2022年8月27日(土)東京・後楽園ホール『Krush.140』にて、Krushウェルター級タイトルマッチ3分3R延長1Rで中野滉太(POWER OF DREAM)の挑戦を受けての初防衛戦に臨む王者・寧仁太・アリ(=あにんた/K-1ジム総本部チームペガサス)が公開練習を行った。
2019年にデビューした寧仁太は、デビューから無敗街道を突き進み、昨年9月のK-1横浜アリーナ大会で開催された第2代K-1ウェルター級王座決定トーナメントにも抜擢された。トーナメントでは準決勝で現K-1ウェルター級王者の野杁正明に敗れて無敗記録は途切れたものの、今年2月の『Krush.134』で松岡力を撃破し、Krushウェルター級王座を戴冠。K-1の次代を担うことを期待されている逸材だ。
K-1のトーナメントやタイトルマッチと、この1年の間に対戦相手も急激にレベルアップしているが「デビューして格下とやったことはないと思うし、常に格上とやっていると思うので、自分はチャレンジャーだと思ってやっています」と、チャレンジャー精神で現在の地位にまで駆け上がってきた。
梶原龍児代表の指導のもと、技術面での向上はもちろん「試合までの期間の過ごし方とかメンタル面はドンドンレベルが上がっているのかなと思います」と、試合を重ねる中で自身の精神面の成長もチャンピオンになった要因のようだ。
そんな中で迎える初防衛戦。挑戦者の中野は寧仁太と同じ23歳の同世代の選手だ。元々はスーパー・ライト級で戦っていた中野だが、今年から階級を上げてウェルター級に転向。元Krushウェルター級王者の山際和希を下した実績を買われて、今回の挑戦権を手に入れた。
中野に関しては「65kg(スーパー・ライト級)でもタイトルマッチをやっていて、凄くレベルが高い選手なので、試合を出来るのが楽しみです」と寧仁太。「67.5kg(ウェルター級)に上げそうだなっていう雰囲気はあったし、年齢も近いんでやるかなっていう感じはありましたね」と、いずれは対戦する予感はしていたという。
中野のファイターとしての印象を「POWER OF DREAMの選手はみんなそうかもしれないですけど、やっぱりパンチが凄いという印象ですね」と語った寧仁太だが、その対策として今回はパンチにも力を入れてきた。
公開練習でも、得意の蹴りは封印。パンチのみのミット打ちを1分30秒間行ない、特訓の成果を見せつけた。とはいえ、蹴りを捨てたわけではなく、「試合の大きな要になってくるんじゃないかなと思います」と、大方の見方通り、蹴りvsパンチになると自身でも予想しているようだった。
先日開催されたK-1九州大会では「K-1NEXT」とK-1の次世代を意識したキャッチフレーズもつけられた。K-1のウェルター級トップ戦線は野杁正明と安保瑠輝也の2強が君臨している時代が続いているが、「頭一つ飛び抜けて、3強ぐらいになったら面白いかなと思います」と寧仁太も自身がそこに割って入り、「K-1NEXT」を体現したいところ。
また「先を見過ぎると足元を掬われるので今は目の前の相手に集中」と断りを入れつつも、やはり寧仁太の先々の目標はK-1王者になることだ。「67.5kgでまずはチャンピオンになって、次はもっと世界の強豪がいる70kg(スーパー・ウェルター級)にも挑戦出来るようにやっていきたいと思います」と、いずれは上の階級でチャンピオンになりたいという野望も持っている。
そのためにも今大会でのKrushウェルター級王座防衛は必須だ。Krushのウェルター級王者は山際、加藤虎於奈、松岡といずれも初防衛戦でベルトを手放し、ここ数年は目まぐるしく王者が入れ替わってきた。「去年の9月のトーナメントでも自分が何かを起こせるんじゃないかっていう期待をみんなにしてもらっていたので、今回もそういうジンクスを僕なら跳ね返せると思う」と、新王者にとって鬼門となっている初防衛戦の突破に自信を見せる。
今大会では同じジムの先輩である郷州征宜が引退式を行なう。難聴というハンデを乗り越え、Krushスーパー・フェザー級王者にもなった不屈の闘志を持つ男に、寧仁太もスパーリングなどの相手をしてもらったという。「つらいとかそういうところは一切見せずに、気持ちでドンドン前に進んでいって相手を倒すようなカッコいい先輩でしたね」と、郷州について語った寧仁太。「強い魂を見せてくれて、デビューする前の自分の力にもなったんで、本当に感謝したいですね」と、感謝の気持ちも胸に、初防衛戦のリングに立つ。