時には笑顔を浮かべ、父の話をする時は目を潤ませもした那須川天心
2022年6月19日(日)東京ドームにて開催される『THE MATCH 2022』の前日計量&記者会見が、18日(土)都内にて13:00より行われた。
RISE世界フェザー級王者・那須川天心(TARGET/Cygames)は57.95kg(前日のリミットは58.0kg)で計量をパス。会見は別々に行われ、最後に那須川が登壇した。以下、会見での記者との質疑応答の全文。
「那須川天心です。もう言うこともないと言うか、やるべきことは全てやりましたし、今はなんだか、いろいろ問題はありましたが無事この場に立ててほっとしています。明日は僕がキックボクシング人生でやってきたことを全て出し切って、そしてしっかりと勝ちたいと思っているので皆さん注目しておいてください」
「本当にいろいろありましたけれど、こうなる運命だったんじゃないかなっていう…って今は思います。俺の中でこれをやらないと終われないよねって腑に落ちたし、運命ってあるんだなって感じますし、動かされてるんだなって感じましたね」
――キックボクシング最後の試合というのはメンタルに影響する?
「僕は最後だと思ってやってなかったんですけれど、けっこう来るんですよね。チームで練習していてもそうですし、最後の追い込み期間もこれだけでキック終わりか、みたいな。なんか泣けてきちゃうと言うか。そういう自分の中の心の引き締まってくる部分があったり、もうこのメンバーと練習できないのかって思ったりとか、ボクシングトレーナーだったりとか、父親との練習だったりとか、日を追うごとに濃くなってきて昔の思い出が蘇って来たりだとか、今回はそういう感情に立たされた期間でした」
「久々に58kgでやったけれど、減量の幅も少なくよりナチュラルで自然体で調整が出来たと思います。全てにおいてパーツがはまったというか。昔会っていて、久しぶりに会う人がけっこう増えたりとか、マンガで言う最終回というか、最後の敵と戦う前のみんなと会って話して一緒に練習してというような。そういうのが自分が思っていなくても、そういう出会いがあったりしたので、着々と終わりに近付いているかなっていうのを思います。それが明日」
――自分が勝つ姿は完璧にイメージ出来ている?
「イメージ出来ていますね。全てにおいて見えるんですよ、なんか。いま本当に緊張もないし、ワクワクしかなくて。この1~2週間ずっと研ぎ澄まされていて、これで負けたらしゃあないよねってそういう感じ。何パターンも技を用意していますし、(用意している技以外も)当日思うこともあるだろうし、それは当日になってみないと分からないですけれど、那須川天心として最後にやるキックだぜと思っています」
「あまりなかったですね。なかったというか、久々ですね、このワクワクするっていうか。ずっと迎え撃つ立場で試合していましたし、ずっと終われていた立場だったし、なんか勝っても嬉しくないみたいなことばかりだったので、最近ずっと。だからこの感じは自分の中でも久々だし、僕の中での人生の決着というか、そういうものが芽生える最後の瞬間なのかなって思いましたね」
――武尊選手とフェイスオフで視線を交わした時にはどんな感情が?
「やってやるよって感じでしたね。感謝の気持ちもあるし、戦うっていう殺気を出していかないといけないですし。やってやるぜって気持ちと相手に対する感謝と、キックボクシングに対しての感謝。それですかね」
――明日6月19日は父の日。お父さんにどういう勝ち方をプレゼントしたい?
「それは本当に運命だと思いますよ。俺はこれをやると決めたのも、腑に落ちたのもその日だったからやらないといけない運命だったんだなって思いました。だからここまで最後一緒にやってきて、絶対に負けないなって自信も得られたし、勝って親孝行してやろうかなって思いますわ」
――TEAM RISEでの合宿はどんな効果があった?
「他のRISEの選手は今後戦うのもあって、参加しづらかったり個人個人いろいろな気持ちがあると思うんですけれど、その中でも最後に集まってみんなでやるって機会はなかなかないだろうし、やって良かったなって思いました。僕は二度と戦うことがない選手たちですから、自分が持っているものを惜しみなく聞かれたことを全部答えたり、自分からこういうことをやったほうがいいんじゃないですかとか、年上年下関係なく言わせてもらいました。あとは練習の姿勢でというか、俺はこういうスタイルでやってきているぞっていうのをみんなに見せつけるじゃないけれど、しっかりみんなに見てもらうつもりで臨んでいました」
「自分の中ではチャンピオンクラス、チャンピオンがこんなに集まることってないですし、自分の中でもどういう選手が来ても対応できるようにということをモットーに練習していたので、それが練習の中でも活きたというか。だからもう何が来ても大丈夫だというのを、そこで確信できたなと。そこから1カ月さらに追い込んだ感じですね」
――RIZINでも活躍したが、RIZINも背負う気持ちはあるか?
「もちろんあります。自分が出てきた団体と言うか、テレビに出してくれたのはRIZINさんであったり、いろいろな挑戦をさせてくれたのも。僕はRISEが主戦場ですけれど、RISEがそれを許してくれたからそこRIZINに出られたのもありますし、RIZINは僕のポテンシャルを2倍、3倍、4倍とどんどん倍にさせてくれたみたいな舞台でもあります。そういった中で地上波が出来なくなったのは残念ではありますけれども、もう切り替えていくしかない。時代がPPVだっていう人もたくさいると思うんですけれど、俺はそんなことないと思っていて。俺はやっぱりテレビでK-1をやっているのを見てキックボクシングを始めようと思ったし、そういったものは必要だなと思いましたね。やっぱりRISEもRIZINも両方背負って戦うつもりでいます」
「ストリートです」
――今日のスーツのこだわりは?
「白黒です」
――白黒つけると?
「はい、そういうことにしておきます(笑)」
――この試合が決まってからボクシングのみの練習は?
「ほぼしてないですね。1回も行ってないかな。調整で昔からお世話になっている葛西さんが来てくれたりはありましたけれど。俺はボクサーになるんだって気持ちは一回捨てましたね。ゼロにしました。ゼロにしてしっかりと蹴り込んでというか。どこかの片隅にあるとよくないというか、意識してしまうんですよね。武尊選手が相手だからこそ、そういった気持ちになれたのも正直ありました」
――矢沢永吉さんからエールをいただいた?
「それは…直接いただいではいないですが、いつも背中で見せてもらっています」
――最後ありますか?
「明日、僕の最後の試合、人生最後の日、しっかりやったります。よろしくお願いします」