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2022年4月16日(土)にケージで行われる『RIZIN TRIGGER 3rd』(武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナ)で、関根“シュレック”秀樹(ボンサイブルテリア)と無差別級で対戦する貴賢神(フリー)が3月31日、赤坂のALLIANCEで高阪剛と公開練習を行った。
元幕内力士で貴乃花部屋に所属していた元十両のスダリオ剛(貴ノ富士)の双子の弟である貴賢神(貴源治)は、今回がMMAデビュー戦。
公開練習では、高阪とのマススパーでスムーズなハイキック、右フックなどを披露。相撲稽古の差し合いでは投げを連発し、腰の強さを見せた。
貴賢神は、父が日本人で母がフィリピン人。一卵性双生児の弟として、少年時代より空手やキックボクシングなどに親しみ、中学校在学中にはバスケットボールで茨城県選抜の主力選手として全国3位になっている運動神経の持ち主。
元幕内力士として突き押しを得意としていたが、突きとパンチは「全然別物」という。
「自分、もともと相撲時代は突っ張りと突きでしたが、パンチは全然全然違うので、まったく別物と考えています。ただ、力士のときからずっとグーを握りたかったので、やっとグーで握れるなという感じです」と、その手ごたえを語る。
練習を指導する高阪も、そのパンチについて「やっぱり強いですね。すごい破壊力があるなと感じます。(ウエイトは)ワンハンドローで130kgくらい(を持ち挙げる)ですね。組んでもそんな感じはします」と、そのパワーを評価する。
貴賢神のMMAでの可能性については、「綜合なので、貴賢神君は相撲から入ってきたので、それをいかに総合のなかに組み込んでいくか。綜合は培ってきたものが重要になる。まだ総合のトレーニングを始めて半年くらい。一つひとつ吸収している感じはあります。起こったことへのフィードバックをしながら上達していっているのは感じます」と、相撲のベースを活かしながら、MMAファイターへと進化しているところだという。
どんな試合を? と問われ「ケージを突き破りたいですね」と語った貴賢神。対戦相手の関根“シュレック”秀樹は、大晦日の前戦でシビサイ頌真をジャーマンスープレックスで投げて勝機を掴んでいるが、関根のジャーマンについては「無理ですね。自分からとれるわけないと思います」と、136kgの身体を投げることは不可能だと語る。
MMAは相撲とは別競技。さまざまな局面で動きが異なるなかで、貴賢神は「一生懸命やると身体が覚えてくるので、前回できなかったことが今回出来るようになったり、自然と身体が覚えてきています」と、デビュー戦に向けて手ごたえも感じているようだ。
相撲では、土俵に足の裏以外が着いたり、押し出されたら負けだが、MMAでは“その先”がある。ケージの中で立ち上がることに関しては、「半年前に初めて高阪さんのところで練習させていただいて、やっぱり寝る・立つ・寝る・立つを繰り返して。最初はそれだけで息が上がってしんどかったんですけど、だいぶそれにも慣れてきて、大丈夫だと思います」と、組んで下になったとしてもスタンドに戻すことができるとした。
スタンドで攻勢に立てれば、柔術ベースの関根との勝負は組みの際になる。
柔術で日本王者に輝く関根について貴賢神は「柔術を長年やられている方という感じ。でも自分も柔術もやっていますし、半年前から寝技の展開での対応も出来るようにしています。一つだけじゃなく全体的にやっています。寝技でも決める動きもあります」と、パウンドを含めた、上からの“寝技”でも上回りたいとした。
グラウンドにもつれた場合、いかに上になって削るか。あるいは下から返されないか。下になった場合、いかにバックを取られずに立ち上がることが出来るか。ケージで20kg近い体重差は貴賢神に有利に働くだろう。
高阪も貴賢神のグラウンドについて、「寝技は……根本的に身体がすごく柔らかいので、いろんな動きに順応できる振り幅を感じます」とその順応性を語っている。
「最初から負けると思ってやるやつはいないと思うので、やるからには研究もしていますし、あとは自分がやるだけです。どんな試合をするか期待をしていてください」と力強く語った24歳の貴賢神。48歳と倍の年齢の関根を踏み台にするか。