2022年8月27日(土)東京・後楽園ホールにて開催された『Krush.140』で、第6代Krushスーパー・フェザー級王者・郷州征宜(K-1ジム総本部チームペガサス/36歳)の引退セレモニーが行われた。
郷州は生まれつきの難聴という障害があったが、運動が得意で野球では東海大学付属甲府高等学校在学時に2004年第86回全国高等学校野球選手権大会に出場してベスト4まで進出、代打として2安打を記録した。高校卒業後にキックボクシングを始め、RISEのアマチュア大会で優勝すると郷州力のリングネームで2011年11月にRISEでプロデビュー。2014年1月のRISEスーパーフェザー級タイトルマッチで小宮山工介に敗れるまで10戦無敗だった。
2016年にK-1ジム総本部チームペガサスへ移籍し、4月にK-1デビュー。2017年8月に大沢文也を破って挑戦者決定トーナメントを制し、10月に安保璃紅を破ってKrushスーパー・フェザー級王座を奪取。2018年3月には「K-1 WORLD GP 第4代スーパー・フェザー級王座決定トーナメント」に出場。1回戦でデニス・ウォーシックに判定勝利するが、準決勝で武尊にKO負けを喫した。2018年6月、初防衛戦で島野浩太朗に敗れて王座を失い、2019年5月の友尊戦が現役最後の試合となった。生涯戦績は25勝(7KO)11敗。
セレモニーでは練習を共にしたK-1ジム総本部チームペガサスのメンバーや家族、関係者から花束が贈られた。続いてマイクを持った郷州はファンに現役引退の挨拶。
「みなさま、こんばんは。私は耳が聞こえません。耳が聞こえないので発音がおかしいこともあり、セレモニーの内容が伝わるか心配ですが一生懸命喋りますので、温かい目で見守って頂けたら嬉しいです。
耳の聞こえない私をこのリングに上げてくれたKrush関係者のみなさま、対戦相手には感謝しています。耳が聞こえないので、アナウンスやゴングの音も聞こえず、ゴングの後で攻撃してしまったこともありましたし、レフェリーや対戦相手にはご迷惑をお掛けしました。こんな私を応援してくれたスポンサー、ファンの方々、梶原代表をはじめ仲間のみんな、支えてくれた仲間には感謝してもしきれません。みなさんのおかげでチャンピオンになることもできましたし、有名な武尊選手とも拳を交えることができました。武尊選手には1RでボコボコにKOされてしまいましたが、幸せな現役生活でした。
チャンピオンになってから戦績が振るわず、これが自分の限界かと思い、しばらく格闘技から距離を置いて考えてみようと思いました。2年前に男の子が生まれ、本当にかわいくて、こんなに可愛かったら女の子だったらもっと心配になってしまうと思い、本当に男の子でよかったと安心します(笑)。
いったん格闘技から距離をおいて感じたことは、試合に出ている選手は練習に減量、試合当日に命懸けで頑張っています。命を落としてしまうかもしれないのに、試合に臨んでいるのは本当に尊敬します。これからはいちファンとして楽しませて頂きます。
今日このあと後輩の寧仁太・アリが防衛戦です。私ができなかった防衛をしてくれると思うので応援お願いします。私のセレモニーで冷めきった会場を大爆発させてくれると思います。寧仁太、頼みますよ。以上、私からの挨拶とさせて頂きます。本日は本当にありがとうございました」
最後に10カウントゴングが鳴らされ、郷州はリングに別れを告げた。