェフは、首相撲から巧みに押し込みダブルレッグテイクダウン! 金網背に立ち上がり正対するヴォルカノフスキー!  右で差して離れ際に左右をまとめる。スイッチしながら動くヴォルカノフスキーの左に右を狙う。右インローを突くヴォルカノフスキー。マカチェフも右ジャブも圧力をかけるヴォルカノフスキーにマカチェフは尻餅。立ち上がりにがぶりも首抜くマカチェフ。  セコンドに「1、2R取られてるか」と聞くヴォルカノフスキー。セコンドは「分からない、次は取れ」と指示。  4R、サウスポー構えからオーソに戻すヴォルカノフスキー・マカチェフはワンツーの左。左から右を伸ばすヴォルカノフスキーは強弱をつけて左右。しかしマカチェフはタイミングよくカウンターのダブルレッグテイクダウン! ケージまで這うヴォルカノフスキーのバックを奪い、4の字ロックへ。背後のマカチェフにパンチし、マウントを譲っても動こうとするヴォルカノフスキー。グローブを掴むなというレフェリーの指示。マカチェフはバックコントロールも絞めにはいかず。「カモン」と攻めをうながすヴォルカノフスキー(※試合後ヴォルカノフスキーは背後のマカチェフに「思ってたほど強くない。しがみついてるだけなのか?『15秒で俺を沈める』じゃなかったのか?」と語りかけ、苛立たせようとしていた、とコメント)。笑顔のマカチェフは動かず。背後から細かくパウンド。  5R、右手を挙げるヴォルカノフスキー。グローブタッチ後、ハグをかわし最終Rへ。ヴォルカノフスキーの右インローに左を合わせるマカチェフ。ワンツースリーから左ローに繋ぐヴォルカノフスキー。しかしマカチェフもヒザを突く。近くなると首相撲ヒザはマカチェフ。  剥がすヴォルカノフスキーにダブルレッグはマカチェフ。右で小手に巻き立ち上がるヴォルカノフスキー。スタンドに。左目尻から出血のヴォルカノフスキーに左足にシングルレッグのマカチェフ。しかしヴォルカノフスキーはスイッチから立ち上がり!  詰めるヴォルカノフスキーは投げもマカチェフは残す。マカチェフは左小手巻きから投げも残すヴォルカノフスキーが前に。残り1分。ついに右を当てたヴォルカノフスキーに、崩れたマカチェフ。5Rのスタミナが厳しいか。右をオーバーフックしてだきつくマカチェフはクローズドガード。上のヴォルカノフスキーは体を離し鉄槌、パウンドも決定打にはならず。  やはり5R戦で強さを増したヴォルカノフスキーだが、試合は判定となり3-0(48-47×2, 49-46)でマカチェフが勝利し、ライト級王座を防衛。  試合後、疲労と安堵を感じさせる表情のマカチェフは、「とてもハードな試合だった。試合前に色々あった。彼はタフな相手だったし、こういった試合は自分にとってより良いファイターになるために必要なことだ。(驚きは?)彼の準備によるものだと思う。(判定は割れず3-0だったが?)いつでも接戦で大変な相手だ。なぜ自分がナンバーワンなのか、その理由を示すことができた。彼は良い打撃とレスリング、グラップリングのスキルを持っている。彼のホームでの試合で(ヴォルカノフスキーが勝つには)もっと強くなる必要がある。好きでも嫌でも、今自分が世界最高のファイターだ。ありがとう!(今後は自分の階級の)本物の挑戦者と戦いたい。シリアとトルコで起こっていることも忘れないで」とコメント。  マカチェフのコメント時に観客に静かに聞くように両手でジェスチャーしたヴォルカノフスキーにもマイクが向けられ、「サポートをありがとう。まずはマカチェフに拍手を。チャンスをくれてありがとう。俺に勝ち目無いと思ってた人はこれで満足しているかもしれないけど、俺は勝つチャンスを自分に与えたし、勝つつもりでいた。彼が強いのは分かっていたけど準備はできていた。 良い試合だった。もう少しできたかもしれないが仕方ない。イスラム、おめでとう。 (これまでで最もタフな試合か?)もちろん一番タフな試合位だった。自分を誇りに思うよ。彼は俺のレスリングとグラップリングを十分リスペクトしてなかったし、俺も彼の打撃を十分リスペクトしていなかったかもしれない。いくつか良いのをもらったから。 でも2人ともよく戦ったと思う。 (暫定王座に就いたヤイール・ロドリゲスとの統一戦も?)やらなきゃいけないね。まだまだ現役として戦うつもりだ。自分の階級に戻ってフェザー級でもビッグファイトをやろう。みんなも勝ってからメッセージを送りたかったけど、もっと強くなって、フェザー級では負けない。イスラムが強かったから自分をプッシュできた」と語ると、最後に「オーストラリア! オージーオージーオージー」の大合唱で地元のメインを締めた。 [nextpage] ▼UFC世界暫定フェザー級選手権試合 5分5R〇ヤイール・ロドリゲス(メキシコ)15勝3敗(UFC10勝2敗)[2R 4分19秒 三角絞め]×ジョシュ・エメット(米国)18勝3敗(UFC9勝3敗)※UFC5連勝でストップ※ロドリゲスがフェザー級暫定王者に  フェザー級王者アレクサンダー・ヴォルカノフスキーが今大会のメインでマカチェフが持つライト級王座に挑戦するため、フェザー級2位のロドリゲスと、5位のエメットがフェザー級暫定王座を争う。  ロドリゲスは2011年10月のプロMMAデビューから14勝3敗。回転系の打撃を武器に、2014年にUFCデビューし、UFC9勝2敗。  エメットも同じく2011年10月にプロMMAデビューし、MMA18勝2敗(UFC9勝2敗)。ロドリゲスより2年遅い2016年にUFCデビューし、当初はライト級も4戦目からフェザー級に。現在UFC5連勝中で王座挑戦を決めた。  1R、ともにオーソドックス構えから。両者ともに軽くステップ。左ローから入るのはロドリゲス。右前蹴り、右カーフも。左足を上げたエメットに、サウスポー構えの左ハイのロドリゲスは左ミドルをヒット! さらに右前蹴り、右カーフ、左ミドルと蹴りを当てていく。  追うエメットはそのミドルに右を振るが、ブロックするロドリゲスは前蹴りでエメットの前進を止めようとする。エメットは右オーバーハンドも、さばいたロドリゲスは右カーフ。しかし詰めるエメットはロドリゲスを押し倒すと、下のロドリゲスの足をかついでパス狙い。腰を切りフルガードに入れるロドリゲスは下か鉄槌、ヒジ打ち。エメットは中腰になりパウンドを打ち込む。  2R、中央に出たロドリゲス。エメットの右がアゴをとらえるが、ロドリゲスも左ストレー、左ミドル、左ヒザ! シングルレッグで持ち上げるエメットをヒザ蹴りで潰す。  さらに右ヒジを当てたロドリゲス。一瞬動きが止まったエメットだが左オーバーハンドを返す。右ボディストレートを突くエメットを詰めて左右の二段跳びヒザ蹴りはロドリゲス! 左ヒザを被弾しながらも打ち落としたエメットは上から鉄槌。しかし、下のロドリゲスは三角絞め! ヒザ裏で組んで頭を手前に引き付け、タップを奪った。  ケージのなかでロドリゲスは、「応援に来てくれたみんなありがとう。ずっと言っていた通りに勝つことができた。世界中のMMAファンのおかげで勝つことができた。調整してきたことができた。ジョシュからはいいパンチももらった。子供の頃から何度もこの瞬間を夢見てきた。チャンスを得られることを祈っていたんだ。この機会を与えてくれたUFCに感謝している。彼らは初日から自分のことを信じてくれた。ショーン・シェルビー、ダナ・ホワイト、ありがとう。我々は家族であり、チームであり、過去10年間この家族の一員であったことを嬉しく思うよ。(メインでライト級王座に挑戦するフェザー級正規王者ヴォルカノフスキーと)チャンピオンと戦えるかな。ここでこれから戦う2人の邪魔をしたくない。幸運を祈る。今日の勝者、みんなに恵みがあるように。ここからの景色は最高だよ」と語った。 [nextpage] ▼ウェルター級 5分3R〇ジャック・デラ・マダレナ(豪州)14勝2敗(UFC4勝0敗)※UFC4連勝4KO[1R 2分13秒 リアネイキドチョーク]×ランディ・ブラウン(ジャマイカ)16勝5敗(UFC10勝5敗)※UFC4連勝でストップ  ウェルター級期待のノーランカー対決。19歳までボクサーだったブラウンはUFC4連勝中。UFC10勝中、3KO・3つの一本勝ちのフィニッシャー。地元のマダレナは14歳でボクシングを始め、16歳でMMAジムに入門。2022年1月にUFCデビューすると、3試合連続1RKO勝ち。ブラジリアン柔術茶帯でもある。  1R、ともにオーソドックス構え。右カーフを打つマダレナ。左回りのブラウンは、左ジャブで牽制。オープンハンドで前手を叩く。  顔面にガードを固めて押し戻すマダレナに、前蹴りを顔に届かせるブラウン。さらに関節蹴りも。詰めるマダレナは右をかわされると、左に回ったブラウンに右をヒット! アゴが上がったブラウンは、もんどりうってダウン! 鉄槌連打のマダレナは、背中を見せたブラウンにリアネイキドチョークを極めた。  14連勝、UFC4連続1Rフィニッシュを決めたマダレナは試合後、「やったよ。グラップリングを練習してきた。首を取ったら終わりだよ。3R戦うことも考えていたけど、15分がだいぶ早く終わったよ。(地元で)これは僕のオクタゴンだ。まずは休んでトップ15と戦いたい。また1年後に同じ場所で戦いたい」と語った。 [nextpage] ▼ヘビー級 5分3R〇ジャスティン・タファ(豪州)6勝3敗(UFC3勝3敗)[1R 1分05秒 KO] ※左ストレート→右アッパーパーカー・ポーター(米国)12勝8敗(UFC3勝3敗)  ヘビー級のタファは、大晦日にスダリオ剛に1RKO勝ちしたジュニア・タファの兄。兄弟そろい踏みの予定だったが、ジュニア・タファが負傷欠場で1人メインカード入り。  MMA前はニュージーランドのラグビーリーグのメルボルン ストームと契約したものの怪我が重なり、ホームレスシェルターでユースワーカーをしていた経験も。マーク・ハントのスパーリングパートナーを務め、2017年5月にMMAデビュー。4戦目・キャリア1年でUFCと契約するも1RKO負け。UFC2勝3敗の戦績を持つ。  対するポーターはUFC3勝2敗。前戦はライトヘビー級のジャイルトン・アルメイダに1R リアネイキドチョークで一本負けしている。  1R、サウスポー構えのタファが圧力をかけると、ポーターは右オーバーハンドで押し戻し。近づくとタファはクリンチボクシング。  ポーターの右を振っての前進に、タファは下がりながらカウンターの左でアゴを打ち抜くと、さらに返しの右ショートアッパーも当て、ポーターは前のめりにダウン。  タファは追撃のパウンドをせずに見下ろし、1分06秒、師匠ハントばりのウォークオフKOを決めた。「届いたら教えてやる」とマイケル・ジョーダンの名言を引用したタファは、さらにマイクで、「みんな元気? メルボルンでの反省を踏まえて勝つことが出来た。僕の子供も来ているんだ」と語り、笑顔を見せた。 [nextpage] ▼ライトヘビー級 5分3R△ジム・クルート(豪州)12勝3敗1分(UFC4勝3敗1分)[判定1-0] ※29-27, 28-28×2△アロンゾ・メニフィールド(米国)13勝3敗1分(UFC6勝3敗1分)  1R、左フックを当てるメニフィールドに組むクルートはスタンドバックに。メニフィールドは片足立ち。正対したところでクルートがダブルレッグテイクダウン。しかしメニフィールドはスクランブルで立ち上がり。すぐにダブルレッグに入るクルートにギロチンチョークを狙うメニフィールド。  左足を外に出しているクルートはシングルレッグからテイクダウン。メニフィールドの立ち際にノーアームギロチンへ。首を抜くメニフィールドはがぶりからサイドバックでパウンド。立ち上がるクルートに左ヒザ、右フックを当てるメニフィールド! 崩れたクルートは足を手繰り、ホーンにすくわれる。  2R、まだダメージが残るクルート。メニフィールドの右を被弾しダウンも、足を手繰りに。亀のクルートは金網まで這う。メニフィールドはリアネイキドチョーク狙いも前に落としたクルートは金網背に立ち上がり。  左ジャブを当てるメニフィールドはクルートのダブルレッグを切る。ぐらつきながら前に出るクルートは右ハイも、メニフィールドの左右を被弾。ここで左で差して組んだメニフィールドが押し込み。  体を入れ変えたクルートは渾身のシングルレッグテイクダウン。座り込むメニフィールドに左足をかけてリアネイキドチョーク狙い。立てないメニフィールドだが、絞められても親指を立てて大丈夫だと示す。  3R、先に中央に向かうクルート。メニフィールドは左ジャブ。右ストレート。クルートは左フックを空振りしながらもシングルレッグへ。ここで金網を掴んだメニフィールドに「減点1」。四つから再開。  クルートのダブルレッグに両足を広げるメニフィールド。クルートは力を使いシングルレッグで持ち上げてテイクダウン。メニフィールドに背中を着かせるとマウント。サイドに移行しアームロック狙い。亀になるメニフィールドにサイドバックへ。メニフィールドが金網まで歩いて正対してホーン。  判定は1-0(29-27, 28-28×2)でマジョリティドロー。異例の2人同時インタビューでクルートは「勝ちたかったけど残念。メニフィールドのスキルには驚いた。効いていたけど大丈夫だった」とコメント。続いてメニフィールドは「オジー、オジー! もう1回やろう」と語ると、マイケル・ビスピンは「2人ともおめでとう」と語った。 [nextpage] 【プレリミナリー】 ▼ライトヘビー級 5分3R〇モデスタス・ブカウスカス(リトアニア)15勝5敗(UFC3勝3敗)[判定3-0] ※30-27, 29-28×2×タイソン・ペドロ(豪州)9勝5敗(UFC5勝5敗)  1R、サウスポー構えのブカウスカスの左を被弾するペドロ、バックスピンキックも。組んで右で差すペドロはボディロックテイクダウン。しかしブカウスカスも亀から立ち上がり。そこにがぶりからノーアームギロチンで後方に回すペドロが上に。足を効かせるブカウスカスにペドロはベリンボロ狙いか。その際で立ち上がるブカウスカスは右カーフを打つと後ろ廻し蹴りも。さらにワンツーで攻め込む。  2R、圧力をかけるペドロは右を振るが、返しのワンツーが鋭いブカウスカス。そのローにペドロはは左を合わせに行く。ブカウスカスのワンツーをバックステップするペドロだが右を被弾。ブカウスカスの入りに右の前蹴りを突くがローブローに。  再開。左ミドルを腹に突くペドロ。オーソになるブカウスカスに右の蹴り、さらに右で差して組むペドロに、ブカウスカスは体を入れ替え、右ヒジ狙い。離れるペドロ。ブカウスカスは右の後ろ廻し蹴りを空振りしてホーン。  3R、ワンツースリーの連打のブカウスカスにペドロはバックステップ。左右の前蹴りのペドロはワンツーから右で差して組みへ。放し際に右ハイを狙う。詰めるブカウスカスは左から右縦ヒジ狙い。押し戻すペドロは左ミドルをヒット。ブカウスカスの左右に右で差して組みも放してワンツーはブカウスカスがブロック。四つ組みから押し込むのはブカウスカス。中央に戻ってスタンドからバックヒジ、後ろ廻し蹴りとラッシュはブカウスカス。  ブザーに2R以降、ガス欠気味だったペドロは腰を落とした。判定は3-0(30-27, 29-28×2)でブカウスカスがUFC復帰戦勝利。2021年9月のUFC3連敗でのリリース以来のオクタゴンで、勝ち名乗りを受けた。 [nextpage] ▼フェザー級 5分3R〇ジョシュア・クリバオ(豪州)11勝1敗(UFC3勝1敗)[2R 2分02秒 リアネイキドチョーク]×メルシック・バグダザリアン(アルメニア)7勝2敗(UFC2勝1敗)  フェザー級。バグダザリアンは元K-1ファイイター。2017年9月に山際和希を下すと、 2018年3月に久保優太に判定負け。2019年3月にMMAデビューし、7勝1敗(UFC2勝0敗)。前戦は2021年11月にブルーノ・ソウザに判定勝ち。今回は1年3ケ月ぶりの試合となる。  フィリピン系豪州人で地元のクリバオは、2020年2月にUFC緊急代役参戦もライト級でジェリン・ターナーに2R TKO負け。フェザーに戻して、チャールズ・ジョーディンとはダウンを奪るドローも、その後、2連勝。コーチは日本のアクシス柔術で学び、魔裟斗のスパーリングパートナーを努めたこともあるイゴール・ブレイキンバック。  1R、サウスポー構えのバグダザリアンは右ローから。オーソのクリバオは右ハイをガード上に当てる。さらに左ローを前足に当てる。  右ミドルハイもガード上に当てるクリバオ。バグダザリアンは前手を上下に動かし、左ミドルをヒット! クリバオのワンツーをさばくバグダザリアンに右ミドルを返すクリバオは左ロー。2発目はかわすバグダザリアンだが、クリバオはワンツーの右の飛び込み。  バグダザリアンは左ミドルを当てる。そこにワンツーの右を狙うクリバオにかわすバグダザリアンは左ミドルハイをガード上に。  クリバオは右インロー。互いに慎重になるなか、クリバオの右ローに左ストレートを合わせバグダザリアン! しかし続く右の後ろ蹴りがローブローに。中断。再開。バグダザリアンは左ハイから回転系の蹴りを見せる。  2R、ローブローのダメージが心配されるクリバオ。組んで首相撲を狙うが、突き放すバグダザリアン。右三日月蹴りを狙うクリバオ。蹴り返すバグダザリアンの左インローに右を打ち込んだクリバオ。  バグダザリアンがバランスを崩すと、一気にバックを奪い、リアネイキドチョーク! ワンチャンスをモノにしてタップを奪った。  試合後、クリバオは「ローブローは気合で乗り切った。子供の頃から慣れてるから。地元で勝ててよかった。ボーナスをくれ!」と笑顔のマイクで語った。 [nextpage] ▼フライ級→キャッチウェイト127ポンド 5分3R〇クレイドソン・ホドリゲス(ブラジル)8勝2敗(UFC1勝1敗)[1R 0分59秒 TKO] ※左右ラッシュ×シャノン・ロス(豪州)12勝7敗(UFC0勝1敗)※ホドリゲスは規定体重をオーバー。対戦相手のロスに報奨金の20%を支払う  注目のフライ級。ともにコンテンダーシリーズ上がり。ホドリゲスは、平良に2R一本負けしたCJ・ベルガラに2022年5月にスプリット判定負け。ロスは地元大会でUFCデビュー戦となる。  ホドリゲスは、ワンツーから左跳びヒザを腹に突き刺し、前進。金網に詰めて右アッパー、左フックを当てて、後ろ廻し蹴りで飛び込み、左右ラッシュ! ガードを固めて崩れたロスにレフェリーが間に入った。体重超過ながら、打撃で圧倒したホドリゲスがUFC初勝利を挙げた。 [nextpage] ▼ライト級 5分3R〇ジェイミー・ムラーキー(豪州)16勝5敗(UFC4勝3敗)[判定3-0] ※30-27×3×フランシスコ・プラド(アルゼンチン)10勝1敗(UFC0勝1敗)  1R、ともにオーソドックス構え。左ミドルを見せるムラーキー。プラドは右を合わせに行く。さらに左ハイ。ブロックするムラーキーに右カーフ、右フックを当てる。詰めるプラドにムラーキーはダブルレッグテイクダウン。  下のプラドはキムラ狙いも外したムラーキーはパウンド。足をさばいてパウンドもうつ伏せからすぐに立ち上がるプラド。スタンドバックにつくムラーキーは崩して上に。右でオーバーフックするプラドに右ヒジを落として上のままホーン。  2R、左ローから入るムラーキー。右から左アッパーを見せる。かわしたプラドは、左インロー。入りにプラドは右アッパーを突く。ムラーキーは左ハイを突いてジャブ、左で奥足ローも。互いの右が交錯するなか、ムラーキーはテイクダウンのフェイント。左ハイ。かわしたプラドは右カーフを返す。  右の後ろ蹴りを見せたプラド。シングルレッグも切るムラーキーは左フック、左インロー。スーパーマンパンチはかわされるが、ワンツーの右をヒット。右目尻をカットしたプラドに、右の前蹴り、ボディストレートを当てると、プラドは若干後退。  3R、先に圧力をかけるムラーキー。プラドの左の蹴りは遠い。ムラーキーのワンツーに返しを狙う。ムラーキーは奥足の左ロー。さらに左ジャブをヒット! プラドの右は遠い。シングルレッグに入るが、ここも片足立ちで切るムラーキーは左ボディストレート。ジャブのダブルも、そこに左フックをかすめるプラド。  オーソから左ミドルハイを打ち込むムラーキーは一転、ダブルレッグテイクダウン! そのままサイドを奪いマウント狙いも、足を戻したプラドは下からキムラでムラーキーを前転させることに成功。そのまま極めに行くが、ムラーキーが腕を戻してスタンドになったところでホーン。  7月のマイケル・ジョンソン戦に続く勝利を挙げたムラーキーは、「地元で最高のパフォーマンスを見せられてよかった。相手のキムラは、残った力を振り絞って抜けたよ。フランシスコは素晴らしかった。次? パディ・ピンブレットと」と語った。 [nextpage] ▼フェザー級 5分3R〇ジャック・ジェンキンス(豪州)11勝2敗(UFC1勝0敗)[判定3-0] ※30-27×2, 29-28×ドン・シェイニス(米国)12勝5敗(UFC0勝2敗)  1R、シェイニスに組みに首相撲ヒザの3連打はジェンキンス。押し込まれるジェンキンスだが、オージーの大歓声が後押し、シェイニスのヒザがローブローに。再開。右カーフを当てるジェンキンスにシングルレッグはシェイニスも切るジェンキンス。  再び右カーフを当てるジェンキンス。右から左ボディに繋ぐと、シェイニスのダブルレッグを切って右カーフ! シェイニスはバランスを崩す。さらに右カーフを効かせるジェンキンス。シェイニスは跳びヒザで前に。しかしかわすジェンキンスは左を刺して右カーフ。シェイニスの右カーフの打ち返しに、ジェンキンスも鋭い右カーフを蹴り返す。  2R、シェイニスのローブローを受けたジェンキンス。再開から四つの組みを回してテイクダウンする。ハーフから寝かせるジェンキンス。シェイニスの立ち際にバックへ。リアネイキドチョークを狙うが、腰をずらして正対したシェイニス。下になったじはすぐに蹴り上げて立ち上がる。  右で差しいて押し込むシェイニス。小外から崩して左ボディ打ち、右カーフと対角で削るジェンキンス。後退したシェイニスだが、金網に詰まったところでボディロックテイクダウン! マウントからヒジ狙いもハーフから立ち上がるジェンキンスがボディロックテイクダウン。リアネイキドチョークを狙うが、ここもシェイニスが正対したところでホーン。  3R、右ストレートで飛び込むシェイニス。組んでバックを奪うジェンキンスはバックもまたも正対してきたシェイニスにスタンドに戻すジェンキンス。ニータップからテイクダウン。シェイニスは足を効かされ踏ん張れないか。右に片足をパスするジェンキンスだが、シェイニスは下からキムラへ。腕を背中に回しかけるが、腕を伸ばして外したジェンキンスがハーフから寝かせてパウンド。一瞬マウントになるが、下のシェイニスも片足を戻してハーフに。腰を抱いて空いた右手でパウンドするジェンキンス。被弾しながら立ち上がるシェイニスが前に出るが、そこに高い打点の右前蹴りはジェンキンス! シェイニスがホーン後も突っかかったところでレフェリーが間に入った。判定へ。  判定3-0で勝利したジェンキンスは、「悪くないね。UFCデビュー戦で勝ててよかった。相手はタフでフィニッシュできなかったけど。次は米国でもどこでも6月には試合したい」と語った。 [nextpage] ▼女子ストロー級 5分3R〇ローマ・ルックブーンミー(タイ)8勝3敗(UFC5勝2敗)[2R 0分44秒 リアネイキドチョーク]×エリース・リード(米国)6勝3敗(UFC2勝3敗)  MMAでバックボーンのムエタイを活かして戦うルックブーンミー。PANCRASE時代のアトム級から増量してUFCではストロー級で戦い、オクタゴンで4勝2敗。  対するリードはテコンドーベース。2021年7月にUFCデビュー。シジェラー・ユーバンクスに1RTKO負け。フライ級からストロー級に落として2勝1敗。  1R、右前蹴りから圧力をかけるルックブーンミーに、リードは飛び込んでの右で押し戻す。右の蹴りはすぐにルックブーンミーは蹴り返す。サウスポー構えからオーソに戻すルックブーンミーは右ローをヒット。リードの右ストレートをかわすと、さらに後ろ廻し蹴りもかわすルックブーンミー。  鼻血のリードの右の飛び込みに右を合わせるルックブーンミーは。組んできたリードを首投げから後方に切り返してテイクダウン。しかし下のリードがリバーサル。ハーフから左ヒジを押し付けるリードは、亀になるルックブーンミーのバックを奪いテディベアの形で背後からパンチを入れる。  2R、 先に圧力をかけるルックブーンミーは、右ローから入る。リードの左腿はすでに赤く腫れ上がる。リードは右で飛び込むが、それをかわしたルックブーンミーは、スタンドバックからボディロックで持ち上げテイクダウン!  すぐに両足をフックしリアネイキドチョークへ! ルックブーンミーがUFC初のサブミッション勝利で、UFC戦績を5勝2敗とした。 [nextpage] ▼フェザー級 5分3R〇ブレイク・ビルダー(米国)8勝0敗(UFC1勝0敗)[判定3-0] ※30-27×2, 29-28×シェーン・ヤング(ニュージーランド)13勝7敗(UFC2勝4敗)  1R、ジャブのダブルから右カーフはヤング。右回りビルダーは左インロー。右回りを止めたいヤングは左ミドル。さらにミドルも、その蹴り足を掴んだがビルダーがテイクダウン。ハーフで左枕で寝かせると右でパウンド。ヒジ狙いも。振りかぶるパウンドのスペースで上体を立てたヤングが詰め返してブザー。  2R、中央を取りビルダーを追うヤング。ビルダーの右ミドルを掴んでテイクダウンも小手に巻いて残したビルダーは立ち上がり。なおも詰めるヤングは右オーバーハンドをガード上にヒット。ビルダーがダブルレッグに入りホーン。  3R、ヒザ着きのダブルレッグのビルダーを切るヤング。左ジャブを当てるビルダーに、追うヤングの右ロー。そこにカウンターの右ストレートを当てるビルダー。手数を増やすビルダー。左の打ち合いはビルダーも、近い距離のダブルレッグはヤング、それをまたも切るビルダー。ヤングはシングルレッグかtらボディロックに持ち込むもホーン。  判定は3-0でビルダーがUFCデビュー戦勝利。「相手の地元で緊張したし、80点くらい」と笑顔を見せた。 [nextpage] ▼ライト級→キャッチウェイト157.5ポンド 5分3R〇エルブス・ブレナー(ブラジル)14勝3敗(UFC1勝0敗)[判定2-1] ※29-28, 30-27, 28-29×ズバイラ・ツフゴフ(ロシア)20勝6敗(UFC5勝3敗)※ツフゴフは規定体重をオーバー。対戦相手のブレナーに報奨金の30%を支払う  1R、ともにオーソドックス構え。ブレナーの右ローをかわすツフゴフ。ワンツーにもバックステップ。ブレナーはスイッチしての左インローを当てる。詰め返すツフゴフに跳びヒザで押し返すブレナー。その打ち終わりに右を入れるツフゴフ。  ツフゴフはワンツーの左フックをヒット! さらに左を当てて詰めるが、ブレナーは右カーフキック! ニータップ狙いから右の蹴り。左ミドルも当てるが、ツフゴフはそこに右ストレートを合わせに行く。  サウスポー構えに変えるブレナー。オーソに戻すと左ハイ、さらに右ハイイもガード上に。ツフゴフはワンツーの右を叩き込む。ブレナーはスーパマンパンチから蹴りに繋ぐがさばくツフゴフ。  2R、鼻頭をカットしているツフゴフに、飛び込んでの左、さらにスーパーマンパンチ、後ろ蹴りも見せるブレナー。ツフゴフはサークリングでさばきながら圧力をかける。ブレナーはボディ打ちから右ローにつなぐ。  圧力をかけるツフゴフは右。ブレナーの蹴りを掴んで右ストレートをヒットさせる。左ジャブを刺すブレナー。ツフゴフの連打をスウェイでかわし右オーバーハンド。ツフゴフもかわす。  ガード上からワンツーはツフゴフ。左ジャブ、ワンツーと頭部への打撃で勝る。ブレナーは後ろ廻し蹴りとセンチャイキックを見せてブザー。  3R、飛び込みからバックヒジを狙うブレナーだが、詰めるツフゴフはワンツーを着実に当てる。左ジャブを当て、金網に詰めて組みへ。ヒザを突くブレナーは突き放すとバックフィストもブロックするツフゴフはダブルレッグから右脇を潜りスタンドバックに。正対するブレナーに両差しも、差し上げ離れるブレナー。再度ツフゴフは押し込むもテイクダウンまでは行かず。ブレナーのワンツーをかわしてブザー。  判定は割れて、ダメージと積極性を取ったか、ブレナーがUFCデビュー戦初勝利。ツフゴフは1年4カ月ぶりの試合を落とした。
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