MMA
インタビュー

【RIZIN】宮田和幸「アーセンもいいところだけを見ずに、(総合格闘技を)続けてもらいたい」×アーセン「肩の手術して、恐怖症ぽくなっていたけど、『やっぱり格闘技やりたいわ』という気持ちに変わった」=12.31「RIZIN.14」

2019/01/12 10:01
12月31日(日)さいたまスーパーアリーナで開催された「RIZIN.14」で「宮田和幸引退試合&山本“KID”徳郁メモリアルマッチ」として対戦した宮田和幸(BRAVE)と山本アーセン(KRAZY BEE)。 新旧レスリング対決となった試合は、テイクダウンするアーセンに対し、宮田がMMA14年のガードワークを披露。下からのキムラロック、糸通しで2R3分23秒、一本勝ちを決めた。 試合後、宮田は後輩のアーセンにエールを送り、アーセンもこの試合までの葛藤があったことを明かした。( 試合写真(C)2015 RIZIN FF) (試合リポート) ◆宮田和幸「レスリングベースの子たちがいっぱいいる。その子たちが総合格闘技をやれる環境においたら、日本の格闘技は復活すると思います」 ──試合を振り返って率直な感想を。 「途中、覚えてないんですけど(アーセンは)レスリングが強かったなと思いました」 ──覚えていないというのは? 「夢中になっていたということです。試合が終わったばかりなので。特にダメージではないです」 ──実際に戦ってみて、アーセン選手の印象はいかがでしたか? 「やっぱり、力がすごくあるというか、レスリング的な力があるので、普通の柔術系の技は全部持ち上げられちゃうし、これから(上に上がっていくのに)時間はかかると思うんですけど、すごくポテンシャルのある選手だと思いました」 ──制圧している印象でしたが。 「そうですか? 1R負けてるかなと思っていたんですけど、そうですね、余裕は全然なかったです」 ──フィニッシュは元々狙っていたのか、もしくは試合展開の流れで決めたのでしょうか?  「アームロックが一番得意なので。寝技に関しては相当やり込んでいるので。14年やってますけど、課題が最初寝技だったので。レスリング(出身)なので、トップポジションしか総合でやってなかったのですが、練習では下からやるようにして、彼、レスリング強いので、そこで張り合っては僕は歳なので、手をついて肉離れしちゃったりという怪我は結構多いので(あまり張り合わず)。下になってからの自信はあるので(ガードワークで勝負した)」 ──総合格闘家として完成した? 「総合格闘家としてやっと楽しくなって来たくらいで辞めることになるのはもったいないですが、これからものすごく強くなることもないので。レスリングもそうですが、格闘技においては日本は少し低迷期ですが、レスリングは僕がやっていた時代よりレベルが上がり、女子は世界一だし、19歳の世界王者も出ている。格闘技もレスリングベースの子がいっぱいいるので、その子達が総合格闘技をやれる環境においたら、復活すると思います。力が出せると思うので、そっち(育成)をやっていきたい。結果は勝てたのであまり贅沢言わないように」 ──ゴングと同時に両選手がジャンプしたのはKID戦のような、あれは仕掛けていこうと? 「あれはやらなきゃダメだなって……ルールミーティングの時に榊原(信行)さんの話で、『勝ち負けではあるけどプロなので』と言われて、意識してやれることはそれくらいで、あとは流れなので、それを(最初に)やることは決めていました。アーセン選手が飛んでくるとは思ったので、それも想定内でした」 ──糸通しは練習ではよく使っている技ですか? 「寝技が楽しくて色々やっていて、組み技は筋トレになるし、筋肉を落とさないように、筋トレしながら強くもなれるし。打撃は年齢的に目が悪くなったりしたくないので、ちょっとおさえて練習していました」 ──あえて無理せず下を選択した部分もありましたか。 「勝負しないでわざと下ということじゃなくて、上になれればなりたいですけど、相手が若くてレスリングが強いので。普通に負けたんだと思いますけど、”無理しなかった”というのもあります」 ──改めて14年間を振り返ってMMAはご自身にとってどんなものでしたか。 「27歳までレスリングやって、28歳から総合に来たのですけど、あんまり真剣勝負にももう疲れてて、オリンピック選手から転向する人ってみんなほとんど2、3年やって辞めちゃうと思うんですけど、僕も長くやれるか分からなかったですけど、KID選手と試合してああいう形になったし、アーセン選手も期待されて入って、キャリアのある選手といっぱいやっていると思うけど。(KID戦で)世間に弱いところを見せちゃったんで、『見返してやりたい』と思って、長く続けてこれたのだと思います。アーセン選手も間違いなく強くなると思うので、いいところだけを見ずに、(総合格闘技を)続けてもらいたい。勝っても負けてもそう言いたいと思っていました」 ◆山本アーセン「やっと今、格闘技の楽しさが分かって来たんで、これから見といてください」 ──試合直後のお疲れのところですが、感想をお願いします。 「疲れてません!」 ──では、試合を振り返って。 「えーっと、試合は思った以上に、こんなこと言っちゃいけないかもしれないけど、勝てるなって確信していたっていうか。3Rで極められ、寝技うまくて、ちょっとしたミスからあんな技につながったので悔しいです。寝技取られてたんですけど、修正できるなっていう感触はあったんですけど、やっぱり、なんていうんだろうな、本当に小さいミスが、大きいミスに変わったって感じですかね」 ──ミスとは? 「手を地面(マット)に置いていたことです、グラウンドで。それで全部手をコントロールされ、1R目から全部、技につながったりとか。手を着いてパスしようという変な考えさえなけば、本当に自分の考えの甘さだと思っています。手を地面に置かずに、相手のお腹や胸に置いてれば、あんなことは起こらなかったのですけど、いい経験になりました。 もう、MMAこれで何戦目かな、6試合目、5か6試合目なんですけど、毎回いい選手と戦い、いい経験させてもらって、このミス、勉強になったことを次に活かしたい。本当に悔しくて……。疲れてないし、どこも痛くないし、試合やった気になっていないです。ただ負けたっていうことが頭の中でスゲーぐるぐるぐるぐる回ってる感じですね」 ──実際に戦ってみて、宮田選手はいかがでしたか? 「いや、もう、力も強くて寝技も頭がキレてたと思います。すごい偉大な選手。引退試合に自分選んでもらったことすごい感謝に思っています」 ──試合直後、先に宮田選手から跳んできました。 「自分は正直インターネットとかでも1R目にヒザ蹴りお願いしますって言われてて、これもう、わかってるかなと思ったので、2R目か3R目に、相手の様子を見てゴング直後にやってやろうと思ったんですけど、1R目に宮田さんが飛んでくるのも予想済みで、引退試合なんで派手に終わらせたいというのは、全部わかっていたとは言いきれないけど、多分来る可能性があるから、それだけ気をつけてやろうと思っていたんですが、(自分が)やらないまま終わっちゃうって結構悲しいですね」 ──大晦日の会場はいかがでしたか? メモリアルということでの意識は? 「結果が全てなので0点だと思います。ただ、自分の中で『メモリアルマッチ』って一回も考えたことなくて、この練習期間も、今日も。ノリさん(KID)のためにやったっていうのももちろんあるけど、やるのは自分で勝つのも自分、負けるのも自分なんで、メモリアルっていうのは考えてなかったですね。これは勝ちに行こうって。平成最後だし。(KIDは)『大丈夫、大丈夫、練習だから、これから練習もっとすれば大丈夫だから』って言ってると思う。本人も悔しい思いしてると思う。すごい不思議なことで、自分は普段緊張するタイプだけど、全く緊張していなくて、勝つイメージしかなくて、ノリさんが傍にいるから安心しているんだなって思いました」 ──試合が終わったばかりではありますが、今後の展望や目標があれば教えてください。 「とりあえず、自分は子供が2月に生まれるんで、まずは健康に生まれてくるの見届けて、バッチバチ練習して、会場沸かせながら、やっていきたいと思います。すごい負けてもちろん悔しいし結果が全てですが、今回思ったのは、ちゃんといいところで練習しているなというのと、自分の居場所はここかもしれないと改めて思えたこと。宮田さんに感謝したいし、負けても何度も呼んでくれるRIZINに感謝したいと思います」 ──試合後、宮田選手と会話も? 「『ありがとうございました』と舞台裏で挨拶したら、『お世辞なしに、アーセンは本当にいい選手だから、これからやれば本当に強くなるから、頑張ってね』っていう言葉をかけられて、本当に正直、素直な気持ちで嬉しかった。『ああやってることは正しいんだ』って気づけたので。負けは負けですけど、自分の中で道が開けたというか、しっかり道が見えたので、最初は、『なんでこんな強い選手とばっかりやらなきゃいけないんだ』っていう、気持ちだったですけど今は、『関係ねえ。誰でもこいよ。その分、練習してやっから』っていう、気分です」 ──今はRIZINという大きな舞台でやっていますが、オファーがあって、身の丈にあった対戦相手と試し会える試合が組まれたらやってみたいという気持ちもありますか? 「もちろん、どこでも、試合やります。でもRIZINでもっと結果出したい。出せると思うんで。肩の手術して、時間がドンて空いて、すごい考える時間があって、格闘技のビデオとか見れずに恐怖症ぽくなっていて、どうしようかなあって考える時間から、どんどんモチベーションに変わって、『やっぱり格闘技やりたいわ』という気持ちに変わって、ノリさんの葬式でも言ったんですけど、やっと今、格闘技の楽しさが分かって来たんで、これから見といてください。みんなに見せられるかわからないけど、楽しみにしていてください」
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