2022年12月3日(土)エディオンアリーナ大阪『K-1 WORLD GP 2022 JAPAN』にて、フェザー級3分3R延長1Rで対戦する斗麗(WIZARDキックボクシングジム)と玖村修平(K-1ジム五反田チームキングス)のインタビューが主催者を通じて届いた。
斗麗はオランダの名門Mike's Gymでも練習を重ね、2018年12月に16歳の若さでプロデビュー。2021年2月に6戦無敗でKrushフェザー級王者・新美貴士に挑んだが、判定で初黒星を喫した。今年8月の「K-1フェザー級世界最強決定トーナメント」では1回戦で第4代K-1フェザー級王者・椿原龍矢を判定で破り、準決勝ではワン・ジュングァンにも判定勝利して決勝へ進出したが、軍司泰斗にKOで敗れ準優勝に終わっている。戦績は11勝(4KO)3敗。
玖村は2017年6月にNJKFバンタム級王座を獲得。2018年6月からK-1 JAPAN GROUPに参戦し、2020年11月の「第5代Krushフェザー級王座決定トーナメント」では準決勝で新美貴士に敗れて涙をのんだ。今年2月に第2代Krushフェザー級王者・小澤海斗に勝利、そして5月には新美貴士を破りKrushフェザー級王座を奪取。8月の「K-1フェザー級世界最強決定トーナメント」では1回戦でジャオスアヤイをKOしたが、準決勝で軍司にKO負けを喫した。戦績は19勝(9KO)10敗1無効試合。
共に王者・軍司を追随するフェザー級トップクラス同士の対戦となった。
斗麗「今の自分がどのくらい強くなったかを確かめたくてオランダに行った」
――8月のフェザー級世界最強決定トーナメントが終わったあと、オランダのMike's Gymに練習に行っていたそうですね。
「15歳の時に初めてオランダに行って、あれから今の自分がどのくらい強くなっているのかを確かめたかったし、また一からやりなおそうと思ってオランダに行きました」
――現地ではどういう練習をしていたのですか?
「基本的には対人練習がメインです。オランダには何度か行ってるんですけど、日本語が通じないので、同じような練習でも普段とは雰囲気も違って、初心を思い出しましたし、懐かしさも感じました」
――オランダでの練習で自分の成長を感じることはできましたか?
「当時は全員にボコボコにされてましたけど、今回はチャンピオンクラスの選手にしかやられなかったので、自信がつきましたね」
――現地に行ってみないと分からないことも多かったですか?
「そうですね。僕もキャリアを積んで、日本にいて練習でボコボコにやられることってほとんどないんですよ。でもオランダに行くとトップ選手にはボコボコにやられる。だから『やられてもいいから、一発でも当ててやろう』という気持ちでスパーリングするんです。こういう気持ちを思い出すのは大事だと思うし、自分にとってもめっちゃいい練習になりました」
――今大会ではトーナメント3位の玖村修平選手と対戦することになりました。
「フェザー級のトップ選手とは一通りやっているので、次は玖村選手とやるんかなと思っていました。逆に玖村選手以外で相手はいないと思っていました」
――対戦相手として、どんな印象を持っていますか?
「アグレッシブで気持ちが強い選手だと思います。でもいつもの自分のスタイルとオランダでやってきたことをミックスして戦えば、自ずと差がつく試合になると思います」
――今大会ではフェザー級の試合が4試合並んでいますが、そこは意識していますか?
「自分はそっちは見てないですね。自分の試合とパフォーマンスに集中すれば、結果も内容もついてくると思っています」
――今年最後の試合になると思いますが、この試合の先にどんなものを見据えていますか?
「ちょっと前に20歳になったんですけど、来年こそK-1のベルトを獲りたいですね。そのためにも今回は負けられないです」
――斗麗選手は現K-1王者の軍司泰斗選手と2度対戦していますが、軍司選手と拳を交えてどんなことを感じましたか?
「4月にスーパーファイトでやった時(延長判定1-2で敗れる)は、正直いけると思いました。でも8月にトーナメントの決勝でやった時(1RKO負け)は腹の括り方が違うなと思って。4カ月で技術が劇的に変わることってないと思うんですけど、そういうところで差がついたかなと思います。だから自分もそういう部分でも成長して、ベルトを獲りにいきたいです」
――京都出身・在住の斗麗選手にとっては地元・関西での試合ですが、どんな試合を見せたいですか?
「大阪は会場まで車で行けるのでうれしいです(笑)。普段会場に見に来られない人たちも応援に来てくれるので、そういう人たちにもいい試合と勝つ姿を見せたいと思います」
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玖村修平「ここで斗麗選手に勝てば軍司選手に近づけるし、負ければ下からのやり直し」
――地元・大阪でのK-1出場が決まりました。
「去年の大阪大会でKO勝ちできて、地元の人たちから『来年も大阪で試合をしてほしい』という声がたくさんあったので、実際に試合が決まってうれしいですね。普段は東京で、前回も福岡だったので、なかなか地元の人たちに試合を見せる機会がないので、大阪大会は気持ちが入ります」
――大阪大会は他の大会以上の熱を感じますか?
「そうですね。僕もK-1で試合をやらせてもらうようになって、地元の知り合いで『この人もK-1好きだったんだ!』と気づくことも多くて、大阪のK-1熱・格闘技熱を感じます」
――玖村選手自身も昨年の大阪大会から変わったように思うのですが、ご自身ではいかがですか?
「去年の大阪大会で才賀(紀左衛門)選手にKO勝ちするまでは勝ったり負けたりが続いていたんですけど、才賀選手に勝ってからKrushのベルトも獲って、一気に格闘技人生が変わった印象があります。ちょうど1年ぶりの同じ大阪大会なので、さらにここから上に行くきっかけを掴みたいです」
――玖村選手は自分で何が変わったと思いますか?
「練習で積み重ねてきたことが試合に出るようになったと思います。才賀選手とやった時、負けたらやめる覚悟だったんで、生活面からすべてを変えて試合したんです。それでああいう勝ち方ができて、格闘技に対する向き合い方が変わりました」
――8月のフェザー級世界最強決定トーナメントは1回戦でジャオスアヤイにKO勝ち、準決勝では軍司泰斗選手にKO負けという結果でした。あのトーナメントを振り返ってもらえますか?
「K-1ファイターである以上、トーナメントでも勝たなければいけなくて、1日3試合やるのは大会中の調整が難しいなと思いました。軍司戦については、1Rは軍司選手の勢いがあると思ったんで、2Rから盛り返して3Rに倒すプランだったんです。そうさせなかったのはチャンピオンの強さだと思いました。ただ完全にKO・倒されたわけじゃないし、まだ止めてほしくなかったという気持ちもあったんで…。たら・ればで話すのは嫌なので、また軍司選手と戦えるように、結果を出していきたいです」
――斗麗選手にはどんな印象を持っていますか?
「トーナメントの決勝まで勝ち上がった選手で、若いのに経験豊富でテクニックもあるバランスがいい選手だと思います」
――その斗麗選手相手にどう戦おうと思っていますか?
「テクニック勝負する気はないので、1Rから気持ちでガンガン行きたいと思います。勝ちに対する貪欲さもそうですし、K-1に対する気持ちもそうですし、そこは誰にも負けないと思います」
――トーナメント準優勝の斗麗選手と3位の玖村選手の試合ということで、この試合で勝った方が王座挑戦に前進すると思います。
「そういう意味でも戦いたかった相手ですし、軍司選手にやり返したい気持ちは僕も斗麗選手も同じだと思います。ここで勝てば軍司選手に近づけるし、負ければ下からのやり直しなので、お互いに負けられない気持ちと気持ちの勝負になると思います」
――今大会は玖村兄弟で初めてK-1大阪大会揃い踏みとなります。
「兄弟で注目されるのは嬉しいんですけど、僕としては将史と間違えられたり『THE MATCH 2022に出てた選手のお兄ちゃん』と言われたりするのが悔しいんですよ(苦笑)。大阪大会には兄弟で出るので、弟よりもインパクトを残したいし、そことも勝負だなと思っています」
――なるほど。玖村選手にとって地元・大阪からの再出発、何が一番の原動力・エネルギーになっていますか?
「繰り返しですが、斗麗選手は僕が勝ち上がっていれば決勝で戦っていた相手ですし、その選手と試合を組んでもらったので気持ちが落ちることはないです。むしろトーナメント以上に気合いが入っていますし、この試合で軍司選手に近づけるかどうかで人生が変わると思うので、今回も人生をかけて挑みたいと思います」