2022年12月9日(日本時間10日)、米国コネチカット州アンカスビルのモヒガンサン・アリーナにて、『Bellator 289: Stots vs. Sabatello』が開催された。
日本ではU-NEXTで生配信される同大会で、優勝賞金100万ドル(約1億3700万円)の「Bellatorバンタム級ワールドGP」準決勝2試合が行われた。
コ・メインのGP準決勝では、1回戦で堀口恭司に判定勝ちしているパッチー・ミックス(米国)が、これまで一本負けをしたことがないダゲスタンのマゴメド・マゴメドフ(ロシア)にギロチンチョーク(※マッンジーチン)を極めて一本勝ち。先にGP決勝進出を決めてケージサイドでもうひとつのGP準決勝を見守った。
メインイベントでは、現バンタム級暫定王者のラウフェオン・ストッツ(米国)と、ダニー・サバテーロ(米国)がGP準決勝および同級暫定王座戦(5分5R)を戦った。
試合は堀口と同門のATT所属のサバテーロが、MMAレスリングを駆使して、ストッツをコントロール。ストッツは押さえ込まれても立ち上がり、目に出続けて打撃の手数とバックコントロールにカウンターのヒザ十字で反撃し、試合は判定へ。
5Rの判定は2-1(50-45, 47-48, 48-47)で1者がフルマークでサバテーロを支持したもの、2者が1ポイント差でストッツを支持。ストッツが暫定王座初防衛とともに、GP決勝進出を決めた。この判定に場内はブーイング。テイクダウン&コントロールが評価されなかったサバテーロは、信じられないという表情で両手を広げて、そのままケージの扉を開けて、退場。
マット上のストッツは、「『グッドバイ、●ァックユー、サバテーロ!』」と歌い、「あいつはコントロールしようと思っていただろうけど、俺はダメージを与えていた」とマイク。マゴメド・マゴメドフに一本勝ちしたGP決勝の相手パッチー・ミックスとのフェイスオフに臨んだ。
勝者は試合後の会見で「サバテーロは戻ってくるだろう。この敗北から学び、より良くなっていくだろう。また会えるといい」と、将来的な再戦の可能性を示唆した。
ストッツ「悪役が必要だった。皆が僕と一緒になって戦うような」
「勝てたことに満足はしているが、あのクソッタレをやっつけたかったんだ。彼(サバテーロ)が話していたことを考えると、それが一番満足できる。アイツを黙らせることができてよかった。そう思えば夜も眠れる。
バックステージで考えたんだ。ファンが彼のことをあまり好きではないから、試合後に彼らが喜ぶようなものを提供しようとね。
(1者が)50-45という結果には驚いたよ。彼はコントロールしようとしていたと思う。それが彼のゲームであることは分かっているが、僕はノーダメージだった。僕はやるべきことをやった。僕はフィニッシュに向けて前進していたが、彼は試合を引き延ばそうとしていた。誰かの足を掴んだからと言って、試合に勝てるとは限らないし、そうあるべきだと思っている。これはMMAなんだ。
コーチは僕に危機感を持たせてくれたよ。彼は僕を拘束しようとする。それが彼のゲームのすべてだ。ヤツは僕のテイクダウンディフェンスを突破するのに十分な実力を持っていたけど、結局、彼はそのポジションで何もすることができず、僕は逃げることができた。大半の時間、彼を逆転させるか、エスケープすることができたんだ。
僕が起こると言っていたことがすべて起こったんだ。ありがたいことだ。彼を終わらせて、ちょっとでも無力化したかったけど、勝てたよ。しばらくはぐっすり眠れそうだ。
(この試合までを振り返れば)サバテーロは僕のキャリアにとって素晴らしい存在だったと思う。彼は僕にとって素晴らしいステップだった。悪役が必要だったんだ、みんなが僕と一緒になって戦おうと思う人がね。彼のスキルは僕が思っていたよりも優れていたけど、それでも勝ったのは僕だ。……彼は戻ってくるだろうと思うよ。この敗北から学び、より良くなっていくだろう。また会えるといい。楽しめた試合だったし、実際楽しめたよ。
(決勝で戦うパッチー・ミックスの試合を)チラッと見たよ。フィニッシュを見た。パッチーがグラウンドに強いのは知っているけど、MMAでは僕より上手くはないだろう。あのポジションにたどり着くには、いろいろなことを乗り越えなければならない。僕はサブミッション・ディフェンスとレスリングがすごいんだ。彼は偉大な選手の一人であることを証明しているから、その試合を楽しみにしている。ミックスはその座にふさわしい。彼の歯の隙間に拳を入れるのが楽しみだ。
サバテーロは何も打ってこなかったから、ミックスが準備万端なら、僕も準備万端だ。2月(GP決勝)に向けて準備万端だ」
一方の敗者は、試合後の会見場に現れ、敗因を分析したものの、その裁定については、「理解できない」と公然と語った。
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サバテーロ「4つのラウンドを俺が獲った」
「自分が極めやKOでフィニッシュできなかったのが何よりの敗因だとは受け止めてるが、自分がなぜ負けたかは理解できない。チームもそう思っている。ほんとうにマジでなぜ負けたか分からない。1人のジャッジが(フルマークで)つけたように、自分が終始支配していて、自分が勝って当然。
ただ結果は結果、起きたことは起きたことだ。判定が変わるわけじゃない。どうあれ、自分のモチベーションは変わらない。また最高のジムのATTに戻ってベルトを掴むために全力で戦う。最終的には自分が最高のバンタム級であることを証明するだけだ。
もちろん、いまだに今日の試合は勝ったと思っているし、判定とは3人のアホな人間(ジャッジ)を騙すということか、3人のアホは何も見ていなかったのか。10分以上(10分11秒)コントロールしいて、あいつは1分以下(43秒)だ。
当たりもしない打撃を何度も出したところで、5Rにヒジを出したところで、フィニッシュに繋がるものではないし、何らダメージも受けていないし、顔だってこんな綺麗でコブもアザもないんだ。まあ、どうあれ、自分が負けたという責任を重く感じてる。3人のクソ共をどうごまかすかを学ぶことも必要だ。ダメージもない打撃を何発か繰り出すことでまるで勝ったかのように見せかけるトリックというテクニックをね。
4つのラウンドを俺が獲った。もし自分が落としていたらしたら3Rかな。どのラウンドも自分が支配していたと思う。打撃の量があれば、MMAを知らない人が見たら勝っているように見えるかもしれない。試合ではなく、いかにジャッジを騙すかが重要なんだろう。でも、しかるべきコントロールをした人間が勝つべきであってほしい。
最後のストッツの歌はダサい。俺とヤツは絶対に相容れない。どれも嘘っぱちだし、まだ終わってない。ヤツはパッチーとの試合に向かうけど、俺は必ずヤツとやる。そして“また勝つ”。これは僕にとってただの通過点だ。コントロールに加えて、ボリュームのある打撃をお見舞いしてやる。
(敗れてもインタビュールームに来たのは)自分の生き方は勝ちや負けで変わらないし、どう振舞うかも変わらない。勝っていたと思うし、スポーツというのは、3人のクソみたいな人間によって裁かれるものであることは理解してるよ」