実直でお茶目な面も見せるスーチョル
2022年9月25日(日)さいたまスーパーアリーナ『超RIZIN/RIZIN.38』に出場する全選手の個別インタビューが23日(金)、都内にて行われた。
午後の部の『RIZIN.38』第4試合のバンタム級(61.0kg契約)5分3Rで、扇久保博正(パラエストラ松戸)と対戦するキム・スーチョル(韓国)は、会見冒頭で、試合2日前の心境を「ここまで来たので仕事をしに来ています。私自身は“戦争”に来たと思っていますので、そういう戦いを見せたいと思っています」と大一番への決意を語った。
スーチョルは、RIZINには2度目の参戦。初戦は2015年大晦日「IZAの舞」に出場し、マイケ・リニャーレス(17勝3敗)に判定勝ちを収めている。
「RIZINは以前、出場したときも大きな団体でしたが、そのときより今の方が大きくなっていると思います。前回はあまり納得のいく試合が出来なかったので、扇久保選手とはしんどい試合にはなると思いますけど、熱い試合をしたいと思います」と、6年9カ月ぶりの日本での試合に意気込む。
2019年12月の試合後、一度引退。復帰まで1年9カ月の空白があったが、「当時、病気をしていて治療しながら、試合(※2021年9月にフェザー級で復帰しパク・ヘジンに一本負け)をしたら負けてしまったので、8カ月かけて療養し、復帰しました(※2022年5月の再戦でTKO勝ちでリベンジ)。復帰したのは奥さんがいたから。口座に50万ウォンしかないときから付き合っていて、引退しても支えてくれていたから、復帰する道に辿り着けたと思っています」と、不遇の時代に糟糠の妻の支えがあったという。
Road FCフェザー級王者となり、今回の扇久保戦からバンタム級に戻して戦う。6、7週間前から始めた減量については「死ぬかもしれないと、目の前におばあちゃんが見えるくらい追い込まれました。“もう諦めて、やらなければいいんじゃないか”と言われましたが、それを聞かずに頑張りました。BCAAやアミノ酸を摂取して何とかなりました」と苦笑する。
しかし、この試合に向けた練習では、チーム・フォースに「4、5人いるROAD FCの選手たちが、1、2分毎に代わる代わる自分とスパーリングする、過酷なかけ稽古を死ぬ気でしてきたので、もちろん負ける気はなく勝ちに来ました」と、ハードトレーニングを越えた自信を見せた。
今回の対戦相手の扇久保は、修斗世界2階級を制覇し、UFC登竜門「TUF24」で準優勝。RIZINバンタム級JAPAN GPで優勝した強豪だ。
その印象を「試合はいっぱい見ているし、好きな選手でもあります。東京で楽しそうに歩いているのを見て、その時、女性にすごい声をかけられている姿を見たことも印象深いです」と、意外な感想で評する。
ともにオールラウンダーで左右で戦えて、オーソドックス構えからの左ハイキックやテイクダウンを得意とするなど、MMAに置いて似た強みを持つ。
試合展開を問われたスーチョルは、「扇久保選手を疲れさせるような試合展開にしたい。勝つという意志は自分のほうが上回っている。(3R戦うスタミナについて)力や技術よりもマインドが大事、その面で上回っていると思います」と扇久保を根負けさせる気持ちの強さがあるとした。
「面白い選手として、熱い選手として見ていただきたいですし、“この選手を次も見たい”と思わせる試合をしたいです」と、アグレッシブな試合を予告する。
ROAD FC、ONE FC、RISING ONでベルトを巻いたスーチョルは、RIZINバンタム級のベルトへの意欲について問われ、「これまで3団体のベルトを獲りましたが、いつもベルトでなく目の前の試合に集中してきました。今回も扇久保選手との試合に集中したいと思います」と、結果を出せば自ずとついて来るものと語った。
今大会でもっとも勝負論が高くハイレベルな攻防が期待される扇久保vs.スーチョル戦。韓国の雄は「打・投・極・根性」の扇久保をも上回るか。