2022年12月10日(土)東京・後楽園ホール『RISE 163』にて、スーパーフライ級(-53kg)3分3R延長1Rで、緑川創(RIKIX)とリカルド・ブラボ(アルゼンチン/WSRフェアテックス)が対戦する。両者が公開練習を行い、インタビューに答えた。
両者は共に新日本キックボクシング協会で日本ウェルター級王座のベルトを巻いた者同士。今回が初対戦となる。
緑川「緑川を使ってよかったなっていう試合をしたい」
――いよいよ引退試合へのカウントダウンが進む試合が近づいてきましたが、心境はいかがですか?
「もう現役生活残り3カ月切ったのかっていう寂しい気持ちと、最後集中して全て良い形で終わらせてやろうっていう気持ちが今めちゃめちゃ強いんで、モチベーションMAXです」
――そもそも来年の2月11日に引退しようと決意した一番の理由は何だったんですか?
「ここ最近ちょっと負けちゃったこともあったんですけど、自分的にはまだレベルは落ちてないと思っていて。弱くなってから辞めるよりは最強として辞めた方が自分的にスッキリするなと思ったのと、2月11日という目黒(ジム)の伝統の引退試合が大田区体育館でやってきたっていうのがあるので、どうしても最後は地元大田区で引退したいなっていう気持ちで決めました」
――失礼な質問かもしれないんですが、過去2年間12月の試合は割と緑川選手にとって鬼門だと思うのですが何か原因ってありますか?
「そうですね、2年連続ダウン取られて負けてるんで(笑)。ここはしっかり最後まで集中して気持ち切らさず勝ちに行きたいと思います」
――昨年のRYOTARO戦、一昨年の憂也戦と何か原因はあったんですか?
「いや、ただ単に自分が弱かっただけなんで。それが理由です」
――今回は3度目の正直ってことになりますか?
「自分の最後に繋げる為にも絶対負けられないんで、絶対に勝ちに行きます」
――今回拳を交わすリカルド・ブラボ選手に関してはいかがですか?
「若くて勢いもあってスタイルも良くて顔もイケメンで、何回か喋ったこともあるんですけどすごい気持ちも素晴らしい選手。元々いた団体もそうですし拳を交えることはなかったですけど、ここで先輩はもっと強いんだぞっていうのを見せてやろうと思ってます」
――緑川選手もリカルド選手も前にいた団体で戦う可能性はなかったんですか?
「ちょうど階級上げたりとか入れ違いになったってこともあって。昔ちょっとスパーリングはしたことはあるんですけど、戦う感じにはならなかったですね」
――何年か前にスパーリングした時の感触はどうだったんですか?
「まだ全然若かったのでもう4~5年くらい前ですし、それよりはもう断然レベルアップしてると思うのであんまり参考になってないです(笑)」
――リカルド選手は年齢的には一回り以上下の選手ですけどその辺は意識しますか?
「あんまりもう気にしてもしょうがないんで(笑)、そこは全然気にしてないです」
――現状でどんな試合になるとイメージしますか?
「僕も絶対負けられないですし向こうも食ってやろうという意地があると思うので、多分気持ちのぶつかり合いになるんじゃないかなって思います」
――緑川選手はここ最近割とRISEで戦うことが多かったと思うんですが、RISEでの思い出ってありますか?
「RIKIX所属として初めての試合もRISEですし、その後RISEでいろんな物語も作ってもらったのでそこに対する思いは色々ありますし、全然恩返しにはならないと思いますけど最後に会場を盛り上げて『緑川を使ってよかったな』っていう試合をしたいと思ってます」
――今回のリカルド戦で85戦目になりますが、この85戦目って何か意識するものはありますか?
「僕の直属の先輩の石井宏樹さんが84戦目で引退されてるんで、石井さんよりは試合したなっていうだけなことですかね(笑)。全然戦績的には及ばないんですけど。後はここまでよく死なずに大怪我もなくやってこれたなっていうのは思ってます」
――リカルド戦の3日後に誕生日を迎えますけど。
「あんまりもう意識してないです、年齢も年齢なんで(笑)」
――あまり嬉しくもないって感じですか?
「嬉しくなくはないですけど誕生日は誕生日って感じですね」
――最後にファンの皆様に向けてメッセージをお願いします。
「僕の現役最後のRISEラストマッチ、必ず熱い試合をして必ず勝ちますんで応援よろしくお願いします」
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ブラボ「70kgで一番強い選手はRISEにいると思ったのでRISEに来ました」
――15歳でアルゼンチンから来たんですよね?
「17歳からですね。15歳からキックボクシングを始めて17歳で一人で日本に行きました」
――日本に来た理由を教えてもらえますか?
「2015年15歳の時にアルゼンチンでキックボクシングを学んで、2年くらいでアルゼンチンのアマチュアと南米のチャンピオンになって日本のジムの会長のスカウトで2016年に10日くらい日本に来ました。その会長と一緒に練習をやって、強いしチャンピオンになれるから17歳になったら日本に来なさいと言われて、2017年に一人で日本に来ました」
――最初ホームシックにはならなかったんですか?
「ならなかったですね(笑)。大丈夫でした」
――日本語はどうやって覚えたんですか?
「日本に来た時に最初半年ぐらいだけ週1回とか2週間に1回ぐらい日本の学校に行ったんですけど、大体ジムと自分でパーソナルレッスンとかグループレッスンで覚えました。あんまり学校は行かなかったですけど(笑)」
――アルゼンチンはキックボクシングが盛んですか?
「2年前ぐらいからアルゼンチンの選手はみんなタイで練習をやっています。日本で試合した人も2~3人ぐらいいて、今ちょっとプロ選手増えました。強い選手2~3人いるんですけど今までは全然いなかったですね。今までサッカーとボクシングはすごかったですけどそれだけだったですね」
――今回ウィラサクレックジムに移籍しての初戦となりますが、ウィラサクレックに移籍した一番の理由って何だったんですか?
「前から色々大変なこともあって去年12月にムエタイの世界タイトルマッチの試合を大分でやった時に、初めてウィラサクレック会長と会って話して練習やスパーリングしたい時にジムに来なさいと言ってもらって。それからずっと練習させてもらって、前のジムを辞めた時に自分でウィラサクレックジムが良いなと思って。ウィラサクレック会長も外国人だから大変な気持ちとかわかるから、ちょっと似てるなと思ってたしジムも良いトレーナーがいっぱいいるからウィラサクレックジムはベストだなと思いました」
――ウィラサクレック会長とのコミュニケーションはタイ語ですか? 日本語ですか?
「日本語です。2人とも下手だから全然大丈夫ですね(笑)」
――今回新たな主戦場としてRISEを選んだ理由は何だったんですか?
「最初に日本に来た時にチャレンジの気持ちで日本に行こうと思ってて、アルゼンチンの家族も全然安全じゃないところに住んでるしお金もないから、日本に行って一番強い選手になったら家族にご飯食べさせられるなと思って日本に来ました。日本に来て5年ぐらいずっと試合と練習をやってチャンピオンになったんですけど、まだ日本の一番強い選手と戦ってないし大きな舞台とかにも出なかったから、ずっとこんな感じだったらスーパースターになれないしお金稼げないなと思いました。ウィラサクレックジムに来てこれからRISEに出て、自分では一番強い選手と思ってるけどそれをお客さんに見せないとみんな分からないから、そのためにRISEに行こうかなと思いました」
――今までヒジ、組みヒザなしルールの経験っていうのは何試合ぐらいありますか?
「ヒザなしは経験がないですけど、ヒジなしルールは今まで4試合か5試合ぐらいやってました。自分ではヒジが得意だからヒジありの方が好きだけど、いま日本でヒジありルールをやりたい選手はあまりいないから、本当に自分の強さを見せたかったらヒジなしルールでやらなきゃいけないなと思ったからヒジなしでもやります」
――今回の対戦相手の緑川選手の印象を聞かせてください。
「アルゼンチンのジムで練習やってた時に、テレビでずっと新日本キックボクシング協会の試合を見ていて。最初は昔のK-1と新日本キックのチャンピオンの試合しか見れなかったんです。だからずっと緑川選手の試合を見てて、この人は凄いなと思って最初からすごいリスペクトしています。ファイトスタイルも私とちょっと似てるし、打たれ強いしパンチ強いし下がらないから、私もそのレベルまで行ったら緑川選手みたいに戦いたいなと思ってて。緑川選手はもう来年引退するから、引退する前に戦えるからすごい嬉しいですね。自分の中で15~16歳の時にずっと緑川選手の試合を見てたんですけど、初めて同じリングで戦うから嬉しいです。自分はこんなに強くなったんだなと初めて思いました」
――緑川選手との試合はどんな試合になってどんな勝ち方をイメージしますか?
「全部は言わないですけど今考えてるプランは簡単に勝てる試合じゃなくて、逆にお客さんに凄くいい試合見せたいから面白い試合しようかなと思ってます。緑川選手は打たれ強い、パンチ強い。私もパンチが強いと思ってるからアグレッシブな試合を見せたいと思います。それを見せたらお客さんは喜ぶと思ってます」
――緑川選手に憧れてたって言ってましたが、今はもう自分の方が実力的に超えていると思ってますか?
「私、今まで試合をやった時に相手のことはあまり考えなかったですね。ずっと自分の練習、自分の試合、自分のことしか考えてなかったんで、今回もあまり変わらないです。緑川選手の試合も何回も観たんですけど、自分が強くならないと上に行けないから緑川選手のことはあまり考えてないですね。緑川選手は今までKOで負けてないですけど、次の試合で緑川選手を倒したらみんなびっくりするなと思います」
――パンチが強くて打たれ強いって話がありましたけど特に緑川選手の警戒する部分はどこでしょうか?
「今まで緑川さんの試合を見たときにすごい打たれ強いなと思ったんですけど、2年前ぐらいから憂也選手とRYOTARO選手と戦った時にいいタイミングでいいパンチ当たった時にダウン取られたじゃないですか。
だから歳かもしれないから分からないですけど、ちょっと打たれ弱くなったかなと思ってます。私70kgの日本のキックボクサーで一番パンチが強いと思ってるから、その2選手と戦った時にダウン取られてるから私と戦ったら絶対倒れると思います」
――狙うはKO勝ち?
「緑川選手が前に来てもパンチをもらっても、私も前に行くし判定まで行きたくないから倒すか倒されるかの試合になって判定まではいかないです」
――RISEには70kg前後で強い選手が色々いますけど、特に戦いたい選手っていますか?
「今トップ選手は緑川さん、イ・ソンヒョン選手、海人選手かなと思います。若い選手にも強い選手がいるんですけど本当のトップスリー選手はその3人かなって思ってます。でも自分は誰でもどこでもいいと思ってるし、緑川選手を倒したらみんなびっくりするからその後は誰でもいいですよ」
――ファンから見るとおそらく海人選手との試合が期待されると思うんですけど、海人選手はどういう風に思ってますか?
「若い選手ですが多分、日本で一番強い選手だと思ってますね。でも最近外国人と戦った時にギリギリで勝ったから、なんでかわからないけど外国人と戦う時に自分の強さを見せないから。僕も外国人で力強く打たれ強いし気持ちも強いから、余裕とは思わないけどいい試合ができるなと思います。いつでもやりたいですね」
――今RISEがGLORYと提携していてvs世界をテーマに掲げていますが、日本代表としてGLORYとかと戦いたい気持ちはありますか?
「キックボクシングを7年前から始めて、その7年の中5年間はずっと日本でやってたから、もちろん日本人じゃないんですけどハートの中では日本人だと思ってます。海外に行く時は絶対日本人として戦いたいから、それで日本人の皆さんが応援してくれたら本当すごく嬉しいです」
――日本を好きな外国人選手はよく「大和魂」とか「侍の気持ちを持ってる」っていうような事をおっしゃいますけど、リカルド選手はそういうものはありますか?
「名前はちょっと覚えてないですけど日本に来た時に侍の本も読んだし、侍のスタイルも気持ち良くてすごく好きだからそれもずっと勉強しました。もちろん昔の侍と今の侍が全然違うんですけど、スポーツ選手は本当の今の侍だと思ってます。みんな1日7時間も8時間もずっと練習やってるし、自分の試合しか考えてないから、私も自分で今の侍だと思っています」
――RISEに来たのは、リカルド選手が自分の強さを証明するために来たということでよろしいですか?
「自分で一番強い選手だと思ってるけど、それを皆に見せたい。今の日本のトップ選手と戦って余裕で倒してみんながびっくりしたら私も喜ぶから、そのためにRISEに来ました。RISEに行く前に別の団体と話もしたんですけど、70kgで一番強い選手はRISEにいるかなと思ったので、RISEに行ったら一番面白いなと思ってRISEに来ました」
――現在8試合連続でKO勝利ですが、今回9試合連続KOにする自信はありますか?
「もちろんそれしか考えてないです。いつも言うけど判定まで行ったらあまり面白くなくてお客さん可哀想だから、そのお客さんのために1Rか2Rに倒すと思います」
――KOするコツって何かありますか?
「リングの上で私の強さを見せたいからそれは言わないですけど、その日はみんなびっくりします」
――最後にファンの皆様へメッセージをお願いします。
「私は今22歳で、家族にご飯を食べさせるために5年前に日本に来ました。自分のことだけじゃなくて家族のことを考えてるから、RISEでみんな倒して一番強い選手になって、そこから日本人として海外へ行って世界で一番強い選手なります。それで家族を日本に呼ぶか安全な所に家を買うかはまだ考えてるんですけど、その気持ちで毎日一生懸命やってるから皆さん応援よろしくお願いします。私本当に頑張ります」