2021年12月に発足されたばかりの『国際ムエタイスポーツ協会』の初代王者となったカイト(C)MuayThai Super Fight
「Suk Wanchai MuayThai Super Fight」
2022年4月24日(日)名古屋国際会議場イベントホール
▼第11試合メインイベント(本戦)日タイ国際戦 IMSA世界スーパーバンタム級王座決定戦 3分5R
×クマンドーイ・ペッティンディーアカデミー(タイ/ラジャダムナンスタジアムスーパーフライ級王者・True4Uスーパーフライ級王者)
判定3-0 ※48-50、47-49×2
◯カイト・ウォーワンチャイ(=福田海斗/キング・ムエ/元プロムエタイ協会フライ級王者・元True4Uスーパーフライ級&バンタム級王者・元WPMF世界フライ級王者)
2022年4月24日(日)名古屋国際会議場イベントホールで開催されたムエタイビッグイベント『Suk Wanchai MuayThai Super Fight』のメインイベントで、クマンドーイと対戦したカイトが初回右フックでダウンを奪取、その後も激しい撃ち合いを制して判定勝利。2019年大会(vsルンナライ戦)に続きまたしても現役王者を下しての殊勲の星を挙げ、IMSA(国際ムエタイスポーツ協会)世界スーパーバンタム級王座を獲得した。
クマンドーイは今回2度目の来日。前回は2020年大晦日に開催された『RIZIN.26』で那須川天心と対戦、判定で敗れたとは言え体格差をモノともせず強烈なパンチとミドルキックで場内を沸かせた。その後、ペッティンディープロモーションへ移籍し、昨年10月には現True4Uスーパーバンタム級王者ディーゼルレックに2ポンドのハンディ(クマンドーイ121ポンド、ディーゼルレック123ポンド)を与えながら判定勝利、今年1月には121ポンド契約で元ラジャ王者プーンコンに圧勝。3月10日(木)には115ポンド(スーパーフライ級)まで落としてペットシラー・ウォーウラチャーとのラジャダムナンスタジアム&「True4U」スーパーフライ級タイトルマッチを制し、現在115ポンド~122ポンドあたりでは正真正銘のトップと言っても過言ではないだろう。
一方、カイトは今年3月、約2年ぶりにラジャダムナンスタジアムのリングに登場。スーパーバンタム級の上位選手であるファープラタンと対戦したが、久々のタイのリングということもあって精彩を欠き判定負け。
この両者の調子具合もあって、戦前の予想はクマンドーイを推す声が多かった。とはいえ、日本国内での試合ということもあり現地の試合前賭け率は2-1とそれほど差がないものとなっていた。
両者ワイクルーの後ゴング。カイトはいきなり距離を潰してクマンドーイに接近、ジャブからローのコンビネーション。若干面食らったクマンドーイ、コーナーを背負って前蹴りで牽制。意表をついた2段蹴りも繰り出すがカイトは落ち着いてガード。なおもプレッシャーをかけるカイトに対しクマンドーイはスピードの乗った左ミドルをヒットさせる。
しかし、右ストレートを打ちにいった瞬間、カイトの右フックがカウンターでヒット! 転げるようにクマンドーイがダウン。すぐ起き上がったものの、ややグラついている様子。再開後カイトはすぐコーナーに追い詰め両者撃ち合いに。場内は騒然となり、必死に前蹴りと左ミドルで凌ぐクマンドーイだが常にロープに詰められ防戦一方。ゴングに救われる形となったが、タイ側セコンドも大慌てでクマンドーイの介抱に。
この試合は世界王座戦ということでインターバルは2分間、充分に回復したクマンドーイは第2Rから怒涛の反撃を見せる。左フックでガード越しに爆音を轟かせ、ヒジを振るう。カイトもヒジで応戦し危険なヒジの攻防に。パンチの数はクマンドーイが上回っているもののカイトは下がることなくコツコツとローを返していく。
第3Rもクマンドーイの剛腕は衰えずカイトを襲う。下がってはいないものの、徐々にガードを固めるのみとなり印象の悪いカイト。クマンドーイは重いパンチからミドルのコンビネーション、そして左フックがついにクリーンヒット! グラつくカイトに追い討ちをかけ、仕留めようとするもカイトは踏ん張りローを返す。後半、クマンドーイの足がローで流れるようになりややダメージがあるか。
そして勝負の第4R、早々に仕掛けたのはカイト。クマンドーイがパンチを打つ前にプッシュしてローキック。ロープに詰まったところへ左の縦ヒジ一閃! これでクマンドーイはカットし流血。ピンチを悟ったクマンドーイはここから鬼の形相で左右フックを強打、これにカイトも呼応しフックの相打ちで場内は最高のボルテージへ。カイトが左フックを当てたところでレフェリーが試合を中断し、クマンドーイの傷のドクターチェックへ。幸い、すぐに再開したもののクマンドーイの劣勢は明らかだ。カイトは前進を止めることなくパンチを打ち続け組んでもクマンドーイのあごを上げさせる。しかし、クマンドーイのミドルの威力はここでも落ちずカイトもクリーンヒットを許してしまう。
最終ラウンド、ポイント的にはややカイトが優勢か、クマンドーイも必死で強打を振るうがカイトは下がることなく距離を潰しクマンドーイに連打を許さず、後半はムエタイの定石通り前蹴りで距離を取りポイントアウトし、試合終了。ジャッジの採点は3-0でカイトが現役王者をまたしても下すという快挙を成し遂げた。
この試合はタイの有名ムエタイ情報サイト『ムエデット789』で生中継されていたため、直後からタイのムエタイファンや関係者から驚きを持って受け止められて現地で大きな話題となった。IMSA世界スーパーバンタム級王者となったカイト、同協会ランキング委員会委員長のスパサック氏は今後のカイトの予定について「現在、ラジャダムナンスタジアムのスーパーバンタム級王者ペットセンセーブはギャットペット系列のため、交渉次第ではあるが王座戦の話をする。」と話し、さらなる快挙に向け動き出したと言えるだろう。
今後の動きに注目が集まる。