ボクシングからキックボクシングに戻って来た鈴木千裕の兄・宙樹
2022年10月16日(日)東京・後楽園ホール『KNOCK OUT 2022 vol.6』にて、西岡蓮太(龍生塾)とKNOCK OUT-BLACK -64.0kg契約3分3R延長1Rで対戦する鈴木宙樹(クロスポイント吉祥寺)のインタビューが主催者を通じて届いた。
鈴木は右ストレートに必殺の威力を秘めたホープとして、2019年6月に11戦無敗のままREBELS-BLACK 60kg級王座に就いた。8月には元WBCムエタイ日本統一スーパーフェザー級王者・琢磨も初回TKOに破り、2020年2月にはピラオ・サンタナ(ブラジル)に判定勝ちして初防衛に成功。弟の鈴木千裕と共に“倒し屋兄弟”として注目を集めるも、13勝(8KO)無敗の戦績を残してボクシングに転向。2021年12月にプロデビュー戦を行って初回KO勝ちを収めたが、今回キックボクシングに復帰することとなった。
キックボクサーにはないパンチをこれからどんどん出せていくと思う
──9・23後楽園大会ではリング上で挨拶されましたね。「東京のジャスティン・ビーバーです」という自己紹介が…。
「ウケなかったですね…。言わなきゃよかったと思いました(笑)。でもあの後、会場で何人かからは『ジャスティンさんですよね』って声かけてもらえましたし、ツイッターでも『ジャストさん』って書かれてたのをいくつか見かけたので、よかったかなと思ってます。なので、これからも『東京のジャスティン・ビーバー』で貫き通そうかなと」
──「戦うジャスティン・ビーバー」ってとこですかね。9月13日の記者会見で復帰と対戦カードが発表され、リング上から挨拶も行って、反響はどうでしたか?
「ボクシングからいきなり復帰するということで、いろんな声もあるんですけど、温かい言葉をいろんな方からいただいて、今はいい意見だけ聞いて励みにしています」
──以前の鈴木選手の試合を知っている人も知らない人も、「どんなもんなんだろう?」という目で見る人が多いと思います。そういう中で試合をするというのも、ちょっと新鮮なのでは?
「そうですね。もしずっと続けていたとしても僕はずっとチャレンジャーなんですけど、今回、西岡選手との試合が決まって、よりチャレンジャー、挑戦者という気持ちで挑めるかなと思っています。『無敗だから』とかの変な気負いもなく、今はいい状態で臨めている感じがしますね」
──もう試合が近づいてきましたが、最近の練習状況はいかがですか?
「記者会見があってさらに気合いも入りましたし、モチベーションが高い状態で試合ができていて、しっかりといいリズムで試合に向けての準備ができてますね」
──記者会見の段階では、「蹴りがまだ4割程度しか戻っていない。パンチで勝負したい」というお話でしたが、今は?
「正直、まだしっかり蹴れているという実感はないんですよね。試合までもうあまり時間はないですけど、以前みたいに蹴れるように調整していきたいとは思ってます。キックボクシングだから蹴りから組み立てられれば一番いいんですが、現状ではパンチがメインになっちゃうので、パンチを中心に、そこでしっかり圧倒できるように組み立てていきたいと思ってます」
──それは、以前のキックの試合での感覚とも違うでしょうし、もちろんボクシングで1試合された時とも違う感覚だと思いますが……?
「そうですけど、キックボクサーにはないパンチをこれからどんどん出せていくと思うので、そういう点ではいい意味で噛み合わない感じで攻撃が出せると思うんですよね。そこで圧力をかけて相手を呑み込めたらと思っています」
──では今は、キックボクシングに順応しようとしているというわけでもない?
「そうですね。特に今回は時間もあまりないので、無理に順応しようというつもりもあまりなくて。蹴りもしっかり使おうとは思ってますけど、『元ボクサー』の自分を見せられるように、パンチを多用して攻めていきたいです」
──西岡選手にとっては、鈴木選手がボクシング転向する以前の試合を見て対策するしかないと思います。それだとかなり違うぞという感じになる?
「そうだと思います。昔とはいい意味で全然違いますし、西岡選手にとっては研究材料がない状態だと思うので、西岡選手の考えないところを突いていきたいです。逆にそうしないと、キックのテクニックとかでは勝てない相手だと思うので」
──9月の後楽園大会は、「次は自分がこのリングに上がる」という意識で見られたんじゃないかと思うんですが、その意味ではいかがでしたか?
「すごくモチベーションが上がりましたね。小笠原瑛作選手の試合もセコンドについたので目の前で見て、早くリングに戻りたいなという気持ちが湧いてきたし、その後の練習のモチベーションも上がりました」
──同大会では他にも龍聖選手もいい勝ち方でしたし、メインでは良太郎選手という新チャンピオンが誕生しました。彼らは鈴木選手にとって、これから『KNOCK OUT』を盛り上げていく仲間でもありライバルでもあると思うんですが、その点では?
「今、そうやって『KNOCK OUT』を引っ張ってくれている選手たちがいるところに僕が復帰して、僕は一番いいポジションにいられていると思うんですよね。今、『KNOCK OUT』のトップ選手は同門の瑛作さんだと思ってますけど、その瑛作さんにも僕は負けるつもりもないですし、彼にはないものを僕は持っていると思うので、そこで引っ張れたらと思っています」
──この先には、来年3月に代々木第二体育館大会というビッグマッチも控えています。その点でも、ここで復帰第1戦というのはいいタイミングですね。
「そうなんですよ! 本当にいいタイミングでキックボクシングに戻れたなって思ってます。今回しっかり勝って、代々木大会でも僕がメインイベントを持っていきたいので、本当にここはいい勝ち方をして、次につなげたいですね」
──もちろん今回勝つことが前提ですが、目論見としては、今回10月に復帰戦、12月ぐらいにもう1試合、そして3月の代々木……という感じですか?
「いや、僕は試合間隔をあけずにどんどんやりたいタイプなので、チャンスがあったらどんどん試合に出て、試合勘を戻して3月につなげたいですね。可能なら、10月、11月、12月と3試合連続でもいいぐらいです」
──そうですか! そのためには勝つだけでなくケガなく乗り切る必要もありますね。
「はい。そうできる自信もあるし、勝ち方ももちろん大事だなと思っているので、そこも含めて練習でも頑張ってます。しょっぱい試合をしてしまうようなら、やる意味がないですし、みんなが楽しんでくれる勝ち方をしたいです」
「いや、僕は弟みたいに体が強い方ではなくて、あんな勝ち方はできないので、違うやり方でいい試合を見せたいと思ってます。完封してしっかりと魅せて、最終的にはKOにつなげたいです」
──テクニカルな面も見せたいと。
「そうですね。僕にしかできない戦い方があると思うので、短時間でバッと決着をつけるような勝ち方は弟とか龍聖選手に任せて、僕は彼らにはないところで盛り上がる試合をできればいいなと思ってます」
──TOKYO MXでのレギュラー番組『KNOCK OUT STYLE』もちょうど始まりましたしね。
「1回目を見ました。僕も撮影をしていただいたんですけど、知名度を上げるチャンスだなと思いました。そういうものもしっかり利用して、自分の知名度はもちろん『KNOCK OUT』の認知度も上げられるいいチャンスだなと思います。本当に全てのタイミングがバッチリなので、あとは試合に勝つだけです」
──では最後に、今回の試合で一番注目してほしいポイントはどこでしょう?
「これからの『KNOCK OUT』を引っ張るスター選手が現れる瞬間を見てもらいたいので、皆さんには僕の実力に注目してほしいです。「鈴木宙樹が戻ってきたぞ」と思ってもらえる試合をします」