MMA
インタビュー

【ONE】青木真也を86秒、TKOしたイザガクマエフ「ONEと契約したときの目標は“アオキとエディ・アルバレスのような試合をすること”だった。ハビブやマカチェフは“何をすべきか”を知っている」

2022/11/21 13:11
 2022年11月19日にシンガポールで開催されたONE Championship『ONE 163』ライト級で、サイード・イザガクマエフ(ロシア)が青木真也(日本)に86秒 TKO勝ちした。  アジアにおいても加速する世代交代の波、そして市場が拡大し、急速にレベルアップするMMAのなかで、青木は水抜き禁止のONEライト級(※77.1kg)で、自身より大きなイザガクマエフに、圧力をかけられ、ケージを背にして敗れた。  MMA戦績を22勝2敗とした勝者は、試合後、青木戦の思い、ONE二階級同時王者のクリスチャン・リーとの対戦等について語り、元UFCパウンドフォーパウンド王者ハビブ・ヌルマゴメドフ率いるイーグル軍団の強さについても語った。  イザガクマエフは、ダゲスタンのハビブ・ヌルマゴメドフ軍団の一員。12歳で柔道を始め、コンバットサンボでロシア代表に。ノーギグラップリングにも取り組み、18歳からハビブの父、アブドゥルマナップ・ヌルマゴメドフの下で練習するようになった。  米国で戦うハビブについてアメリカンキックボクシングアカデミー(AKA)で北米ケージレスリングも習得。2012年からロシアの「Fight Nights Global」や「EFC」「ゴリラファイティング(※現イーグルFC)」等で活躍。2022年1月にONEデビューし、元LFA王者ジェイムス・ナカシマ、元UFCジャン・リーポン相手に連勝し、今回の青木戦を決めていた。  2020年7月のアブドゥルマナップ死去後にも、ハビブが率いる「イーグル軍団」のメンバーは、その遺志を継ぎ、世界のMMAで活躍。  UFCでは2022年10月にライト級でイスラム・マカチェフ(※今回イザガクマエフのセコンドについた)がシャーウス・オリヴェラを2R 肩固めに極めて世界王者に。今回のONEと同日に行われたBellatorでは、ウスマン・ヌルマゴメドフがパトリッキー・ピットブル・フレイレを判定で下し、Bellatorライト級王者となったばかり。  そのほかにもPFLではモヴィット・ハイブラエフがフェザー級2021優勝者となり、ACAでは“フロド”マゴメドラスル・ハスブラエフがフェザー級級王者に。BRAVE CFではハビブと幼馴染でアブドゥルマナップの指導を受けたエルダル・エルダロフがスーパーライト級王者としてバーレーンで活躍。  ウスマンの実兄で現UFCのウマル・ヌルマゴメドフ、アブバカル・ヌルマゴメドフもハビブの従兄弟で、UFC5勝2敗1分のズバイラ・ツフゴフ、大晦日のRIZINとの対抗戦でBellator代表として出場するガジ・ラバダノフ、PFLからBellator入りしたイスラム・マメドフも同軍団の一員だ。  世界を席巻するダゲスタンのアブドゥルマナップの“息子”たちは、メジャーの頂点を全制覇するのか。サイード・イザガクマエフの試合後の言葉を紹介したい。 [nextpage] 僕たちはこのスポーツにとても献身的なんだ ──86秒で青木真也選手をパウンドアウトしました。あんな風にレジェンドを倒した気分は? 「いつも言っているように、以前から『俺と戦いたい奴はみんなぶっ潰してやる』って言ってたし、この両拳で、俺と戦いたい奴なら誰とでも戦うつもりだった」 ──サブミッションでの勝利が当初の計画だったのでしょうか? 青木選手が打ち合ってきたことに驚きはありましたか? 「実際のところ打撃戦をする予定だったんだ。でも、最初の数分、僕がパンチを打ったとき、彼が少し震えているのを見て、僕は“彼をサブミットした方がいいか?”って考えた。でも“いや、このままフィニッシュしよう”ということでああいう結末になった」 ──青木選手のキックに下がらず、逆に圧力をかけて金網に追い込み、右オーバーハンド気味のパンチでダウンさせましたが、自分の打撃にどれほどの自信がありますか? 「MMAで10年やってきた、このスポーツのベテランらしくというか、とても自信がある。これまで24戦してきたし、ロシア最強の選手、そして、その一角をなす選手たちとも戦ってきた。打撃のみならず、レスリングでも世界最高峰のレスラーたちとずっと戦ってきた。そのことにより打撃力も増している。自分は未来のONE Championshipのチャンピオンだ」 ──現UFC世界ライト級王者のイスラム・マカチェフや、元UFC同級王者ハビブ・ヌルマゴメドフがいたことで、まるでキャリアで最大の戦いで、このようなパフォーマンスをすることができたと思いますが、実際どのようにサポートしてくれていたのでしょうか。 「この2人は、自分のキャリアにおいて、自分が人生で行うすべてのことのように、実際に多くの助けとなってくれました。自分の意見が彼らの意見と衝突することもありますが、彼らのアドバイスを聞くようにしています。というのも、彼らは大きなバックグラウンドを持っているので、“何をすべきかを知っている”からです。今までの人生で達成できたことは、すべて彼らのおかげです。そして、さっきも言ったように、これからも彼らについて行き、タイトルを、ベルトを手に入れるつもりです」 ──あなたやこのダゲスタンのチームが、今、アンストッパブルな状態にあるのは、なぜだと思いますか? 「そうですね、自分は信心深いので、宗教的な意味合いが強いというか。僕たちはこのスポーツにとても献身的で、一生懸命やってます。だからこそONEのチャンピオンになりたいと思っています」 ──では、次にタイトル挑戦は当然のように思えますが、クリスチャン・リーとのマッチアップについてはどう思いますか? 「言うまでもなく彼は偉大なチャンピオンであり、そうなる理由があると分かっているし、クリスチャン・リーは2階級チャンピオン(ライト&ウェルター級)だけど、自分はチャンピオンになるためにここにきた。ONEのベルトを手に入れるために。ONEと契約したとき、最初の試合(ジェイムス・ナカシマに2R ブラボーチョークで一本勝ち)はこの部門で最高のファイターの一人だったし、自分の実力は分かっていて、チャンピオンになれる資質があるとも自負している」 ──クリスチャン・リーはそのグラップリングにおいて、多くの賞賛を受けていますが、もし彼がグラウンドであなたとやりあったら驚かせることになると思いますか? 「クリスチャン・リーはアオキを倒すのに2ラウンドかかったが、自分は開始2分足らずだった。それが答えだ」 ──ウェルター級でのクリスチャンのパフォーマンスの印象はいかがでしたか? 「要するに自分が言いたいのはひとつで、彼が非常に戦術的に、そして非常に正しく勝利したということだけです。自分はあまりそこを追及したくない。自分はキャムラン(アバゾフ)を応援していたし、たしかに自分達は友達同士ですが、彼(クリスチャン)がベルトを持っているという事実だけがそこにあります」 ──そのクリスチャン・リーは「次に誰と戦いたいか」と聞かれ、は「イスラム・マカチェフと戦い、UFCとクロスプロモーションをしたい」と言いました。それに対しての返答はありますか? 「何と言えばいいのでしょうか? 彼は、彼が言いたいことを何でも言うことができるように、彼が望むことを望むことができる。でも、すべては団体の決定次第だし、自分を飛び越えて他の場所に行くことはできないだろう。彼は自分と向き合わなければならない。だから、彼が望むようにさせてあげましょう」 ──あなたはこれまでことごとく相手を打ち破ってきましたが、このまま全選手を一掃するつもりですか? 「そうですね。この団体で自分が一番だと証明することが目標で、ONEと契約したときの目標は“アオキとエディ・アルバレスのような試合をすること”だったし、他の(目標とする)選手も1~5人くらいはいる。でも、やはりそこは団体次第で、試合をさせてくれるだけでいいんだ。自分は対戦相手を選ぶつもりはないし、誰に対しても準備はできている」 ──今日はケージに2分もいなかったわけですが、どのくらい早くサークルケージに戻りたいですか? 状態としてはフレッシュなように見受けられます。 「はい、状態はそうですね。でもね、そう、前回の試合は40日前で、祈りのために起きたら、『アオキとやりたいか?』と連絡が来て、『やろう、準備ができている』と答えた。それでちょうど今この試合が終わって、今からほとんど同じことをする準備ができているような感じではある、たしかに。でも、2カ月間、家を空けてしまったんだ。だから少しは家にいて、家族と過ごしたい。今回、自分はたくさんのお金をもらえたから、少しは使いたいしね。そして、次に何が起こるかを見てみましょう。どうあれ準備はできています」 ──5万ドルは、とても嬉しいボーナスですね。このボーナスをどのように使う予定ですか? 「家に帰って、おもちゃ屋さんに行って、二人の息子に大きな赤い車を買ってあげようと思っています。この2カ月間、自分が家にいないとき2人は、『お父さんは帰ってこない、うそつき』みたいな感じになっちゃって。だからおもちゃをあげて、遊んで楽しんでもらいたい、早く家族のもとに帰りたいよ」 ──ぜひそうしてあげてください。では、最後にあなたの世界タイトルマッチを見たいと思っているファンにメッセージをお願いします。 「この試合に来てくれた人、観戦してくれた人、応援してくれた人、ロシアのダゲスタンの人、自分のキャリアをずっと応援してくれた人、ありがとうございました」
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