GLORY 82 PLAZIBATvs.CATINAS2022年11月20日(日)Maritim Hotel※U-NEXTでLIVE配信
▼第8試合 ヘビー級 3分3R○アントニオ・プラチバット(クロアチア/同級1位)=121.5kgKO 1R 1分44秒 ※右フック×ラウル・カティナス(ルーマニア/同級10位)=109.5kg
プラチバットは第1回K-1グランプリで優勝したブランコ・シカティックの弟子で、2017年11月の「K-1初代ヘビー級王座決定トーナメント」に初来日。1回戦でK-Jee、準決勝で上原誠に連続KO勝ちして決勝ではエル・ボウニに判定勝ちして初代ヘビー級王座に就いた。2018年3月の再来日ではロエル・マナートの挑戦を受けて初防衛戦を行ったが、判定負けで王座を失っている。2018年5月にはONEに参戦するも敗れ、2019年6月からはGLORYに参戦。7戦して6勝(3KO)1敗の戦績を収めている。特にここ3試合はいずれもKO勝ち。身長193cm。
(写真)2017年11月の「K-1初代ヘビー級王座決定トーナメント」で優勝、師匠でK-1GP初代王者のシカティックと勝利を喜ぶプラチバット カティナスは2009年3月にステファン・レコにKO勝ち、2010年5月にカーター・ウィリアムスにKO勝ちして同年10月の『K-1 WORLD GP 2010 IN SEOUL FINAL16』に出場するもマイティ・モーに判定負け。その後は『SuperKombat』などで試合を行い、GLORYには2021年9月に初参戦したがノーディン・マヒディンに判定負け。41勝(33KO)7敗の戦績を持つベテラン選手。耐久力とパワーパンチを持ち“鉄人”の異名がある。身長183cm。
場内にはプラチバットコールが起こり、カティナスのコール時にはブーイングが渦巻いた。カティナスはグローブタッチを拒否。
1R、カティナスが思い切った左フックを打ち、プラチバットはガードを固めて左ロー。カティナスは左インローを蹴り、低い体勢から右アッパーを突き上げる。さらに距離を詰めると左右ボディだ。プラチバットは左フックから右ロー。さらに左ボディから強烈な右フックでカティナスを下がらせる。
プラチバットの右ストレートがクリーンヒットし、一気にパンチをまとめるプラチバット。ワンツー、左右フックが当たる距離で連打してカティナスをロープに釘付けにすると、右ローも蹴る。そして左ボディからの右フック2発を打ち抜いてフィニッシュ。カティナスは失神して崩れ落ちていった。
マイクを向けられたプラチバットは「2Rまでに倒さないといけないと思っていた。ところでリコ、お前はどこにいるんだ? 次はお前だ!」と、現ヘビー級王者リコ・ヴァーホーベンとの対戦をアピール。10月にバダ・ハリを倒した現6位アリスター・オーフレイム、現2位のジャミール・ベン・サディックもリコとの対戦をアピールしており、GLORYのヘビー級戦線は混とんとしてきた。
[nextpage]
▼第7試合 GLORY世界ウェルター級王座決定戦 3分5R×アリム・ナビエフ(アゼルバイジャン/2位)=76.8kg判定2-3 ※48-47、47-48×3、49-46○エンディ・セメリア(キュラソー/3位)=76.1kg※セメリアが新王座に就く。
同級2位のナビエフは2010年10月にデビューし、2013年2月にチンギス・アラゾフに判定負けするまで11連勝を記録。その後は5連勝するがジャバル・アスケロフにKOで敗れた。アーメン・ペトロシアンやニキー・ホルツケンからも勝利を収めている。2018年6月には2012年・2013年グランプロロシアオープントーナメント優勝、2013年W5 -71kgトーナメント優勝、2016年にはWMC世界ライトヘビー級王座に就いている。GLORYには2017年10月から参戦し、6勝2敗。戦績は52勝(21KO)8敗を誇るサウスポー。
同級3位のセメリアは2016年キング・オブ・ザ・リングトーナメントで優勝すると、2017年からはEnfusionに参戦。2017年にはEnfusion -72.5kgトーナメントでジョーダン・ワトソン、ディオゴ・カラド、モハメド・カマル、そして決勝戦ではあのスーパーボン・バンチャメークに勝利して優勝した。GLORYには2022年9月に初参戦してシュコドラン・ヴェセリにKO勝ちして今回が2戦目。戦績は32勝(17KO)1敗で唯一の黒星は2019年2月にタイフン・オズカンに判定で喫したもの。
1R、ナビエフはジャブと前蹴り、セメリアは左ロー。右ストレートを伸ばしていくセメリアに、頭を左右に振るナビエフ。左右に構えをスイッチし、状態を激しく動かして前へ出るナビエフ。
2R、ナビエフは左ミドルからヒザ蹴り、さらに組んでのヒザ蹴り。セメリアは右ストレート、左フックを放っていくが、ナビエフがバックハンドブロー。独特のリズムで攻めるナビエフにセメリアはやりにくそう。左フックを打とうとしたセメリアへナビエフはヒザを顔面に突き上げる。
3R、ジャブで前へ出るセメリアをナビエフは捕まえてヒザ蹴り。左右に構えをスイッチしながら左右の前蹴りを出すナビエフは独特すぎる動きからヒザ蹴り、左ストレートを放つ。セメリアが右ストレートを繰り出すとカウンターのテンカオを合わせたナビエフ。セメリアは右ストレートを顔面、ボディへ打つが、ナビエフはすぐに動くためセメリアはコンビネーションを打つことが出来ない。
4R、セメリアは右ストレートで勝負をかける。積極的に左右フック、ワンツーを繰り出し、ナビエフはヒザで対抗。セメリアがワンツーをヒットさせると、すぐにナビエフもワンツーでヒットを奪い返す。このラウンドは右で攻めていったセメリアだが、ナビエフもヒザを突き上げて攻撃を続けさせない。
5Rもワンツーで前に出るのはセメリア。右アッパー、左フックも繰り出す。ナビエフはテンカオから組んでのヒザ蹴り。ワンツーで前に出るセメリアがナビエフを捉え始める。セメリアが右ボディストレートから左ボディ、ナビエフは頭を振ってパンチをかわしながら左右フックを繰り出す。しかし、ヒットを奪っているのはセメリアだ。最後にヒザから左右フックはナビエフ。
判定は3-2と割れ、勝者はセメリア。GLORY2戦目にして王座に就き、3度目の挑戦でもタイトルを獲得できなかったナビエフは悔し涙を流した。セメリアは「ナビエフはとてもタフだった。今回はメンタルが影響してよくない試合だった。それでも勝ててよかった」とナビエフを称えた。
[nextpage]
▼第6試合 ウェルター級 3分3R○ジョイルトン・ラターバッハ(ドイツ)=77kgKO 2R 0分38秒 ※右ストレート×マーク・トリスバーグ(オランダ)=76.9kg
ウェルター級では、MMAで36勝10敗1分の戦績を持ち6つのローカルタイトルを獲得したルターバッハがGLORYに初参戦。16勝(2KO)3敗の戦績を持ち、同じくGLORY初出場となるトリスバーグと対戦する。
1R、両者とも軽快なステップを踏みながら右カーフを蹴る。ラターバッハは右カーフを狙い撃ちにし、トリスバーグは早くもバランスを崩す。トリスバーグのヒザ蹴りに右フックを合わせ、グラついたトリスバーグに左右ストレートを打ち込んでダウンを奪う。ラターバッハはステップを止め、前に出て右アッパーから左フック、ワンツーから右アッパー、コーナーへ詰めてのラッシュで滅多打ち。さらに右カーフから飛びヒザ蹴りと圧倒した。
2Rもラターバッハは右カーフ。ロープに詰めたラターバッハが左から右ストレートをアゴに打ち込むと、トリスバーグはトップロープとセカンドロープに挟まれて立ったまま失神。ラターバッハが衝撃的なKO勝ちを収めた。
ラターバッハは「勝ちました。とても嬉しく思っている。この試合をとても楽しみにしていたんだ。柔術から始めてキックボクシングはまだ始めたばかり。全ての競技でタイトルを獲るつもりだ」と、MMAに続いてキックボクシングでもタイトルを狙うとし、4週間後にはMMAの試合があると告げた。
[nextpage]
▼第5試合 ライト級 3分3R×イタイ・ガーション(イスラエル)=69kg判定1-4 ※28-27×1、27-28×4○シハード・アキパ(ドイツ)=69.9kg
ライト級5位で17勝(6KO)5敗1分のガーションは初参戦の地元ドイツ人選手アキパと対戦。イスラエル人初のGLORY契約ファイターのガーションが登場すると、場内はブーイングに包まれる。両者の身長差は14cmでアキパが上背で優る。
1R、アグレッシブに攻めていくのはサウスポーのガーション。左ミドル、左インロー、左フックからの右フックを返す。アキパはジャブと前蹴りで距離を取ろうとしたが、その前蹴りをキャッチしたガーションがすかさず左フックを打ち込んでダウンを奪う。ガーションが左ミドルから左右のヒザ蹴り、パンチをまとめて打つ。
2R、ガーションは後ろ蹴りを繰り出し、左のスイングの大きいフックでアキパを脅かす。リーチ差を全く感じさせない入り方の上手さを見せるガーションが左右フックを当てていき優勢。しかし、ラウンド終了直前、アキパは前蹴りの空振りからの左フックでダウンを奪い返した。
3R、ワンツー・ローのアキパにガーションは組み付くが、アキパはヒザを蹴る。右ローを集中的に蹴るガーションにジャブ、右フックをしっかり当てていくアキパへガーションは後ろ廻し蹴り。さらに首相撲でアキパをひっくり返す。ガーションの右ローを嫌がるアキパだが、最後は左右フックで勝負を仕掛けガーションも打ち合う。
両者ともコーナーに登って勝利をアピールし、判定は4-1でアキパ。ライト級1位のストヤン・コプリヴレンスキーとの対戦をアピールした。
[nextpage]
▼第4試合 ヘビー級 3分3R○ジャーファー・ウィルニス(オランダ)=110.3kg判定5-0 ※29-28×3、30-27×2×ミハウ・ブラウジェヴィチ(ポーランド)=115.2kg
ウィルニスは2010年3月デビューのベテランで、ジャマル・ベン・サディック、ヘスディ・ゲルゲス、ベン・エドワーズらに勝った戦績が光る。2015年に『Kunlun Fight』スーパーヘビー級トーナメント優勝、2016年2月にはEnfusionヘビー級王座を獲得。近年は黒星が込んでおり、GLORYでの戦績は7勝(3KO)8敗。通算戦績は32勝(8KO)13敗1分。対するブラウジェヴィチは11勝(5KO)1敗の戦績を持ち、GLORYには初参戦。
1R、ガードを高く上げて前へ出るのはウィルニス。ブラウジェヴィチはジャブ、右ローを出しながら左へ回り込んでいく。ウィルニスも左フックから右ロー。前へ出るウィルニスは右ロー、左ボディを繰り出すが、ブラウジェヴィチも左右ボディを返す。
2R、ブラウジェヴィチが左右ボディから左フック、ウィルニスは左フック、右ローから意表を突く左飛びヒザ蹴りをクリーンヒットさせる。ウィルニスはガードの隙間を縫うような右アッパー。ブラウジェヴィチは左右ボディからの右ローで応戦。フック、アッパーを上手くブラウジェヴィチのガードの隙間から入れていくウィルニス。
3Rも前に出るのはウィルニス。右ストレート、右アッパー、そしてヒザ。互いにボディを打ち合う両者はかなり消耗してきたか、動きが緩慢に。しかし、ウィルニスは変わらず前へ出る。ウィルニスは飛びヒザ蹴り、右ハイキック、打点の高いヒザを突き上げて優勢を印象付ける。最後は右ローを蹴って試合終了。
判定は5-0でベテランのウィルニスが嬉しい勝利。「3年近くぶりにGLORYに戻れて嬉しい。新しいジムは最高だ。コーチも環境もね。次の相手は誰でもいいよ」と、まだまだ頑張って行くと語った。
[nextpage]
▼第3試合 ミドル級 3分3R○セルカン・オズカグライヤン(トルコ/同級2位)=83.4kgTKO 3R×ジュリ・ド・ソーサ(ポルトガル/同級10位)=84.7kg
オズカグライヤンはK-1ヘビー級で活躍したグーカン・サキの従兄弟。40勝(34KO)7敗という戦績を持ち、10月の『GLORY COLLISION 4』でシーザー・アルメイダに敗れてからの再起戦となる。サウスポー。
ソーサは8月にGLORY初参戦でGLORYミドル級王者ドノバン・ウィセに挑戦したが判定で敗れた。戦績は43勝(20KO)7敗1分。
1R、始まってすぐにオズカグライヤンの右フックからの左アッパーでソーサがダウン。オズカグライヤンは長いジャブから前へ出て接近するとヒザ、左ボディ。ソーサはロープを背負いながら両腕ブロックをガッチリと固め、右のカウンターを狙う。左のガードが低いオズカグライヤンに右フックを狙い撃ち。左ミドルを蹴っていくオズカグライヤンだがソーサも右ミドルを蹴り返し、飛びヒザ蹴りを発射。
2R、、ソーサの左フックがいきなりヒット。オズカグライヤンもすかさず打ち返す。オズカグライヤンの左ストレートをダッキングでかわすソーサ。オズカグライヤンの左フックがクリーンヒットし、ソーサがグラつく。一気にパンチをまとめたオズカグライヤンが右アッパーでこの試合2度目のダウンを奪う。立ち上がったソーサは左フックを引っかけてのヒザ蹴り。オズカグライヤンは左ストレートからのヒザ、ソーサが右フックを打ち返してくるところへオズカグライヤンが左フックを浴びせてまたもダウンを奪う。
3R、GLORYルールでは1試合で4度のダウンを喫するとTKOとなるため、もう後がないソーサ。前に出てくるソーサにオズカグライヤンが右フック、下がると飛びヒザ蹴り。ソーサもダッキングで空振りさせての左フックを返す。オズカグライヤンの左フックにソーサが頭を下げたところへ、オズカグライヤンが左ヒザを顔面に突き上げ、ソーサが仰向けにバッタリと倒れる。
4度目のダウンを奪ったオズカグライヤンのTKO勝ち。「とてもいい気分だ。チャンピオンになることが目標だ。5Rだ、次はベルトだ。契約書にサインしてくれ」とタイトルマッチをアピールした。
[nextpage]
▼プレリム第2試合 フェザー級 3分3R○デニス・ウォシク(ドイツ/同級7位)=64.6 kg判定5-0 ※28-27、30-27×4×モハメド・エル・メスバヒ (モロッコ)=63.2 kg
36勝(9KO)8敗1分のウォシクは8月にRISEライト級王者・直樹からダウンを奪って勝利している。対するメスバヒは9勝(4KO)1敗で今回がGLORY初参戦。
1R、圧をかけて前に出るウォシクに対し、メスバヒは飛び二段蹴りと前蹴りを多用する。ウォシクは良く伸びる右ストレートと右ロー。近距離で左右フックを回転させて左ボディを叩くウォシク。最後に飛びヒザ蹴りから左右フックをまとめたウォシクが優勢を印象付けたが、オープンスコアは3-2でメスバヒが優勢に。
2R、ウォシクは鋭いジャブで前へ出ていき、メスバヒをロープに背負わせて左ボディ、右アッパーから右ストレート、さらにヒザ蹴り。メスバヒは前蹴りで距離をとろうとするが、ウォシクは右アッパーで相手の顔を上げさせて右ストレートと左右フック。接近戦でパンチを回転させたウォシクが5-0をマーク。
3R、メスバヒは前蹴りと左三日月蹴りでウォシクを止めにかかる。ウォシクはワンツーを放って飛びヒザ蹴り。右アッパーからパンチをまとめるウォシクにメスバヒはヒザ蹴りで応戦、近付いてくるウォシクへワンツーを打つメスバヒ。
ハンドスピードを存分に発揮したウォシクが判定5-0でGLORY2連勝を飾った。
[nextpage]
▼プレリム第1試合 フェザー級 3分3R○アフマッド・チク・ムサ (ドイツ/同級8位)=64.9 kg判定5-0 ※29-28×2、30-27×3×モハメド・エル・ハムティ (モロッコ)=64.8 kg
ムサは65戦(56勝8KO8敗1分)もの経験を持ち、ハムティは7戦全勝(4KO)。共に22歳。
1R、両者ともガードをガッチリと固める。圧をかけるのはムサ。ハムティにロープを背負わせて左ボディを叩いて右ロー。ハムティは時折スイッチして距離を詰めるムサに左右フックを返す。ムサはロープに釘付けにしての左右フックと左アッパーからの左ボディ、さらにヒザ。ムサのペースで進んだ。
2Rも距離を詰めてくるムサに、ハムティはサウスポーにスイッチして右アッパーをねじ込む。圧をかけるムサは左ボディと右ローを主軸に左右フック&アッパーを入れていく。ハムティは離れたいがコーナーに詰まる。同じくフック&アッパーを返していくが、ムサが手数で圧倒。
3Rはハムティが左右フックとボディで先手を取るが、すぐにムサの圧でロープを背負う。ムサの右フックがクリーンヒット。パンチからロー、さらにボディへヒザと多彩な攻撃を見せるムサ。ハムティも打ち返すがロープを背負ってムサのパンチとヒザを浴びる。ムサの左右ボディに左右フックを返すハムティ。しかし、ムサの技の回転が圧倒的。
終始圧をかけて攻めに攻めたムサが判定5-0で勝利。ハムティに初黒星を付けた。試合後のマイクアピールではGLORYフェザー級王者ペットパノムルンに「待ってろよ」と宣戦布告した。