今週土曜日(7月30日)に迫った『Krush.139』(後楽園ホール)。メインイベントではKrushバンタム級(-53kg)タイトルマッチ、王者の池田幸司(ReBORN経堂)と挑戦者の野田蒼(月心会チーム侍)が激突する。
試合前から舌戦を繰り広げている両者。野田が池田に対して「地味」「華がない」「一般人みたい」とディスれば、池田も「ガキ」「口しか取り柄が無い」と反撃。記者会見や公開練習をするたびに、舌戦はヒートアップするばかりだ。
両選手には「バンタム級をもっと盛り上げたい」という強い意思がある。それは、K-1 JAPAN GROUPの男子選手の中では、唯一「Krushにベルトがあるのに、K-1にはベルトのない階級」がバンタム級である、という事情がある。
Krushバンタム級王者は、初代王者・武居由樹、第2代王者・軍司泰斗、第3代王者・金子晃大と錚々たる顔ぶれが並ぶ。
ただし、武居がKrush王座を獲得した翌年にK-1スーパー・バンタム級王座決定トーナメントを制して「K-1王者・武居由樹」として名を挙げたように、軍司も金子もトップファイターとして知られるようになるのはK-1での活躍を経てからだ。
当時のバンタム級は選手層が薄く、「Krushバンタム級王座」をステップに、そこからK-1のトップ選手に羽ばたいていくパターンが多かった。そのため「K-1バンタム級」の新設には時間がかかっていた。
だが、ここに来てバンタム級が大きく動き出した。 昨年5月に出場全選手がK-1アマチュア・甲子園出身という陣容で「K-1バンタム級日本最強決定トーナメント」が行われた。K-1 JAPAN GROUP内で時間をかけて選手を育成してきたことが、トーナメントという一つの形になった。
さらに元NJKFフライ級王者の松谷桐や2020年INNOVATIONフライ級新人王トーナメント優勝の白幡太陽など、他団体で実績を残すファイターたちもK-1 JAPAN GROUPのバンタム級に戦いの場を求めるようになった。
最大のビッグサプライズは、日本とタイで計6本のベルトを巻く日本軽量級トップ選手、石井一成がK-1に電撃参戦したことだろう。石井は参戦記者会見で「僕がK-1にバンタム級を創る」と高らかに宣言。8月11日のK-1福岡大会で藤田和希と対戦することが決まっており、ここでインパクトのある勝ち方をすれば一躍、K-1バンタム級のエース候補誕生、さらには初代K-1バンタム級王座決定トーナメント開催の機運も高まることだろう。
一方で、K-1バンタム級戦線を混沌とさせる事態も起きている。
6月19日の『THE MATCH 2022』でK-1代表として出場した黒田斗真がRISEの風音に敗北。黒田は昨年5月の日本最強決定トーナメントに優勝し、ワンマッチでも当時のKrushバンタム級王者・壬生狼一輝に勝利。「バンタム級初代王者最有力」と見られていただけに、風音戦は痛恨の一敗となった。
黒田の『THE MATCH 2022』での敗北や石井のK-1参戦など、これまでにない大きな動きが生まれつつあるK-1バンタム級。そのなかでK-1 JAPAN GROUPで唯一バンタム級のチャンピオンベルトを巻く男=Krushバンタム級王者が誰になるのかは大きな意味を持つ。
例えば今年2月の第3代K-1スーパー・バンタム級王座決定トーナメントには、現Krushスーパー・バンタム級王者(第7代)の璃明武と、第6代同級王者の玖村将史が出場。K-1王者を決めるトーナメントを開催する際には、同階級のKrush王者は欠かせない存在となっている。
Krush代表として、K-1バンタム級初代王座に大きく前進するのはどちらか。長身とリーチを活かした攻撃力が武器で「見てる人が恐怖心を抱くような強さを見せる」と言い切る池田か、持ち前のスピードに加えて倒せるパンチを身につけて「新しい風を吹かせる」と宣言した19歳の野田か。
7月30日(土)東京・後楽園ホール『Krush.139』のメインイベントを飾る王者・池田幸司vs挑戦者・野田蒼から目が離せない。