前日会見でガッチリと握手を交わし、健闘を誓い合った王者・佐々木(左)と挑戦者・寺島
2022年6月17日(金)東京・後楽園ホール『Krush.138』のメインイベント(第10試合)で行われる、Krushスーパー・ライト級タイトルマッチ3分3R延長1R、王者・佐々木大蔵(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)vs.挑戦者・寺島輝(TANG TANG FIGHT CLUB/team JOKER)を同じスーパー・ライト級のK-1ファイターたちが占った。
「ずばり僕は大蔵選手が負ける気がしない! そのくらい大蔵選手は強いと思っています。(佐々木とは2020年12月のK-1両国大会で対戦しているが)色んなところで『佐々木大蔵は強い』という噂を聞いていて、特にテクニックがすごい、と。実際に大蔵選手と戦ってみて、僕も過去色んな選手とやってきましたけど、一、二を争うテクニシャンでした。これだけ上手いなと思った日本人は(野杁)正明と大蔵選手だけですね。
(具体的に何が上手い?)これは言葉で説明するのは難しいんですけど、決して大蔵選手は攻撃力や破壊力があるタイプではないです。そういう意味での強さはないかもしれません。でも上手さがピカイチなんですよ。“上手いから強い”や“強いから上手い”ではなくて、僕の感覚では“上手さが強さを凌駕している”選手ですね。
(タイ人の上手さとも違う?)違いますね。大蔵選手もタイで練習されていて、そこで学んだものを上手く日本スタイル=K-1ルールにフィットさせていると思います。最近はボクシングジムにも通われていて、ボクシング的なパンチも上手くなっている。そのうえでムエタイのリズムも分かっている。そうした技術をK-1ルールに落とし込んでいるのが抜群ですね。
(寺島が勝つためのポイントは?)鈍く戦うことですね。感覚は研ぎ澄ませばいいというものでもなくて、時には鈍感な方がいいこともあるんです。今回の試合で言えば、寺島選手が感覚を研ぎ澄ませすぎて大蔵選手の上手さに反応してしまうと、おそらく勝つことは難しいでしょう。逆に寺島選手が鈍感で、大蔵選手の上手さが分からない・反応しないまま、思いっきり突っ込んでいったほうが勝機はあると思います。
(感度が鈍い方がプラスになる場合もある?)あります。例えば2002年にアーネスト・ホーストとボブ・サップが2度試合をして、どちらもサップが勝ったんですよね。あの時点でホーストとサップの技術のレベルは天と地ほど離れていたと思います。でもそれだけ差があると、サップはホーストがどれだけ高度なテクニックを使ってきても分かっていないんですよ(笑)。で、サップはそれを逆手にとって、ホーストのすごさが分からない=怖がらずに思い切りいって、自分のペースに巻き込んだわけです。もしサップがホーストのテクニックを理解できるくらい技術があったら、ホーストの技を食らった時に委縮して自分からいけなかったと思います。
もちろん今回の寺島選手と大蔵選手はサップvsホーストほど技術に差はないですが、寺島選手はある程度“鈍感”に戦うことも必要だと思っています。(どんな試合を期待している?)僕は大蔵選手に負けているので、僕がリベンジするまで大蔵選手には勝ち続けて欲しいという気持ちがあります。大蔵選手のことを尊敬して、強さを認めているからこそ大蔵選手にリベンジしたいです」