無差別級トーナメントに出場する8選手が、影響を受けたK-1ヘビー級のレジェンドをあげた(C)K-1
2022年4月3日(日)東京・国立代々木競技場第一体育館で開催されるK-1 JAPAN GROUP年間最大のビッグマッチ『K-1 WORLD GP 2022 JAPAN~K'FESTA.5~』
代々木第一は1993年4月30日にK-1が旗揚げした会場で、開催発表会見でも中村拓己K-1プロデューサーが「K-1 JAPAN GROUPとして代々木第一で大会をやることは一つの目標だった」と語った場所。
そこで行われるのはK-1の原点とも言える無差別級のワンデートーナメント。「K-1 JAPAN GROUPでは軽量級の選手にスポットライトを当て、軽量級中心に盛り上がってきましたが、やはりK-1の原点は重量級の倒し合いであり、超人たちの戦い」(中村P)が帰ってきたことになる。
今回の無差別級トーナメントに出場する選手は京太郎を除く7選手がK-1 JAPAN GROUPでK-1のリングに立った選手たちで、まさに新時代のK-1無差別級トーナメントと言えるラインナップだ。その選手たちが、K-1公式YouTubeチャンネルで配信されている煽り映像のなかで、旧K-1で憧れていた選手たちについて語っている。
1回戦・第1試合のANIMAL☆KOJIと谷川聖哉は総合格闘家・ANIMALと空手家・谷川というK-1ならではの異種格闘技戦の匂いがある一戦。空手衣を着て、クイーンの「We Will Rock You」で入場する谷川の憧れの存在は、もちろんアンディ・フグ。「ヘビー級の中では小さいのに大きい選手を倒して、時には負けることもあったんですけど立ち上がって最終的には勝つところが好きでした。僕もデカい選手をバンバン倒したい」と語る。
対するANIMALが「総合からK-1に来て、K-1ファイターになった。僕と同じキャリア」というのが総合格闘家としてK-1に参戦し、2010年にトーナメント制覇を成し遂げたアリスター・オーフレイムだ。「ファイターとしてなんでも試合を受けて、トーナメントで優勝した。強いヤツは何をやっても強いんです」とアリスターのように競技の枠を越えた強さを見せつけるつもり。
1回戦・第2試合に登場する石井慧は現在クロアチアに移住し、ミルコ・クロコップのもとで練習を積んでいる。ミルコも「彼は試合をするたびに成長していて、次の舞台に向けていい状態に仕上がっている」と石井の成長に太鼓判を押し、石井も「このトーナメントは自分自身の挑戦。ミルコから『K-1はチェスのような戦い』というアドバイスをもらっていて、そのアドバイスを胸に戦いたい」とミルコの教えと共にトーナメント制覇に燃えている。
石井と対戦する実方宏介はヘビー級では珍しいムエタイスタイルで、多彩な蹴り技を得意にしている。そんな実方の憧れはジェロム・レ・バンナだ。バンナと言えばハードパンチャーの印象が強く、蹴り主体の実方のファイトスタイルからは意外に思えるかもしれないが、実はバンナもステファン・ニキエマ(フランスが生んだムエタイの強豪)に師事するなど、蹴りやムエタイのスキルは高い。
実方が「バンナはパンチを振り回す印象が強いですけど、実は左ミドルが強いんですよ。僕もバンナに憧れてサウスポーを練習したから、両方(オーソドックス・サウスポー)できるようになって、左ミドルが得意なんです」と語る通り、バンナから学んだファイトスタイルでトーナメント優勝に突き進む。
1回戦・第3試合には旧K-1でヘビー級王者に輝いた“日本ヘビー級最強の男”京太郎が登場。これまでピーター・アーツ、ジェロム・レ・バンナ、武蔵を下す実績を残す京太郎は「格闘技=ヘビー級。大きい人間が殴り合ったら面白いということを証明したい。そのためにK-1に戻ってきた」と優勝候補大本命としてトーナメントに臨む。
対戦相手の坂本英則はそんな京太郎とは真逆の選手だ。国内で重量級のタイトルを2本獲得している坂本だが、28歳でK-1初参戦を果たすなど、まだまだ無名の存在。しかし坂本自身は「トーナメント参戦が決まって人生を変える時が来た」と鼻息荒く語る。旧K-1において、無名の存在から一夜にしてスターになった選手と言えばマーク・ハントだ。坂本も自分の境遇をハントに重ね「僕は無名でかませ犬程度にしか思われてないですけど、大どんでん返しで優勝する」と“令和のマーク・ハント”を目標に掲げる。
一回戦・第四試合のK-Jeevsマハムード・サッタリは一回戦で最もハイレベルな試合が予想される一戦だ。K-Jeeはスーパー・ウェルター級からクルーザー級に階級を上げ、スピードとコンビネーションを駆使して戦うファイトスタイルでK-1とKrushでクルーザー級のベルトを巻いた。
その戦いぶりは“ミスター・パーフェクト”アーネスト・ホーストに影響を受けたもので「ホースト選手は打ち分けが上手で、ローキックも強くてバランスがいい。パワーが抜群にあるわけではないのに、倒せるところは参考にしている」と重量級らしからぬテクニックでトーナメント優勝を目指す。
一方のサッタリはK-1 JAPAN GROUPで5戦5勝5KOのパーフェクトレコードを誇り、現在はKrushクルーザー級王座を保持している。リングでは獰猛なファイトスタイルを見せるサッタリだが、普段は笑顔も多く穏やかな性格の持ち主。2年前から日本に住み、日本食を愛して、積極的に日本語も使いこなす。
中村プロデューサーからは「サッタリ選手には令和のアンディ・フグになってほしい」という言葉もあったが、サッタリ自身も「K-1選手の中で一番好きなのはアンディ・フグ。選手としての強さだけでなく人間性もとても優れていたと思う。自分も彼のように日本人に愛される選手になりたい」と語っている。