2022年12月11日(日)東京・後楽園ホール『MAROOMS presents KNOCK OUT 2022 vol.8』にて、初代KNOCK OUT-REDスーパーフェザー級王座決定戦3分5R延長1Rで対戦する新田宗一朗(クロスポイント吉祥寺)と久井大夢(TEAM TAIMU)のインタビューが主催者を通じて届いた。
新田は空手、ボクシングを経て17歳からキックボクシングを始めた。アマチュア大会で20戦13勝6敗1分の成績を収め、2019年2月のPancrase REBELS Ring 1でプロデビュー。2021年9月のResistance 3の市村大斗戦まで10戦無敗の快進撃を続けたが、2021年10月のKNOCK OUTで力也戦に初黒星。2022年4月にはINNOVATIONスーパーフェザー級王座を奪取し、7月のRIZINで大雅と対戦するも判定負け。10月にはカミシロに延長Rで勝利して再起している。戦績は10勝(4KO)2敗3分。
久井はKNOCK OUTアマチュア・アダルト65kg優勝(2022年2月)、同60kg優勝(2021年8月)、同55kg優勝(2021年3月)の実績を持ち、4月大会でプロデビューしてKO勝ち。9月も向井貫太にTKO勝ちして戦績を2勝(2KO)とし、3戦目で今回の王座決定戦に大抜擢された関西のホープ。
新田「小笠原瑛作さんとつきっきりで練習してるんです」
すでに他団体のベルトも巻いている新田にとって、王座を争う相手がデビュー3戦目の新鋭という事実はどう響いているのか? そして会見で大会プロデューサーからかけられた言葉については?
──先日のカード発表会見では、宮田プロデューサーから「もっとインパクトがほしい」という発言がありました。あれをどう受け止めましたか?
「宮田さんが言いたいのは、今までの試合を振り返るとパッとしたものがないと言うことだと思うんですよね。自分は今まで倒されることもなかったですけど、倒したこともないので。そういう盛り上がりというか、見せ場を作れるようにということだと思ってます。実際、僕の試合はお客さんから『塩試合』と言われたりもしてたので、自分でも気にしてたところはありました」
──10月のカミシロ戦の前日も、宮田プロデューサーからは「この試合(を含む2試合)の内容が大会のカギを握っている」という旨の発言がありましたよね。その試合は判定勝ちでしたが、今振り返ると?
「あの試合も、体が思ったように動かなくて、期待に応えられなかったですね。倒せなかったし、変に力んだところもあったので、盛り上がりがないような試合をしてしまいました」
──端から見た勝手な印象ですが、そもそも性格的に「ガーッといくぜ!」という感じではないように見受けられるんですが……。
「それもありますね。今までは相手が来るのに合わせて試合をしてたんですけど、それだと結局今までと同じような試合になってしまうので、もっと自分からガツガツ圧力をかけていかないとというのが、今後の課題ですね」
──ただ、それってけっこう根本的なところなのでは?
「そうっすねえ…。性格からくるところなので、そんなにすぐは変われないかもしれないですけど、今回は今までと違う戦い方、自分からプレッシャーをかける戦い方を意識して練習しているので、ちょっとずつ変わっていこうかなと思ってます」
──今回、王座決定戦という部分は大きいですか?
「そこまで気にしているわけではないんですけど、自分が獲らないと面白くないと思うので、しっかり獲っていこうと思います」
──その相手が、プロ3戦目の久井大夢選手です。改めて、プロ3戦目の選手と王座を争うことになった気持ちというのは?
「ホントに、タイトルマッチという感じがあんまりしないんですよね。まあでも、強い人が勝つ世界だし、自分がチャンピオンになってどんどん強い人と戦っていけば『ああ、やっぱりアイツがチャンピオンだな』ってなると思うので。チャンピオンになってもどんどん試合していきたいと思っているので、それの一つという感じですね」
──対戦が決まる前、久井選手のことは認識してましたか?
「全然してませんでした。『KNOCK OUTのスーパーフェザー級は選手がいないな』としか思ってなかったので」
──アマチュア3階級制覇、プロデビューから連続KO、そして10代という若さも買われての大抜擢ですよね。
「そういう点で、違う意味のプレッシャーもありますけど、自分の先輩なんかは落とせない試合とか大事な場面では必ず勝っている姿を見ているので、やっぱり誰と組まれても勝つという姿は一番大事ですよね。だから相手が若いからとかキャリアがどうこうというのは、あんまり関係ないですね」
──では、この試合の一番のテーマは?
「魅せる試合をするというのが一番ですね。次の大会は5Rの試合が多くて、なるべく短い時間で終わった方がいいだろうなとも思うので。5Rまではかけないつもりでいます」
──それはイコール倒すということだと思いますが、倒し方も用意している?
「それは言えないですけど(笑)、まあ自分が負けてるところもないと思うので、潰して潰して、最後倒せたらいいかなと思います。何で倒すかはその時の流れで」
──今、他団体のタイトルも持っている状態です。それがあるのとないのとでは、気持ち的に違いますか?
「そんなに気にしてはいないですけど、自分が負けちゃうと、今まで戦ってきた相手も負けることになるじゃないですか。全部背負って戦っていくつもりなので、そう考えると負けられないですよね」
──そういう面でも意識が変わってきた?
「はい、そうですね。今まで何も考えずに試合してきたみたいなものなので」
──言い切った!(笑)ここまで15戦10勝2敗3分と、勝率はいいじゃないですか。何も考えなくてもそんなに勝てるものなんですか?
「この前の試合もそうだったんですけど、『ポテンシャルで勝ったようなもんだね』ってよく言われるんですよ。なので、もっとちゃんと細かいところをやった方が勝ちやすく、倒しやすくなるよと周りからはずっと言われてて。でも、『あんまり考えすぎてもしょうがない』って自分で勝手に吹っ切れて、自由に戦ってたんで。今回はちゃんと1Rから作戦を考えて戦おうかなと思ってます」
──でも、練習が嫌いというわけではないんですよね?
「そうですね。でも山口元気会長からすると、自分は練習量が少ないって言われますね。自分ではやってるつもりだったんですけど。今回はそこを変えるために小笠原瑛作さんとつきっきりで練習してるんですよ。最低限、チャンピオンと同じだけ練習すれば自分もそこまで行けるかなと思ってるんで」
──小笠原瑛作選手は、それこそ練習熱心で有名じゃないですか。
「はい、人が見てなくても黙々とやれるタイプなので。そこに乗っかって、自分も便乗してます」
──便乗(笑)。
「やっぱりそうするとキツいんですよ。今まで自分はプロ練習の時間しかやってなかったんですけど、瑛作さんはそれとは別に朝練とかラントレとかもやっていて、そこにも参加させてもらったので。そうなると疲れも溜まったり、違う筋肉を使ったりというのもあるので、参考になりますね」
──ようやくたどり着きましたか(笑)。
「今までは何となく勝っちゃってたので、甘かったですよね(笑)」
──でもそれは、ポテンシャルに恵まれているということでもあるので、そこに努力がもっと加われば、大変なことになるのでは?
「まあそうですね(笑)。勝っても負けても努力を続けないといけないというのは分かったので、そこは意識していきます」
──ところで、改めて『KNOCK OUT』の王座に関してはどう思っていますか?
「やっぱり目指してたベルトなので。ちょっとタイミングが早いかなとは自分でも思ったんですけど、ここで勝ってまたいろんな相手に勝ち続ければ、みんな認めてくれると思うので。とりあえず1戦1戦やって、ベルトを守っていきたいです」
──今回は新しい新田選手が見られそうですね。
「はい、倒しちゃうかもしれないので、期待しておいてください」
──あれ? 「倒しちゃうかもしれない」って、さっきは『なるべく時間をかけずに』って言ってませんでしたっけ?
「ハハハハ。まあホントに、チャンスがあれば狙っていきますんで」
──では最後に、当日の試合で特に注目してほしいポイントはどこでしょう?
「今回は…前回、『ミドルを蹴りまくる』と言ってて全然蹴らなかったので…」
──確かに!
「じゃあ今回は、削って削って倒すので、そこに注目してほしいです。最後は倒すので」
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久井「お父さんが持っていたベルトを今持っている選手で」
プロデビュー3戦目でのタイトルマッチ抜擢で、勝てば新記録となる超新星は、キャリアで上回る新田を相手にしても臆するところは一切ないようだ。その自信の言葉をどうぞ!
──少し前になりますが、9月大会でのプロ第2戦、向井貫太戦を今振り返ると?
「うーん…内容はよくなかったし、倒せたという結果だけでしたね。全然納得いってないです。対戦相手のやりづらさとかもあったし、倒しにいこうとしすぎたのもよくなかったですね」
──向井選手のムエタイスタイルがやりづらかった?
「そうですね。メッチャやりづらかったです。まあ、いろんなタイプと試合できるというのはいいんですけど」
──とは言え、デビューから2戦連続KOで、次が王座決定戦になりました。カード発表会見では相手の新田宗一朗選手とも顔を合わせましたが、印象はどうでしたか?
「もともと持っていた印象からは変わらないですけど、『勝って当たり前』みたいなことを言っていたので、ナメてんのかなというのを感じました」
──イラッときた?
「まあ、多少は。結果で返すしかないかなと思ってます」
──新田選手からすると、自分はベルトも持ってるし、戦績も全然違うので、そう思うのも当然かなという気もします。『そういう試合』であるということについては?
「キャリアとかだけで言うと、前の試合も相手は10戦ぐらいしてましたし、キャリアどうこうみたいなのは考えてないですね。相手の方が格上と見られてると思うんですけど、キャリア関係なく倒したろうかなと思ってます」
──改めて、新田選手の試合での印象と警戒するところは?
「お父さん(久井淳平=元イノベーション・スーパーフェザー級王者)が持っていたベルトを今持っている選手で…お父さんを抜かすという意味でも、倒したいなと思っています。警戒するのは一発のヒジぐらいですかね。止められて終わりとかなったらイヤなんで」
──新田選手も向井選手同様、やや掴みづらいタイプかなと思います。向井戦の経験も踏まえて、どう考えていますか?
「新田選手の対策はけっこうしてるんで、捕まえて倒す自信はあります。判定は考えてなくて、KOで倒せるかどうかというところを考えてます」
──タイトルマッチというところは意識しますか?
「モチベーションは上がりますけど、いつも通りやるだけかなと思ってますね。タイトルマッチだからどうこうというのは、特に考えてないです」
──お父さんからはどんなことを言われていますか?
「2人で練習をしているので、絶対獲るという気持ちでやってます。技術的なことでは、やっぱりヒジを警戒しろというのは言われてます」
──プロではREDルールは初めてですよね。自分が出すということも含めて、ヒジについては?
「もちろん練習もしてますし、ヒジの戦い方というのもあるんかなとは思ってます」
──今回は初のタイトルマッチ、初のREDルール、初の5R戦と、初めて尽くしですが、不安はないですか?
「不安は別にないですね。逆に、相手は3Rより5Rの方が後半バテてくると思うんで、そっちの方がいいかなと。自分は疲れない練習をしてるんで、そこは自信ありますし。
──では、「ヒジをもらって止められてしまう」以外に死角はない?
「あとはラッキーパンチぐらいですかね。背も高いしやりづらいかなとは思うんですけど、それぐらいです」
──実際、こんなに早くタイトルマッチのチャンスが来るとは思ってなかったですよね?
「そうですね。やるとしてももうちょっと後かと思ってました。ビックリもしたし、絶対獲らなアカンなと思いました。何年かかってもチャンスを得られない人もいるのに、こんなに早くチャンスがもらえて、本当にうれしいです」
──お父さんからチャンピオンの心得みたいなものを聞いたことは?
「『チャンピオンになるヤツは何かある』みたいなことは、常々言われてます。今回タイトルマッチが決まって、さらに言われました。新田選手に関しては、戦ってみて何か感じるものがあるかなと思ってるんですけど」
──ということは、今は特に感じてない?
「今はそうですね。でももちろんナメてかかれへんし、しっかり戦おうと思ってます」
──チャンピオンベルトを巻いてるところを想像したりは?
「しますね。倒すイメージを作った後に、ベルトを巻いてマイクでしゃべってるところを想像したりはしてます」
──そこで話す内容も?
「はい、その内容ももう決めてます。あとは現実の試合で結果を残すだけですね」
──初タイトルが『KNOCK OUT』のタイトルになるというのは、想像していましたか?
「デビューした団体ですし、宮田プロデューサーにもよくしてもらっていて、違う団体に出ることは考えてませんでした。まあ、初のタイトルマッチがREDルールになるとは思ってなかったですけど(笑)」
──『KNOCK OUT』自体への印象は?
「いい団体やと思いますね。ベルトもカッコいいし、強い選手もたくさんおるし」
──チャンピオンになったら、その中に並ぶわけじゃないですか。どんなチャンピオンになりたいですか?
「やっぱり『最強』ですね。誰にも負けないような。天心とか武尊を超えるような選手になりたいです」
──その意味では、龍聖選手がそういう存在としても注目されています。彼のことは意識していますか?
「今はメチャメチャ目立ってるし、メチャ強いんで、意識はしてます。無敗でチャンピオンになってるし、超えていかなアカンなと思ってます」
──しかし3戦目でチャンピオンになれば、ある意味超えることになると思いますが。
「まあ、そうかもしれないですね」
──同時に、現在の『KNOCK OUT』では関西勢で初のチャンピオンということになります。そこについては何かありますか?
「ああ、そうですね。でもそこは特に気にしてないです。これまでプロも全部東京ですし、アマチュアの時から東京の試合の方が多かったので、アウェイ感とかもないです。前の試合も東京の選手が相手なのでもっとアウェイみたいな雰囲気になるのかなと思ってたんですけど、そんなこともなかったですし。今回も同じ感じでやれればいいかなと」
──勝ってベルトを巻くのに、最終的に必要なものって何だと思いますか?
「そこまでの過程で、ベルトにかける思いじゃないですかね。もちろんそれは勝っている自信があります」
──では最後に、今回の試合で一番注目してほしいポイントはどこでしょう?
「僕が倒す瞬間を見てもらえればと思います。絶対に倒すので。倒すパターンはいっぱい考えているので、その時の流れで倒します」