2021年7月31日(日本時間8月1日)に、米国ロサンゼルスのザ・フォーラムにて有観客で「Bellator 263: Pitbull vs. McKee」が開催された。
前日会見では、互いにこれまでの因縁をぶつけ、ベルトを巡り乱闘騒ぎになった両者だが、計量パス後は互いに身体を誇示。100万ドル(約1億1千万円)が懸かるGP決勝&タイトルマッチに向け、充実の姿を見せた。
【メインカード】
▼Bellator世界フェザー級選手権試合&フェザー級ワールドGP決勝 5分5R×パトリシオ・フレイレ(ブラジル)王者/144.5lb/65.544kg[1R 1分57秒 ギロチンチョーク]〇AJ・マッキーJr(米国)挑戦者/145lb/65.77kg※マッキーが新王者&GP優勝者に。
【写真】息子とともに計量に臨んだパトリシオ
パトリシオ・フレイレとAJ・マッキーによる、Bellatorフェザー級GP決勝戦およびフェザー級タイトルマッチ。勝者には100万ドル(約1億1千万円)の優勝賞金が与えられる。
現Bellator世界ライト級&フェザー級の二冠同時王者のパトリシオ(32勝4敗)は7連勝中。トーナメントで、フアン・アーチュレッタに判定勝ち後、ペドロ・カルバーリョを1R KO、2021年4月の前戦でエマニュエル・サンチェスを1R ギロチンチョークで破り、決勝に進出した。約6年間、フェザー級で負け無しで、ダニエル・ストラウスやダニエル・ウェイケルにも勝利し、その過程でマイケル・チャンドラーにも1R TKO勝利、ライト級王座も獲得している。
【写真】お決まりのスニッカーズとともに公開計量に臨んだマッキー。
対するAJ・マッキー(17勝0敗)は、日本のHERO'SやDREAMに参戦したアントニオ・マッキーの息子。レスリングをベースにアマチュアで6勝1敗後、プロでのキャリアをすべてBellatorで積み上げ、17戦全勝。2019年のフェザー級GPでは、ジョージ・カラカニヤンに8秒KO勝ち、デレック・カンポスに腕ひしぎ三角固めで3R一本勝ち、2020年10月の前戦でダリオン・コールドウェルを1R 変形ネッククランク=マッキー・オティンで下して、決勝進出を先に決めていた。
年齢差8歳、身長差10cm、リーチでは実に21cm差もあるパトリシオとAJ。一方で、32勝4敗のパトリシオと17勝無敗のAJとでは、19戦のキャリアの差があるのも確かだ。空手の姿勢とステップでリーチ差をカバーできるパトリシオに対し、AJは「自分の距離で彼に戦わせる。みんな彼に突き進んでラッシュしようとするけど、彼がどうするか見ものだ」と、自身の懐の深さを活かすつもりだ。
組み技でも、ギロチンチョーク、リアネイキドチョークなどを極め技の一つとするパトリシオに対し、AJはダリオン・コールドウェルを極めたネッククランク=マッキー・オティンやアナコンダチョーク、肩固めなどのパトリシオと同じく首系の技を持っている。
果たして、5分5R戦でGP決勝と王座戦のダブルタイトルと100万ドル(約1億1千万円)の優勝賞金を獲得するのは、パトリシオかAJか。
先にAJ・マッキーが入場。場内の観客から大歓声が沸く。続いて王者のパトリシオがブラジル国旗を背に広げて入場。その国旗には様々なメッセージが書かれている。パトリシオにとってはアウェーの会場だ。
1R、オーソドックス構えのパトリシオに、サウスポー構えのマッキー。慎重な出だしから、マッキーは右の関節蹴り狙いから右ローを軽くヒット。さらに左ローに、パトリシオも右ローを返す。
前手の右ジャブ、左ストレートのフェイントをかけながら詰めるマッキーの蹴りに右に頭を下げたパトリシオにマッキーは左ハイ! 崩れるパトリシオ! 金網に詰めるマッキーは左アッパーを効かせて右、さらに左フック! ダウンするパトリシオに両手を挙げてガッツポーズのマッキーだが、立ち上がるパトリシオにスタンドのまま金網に押し付けてのノーアームギロチンチョーク! パトリシオの右手の力が抜け、レフェリーが間に入った。
失神はしていないものの茫然とした表情のパトリシオ。マッキーは、スコット・コーカー代表から1本目のベルトを腰に巻かれると、パトリシオに向かい、両手で握手を求め、さらに両ヒザを突いて頭を下げた。パトリシオも両ヒザをマットに着いて、マッキーとハグ。その後、コーカー代表はもう1本のベルトをマッキーの肩にかけた。
マット上でビッグジョンマッカーシーのインタビューを受けたマッキーは、「夢がかないました。信じられない。これは始まりに過ぎない。ここからがスタートだ。(ベルトを見て)このベイビーを、残りの人生で持ち続けるよ。誰にも渡さない。もちろん観客のみんなにほんとうに感謝している。ここに来て応援してくれて。これはLAのものだぜ、みんな! チャンピオンベルトをもたらしたぜ。さあ行こうぜ! これで満足なんかしない」と咆哮。
続けて、「トーナメントが始まったときに、自分は三番手、四番手だったと思うけど、父が『お前がナンバー1だよ。お前の力を見せてやれ』と言ってくれた。それでステップアップしていった。(トーナメントを通してどう変わった?)完全に精神面が鍵だった。父は『鍛錬が才能を上回る』と言ってくれた。つまりどんなスキルセットを持っていても、ちゃんと磨き上げなければ意味が無かった」と父、アントニオ・マッキーの言葉を支えに練習を積んできたことを明かした。
また、衝撃の117秒フィニッシュについては、「いったん試合が決まったと思って(両手を挙げた)、とっとと家に帰ろうと思ったんだよね(笑)。最後は彼の力が抜けたから極まったと思ったよ」と振り返った。
Bellator生え抜き選手として、優勝賞金100万ドルを獲得し、MMA18戦無敗となった新王者は、最後にサークルケージの中央で勝利のシャンパンシャワーを浴びた。
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▼フェザー級 5分3R〇マス・ブーネル(デンマーク)145.5lb/65.99kg[判定3-0] ※29-28×2. 30-27×エマニュエル・サンチェス(米国)145.3lb/65.90kg
フェザー級2位のサンチェスと、8位のバーネルの試合。
1R、ともにオーソドックス構えからワンツースリーフォーと細かく連打するサンチェス。ブーネルはダブルレッグテイクダウンも、サンチェスはガードで凌ぐ。
2Rも、シャープにジャブ・ストレートを突くサンチェス。さらに右ヒジで飛び込む。ブーネルも左ボディを返し、ダブルレッグテイクダウン! すぐに立つサンチェスは右手を股に入れてスイッチ狙いから正対し、突き放すと右!
ガードを固めて右カーフキックを2発当てたブーネル! サンチェスの足が流れる。ブーネルはダブルレッグテイクダウン。ハーフのサンチェスに背中をつかせ左手でパウンドする。
3Rもテイクダウンはブーネル。サンチェスの立ち際にバックを奪うが、サンチェスは中腰からブーネルの右腕を巻き込み前転し上に。しかし、すぐにブーネルも脇差しスイープ。立ち上がるサンチェスにダブルレッグからシングルレッグに移行しテイクダウン! 下のサンチェスは首を抱えるが、サンチェスは頭を抜いてハーフから細かいパウンド。前転巻き込みも成功せず、ブーネルが上のままゴング。
判定は3-0(29-28×2, 30-27)でブーネルが勝利。MMA7連勝で15勝3敗に。Bellator3連勝を決めた。
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▼ライト級 5分3R〇ウスマン・ヌルマゴメドフ(ロシア)155.3lb/70.44kg[1R 3分30秒 TKO] ※左ヒザ×マニー・ムロ(米国)156lb/70.76kg
1R、サウスポー構えのヌルマゴメドフ、オーソドックス構えのムロ。ヌルマゴメドフは左のスナップを効かせた左ハイ! さらに右に身体をずらして左ストレート! 組んで小外刈テイクダウンからムロの立ち上がり際にバックへ!
右足をかけて背後から崩し、正対からダブルレッグはヌルマゴメドフ。小内刈テイクダウンからバックテイク、四つ組みになり左で差して左ヒザ! ムロがくの字になりダウン! ヌルマゴメドフがTKO勝利し、従兄弟のハビブ・ヌルマゴメドフと熱くハグをかわした。
この勝利でヌルマゴメドフは13勝無敗に。「打撃だけじゃなくレスリングも出来ることを見せたかった。Bellatorが用意した相手となら誰とでもやる。ロシア大会に出たい。みんなありがとう。ハビブは最高のコーチだ。今日戦えたのは彼のおかげだ」と語った。
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▼ライト級 5分3R〇イスラム・マメドフ(米国)154.9lb/70.26kg[判定2-1] ※29-28×2, 28-29×ブレント・プリマス(米国)155.2lb/70.39kg
1R、マメドフのダブルレッグテイクダウンにプリマスはオモプラッタも腕を抜くマメドフが上に。プリムスはミッションコントロールでマメドフのパウンドを防ぐ。
2R、組んで差して払い腰テイクダウンはマメドフ! しかしすぐに立つプリマス。今度は大外刈でテイクダウンはマメドフ! またも下からオモプラッタ、ミッションコントロール、ゴゴプラッタを仕掛けるプリマスだが、極めやポジションを入れ替えるには至らず。しかし、マメドフも上から決定打を当てることも出来ず。
3Rも早々にダブルレッグテイクダウン。プリマスは上体を立てずまたもオモプラッタ狙いも警戒するマメドフがトップから片足をまたいでハーフに。またもプリマスのオモプラッタを外してインサイドガードからパウンド狙い。判定はスプリットでマメドフが勝利した。
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▼ライト級 5分3R〇ゴイチ・ヤマウチ(ブラジル)155.5lb/70.53kg[1R 3分53秒 TKO]×クリス・ゴンザレス(米国)155lb/70.30kg
1R、オーソドックス構えのゴイチに、サウスポー構えのゴンザレス。ゴイチは右ミドル! さらに右ロー。ゴンザレスは右に回りながら右ロー、ボディストレートを見せる。圧力をかけるゴイチは跳びヒザ。かわすゴンザレス。右ストレートを当てるゴイチ。組むゴンザレスは離れ際に右を振る。
詰めるゴイチは右から左、さらに左で差して組んで左右フックをガード上から当て、さらに詰めて右ストレート! さらにワンツーでダウンしたゴンザレスにパウンドし、レフェリーが間に入った。打撃に進化を見せたゴイチは4月のダン・モレット戦からの再起を果たし、「優れたグラップラーだと知っていたからレスリングを強化してきたけど、結果的にこうなった。ゴイチ・ヤマウチがスタンドでも戦えることを示すことができた」と語った。
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【プレリミナリー】
▼女子フライ級 5分3R〇ヴェネッサ・ポルト(ブラジル)125.6lb/56.97kg[判定2-1] ※29-28×2, 28-29×イララ・ジョアニ(ブラジル)125.2lb/56.78kg
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▼150ポンド契約 5分3R〇ガジヒ・ラバダノフ(ロシア)149lb/67.58kg[1R 3分57秒 KO]×ダニエル・コーリー(米国)149.1lb/67.63kg
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▼フェザー級 5分3R〇ハサン・マゴメドシャリポフ(ロシア)144.6lb/65.58kg[2R 4分21秒 TKO]×ヨナタン・キロス(メキシコ)146lb/66.22kg
【写真】兄ザビット・マゴメドシャリポフと肩を組むハサン。
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▼180ポンド契約 5分3R〇ジョシュア・ジョーンズ(米国)179.6lb/81.46kg[2R 4分15秒 TKO]×ジョニー・シスネロス(米国)179.2lb/81.28kg
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▼ライト級 5分3R〇ジョージ―・カラキャニャン(米国)155.6lb/70.57kg[1R 4分25秒 肩固め]×キーファー・クロスビー(アイルランド)155.9lb/70.71kg
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▼バンタム級 5分3R〇ブライアン・ムーア(アイルランド)135.8lb/61.59kg[判定3-0] ※30-27, 30-26, 30-26×ジョーダン・ウィンスキー(米国)134.7lb/61.09kg