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インタビュー

【UFC】緊急参戦のビクター・ヘンリー「日本のファンとともにオクタゴンで戦う!」

2021/12/18 12:12
【UFC】緊急参戦のビクター・ヘンリー「日本のファンとともにオクタゴンで戦う!」

UFCデビュー戦に向け、ヘンリーは136ポンドでバンタム計量をパス(C)Zuffa LLC

 2021年12月18日(日本時間19日)米国ラスヴェガスのUFC APEXで開催される「UFC Fight Night: Lewis vs. Daukaus」にて、現DEEP&LFXバンタム級王者のビクター・ヘンリー(米国)が緊急参戦。バンタム級でハオニ・バルセロス(ブラジル)と対戦する。

 前日計量でヘンリーは136ポンド(61.68kg)、バルセロスは135.5ポンド(61.46kg)でパスした。


(C)Zuffa LLC

 ヘンリーが出場するプレリミナリーファイトは、日本時間12月19日(日)午前6時(予定)より、公式YouTubeにてライブ配信。メインカードの模様は日本時間9時より、UFC Fight Passで配信される。

 ヘンリーは、DEEP参戦経験もあるトレヴィン・ジョーンズの欠場により、16勝2敗の強豪バルセロスの対戦相手として白羽の矢が立った。

 MMA21勝5敗のヘンリーは、ジョシュ・バーネットに師事してCSWでトレーニングを積み、2010年にプロMMAデビュー。米国で6連勝後、日本のRIZINやDEEP、PANCRASE、GRANDSLAM等で活躍。所英男、上田将勝、中島太一、アラン“ヒロ”ヤマニハ、大塚隆史、カイラー・フィリップス、元谷友貴、トレント・ガーダム、金原正徳といった実力者たちから勝利を挙げている。

 新型コロナウイルスの影響で、来日が途絶えた間、2020年11月にかつて勝利しているデニス・ラヴレンティエフ(ロシア)に判定負けを喫したものの、2021年10月の『LFX6』でバンタム級王者アルバート・モラレスにリアネイキドチョークで一本勝ち、戴冠を果たしていた。


(C)LFX

 対するハオニ・バルセロスは、打撃にテイクダウン、極めと全てを持つ強豪だ。柔術世界選手権ムンジアル紫帯で優勝後、レスリング南米選手権で2度優勝、2008年の北京五輪代表は逃したものの、2012年にMMA転向すると修斗ブラジルでプロデビュー。

 組み技がベースながら、MMA16勝のうち8勝がKOでの勝利。RFAなどを経て11勝1敗でUFC入りを果たすと、5連勝。2021年6月の前戦では、フランキー・エドガーの練習パートナーのティムール・ワリエフと対戦し、2Rに2度のダウンを奪うなど打撃の精度で上回ったものの、手数・積極性でワリエフに反撃を許し、UFC6戦目で初黒星を喫している。

 ヘンリーと同じ34歳。UFCのバンタム級は、18勝2敗のワリエフや、このバルセロスですらトップ15位に入らない「鬼の階級」だ。

 果たして、ショーン・オマリーの次に15位入りを果たすのは、バルセロスかヘンリーか。現在、RIZINで開催中のバンタム級GP出場ファイターとの対戦経験もあるヘンリーを通して、北米MMAのいまを感じることも出来る好カードだ。

 UFCデビューを迎えたヘンリーにインタビユーすると、溢れんばかりの日本愛とともに、日本マットで戦ってきたキャリアを背負って戦う想いを語ってくれた。

日本のファンは知っているだろう? 僕が“ただの無名ファイター”じゃないことを

──2021年10月31日の「LXF6」では、1Rは王者アルバート・モラレスが打撃でリズムを掴んだように見えましたが、2Rにビクターが反撃し、左の蹴りや首相撲からのヒジ打ちを当てて、最後は見事なリアネイキドチョークでの一本勝ちでした。

「1ラウンドのハイペースな展開から、彼に強いディフェンスをするスタミナがないことは分かっていたんだ。僕の打撃で彼は後退し始め、簡単にテイクダウンすることができた。バックコントロールし、さらにパンチを入れることで首を上げさせてスリーパーホールドになったという感じさ」

──2020年11月には、コロナ禍のParus FCで、2年前に勝利しているデニス・ラヴレンティエフに判定で敗れました。長く柔道ロシア代表でUFC王者ピョートル・ヤンの練習仲間でもあるラヴレンティエフとの試合の敗北は、ヘンリー選手にどんな示唆を与えましたか。

「正直なところ、それほどでもないんだ。もちろん悔しかったよ。でも、あの試合に現れたのは僕の中では僕じゃなかった。いろんなことがあって、僕の代わりに誰かがリングに上がったような感じで試合に臨んでしまった。デニスがタフで強いファイターじゃないとは言わない。でも、もし再戦したらラヴレンティエフを倒し、フィニッシュ出来ると信じている。僕はただ、自分がパフォーマンスを発揮したときに何ができるかを知っているだけなんだ」


(C)LFX

──2019年8月にRIZINに初参戦してトレント・ガーダムに後ろ三角絞めで一本勝ち。2020年2月22日には金原正徳選手にもTKO勝ちでバンタム級戦線で頭角を現しながら、その後、コロナ禍で来日できなくなりました。どんな思いでしたか。

「ああ、すごく悲しい状況だった。RIZINの大きくて美しいベルトをゲットする予定でいたんだ。僕の格闘家人生がずっと日本の総合格闘技で続いていくんだと思っていた。だから待っている間もParus FC、LXFで試合をしていた。本当に辛かった。ホームに戻れないなんて。この新たなパンデミックがその機会を奪い去ってしまい、厳しく難しい決断をしないといけなくなった。ずっと待っていた。でもこのまま座して死を待ち続けるわけにはいかない。それでも、いつでも僕にとって日本がホームであるということに変わりはないよ」

――UFC出場を聞いたときはどう感じましたか。

「電話が来て、『2週間でウエイトを調整できるか?』って。ちょうどヤキニクを腹いっぱいに食べている最中だったけど“やってやるよ”って答えた。ファイターである以上、『準備期間が足りない』とか言いたくないんだ。イツナンドキデモ、タタカウ──それが日本で学んだ闘魂だ。日本で戦うときと同じように、僕はそこに行って自分がしたいと思う戦いをするまでだ」


(C)Zuffa LLC

──UFCからの緊急オファーの対戦相手は、ハオーニ・バルセロス。スクランブル参戦の相手としては、非常に強豪です。

「何回か彼を殴りつけるまでは認められないだろうね。それは、彼らにとって、まだ僕が“UFCに出場していない急遽の代役ファイター”だから。バルセロスも僕をただの無名選手だと思っているだろう。でも僕は、日本で所英男、上田将勝、石渡伸太郎、元谷友貴、金原正徳……タフなファイターたちと戦ってきた。日本のファンは知っているだろう。僕が“ただの無名ファイター”じゃないことを。

 もちろん、バルセロスは多くのブラジリアンファイターがそうであるように、とてもタフでテクニカルだ。フェザー級から落としてきてパワフルで、レスリングも柔術も巧みで打撃も強い。ただ、彼が今まで僕が見たことも経験したこともないような何かを繰り出してくるとは思わない。

 彼の試合を見れば、KOを狙ってくるだろうから、この試合は立ち技が多くなるだろう。たしかに彼は両手に強力なパワーを持っているけど、僕は彼に勝つための戦術を持っている。もし状況が厳しくなって、どちらがよりガッツがあるかという戦いになったとしても、僕が必ず勝つだろう。知ってるよね? 僕はすごく頑固者だから。バルセロスは驚くだろう。そしてUFCを見ている世界の人たちも驚かせるよ」

――UFCのバンタム級ランキングは怪物しかいません。どんなプランを持っていますか。

「どんどん試合をしてランキングを登りたい。錚々たるメンバーが揃ってるよね。カイラー・フィリップスには以前、勝っているし、マルロン・ヴェラ、ペドロ・ムニョスは友人だ。でもそういった相手とも戦っていくことになる。UFCに出ることは目標じゃない。ここでベストになること。自分の名前を歴史に刻み、人々に語り継いでもらいたいんだ」

──オクタゴンでもヘンリー選手の活躍を楽しみにしています。最後に日本のファンへメッセージをお願いします。

ジョシュ・バーネットとともに僕が日本で戦っている間、何年にも渡って応援してくれていることに感謝しています。ほんとうにアリガトウゴザイマス! UFCが再び日本で大会を開催し、みんなが再び直接、僕のことを応援してくれることを願っているけど、いまは画面を通して、僕の戦いを応援してほしい。日本でゴーゴーカレーを食べられなくなったこと、この辛い気持ちはこっちでは誰にも理解してもらえないんだ……だから、僕は観光客としてでも日本に戻り、もっとみんなと時間を過ごしたいと思っている。日本のみんなを愛してる。土曜日(日本時間19日)はみんなと一緒にケージまで歩いてる気持ちで入場するよ。僕とともにオクタゴンで戦おう!」

◆UFCバンタム級ランキング(※12月17日時点)

王者 アルジャメイン・スターリング(米国)20勝3敗
暫定王者 ピョートル・ヤン(ロシア)16勝2敗
2位 TJ・ディラショー(米国)17勝4敗
3位 ジョゼ・アルド(ブラジル)31勝7敗
4位 コリー・サンドハーゲン(米国)14勝4敗
5位 ロブ・フォント(米国)19勝5敗
6位 メラブ・ドヴァリシヴィリ(ジョージア)14勝4敗
7位 ドミニク・クルーズ(米国)24勝3敗
8位 マルロン・ヴェラ(エクアドル)20勝7敗1分
9位 マルロン・モラエス(ブラジル)23勝9敗1分
10位 ペドロ・ムニョス(ブラジル)19勝7敗
11位 フランキー・エドガー(米国)24勝10敗1分
12位 ハファエル・アスンサオ(ブラジル)27勝8敗
13位 ショーン・オマリー(米国)15勝1敗
14位 ソン・ヤドン(中国)18勝5敗1分
15位 コディ・スタマン(米国)19勝4敗1分

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