2022年を締めくくる一戦で現役ラジャダムナンランカーとの大一番を迎える小笠原
2022年12月11日(日)東京・後楽園ホール『MAROOMS presents KNOCK OUT 2022 vol.8』にて、スーパーファイトのKNOCK OUT-REDフェザー級3分5R延長1Rで対戦する小笠原瑛作(クロスポイント吉祥寺)とチャーパヤック・サクサトゥーン(タイ)のインタビューが主催者を通じて届いた。
9月に2階級制覇を果たして、KNOCK OUT-REDフェザー級新王者としての初戦でタイ・ラジャダムナンスタジアムの同級現役ランカーを迎え撃つこととなった小笠原にとってこの試合は、2022年最後の試合でもあり、同時に来年3月のビッグマッチ前の(おそらく)最後の試合となる。そんな彼が、この試合に期するものとは?
小笠原「覚悟を決めて当日を迎えたい」
――今回、チャーパヤック選手との対戦となりました。試合映像を通じての、相手の印象は?
「首相撲の選手で、タイ人なのでしっかり基礎ができているというか、日本人みたいに中途半端な感じではないですよね。若いし、ラジャダムナンのランカーという実力はあるなという感じです。警戒しないといけないのは首相撲からのヒジとかですかね。あとはそういうタイプだけに、体力だったり、体の強さもかなりあるのかなと思っています」
――コロナ禍が長引いていたこともあって、タイ人との対戦も久々ですよね。
「そうですね。コロナ前に、タイに3ヵ月ぐらい修行に行っていた時以来の試合なので、対外国人という意味でも2年半ぶり、久々になりますね。今回もラジャダムナンのランキングに入るだけあってレベルは高いと思うので、小笠原瑛作が対外国人、対タイ人というところでどういう試合を見せられるかで、世界に向けて強さをアピールできる機会になるのかなと思って、気合いが入ってますね」
――どういう試合にしたいですか?
「今回も、テーマは『倒し切る』ことです。それが一番分かりやすいだろうし、来年3月には代々木第二体育館でのビッグマッチがありますけど、そこに向けて『KNOCK OUT』のエースとして、日本人だろうとタイ人の強豪だろうと倒す、そこに尽きると思います」
――特にタイ人が相手だと、どんなに気合いが入っていても、思うようにさせてもらえなかったとか相手のペースに呑まれてしまったという試合が、これまでもたくさんありました。そうならないためにはどうしたらいいと思いますか?
「やっぱり今回、そういう不安がよぎる部分もありますよね。タイ人を相手に5Rの試合だし、倒されない固い戦い方をされたらイヤだなという部分もあるんですけど、だからこそ練習でミットだったり、いろいろ意識はしています。自分がタイ人と戦うからと言って、タイ人に合わせた戦い方だったり、5R戦の戦い方みたいなものを意識していると、そういうものになっちゃうと思うんですよね。前回のTAKERU戦ぐらいからなんですけど、『倒す』ということに重点を置いてイメージを固めてきている部分があるので、それが5Rの中でうまくハマるのか、それともタイ人がうまく戦って耐えちゃうのか、というところはありますよね。まあでも僕としては、1Rから倒しにいくという意識を持って練習しています」
――大前提として、相手には合わせないと。
「そうですね。タイ人の動きやリズムに合わせる戦い方はしないつもりです」
――これまでタイ人とは6戦5勝(3KO)1敗といい成績ですが、その戦いを振り返ると、いかがですか?
「以前はもっと、『ムエタイをしよう』と思っていましたね。それこそタイで3ヵ月修行をした時も、ムエタイのジムでの練習でしたし、会場ではギャンブラーもいるので、ムエタイをしないとと思っていたんですが、今回に関しては全てを使って倒しにいくという点ではちょっと違うなと思ってます。最近、僕のスタイルはムエタイともちょっと違うかなと思っていて」
――むしろいい意味で「キックボクシング」ですよね。
「そうですね。その点ではタイ人も面食らう部分があるんじゃないかなとは思ってます。今回のタイ人がどれぐらい実力があるかというのは、やってみないと分からないところでもあるので、そこは楽しみではあるんですが」
――2階級制覇も成し遂げて、このタイミングでタイの現役ランカーと対戦というのは、長く見ているキックファンにするとシビれるシチュエーションではあります。もっと言うと、そこではね除けられた選手もたくさん見ているわけで。そこで小笠原選手はどう戦うのかなと。
「なるほど。日本人選手でやれる相手も限られてきている中で、日本国内だけ見ていても本当にしょうがないので、日本に留まらず世界で通用する選手になりたいんですよね。その中で今回は、世界でも獲るのが難しいと言われているラジャダムナンの王座、そのランキングに入っている相手にどういう試合をするかというのを見定めてもらえたらいいかなと思いますね。『瑛作の実力は、世界に出たらどうなんだ?』というところを見てもらいたいです」
――その、小笠原選手が思う「世界」というのはタイだけではないですよね。もちろんこのジャンルでタイというのはトップクラスに強い選手が集まる国ではありますが、小笠原選手の目的は「ムエタイでトップを目指す」というところじゃないですよね。
「そうですね。僕が思うトップって、知名度もあって実力もあってスター性もあって……という存在だと思っていて。もちろんタイの、ラジャダムナンのベルトを獲ることは本当に難しいし、それを狙いにいくというのも選択肢の一つではあるんでしょうけど、そこだけじゃなくて世界はもっと広いし、僕が目指してるのはそういうところも超越したスーパースターなんですよね。街に行けば多くの人から声がかかって、世界でも名前が知られていて。僕らが知っている人で言えば、やっぱり魔裟斗さんですよね。あの頃のK-1は世界の中心だったし、魔裟斗さんの名前を出せばみんなが知っているというような。そこに行く過程として、まずは最強と言われるムエタイをどう崩していくかですね」
――最終的な理想としては、タイ人だろうがオランダ人だろうがアメリカ人だろうが、どこから来てもガツンと倒してくれるような、そういう信頼があるような存在ですよね。
「はい。K-1 MAXみたいに世界中から強いヤツが集まって、そこでドラマが生まれて、そこでトップを獲るヤツに、僕は小学生の時から憧れてたんですよね。それと同じように僕は『KNOCK OUT』を世界で広めていきたいし、そこの中心になりたいと思ってます」
――先ほども少し出たように、来年3月の代々木第二体育館大会前の最後の試合になる可能性は高いと思います。そこに向けてはいかがでしょう?
「3月の代々木第二は『KNOCK OUT』にとっても挑戦となる大会だと思うんですよね。そこを小笠原瑛作が引っ張るとなると、今回も魅せられる試合内容でないとダメだろうなと思うので、それをいいプレッシャーにしながら爆発させたいなと思ってます」
――2022年の『KNOCK OUT』を締めくくる試合でもありますね。
「そういうプレッシャーとはいつも戦っていますが、今年は小笠原瑛作にとって『成し遂げる年』だと思うので、自分のことを信じながら当日を迎えたいですね」
――そして今大会では4階級の王座決定戦が行われます。その中での外国人とのスーパーファイトということで、タイトルマッチよりもいい内容の試合をするというのも課題だと思いますが。
「それだけタイトルマッチがある中でスーパーファイトを任されているというのは、自分の立ち位置としてもそういうことだなと思うので、それにふさわしい試合を見せないとと思ってますね」
「『覚悟』ですかね。『KNOCK OUT』を引っ張っていくという覚悟とか、いろんなものがあると思うんですけど、覚悟を決めて当日を迎えたいですね。後楽園ホールのリングを熱くさせるので、ぜひ会場で見てもらいたいですね」
――お話を伺っていると、相手が初来日でリングに上がってみるまで分からないという点以外には、不安要素はないように聞こえるんですが。
「そうですね。自信もあるし、でももちろん不安もあるんですよ。ただ、いまやるべきことをやって、当日それを持っていくだけで、そこに結果はついてくると思ってますから。相手がいることなので、タイ人がどこまでやってくるのかなという不安、プラスそこにワクワクも持ちながら、当日は輝く小笠原瑛作を見せられればと思っています。だから今は不安もワクワクに変えて備えているところです」
――では最後に、今回の試合で特に注目してほしいポイントはどこでしょう?
「今回“も”、覚悟を決めて倒しにいきます。そこを見に来てもらえたらうれしいです。主演映画も3月に日本国内で公開されそうだと聞いているので、今回の勝ちがそこにいい形でつながるようにしたいと思っています」