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【PFL】工藤諒司がバッバ・ジェンキンスの内股からの速攻チョークに準決勝一本負け、地元ラウネーンがウェード下し決勝進出。女子ライト級決勝はケイラ・ハリソンとラリッサ・パチェコに

2022/08/21 04:08
 2022年8月20日(日本時間20日25時30分~DAZN配信)、英国ロンドンのカッパーボックス・アリーナで『PFL 9: 2022 Playoffs』が開催された。 ▼フェザー級準決勝 5分3R〇バッバ・ジェンキンス(米国)146ポンド(66.22kg)[1R 1分49秒 リアネイキドチョーク]×工藤諒司(日本)145ポンド(65.77kg)※ジェンキンスが決勝進出   獲得ポイントに関係なく勝てば、フェザー級決勝進出となる今回の準決勝。フェイスオフでは、視線を合わせた工藤諒司に対し、バッバ・ジェンキンスは最初だけ一瞥すると、あとは天を見上げて視線を合わせず。正面を向くと両手でガッツポーズをした。  公開計量後のインタビューで工藤は、「前回、すごくいい勝ち方が出来たので、今やっぱり一番、自信があります。(NCAA王者のジェンキンスに対して、勝利の鍵はどこになる?)あんまり詳しくは言いたくはないんですけど、自分を出す、という意味で考えると、やっぱりノックアウトする、最終的に極める、という風に持っていけば、しっかり勝てると思っています」と、落ち着いた表情で語っている。  MMA11勝3敗1分けの工藤は、PFLに日本選手として、2018年ライト級の川名雄生、2019年ヘビー級の石井慧に続き3人目の参戦。  2022年4月に強豪ブレンダン・ラウネーン(英国)と対戦した工藤は、1Rにダウンを奪うも、3Rにラウネーンとのバッティングにより、テクニカル判定で接戦を落とした。  続く6月26日大会では、プレーオフ進出を賭けて、メキシコのアレハンドロ・フローレスと対戦。  ポイント制のPFLで、無得点の工藤がトップ4入りするにはフィニッシュが絶対条件で、短い時間で勝つほど、プレーオフ進出の可能性が高まるという条件のなか、工藤は、1R 2分52秒、右オーバーハンドでフローレをKOに下し、6Pを獲得。プレーオフ進出を決めている。  対するジェンキンスは、4月にカイル・バチニアック(米国)を、6月にイナウド・エクソン(ブラジル)をいずれも判定で下しているテイクダウン&コントロールの猛者だ。  1R、サウスポー構えから左の蹴りを放ちダブルレッグからバックテイク、ボディロックでしたまま後方への高いバックスープレックスを2度決めたジェンキンス。落ち着いて立ち上がる工藤。左足をかけるジェンキンスに正対する。  工藤は体を入れ替え金網に押し込み、左で差して右ボディをこつこつ突くが、ジェンキンスは右で小手に巻き、左腕もオーバーフックで絞り引き付け、内股!  投げられた工藤が四つん這いから立ち上がる際でジェンキンスは素早くバックに乗り、背負う形になった工藤に速攻でリアネイキドチョーク! 腕が喉下に入り、両足もフックし、工藤は身体を伸ばされ、右手でタップした。  試合後、ジェンキンスは「俺はここにいる。自分が何者かはコーチや周囲は分かっているけど、俺はMMA界の本物のバッドマンになる。クリス・ウェイドへのリヴァンジもそうだが、みんな倒して、自分がチャンピオンになる」と、まくしたてた。 [nextpage] ▼フェザー級準決勝 5分3R〇ブレンダン・ラウネーン(英国)145ポンド(65.77kg)[判定3-0] ※30-27×3×クリス・ウェード(米国)145ポンド(65.77kg)※ラウネーンが決勝進出  工藤vs.ジェンキンスに続く、もうひとつの準決勝、クリス・ウェード(米国)とブレンダン・ラウネーン(英国) 。計量はともに145ポンド(65.77kg)でパスしている。  UFC4勝2敗のウェイドは、PFLで2年連続準決勝進出。2021年はバッバ・ジェンキンスに判定勝ちし、決勝進出もロシアのモヴィット・ハイブラエフに判定負け。2022年はランス・パーマーに判定勝ち、カイル・ボシェニアクには1R TKO勝ちで準決勝進出。  英国のラウネーンは、前戦で工藤にダウンを奪われるも組みで盛り返して判定勝ち。エゴ・ハスキッチにも判定勝ちで準決勝進出を決めている。  1R、オーソドックス構えのウェード、サウスポー構えのラウネーン。詰めて左オーバーフックで組むウェード。ラウネーンは左脇を譲らず四つに持ち込ませず突き放す。  左ハイキックを当てたウェードの詰めての首投げ狙いからの正対に、ラウネーンは引き込む形で下に。クローズドガードのウェードは足を解き蹴り上げで胸を突いて立ち上がり。右ハイを見せると左ストレートも。  ウェードはシングルレッグで金網まで押し込み、ハイクロッチで左足を持ち上げるが、足を着地させたラウネーンは右で逆襲し前に。左カーフキックを当てる。  スイッチしながら今度はラウネーンがシングルレッグへ。ここはウェードがいったん片ヒザを着くがすぐに立ち上がる。  2R、左ジャブを当てるラウネーン。ウェード。スイッチしての左ロー。ウェードの左ハイをダッキングでかわすと左カーフキック! ウェードのバランスが一瞬崩れる。  ラウネーンの左ローに前足を変えてサウスポー構えになるウェード。ラウネーンはオーソドックス構えになり右ストレート! ウェードの詰めにも右で差して突き放す。  オーソからの左ジャブ、右ハイはラウネーン! ウェードは右インロー。しかしラウネーンの左フックを被弾。ウェードも左インローを返す。  左ミドルを当て、左ローを打つラウネーン。ウェードは左サイドキックを見せるが、ラウネーンはかわす。  3R、ジャブ&ローのウェードに右ストレートを当てるラウネーン! さらにワンツー。下がるウェードに左カーフキックも当てる。右を被弾したウェード。下がりながらそのままスイッチするラウネーン。ウェードのレベルチェンジにも反応し、金網際で突き放し、ウェードの左前手をかわして右のサイドキック! 詰めるウェードは左で差そうとするが差せず。  再び左差しで押し込むが体を入れ替えたラウネーンが右で差して左でパンチ。さらにヒザを突きゴングに両手を挙げた。  判定は3-0でラウネーンが勝利。工藤に勝利したジェンキンスとケージの中でがっちりハグをかわして互いに決勝に向け、健闘を称え合った。 [nextpage] ▼女子ライト級準決勝 5分3R〇ケイラ・ハリソン(米国)155ポンド(70.31kg)[1R 1分50秒 肩固め] ※マウントからの肩固め×マルティナ・インドロヴァ(チェコ)154ポンド(69.85kg)  女子ライト級準決勝は、2012年ロンドン五輪78kg級金メダル、2016年リオ五輪78kg級金メダルからMMAに転向し、14連勝中のケイラ・ハリソンと、PFLチャレンジャーシリーズから本戦入りしたインドロヴァの対戦。  ハリソンは、5月に元Bellatorのマリナ・モクナトキナに判定勝ち。7月にケイトリン・ヤングに1R TKO勝ち。  ムエタイベースのインドロヴァは5月に元UFCのヴァネッサ・メロに判定勝ち。2戦目はカザフスタンのザムザグル・フェイザラノヴァに1R KO勝ちしている。  1R、サウスポー構えのハリソンは左ロー。かわすオーソドックス構えのインドロヴァは左サイドキックもその打ち終わりに組み付いたハリソンが蹴り足を取ってテイクダウン!  上四方から腕を狙うと、下のインドロヴァは首を両足で挟みに行くが、首を抜いたハリソンはマウントに移行。パウンドするハリソン、マウントのまま肩固め! タップを奪った。  ATTのマイク・ブラウンコーチとハグしたハリソンは、勝利者インタビューで、「私が女王。あらゆる階級の中で私がMMAの女王。3人のブラジル人、私にかかっておいで。パチェコ、いますぐやろう!」と、準決勝を勝ち上がったラリッサ・パチェコに、2019年以来の再戦への気合を見せた。 [nextpage] ▼女子ライト級準決勝 5分3R〇ラリッサ・パチェコ(ブラジル)155ポンド(70.31kg)[1R 2分09秒 TKO]×オレナ・コレスニク(ウクライナ)156ポンド(70.76kg)※パチェコが決勝進出  同じく女子ライト級準決勝のラリッサ・パチェコ(ブラジル)は155ポンド(70.30kg)、対するオレナ・コレスニク(ウクライナ)は156ポンド(70.76kg)で計量。  1R、サウスポー構えのコレスニク。オーソドックス構えのパチェコは金網に詰めて右ボディストレート、さらに打ち返してきたコレスニクにカウンターの左フック! コレスニクがダウン。パチェコがパウンドを入れ、レフェリーが間に入った。 [nextpage] ▼PFL欧州予選女子フライ級 5分3R〇ダコタ・ディチェバ(英国)126ポンド(57.15kg)[1R 0分58秒 TKO]×ハスナ・ガバー(モロッコ)125ポンド(56.7kg) ディチェバが右前蹴りでガバーに尻餅を着かせ、立ち上がるガバーのダブルレッグを差し上げ、左で差して金網に押し込み。アゴ下に頭をつけて右ヒザ! ファグンジスが嫌がったところにさらに右ヒザをボディに突き、ガバーが続行不可能と意思表示。 [nextpage]  メインイベント終了後のポストリム第1試合のバンタム級で、失神後のファイターの無意識の動きと、それをさばいたレフェリーに注目が集まっている。  UAE Warriorsで5連勝するなど8勝無敗のアリ・タリブ(スウェーデン)と、3勝1敗で地元のダリウス・マフィ(英国)が対戦した。 ▼バンタム級 5分3R〇アリ・タリブ(スウェーデン)[1R 1分50秒 ギロチンチョーク]×ダリウス・マフィ(英国)  レスリングベースのマフィは、開始早々にダブルレッグ(両足タックル)に入ると、タリブは金網背に耐える。  そこでマフィはボディロックからタリブの脇を潜って頭を差し込みバックに回ろうとするが、そこを背後を取らせず、正対したタリブは、マフィの首をとらえてアームインギロチンチョークへ!  そのまま反転させマウントを奪うタリブは、上から下のマフィの首を絞め上げると、マフィの動きがストップ。  ここでレフェリーのゲリー・コープランドは、マフィの腕を強めに握り、意識を確認。一瞬、反応したマフィに、レフェリーは続行可能と見たか、反対側に回り込んだところで、マフィは意識が戻ったか、絞められたままで手足をバタつかせ暴れ始めた。痙攣症状を起こしたマフィを見て、レフェリーは試合をストップ。タリブの一本勝ちとなった。  しかし、そのギロチンの腕を解いた瞬間、無意識にマフィは間に入ったコープランドレフェリーの両足にタックルへ。  同レフェリーは、金網を背に両足を広げて右で脇を差し、マフィのダブルレッグテイクダウンを防ぎ、そのままマフィが気を取り戻し間違いに気付くのを待つと、周囲のインスペクターたちもケージインし、マフィを押さえて事なきをえた。  その咄嗟のテイクダウンディフェンスに、PFLの公式は、「2023年のロースター(登録選手)にゲリー・コープランドを加えるべき」とツイート。SNSでもコープランドの腰の強さを指摘するツイートが次々と投稿された。  一見、ユーモラスな珍シーンに見えるこの出来事だが、テイクダウンを武器とするMMAファイターにとって、自身が不利な状況からのスクランブルしての反撃は、身体に染み付いたもの。  マフィはタリブのギロチンチョークにほぼ意識を失いかけながら、腕が緩んだ瞬間に、目の前の相手がズボンを履いているレフェリーだとも気付かずにタックルを仕掛けている。ファイターの闘う本能を感じさせるシーンだった。  ここでもしコープランドレフェリーがテイクダウンを受けて下になっていたらパウンドを浴びていたかもしれない。ギロチンチョークの意識確認の曖昧さはあったものの、コープランドレフェリーがテイクダウンを受け止めることが出来たのは朗報だった。  実はこのコープランド氏、米国海兵隊時代には、日本に配属され、武道にのめりこみ、古流柔術と沖縄空手を習得した人物。  現在は米国ノース・カロライナ州ウェインズビルの警察署長兼ヴィレッジマネージャーを務めながら、20年にわたり117戦をレフェリングしている。  ロンドン大会に派遣されたベテランレフェリーはこの日、MMAのレフェリングの難しさを示していた。
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