2022年4月23日(日本時間24日)の『UFC Fight Night: Lemos vs. Andrade』に出場予定だった元RIZINバンタム級王者のマネル・ケオプ(アンゴラ)が、ネバダ州アスレチックコミッションのドーピングチェックにより、欠場することが分かった。ケイプは、UFCフライ級でチベット出身のス・ムダルジとの対戦が決まっていた。
ケイプは、ネバダ州アスレチックコミッションから「DHCMTトリナボルM3代謝物」の警告を受けたことを明らかにしている。それは、2017年にジョン・ジョーンズが検査で陽性となり、ダニエル・コーミエーに勝利して奪還したライトヘビー級王座をはく奪された要因となった物質と同じものとされる(※ジョーンズは服用した強壮剤に禁止薬物が混入していたと主張、USADAも独自にジョーンズの購入先から強壮剤を入手して検査を行い、強壮剤がジョーンズから検出されたものと同じ禁止薬物で汚染されていたことを確認。ジョーンズの主張を認めるも、過失責任はあると結論付け、これによりUSADAはジョーンズに1年間の出場停止処分を下した)
【写真】2021年12月の前戦でジャルガス・ジュマグロフと対戦し、1R TKO勝ちしたケイプ(C)Zuffa LLC
一方で、この物質は「パルス効果」を持つとされており、摂取の可能性があった後、何年か経ってもアスリートの体内に微量が現れる可能性があるという。今回の報道後、ケイプは自身のSNSに、その詳細を下記の通り、記している。
「私はみんなに私がこの土曜日の戦いに参加しない理由を直接聞いてほしい。4月9日にUSADA(米国アンチ・ドーピング機構)に提出したサンプルから、M3と呼ばれるDHCMTの長期的な代謝物が1mlあたり17ピコグラム陽性であったとUFCから電話を受け、私はショックを受けました。私はDHCMTやその他の禁止薬物を意図的に使用したわけではないことを明確に述べることから始めます。この薬がどのようにして私の体内に入ったのか、まったく分かりません。このプログラムでは過去に一度も検査で問題を起こしたことはありませんし、長期間の代謝物が何カ月も、時には何年も体内に残るような禁止物質(DHCMT)を意図的に使用するなど、とんでもない話です。
一晩で、M3という代謝物について多くを学びました。数年前、UFCがアンチ・ドーピング・プログラムの規則を変更し、M3代謝物の閾値を1mlあたり100ピコグラムに設定し、それを超えなければプログラム違反とならないようにしたことは知っています。これは私にとって非常に重要なことですが、私はこの発見に関して、違反で告発されたことも、制裁を受けたことも、出場停止処分を受けたこともありません。しかし、ネバダ州アスレチックコミッションはここ数年、M3代謝物が検出された選手に対して、体内のM3の存在とレベルを調査するために6カ月間の大規模な検査プログラムを義務付け、この問題に対処していることも知りました。私は今週末、そしておそらく今後、6カ月間、ネバダ州で戦うことができないことに失望していますが、私は隠すことは何もないので、もちろんネバダ州アスレチックコミッションによるこの研究を遵守するつもりです。
また、このような状況は私一人ではないことを一晩で学びました。私は、多数のUFCファイターが私と同じような状況にあったことを知っています。それがどのように彼らの体内に入ったのか見当もつかないまま、彼らの体内に低レベルのM3を持っている。また、この問題はUFCに限ったことではないことも知っています。メジャーリーグの選手も含め、多くのプロスポーツ選手がこの問題に直面していることも知っています。私は自分の力で答えを出すつもりですが、このような低レベルのM3代謝物に関しては、答えが見つからないことが多いのです。UFCのプログラムがこのM3代謝物の問題を認識し、それに応じてプログラムを調整してくれたことに感謝しています。私はネバダ州アスレチックコミッションに協力し、試合許可を得るために必要なことは何でもするつもりです。近いうちにオクタゴンで再び私のファンが私を見ることを楽しみにしています」
2018年には、UFCのムスリム・サリホフもM3トリナボルの代謝物に陽性反応を示したが、制裁を受けなかった。それは、いつこの物質が彼の体内に入ったかどうかを判断することができなかったためとされている。しかし実質的に1年間、次戦が組まれておらず、ケイプのドーピングチェックの結果がどのように判断されるか、注目される。