絞った肉体で今まで以上のスピードとキレを見せた武尊
2022年2月27日(日)東京体育館『K-1 WORLD GP 2022 JAPAN』にて、K-1 WORLD GPフェザー級王者・軍司泰斗(K-1ジム総本部チームペガサス)とスペシャルエキシビションマッチを行うK-1 WORLD GPスーパー・フェザー級王者の武尊(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)が、23日(水・祝)都内にて公開練習を行った。
引き締まった身体で軽快なシャドーを見せた武尊は、続いてミット打ち。スピードとキレが増したように見えるパンチ、キックをコンビネーションでミットに叩き込み、バックハンドブローも繰り出した。
エキシビションマッチとはいえ通常の試合通りにコンディションを作っているという武尊は「プラス、次の試合へ向けて減量もしているので。今まで60kgでやっていたよりも身体を絞った状態で今追い込んでいる最中です」という。
拳を交える軍司については「今は特に思うことはなくて、後はリングの上で殴り合って拳で会話するだけですね」とした。
現在の体重は「63kgをちょっと切ったくらい」だと言い、「6月の試合のリカバリーが62kgまでなので、62kgで当日を迎えようと思います」。
体重を減らして最も実感しているのは「スタミナとスピードが上がりましたね。そこでパワーは落としたくないので、パワーを落とさずに体重を落とすような練習と身体作りをしています」とスタミナとスピードの向上をあげる。
55kgでやっている時と比べてどうかと聞かれると「60kgに上げても55kgの時のスピードから落ちていないと思っているので、パワーがあってのスピードなのでパワーが付いた分スピードをもっと上られるし、それで体重を落としているのでスピードは今までで一番速いんじゃないかな」と、過去最高のスピードを手に入れているとした。
体重を落とした分、耐久力はどうなのかとの問いには「今はそこまでガッツリ落としてないので、58kgまで落とした時にどうなるのか。水抜きでダメージみたいなのがあるのでそこは未知数ですけれど、今のところは耐久力が落ちているという感じはないですね」と答える。
体調に関しても「徐々に慣れていくものだと思うし、62kg以下まで水抜きせずに落とさないと58kgでリカバリー4kgは無理だと思うので、そこまで落とすまでがキツいと思いますが、コンディション維持できように何カ月もかけてやっています」と、今は身体を慣れさせる段階のようだった。食事も「バランスよくとって、身体に悪いものは排除して。バランスのいい食事の量を減らして運動量を増やしてという感じです」と工夫している。
現段階での手応えを感じているか。そう聞かれると武尊は「まだそこま落としてないので手応えは分かりません。でもそこで決まったからにはそこに合わせて調整するのがプロ。ここから6月まで3~4カ月あるので、それに合わせた最高のコンディションを作りたいと思います」と答えた。
今回の試合を終えたら「アメリカに行けたら行こうと思っています」と言うが、「日本でもいい練習ができていますね。6月に向けて集中してやっていこうと思います」と現段階でも日本でいい練習が出来ているとする。
練習の課題は何かと問われると「今までやってきたことをやることが自分の強さを上げることだと思うし、プラスでボクシングの練習も増やしていて。それはボクシングの技術を教わるというよりも、ボクサーと戦って感覚を、ボクシングスタイルの選手の感覚を肌で感じるような練習を増やしています」と、サウスポーの元K-1スーパー・バンタム級王者・武居由樹(大橋ジム)アマ8冠・中垣龍汰郎(同)や、和氣慎吾(FLARE 山上ボクシングスポーツ)と那須川のボクシングテクニックに対応する練習を積んでいる。
「ボクシングはサウスポー(の相手)としかやっていません。キックの選手とやる時はボクシングの選手とあまり練習はやらないので。軍司選手はキックボクサーのスタイルだし、キックボクサーとやっていればいい。天心選手はキック界の中でもボクシング上手いし、ボクシングスタイル寄りの戦いになると思うのでそっちの感覚を。スピードとかに慣れる対策をやっています。
あとはパンチの打ち方だったり、フェイントだったり。ボクシングは幅広いので、そういうものを天心選手は持っているので、ボクシングのトップ選手とやっておけば天心選手のパンチも見えるようになると思うので。そういう意味でやっています」
大橋ジムでは井上尚弥や井上真吾トレーナーからもアドバイスをもらったという。「内容は言えないですが、サウスポー対策を何パターンか教えてもらって。それを実践してからけっこう戦いやすくなって、的確なアドバイスをもらえました」
那須川のトリッキーな技の対策は、と問われると「いや、僕は天心選手がトリッキーだとは思っていなくて。むしろオーソドックスなサウスポーの選手だと思っています」という。
6月の前哨戦という意味合いもある軍司戦で試したいことは何か。武尊は「技術的に試すのはなくて、純粋に殴り合いが出来たらな、という感じです。技術どうこうというのはないですね。これからK-1を引っ張っていく選手の一人だと思うし、僕が引っ張って来たと言うのおこがましいですけれど、旗揚げからやって来た新生K-1で(軍司は)一から育ってきた選手でもあるので。上から言うつもりはないですが、次の世代の代表の一人として殴り合いが出来たらお互い伝わり合うものがあると思うし、そういう拳の会話ができればいいかなと思います」とした。
その軍司戦では倒す予感もするかと聞かれると、「それは試合にならないと分からないし、こっちが倒される可能性だってあるし。それは試合を見てもらって。僕はいつも通りの身体作りと試合に向けたメンタルを整えているので、それをあとはぶつけるだけかなと思っています」と、いつも通りの試合として臨むと答えた。
また、今大会ではかつて初代王者として自分も巻いたベルトを懸けて争われる「第3代スーパー・バンタム級王座決定トーナメント」も行われる。それについて武尊は「金子選手と玖村選手はKrushからずっと活躍してきてこのトーナメントを迎えているので、その2人は注目しています。トーナメントになると本当の実力プラス運とか持っているものに左右されるので、優勝した人はそれを全て兼ね備えている人だと思うし、兼ね備えていないと優勝は出来ない。本当の意味でこれから引っ張って行く選手が出てくると思います。上から言うつもりはないので、みんなが思い切りやり合ってぶつかり合えばおのずと盛り上がると思うし、素晴らしい王者が生まれると思う。普通に楽しみです」と語った。
そして最後には「久々にK-1のリングに上がるし、軍司選手という今のK-1の中でもこれから引っ張って行く最高の選手だと思うので、その2人で最高の試合を見せます」と誓った。