2022年4月17日(日)東京・後楽園ホール『KNOCK OUT vol.3』のメインイベントで、メディ・ジライフィ(スペイン/TEAM CALBET)との初の国際戦を迎えるKNOCK OUT-BLACKフェザー級王者・龍聖(TRY HARD GYM)のインタビューが主催者を通して届いた。
今回、10戦目にして初めて臨む外国人との戦いに「ワクワクしている」とは言うものの、そこが試合の一番のテーマではないという。では一番は何なのか? 半年ぶりの試合で今、龍聖が考えていることとは?
昨年10月の銀次戦は自分にすごくガッカリした
──カード発表会見では「外国人選手」というところまでの発表でしたが、その後、メディ・ジライフィ選手に決定しました。
「映像を見ると、外国人だけに体のバネがすごいなと思いました。同時に、映像で見るよりも実際に対峙した方がやりにくいんだろうなとも感じましたね。跳びヒザとか、一発一発が伸びると思うし、攻撃力があるので、そこは気をつけないとなと思っています」
──会見の時点では、「相手が外国人でもパワー負けはしない自信がある」と話していましたよね。実際に決まった相手の映像を見ても、そこは変わらないですか?
「そうですね。バランスとか体の強さには自信があるし、上の階級の選手と練習してもそこで負けることはないので、そういうところはあまり考えたことはないです」
──では相手が分かった時点で、具体的な対策以外の部分で強化しないとと思ったところは?
「いつもとあまり変わらないですね。基本だとか、やるべきことを毎日淡々とやっている感じです。外国人との試合は初めてのなので、そこはワクワクしてますけど、試合に向けてやることとかは変わらない感じです」
──なるほど。では外国人だからというところの、普段の試合との違いってどういうところでしょう?
「相手も日本人と違うものは絶対あると思うし、外国人戦って強い選手しかできないことじゃないですか。そういうところでワクワクする部分はあります。リングに上がらないと分からないところがあると思うし」
──リングに上がってみないと分からない部分って、どんな相手でもある程度はありますよね。それが外国人となるとなおさらということだと思いますが、リング上で臨機応変に対応するというのは得意な方ですか?
「いや、意外と苦手なんですよね。例えばもらった時にムキになって焦ったりとか、そういうところが試合だけでなく練習でもあって、そこで焦らずにしっかり対応していくのは課題です。今までだと、1ラウンドから「行けぇーっ!」って感じで倒して終わってましたけど、そうじゃなくて3ラウンドまである中でしっかりゲームを作っていくということを、トレーナーからもけっこう言われるし、実際教わってるところなんです。今回戦うジライフィ選手は、そこに合うなという相手だと思います」
──それは、相手のレベルが上がってきて、最初から突っ込むだけでは勝てなくなってくるということですか?
「それもありますし、これからもいろんな相手がいると思うんですよね。パンチが強い、蹴りが強いというだけじゃなくて、1ラウンドにぶつかったら消耗させられる相手とか、そういうところで奥が深いなあと最近は思っていて。格闘技ってよくジャンケンにたとえられますけど、AがBに勝ってBがCに勝ったから、AがCに必ず勝つっていうものでもないじゃないですか」
──確かに、単純な三段論法ではないですね。
「だから武器にしても、グー、チョキ、パーだけじゃなくて、それを超えるものを持っていないといけないし、もちろんグー、チョキ、パー全部できなきゃダメだなと。だから、ガツンとKOで勝つのも格闘技の魅力で、最終的にはそれを目指すんですけど、その前に相手をしっかり削る作業だったりとか、やっていかなきゃいけないことがあるなと思っています」
──「全部できなきゃいけない」というところで、これから伸ばさないといけない部分というのはどこでしょう?
「接近戦で体がぶつかり合った時の、体の消耗だったりですかね。僕は自分が外国人タイプだと思っていて、1ラウンドはイケイケでものすごい力を発揮するけど、ラウンドが進んでいくとだんだん落ちていって、自分のいいところが出せなくなってくる。そういうところですね」
──すごく自分を客観的に見てますね。ところで今回もポスターの中心に大きく配置されていて、きっとメインイベントだと思います。そういう立場ももう慣れましたか?
「そこは別に、あんまり考えてないです。当然だろうと思うので」
──では、今回の試合で一番大きなテーマというと、やはり「対外国人」というところですか?
「いや、そこは全然メインではないですね」
──あ、そうなんですね。では何なんでしょう?
「テーマは『ペース配分』ですね。外国人と戦うということには確かにワクワクする部分はあるし、楽しみではあるんですよ。どうなるのかなあと。ただ、そいつのことをそんなに知ってるわけでもないし、試合でどうするかという点では、さっきも言った通りしっかりとゲームを作っていくこと、そのためにペース配分をしっかり考えること、ということの方が大事ですね」
──なるほど。相手はあくまで「知らない外国人」だと(笑)。ジライフィ選手はスペイン在住のモロッコ人ですが、スペインやモロッコと聞いて連想することは?
「スペインと言えばサッカーでしょう。サッカーは好きなので。レアル・マドリード、バルセロナ、アトレチコとか。だからスペインのことは全く知らないわけではないです。モロッコはバダ・ハリぐらいしか知らないですけど」
──意外な接点がありましたね(笑)。そのスペインから来る相手に、最終的にはどう勝ちたいですか?
「今回は絶対倒します。前回、昨年10月の銀次戦は体調が悪かったというのもあるし、勝とうとしちゃったんですよ。『絶対に勝つ』と思っちゃって。いつもだったら「絶対に倒す」だったんですけど」
──銀次戦の試合前は、溶連菌のために十分な練習ができなかったんでしたね。そこでのタイトルマッチで、勝ちを重視してしまったと。
「3ラウンドは、初めて守りに入った自分がいましたからね。いい試合もできなかったので『何してんのかな…』と思って、自分にすごくガッカリもしましたし。そこで、今までの『絶対に倒す』という考え方は間違ってなかったんだなというのも、改めて思ったんですよね。だから『絶対に倒す』が8割、『ちゃんと考えてペース配分する』が2割という感じです」
──ペース配分しながら倒すことは可能でしょうからね。ではその倒し方も、初期とはちょっと違う感じですか? 最終的には倒すが、そこまでをしっかり考えて組み立てるというか。
「そんな感じです。練習で、昔できていたのに、今はできなくなったなということがあるんですよ。もちろん今のほうが全然強いのは確かなんですけど、同じ動き一つでも「昔の方が体重が乗ってたな」とか「昔の方ができてたな」と思うことがあって。だから、最近は練習で『初心に戻る』ということをすごく心がけていて、昔の試合を見返したりもしてるんですよ。昔はホントにイケイケで(笑)」
──まあ、そんなに昔でもないですけどね(笑)。
「始まった瞬間に跳びヒザを出したりとか、何も考えてないんですよ(笑)。そういう勢いも大事なんですけど、そこからもう一段階上に行った『絶対に倒す』という気持ちを持って臨みたいなと思ってます」
──少しだけ大人になるという感じですかね。
「そうですね。でも昔の熱い気持ちも絶対忘れたくはないし、そこは持ったままでいたいというのはあります。その上で、ですね」
──もちろん目の前の試合が一番大事とは思いますが、6月26日には代々木第二体育館大会も決定していますが。
「ビッグマッチなので、もちろん出たいですよ。そのためにも今回、いい勝ち方をしないとという感じですね」
──では最後に、今回一番注目してほしいポイントは?
「何でもできるというところですね。いつもとはちょっと戦い方が違うと思うので。その上で、絶対倒します!」