2022年4月2日(土)東京・国立代々木競技場第一体育館『Cygames presents RISE ELDORADO 2022 ~Tenshin Nasukawa Finalmatch~』SuperFight!の-56kg契約3分3R延長1Rで、江幡塁(伊原道場)と対戦する志朗(BeWELLキックボクシングジム)が公開練習を行った。
2021年9月の試合後、両拳の手術を行った志朗だが、この日はパンチ主体のミット打ちを見せ、軽快なリズムと強いインパクトでパンチを叩き込んでいた。
RISEに来てから挑戦の連続だったので、その差が出てくるんじゃないか
――公開練習を見る限り右拳も左拳も大丈夫そうですが、現在調子の方は?
「だいぶいいんじゃないですか。結構いいと思いますね。2月の頭とかはやっぱり恐怖っていうか、殴るのに怖さがあったんですけど、その代わりスパーリングの回数を多くしたりしてそこら辺はもう克服できたなっていうのはありますね」
――ミットを思いっきり殴ることにも今はもうほとんど不安がない?
「不安はない状態でもう打ててますね」
――左右の拳が使えない時はどんな練習、トレーニングをしていたんですか?
「蹴りの練習と、あと砂袋とかで手の骨折しやすい場所とかを叩いたりして、骨の強化とかもそうですし。左の方が早く打てるようになったので左の練習を多くしたりとかは、できる範囲で最大限のことはやってました」
――怪我の功名じゃないですけど、そのおかげでなんか自分の中でしっくり来たものってあります?
「去年は本当に怪我に苦しめられてたんで、4月以降ぐらいからバンテージを巻くのも痛かったりして。そういうストレスがなくなったんで、今までだったらどう打てば痛くないのかって考えてたんですよ、痛みと戦ってたから。でも最近はこのパンチ打ちたいなとかこのパンチどうやったら打てるんだろうっていう風に考えて、パンチのバリエーションがすごい増えましたね」
――今回の試合で久しぶりに100パーセントで打てるパンチが出せるんですね。
「自分でも楽しみですね。楽しみですけどそこは調子に乗らないように、しっかりいつも通り戦わなきゃ駄目っていうのもありますし」
――復帰戦が因縁浅からぬ江幡塁選手になりましたけど、このオファーを聞いた時はどんな気持ちになりましたか?
「このタイミングできたかって感じですね」
――まさに10年越しのラバーマッチって感じだと思うんですけども。
「今の格闘技を見ている人からすれば、知らない人の方が多いんじゃないですか。自分たちの物語なんて。でも、そこをこうやってRISEで迎えるっていうのは二人ともっていうか誰も思ってなかったんじゃないですか。人生何があるか分かんないなって改めて思いました」
――以前の記者会見でも言ってましたけれど、この三度目の戦いを勝って決着戦にしたいって思いが強いですか?
「そうですね、三度目にもなりますし二人とも再起戦なわけじゃないですか。負けたら負けたで失うものも大きいですし、二人とも懸けているものがただの三度目じゃなくて、勝った方が先に行けるし負けたら下がるっていう本当に生き残りを懸けた戦いでもあるので、そこはプラス要素でさらに面白い三回目ですよね」
――最近の江幡選手の戦いぶりっていうのはどういう風に見てますか?
「戦い方は別にそこまで変わったっていうのはないですけど攻撃力がありますし、基本的にコンビネーションとかパンチからの蹴りのコンビネーションとか昔からある武器はまだやっていますし、前回(鈴木真彦に初回KO負け)は色々試したんじゃないですかね。試した結果、鈴木選手とあの距離でちょうどパンチが当たってって感じだと思うので、そこまで別に落ちたとか打たれ弱くなったなっていう印象はない。まだまだ強いなって思いますね」
――志朗選手同様に江幡塁選手もRISEルールにアジャストしてると?
「アジャストしてくるんじゃないですか。やっぱり上の選手は対応能力があると思いますし、どっちが対応してるのかっていう対応能力の差がこの三回目の戦いで出るんじゃないかなと」
――志朗選手自身はどうですか? もうRISEルールはすっかり慣れた感じはしますけど。
「慣れてきましたけど、色々改善しないといけない点もあります。今はRISEルールの方が長いですからね、何年とやってますし。今からムエタイルールへ行けって言われたら結構時間かかるんじゃないかなっていうのはあります」
――先日、沖縄で那須川天心選手と4日間合宿してたじゃないですか。あれはどういった経緯で?
「天心君が『合宿やりたいよね』みたいな感じで言い始めて。自分は合宿経験者じゃないですか、ニック(永末ニック(永末“ニック”貴之)さんの。で『地獄だよ』って言ったんですが『いやでも僕経験したい、楽しみです」って言うから、じゃあ沖縄いいよねって流れになって。本当に2、3日の間に決まった感じですね。『じゃあ、もう沖縄行こうよ』みたいな」
――那須川選手と一緒にやってどうでした?
「ずっとテンション高いなって感じましたし、本当に練習の面で賢いなぁって言える部分もありますし。なんか悪い言い方になっちゃうけれど、動きが猿ですよね。本当にそれぐらい動きに関して、野生に溢れてるなっていうのはすごい感じましたね」
――そのキャンプにはUFCに参戦する平良達郎選手も出てましたけど平選手はどうでした?
「平良選手はまだ18歳で、格闘技を始めたばかりであのポテンシャルは凄いなって感じましたね。打撃に関してはまだ改善の点はありましたけど、パンチの距離とかジャブとかもいいものを持っていたので、さすがUFCに選ばれるだけはあるなって思いました」
――これから試合に向けてあとは最終調整だけだと思うんですけど、最終調整はどんなところを重点的にやりたいと思いますか?
「合宿は試合の1カ月ぐらい前なんですよね。そこから休みなしでやってるので、もう今日ぐらいから疲労を抜いていいんじゃないかっていうぐらいで。いつも試合一週間前から疲労を抜き始めるんですけど、今日ぐらいから練習強度を下げて疲労を抜くっていう感じですね。疲労さえ抜ければ完璧な動きは出せるんじゃないかなって」
――早く試合をやって勝って、ずっと食べたいけど食べてないパンとかクッキーを食べたい?
「そうですね、本当にその思いもありますし…その思いしかないかもしれないですね(笑)。何か食べたい欲が凄いです」
――ちなみに計量が終わったら何を食べたいですか?
「リカバリーまでがニックさんの教えで減量なので、試合が終わるまでは好きなものは食べられないですね。RISEの関係者に終わりが何時か聞いていて、終わったら行ける焼き肉屋を探しています(笑)」
――塁選手との2戦目は引き分けでしたが、あの試合は志朗選手からしたら「負けてない」みたいな気持ちが強かったと思うんですけど、今思い出すとどんな気持ちだったんですか?
「あの時を思い出すと勝ったっていう思いもありますし、あの時は再戦しようよ、っていう思いがすごい強かったですね。当時は同じ新日本キックにいた訳じゃないですか。早く再戦しようよ、みたいな」
――今でもその気持ちって思い出します?
「思い出すかっていったら思い出しますけど、別に彼のことが憎い訳でもないですし、ただ本当に周りの大人が悪かったんだなって感じですね、あんまり言えないですけど(笑)」
――本人としてはその3回目は凄くやりたかったっていう思いでずっと来てた?
「やりたい選手の中にいました。でもタイミングがなんか面白いですよね、再起戦でまさかこの三度目があるとは自分自身も思ってなかったので。何か本当にもうこれも運命だなって」
――今回の試合は過去に2回とは比較にならないような試合になりそうですか?
「ならないんじゃないですかね。比べられないですよね、もう何年も前になりますし、ルールも違いますし体重も違いますし。だから差が出るんじゃないですかね。差を見せつけなきゃいけないなっていうのも自分の中の課題なので」
――江幡選手と志朗選手を比べて自分の方が伸びてるって自信はありますか?
「自信はありますね。自分はRISEに来てから挑戦の連続だったので、その差が出てくるんじゃないかなって思ってます」
――圧倒的な差をつけて決着をつけたいですか?
「じゃないとダメだと思います。じゃなきゃ完全決着にならないなっていうのもあります」
――4度目はありそうですか?「4度目ですか?(笑)勝ったら次はじゃあ睦選手ですかね(笑)。鈴木選手大変だなってちょっと思っちゃいましたもん(※鈴木真彦は今回、睦と対戦する)」
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那須川天心vs風音は1Rが勝負のカギ
――風音選手と天心選手が同じ大会で戦うじゃないですか。風音選手の良さみたいなものって戦ってて感じる部分はありました?
「良さって言うか惹きつけますよね。人を惹きつける戦い方があります。天心くんにも言ったんですけど、今回天心くんがアウェーみたいな状態じゃないですか。『天心がKOするんでしょ』みたいな流れはあるけれど、1Rが終わった時点で接戦になれば声援もそうですし、観客の見方が変わりますよね。そういう試合の流れを変える力を彼は持ってると思うんで」
――長引いてくると、ひょっとしたら風音選手が有利になる可能性もある?
「あるんじゃないですかね。スタミナ的にも天心くんが3Rずっと攻撃してるってのはあんまりないですし、だから自分の予想では1Rで終わるか3Rまで長引くか、どっちかですね」
――3Rまで長引いたら風音選手が逆転する可能性もある?
「あり得るかもしれないし、だから本当に1R次第ですよね。1Rが本当勝負のカギだなと思いますね。1Rから行くパターンの天心くんって最近なかったじゃないですか。内藤選手とか江幡選手の時みたいに1Rから倒しに行って効かせて。そしたらもう流れが『やっぱ天心強いんだな』って流れになるので、そこは本当に重要だなって」
――最近、以前一緒に練習してた佐藤天選手とか、同じRISEで戦ってる小林愛三選手がGLORYで戦ったり、周囲の選手が海外で戦ってるじゃないですか。志朗選手は元々タイで戦ってたので、海外で戦う大変さってよくわかってると思うんですけど、周囲の選手の海外での活躍っていうのは刺激を受けたりしますか?
「刺激はありますね。海外で挑戦してアウェーで結果は残せる残せないにしても挑戦するのは良いですね。自分も海外で戦ってみたいなって思いました、愛三選手とか見て」
――チャンスがあればGLORYとの対抗戦にも名乗りを上げたい?
「階級を作ってくれるんだったら全然自分は海外に行っても大丈夫なんで、挑戦したいです」
――体重は何kgまでなら大丈夫ですか?
「何kgを作ってくれるかですよね(笑)。60kgは無理です。57~58kgだったら飲むしかないですよね、あっちに行けるんだったら」
――最後にファンの皆さんにメッセージをお願いします。
「4月2日、本当に約10年かけて自分と江幡選手のストーリーがやっと完全決着で終わると思うんで、しっかり勝ってこのストーリーを終わらせたいと思うので、ぜひ応援よろしくお願いします」