キックボクシング
レポート

【KNOCK OUT】小笠原瑛作が2度のダウンを奪いながらもヒジ凶弾で大逆転TKO負け、心直が無敗の新鋭・乙津陸に勝利、古木誠也が工藤を初回KO、超新星現る!久井大夢がKOで3戦目にして王座に、クンタップがスーパーウェルター級王者に

2022/12/11 20:12
MAROOMS presents KNOCK OUT 2022 vol.82022年12月11日(日)東京・後楽園ホール1,650人(満員札止め=主催者発表) ▼メインイベント(第9試合)スーパーファイト KNOCK OUT-REDフェザー級 3分5R延長1R×小笠原瑛作(クロスポイント吉祥寺)TKO 3R 1分22秒 ※レフェリーストップ○チャーパヤック・サクサトゥーン(タイ/ラジャダムナンスタジアム認定フェザー級9位、BBTVスタジアム認定フェザー級7位) チャーパヤックはタイ南部サトゥーン県生まれの24歳。BBTVをはじめとするテレビマッチで人気を集めるファイターで、昨年は4戦4勝(1KO)、今年は7戦5勝(2KO)2敗という極めて高い勝率を誇り、現在はラジャダムナンスタジアム認定フェザー級9位とBBTVスタジアム認定フェザー級7位に名を連ねている現役ランカー。過去に日本へ多くのムエタイファイターを送り込んできたウィラサクレック会長が、チャーパヤックの好戦的なファイトスタイルを見込んでの推薦による初来日となった。戦績は80勝(16KO)29敗3分。 迎え撃つ小笠原はジュニアキックで活躍後、2011年7月にプロデビュー。2013年5月にプロ9戦目でREBELS-MUAYTHAIフライ級王座を獲得、2015年7月にはREBELS52.5kg級王座も手にした。2017年9月、ISKA K-1ルール世界バンタム級王座を獲得。2021年3月にはトーナメントを制してKNOCK OUT-REDスーパーバンタム級王者となり、2022年9月にTAKERUにTKO勝ちして第2代KNOCK OUT-REDフェザー級王座に就き2階級制覇を達成。サウスポーから放たれる左ストレート、左ミドルキックが得意。戦績は40勝(20KO)6敗1分。  1R、小笠原は右フックからの左ローを多用してチャーパヤックの左足を狙い撃ち。チャーパヤックは時折右ミドルを蹴って右ストレートも出すが初回は様子見か。  2R、コンビネーションの最後に必ず左ローを蹴る小笠原。チャーパヤックが前へ出てくるタイミングでも左ローを蹴り、左右ボディ連打からの左ロー、さらに左ローでダウンを奪う。  3Rが始まると同時に猛然とチャーパヤックが打ち合いに出る。小笠原も打ち合い、ボディ、左ローも交えて優勢。右フックで小笠原がこの試合2度目のダウンを奪う。しかし、チャーパヤックは全く試合を諦めず、猛然と小笠原と打ち合う。壮絶なパンチとヒジの打ち合いとなり、チャーパヤックが左ヒジの連打! これで小笠原の右まぶたがぱっくりと裂けて流血。なんとドクターチェックでストップがかかり、チャーパヤックの逆転TKO勝ちとなった。  まさにムエタイの底力を見せたチャーパヤック。リングに倒れ込んで勝利を喜び、チャーパヤックを招聘したウィラサクレック会長が駆け寄ると抱き合って喜ぶ。マイクを持ったチャーパヤックは笑顔でたくさん喋ったが、通訳のウィラサクレック会長は「今日はとても嬉しいです。これからよろしくお願いします」とだけ言ってチャーパヤックと共に去っていった。 [nextpage] ▼セミファイナル(第8試合)第2代KNOCK OUT-REDスーパーフライ級王座決定戦 3分5R延長1R×乙津 陸(クロスポイント大泉)判定0-3 ※47-50×2、46-50○心直(REON Fighting Gym)※心直が第2代王座に就く。 乙津は2021年10月にプロデビュー以来6勝(3KO)無敗の18歳ホープ。今年6月には新宿FACE大会のメインイベントを務め、NJKFフライ級1位の谷津晴之を試合終了直前にKOしてみせ、10月には酒井柚樹と大熱戦を展開して「10年に1試合くらいの勝負を見せてもらった」と宮田充KNOCK OUTプロデューサーに言わしめた。  心直は“プロフェッショナルシスト”健太の愛弟子で、J-NETWORKフライ級新人王を獲得後、KNOCK OUT、REBELS、シュートボクシングに参戦。KNOCK OUTでは2021年に「初代KNOCK OUT-BLACKスーパーフライ級王座決定トーナメント」に出場、SBでは日本バンタム級1位になっている。戦績は7勝(1KO)8敗2分。  1R、ミドルの蹴り合いから始まり、心直が蹴ると必ずローを返す乙津。逆に乙津がミドルを蹴るとサウスポーの心直はしっかりとスネでブロックする。組み付くと心直が乙津をコカし、ムエタイテクニックでは心直の方が上の様子。  2R、左カーフを蹴る乙津だが、心直はいいタイミングで横蹴りを放って距離をとり、左ストレートの強打を顔面とボディへ。組むと崩してコカす場面も。心直の横蹴りになかなか攻め込めない乙津だが、後半は右ミドルを蹴ってパンチを当てに行った。  3Rも心直の横蹴りになかなか入れない乙津だが、ローからのパンチが当たり始める。心直の蹴りにもしっかりローを返し、心直もミドルを返す。組みの展開では心直が優勢。  4R、心直の横蹴り、蹴り足をキャッチしてのコカし、蹴り合いからの左ストレートとテクニックが冴える。乙津はパンチで切り込みたいが、横蹴りや組みで遮断されてしまう。心直の左ミドルからのヒザもグサリと決まった。  5R、心直は乙津のパンチにヒジ、組んでもヒジを見せる。蹴り返しや組んでの攻防でも心直が優勢を保ち、乙津を手詰まりにさせていく心直。乙津はパンチで前に出るも心直は打ち合いには付き合わずにヒザを突き刺す。  判定は3-0で心直の完勝。無敗の乙津に初黒星を付け、王座に就いた。 「ブラボー!」と叫んだ心直は「3連敗からの王者、こんなのいますか? 今回体重が落ちなくて再計量で迷惑をかけてしまった関係者の皆さん、乙津選手、クロスポイント大泉の外会長、本当にすいませんでした。で、僕が王者です! スーパーフライ級では体重が落ちないので宮田さん、バンタム級の王座決定戦くれますか? いや、宮田充、KNOCK OUTバンタム級タイトルマッチ組めんのか?」と一階級上の王座を狙うとアピールしたが、宮田プロデューサーから「スーパーフライ級王座は返上するということで?」と聞かれると、「考え直します」と、獲ったばかりのベルトは手放したくなさそう。  そして「マイクが長くてすいません、試合も長くてすいません、次はKO出来るように頑張ります」と、次はKO勝ちを見せたいと宣言した。 [nextpage] ▼第7試合 初代KNOCK OUT-BLACKスーパーバンタム級王座決定戦 3分3R延長1R○古木誠也(G1 TEAM TAKAGI)KO 1R 1分23秒 ※左右連打×工藤“red”玲央(TEAM TEPPEN)※古木が初代王座に就く。  工藤はファイヤー原田の愛弟子としてJ-NETWORKで活躍。ジムの閉鎖とともにTEPPEN GYMに移籍してファイヤー譲りの根性に加えて技術を磨き、10月にはダイナマイト柿崎を右フックでKOして現在3連勝中。戦績は12勝(8KO)11敗5分。  古木はフルコンタクト空手で多数の優勝・入賞歴を持ち、9月大会で前田翔太に初回TKO勝ち、11月大会では5戦目にして元KNOCK OUT-REDバンタム級王者・響波を右フックで初回KOに破り今回の王座決定戦へ進出した。戦績は4勝(3KO)1敗。  1R、開始と同時に前へ出た工藤は左右フック&ボディでいきなりのラッシュ。意表を突かれた古木は押されるが、すぐに蹴りで逆襲。右ローを的確にヒットさせ、工藤を下がらせると左ハイキックも放つ。工藤は打ち合おうとするが工藤が左右の連打、ヒザで押していき、工藤をコーナーへ詰めると左右連打のラッシュ。工藤が崩れ落ち、レフェリーが止めるのと工藤のコーナーからタオルが舞うのはほぼ同時だった。  古木はマイクを持つと「王者になったら言いたかったことが一つあるので言わせてください。天国の父さん、王者になれました。いつも見守ってくれてありがとうございます。王者になれたのはジムの皆さん、応援に来てくれる方、支えてくれる皆さんのおかげだと思っています。自分 4月に2戦目で井熊知也選手にボコボコにされているのでリベンジしたいと思います。負けたままでは王者だと言えないのでリベンジお願いします」と、さっそくのリベンジをアピールした。 [nextpage] ▼第6試合 初代KNOCK OUT-REDスーパーフェザー級王座決定戦 3分5R延長1R×新田宗一朗(クロスポイント吉祥寺)KO 2R 1分55秒 ※3ノックダウン○久井大夢(TEAM TAIMU)※久井が初代王座に就く。 新田は空手、ボクシングを経て17歳からキックボクシングを始めた。アマチュア大会で20戦13勝6敗1分の成績を収め、2019年2月のPancrase REBELS Ring 1でプロデビュー。2021年9月のResistance 3の市村大斗戦まで10戦無敗の快進撃を続けたが、2021年10月のKNOCK OUTで力也戦に初黒星。2022年4月にはINNOVATIONスーパーフェザー級王座を奪取し、7月のRIZINで大雅と対戦するも判定負け。10月にはカミシロに延長Rで勝利して再起している。戦績は10勝(4KO)2敗3分。  久井はKNOCK OUTアマチュア・アダルト65kg優勝(2022年2月)、同60kg優勝(2021年8月)、同55kg優勝(2021年3月)の実績を持ち、4月大会でプロデビューしてKO勝ち。9月も向井貫太にTKO勝ちして戦績を2勝(2KO)とし、3戦目で今回の王座決定戦に大抜擢された関西のホープ。  1R、開始と同時にダッシュした久井は右フックを繰り出す。その後も前に出てインローを蹴り合い、ジャブを突く久井に新田は前蹴りと右ミドルで応戦。新田の右ミドルが決まる中、久井はそれに後ろ蹴りを合わせて場内をどよめかせる。  2R、新田の右ローを空振りさせた久井は飛び込んでの左ロングフックをヒットさせてダウンを奪う。ハイキックを叩き込み、新田の右ミドルにはジャブを伸ばして合わせ、右フックで再びダウンを奪う。パンチと右ミドルで応戦する新田だが、久井の勢いは止まらず、新田の右に久井が左フックを被せて3度目のダウンを奪いKO勝ち。プロわずか3戦目にして王座に到達した。  久井はマイクを持つと「3戦目の僕にこんなチャンスくれてありがとうございます。新田選手は応援が多くてリングの外でも人が集まってくると思って見習わないといけないと思いました。これからの格闘技界は久井大夢です。そしてKNOCK OUTです。僕がKNOCK OUTを大きくして、いろいろな選手がいると思いますが、KNOCK OUT出たい、久井大夢と戦いたいと言われる選手になります」と高らかに宣言した。 [nextpage] ▼第5試合 第2代KNOCK OUT-REDスーパーウェルター級王座決定戦 3分5R延長1R×津崎善郎(LAILAPS東京北星ジム)判定0-3 ※48-49×3○クンタップ・チャロンチャイ(タイ/BTC GYM)※クンタップが第2代王座に就く。  1R、前に出る津崎にサウスポーのクンタップは左ミドル、津崎はすぐに距離を詰めてワンツー、左フックを打つがクンタップは組み付いて追撃を許さずヒザまたはブレイクに持ち込む。  2R、クンタップは体力を削っていく作戦か、津崎が前へ詰めてくるとすぐに首相撲へ持ち込む。津崎はパンチを当てるも単発となり、組まれてしまう。  3R、左右ミドルの数を増やすクンタップに津崎はローを蹴り返す。クンタップにロープを背負わせてパンチを打つ津崎だが、すぐに組まれてしまい攻撃が続かない。  4R、消耗が見えるクンタップは組み付いて津崎を組み倒そうとするが、津崎はなかなか倒れない。クンタップの左ミドルには左右の連打で対抗する津崎。徐々に津崎の手数が優ってきている様子。  5R、前に出続ける津崎に左右ミドルを蹴るクンタップに、津崎の右がヒットし始める。それでも離れるとミドルを蹴り、首相撲に持ち込むクンタップ。最後まで前に出た津崎だったが、判定3-0でクンタップが執念の勝利をもぎ取った。  クンタップは「カッコいいベルトとれて本当に嬉しかったです。ありがとうございました。また来年よろしくお願いします」と満面の笑顔で戴冠を喜んだ。 [nextpage] ▼第4試合 KNOCK OUT-BLACK -63.0kg契約 3分3R延長1R○鈴木宙樹(クロスポイント吉祥寺)KO 2R 2分23秒 ※3ノックダウン×モンダム・ウィラサクレック(タイ/WSRフェアテックス)  1R、モンダムは序盤からかなり積極的に攻撃を繰り出す。ミドル、ロー、ワンツーと繰り出し、鈴木は手数は少ないが左ボディと右カーフを的確にヒットさせていき、ハイキックに右の打ち下ろしでダウンを奪う。  2R、コーナーに詰めた鈴木はナックルを的確に当てる右フックでダウンを奪う。諦めないモンダムは左ミドルと首相撲からのコカしで逆転を狙うが、鈴木の左ボディで後退して右フックからアッパー気味の左を浴びて再びダウン。最後は連打からの右フックで3度目のダウンを奪い、鈴木が2戦目にして復帰後初勝利を飾った。  鈴木はマイクを持つと「KNOCK OUTに戻ってきて初っ端強い西岡選手とやってこけちゃって今後を考えさせられたけれど、ジムの仲間と練習を頑張って戦える準備を整えているので、来年に62.5kgでも65kgでもトーナメントをやってこの腰にベルトを巻きたい」と、来年の本格復活を誓った。 [nextpage] ▼第3試合 KNOCK OUT-BLACKライト級 3分3R延長1R○大谷翔司(スクランブル渋谷)KO 2R 1分24秒 ※右フック×庄司啓馬(TEAM TEPPEN)  1R、大谷は右カーフを狙い撃ち、庄司は大谷がパンチを出してくると左フックを合わせに行く。大谷はジャブ、前蹴り、左ミドルと距離をとって右を伸ばしにいく。大谷のローに右フックを合わせてヒットを奪った庄司だが、大谷はジャブで距離をとる。  2R、さらに前へ出てきた庄司へ大谷は左ミドルで快音を響かせる。大谷は右フックをクリーンヒットさせると一気に前へ出て詰め、右の2連打を叩き込んでダウンを奪う。何とか立ち上がった庄司だがかなりダメージは濃い。大谷は左右の連打から右フックを決め、庄司を仕留めた。  庄司はマイクを持つと「庄司選手は紳士的で試合前からリスペクトできる選手でした。僕が見据えているところはもっと上の方で、前回梅野選手とやらせてもらったんですけれど一皮むける場面で負けてしまう自分を変えるために環境を変えたり、もっともっと今の2倍3倍も頑張ろうと思って頑張っています。成長を見せられるようにこのリングで頑張っていきますので大谷のリング内外に注目してください。YouTubeを始めようと思っているので(笑)」とアピールした。 [nextpage] ▼第2試合 KNOCK OUT-REDスーパーバンタム級 3分3R延長1R×大野貴志(士道館新座ジム)KO 1R 1分32秒 ○古村 光(フルムラジム)  1R、古村は足を上げて蹴りのフェイントからパンチを繰り出していき、右フックをヒットさせると一気にパンチをまとめてラッシュ。強打が炸裂し、左フックでダウンを奪う。  大野は立ち上がったものの古村の左右ストレート強打とヒザを浴びて後退。最後は右フックでマットに沈んだ。  タフな大野をマットに沈めた古村は「やっとここで結果を残すことができて嬉しいです。正直KNOCK OUTで壱くんに負けて悔しくてそこから凄い練習して今ここに立てています。普段から支えてもらってなかなか結果を出せなかったんですが、結果を出せて嬉しく思います。スーパーバンタム級のREDの王者・壱くんとやりたいです。せっかくなので大舞台で壱くんやりましょう」と壱・センチャイジムとの対戦をアピールした。 [nextpage] ▼第1試合 KNOCK OUT-BLACKスーパーバンタム級 3分3R延長1R○小倉尚也(スクランブル渋谷)判定3-0 ※30-27、30-28×2×加藤和也(ドージョー☆シャカリキ)  劣勢の加藤は3Rにパンチ連打の猛攻を見せたが、小倉はKrushでは禁じられている首相撲からのヒザ蹴りで応戦。加藤はこれでカットして流血。さらにバッティングで小倉も流血して両者大流血の試合となったが、小倉が判定3-0で勝利を収めた。
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