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【RIZIN】皇治と1回戦で“拳で語り合う”梅野源治「口ではどうにもならない世界がリングの上にはある。そこは分からせてやりたい」

2021/06/15 19:06
 2021年6月27日(日)大阪・丸善インテックアリーナ『RIZIN.29』で行われる「BODYMAKER presents RIZIN KICK ワンナイトトーナメント」の1回戦で皇治(TEAM ONE)と対戦する梅野源治(PHOENIX)が、15日(火)都内所属ジムにて公開練習を行った。  まず、通常のキックありのミット打ちを見せた梅野は、得意の左ミドルキック、前蹴り、右ストレートをこれまでよりも遠い距離からミットに打ち込んだ。続いて元RISEバンタム級王者で元プロボクサーの久保賢司とパンチのみのミット打ちを行い、ムエタイの後ろ重心(アップライト)の構えではなく、前重心(クラウチング)でなおかつ梅野には珍しくステップワークを使ってワンツー、左フックを放った。 「皇治選手はけっこう前へ詰めて来ると思うので、近い距離でも対応できるし、僕の方がリーチがあるので遠い距離でも戦える。両方の距離感を意識してやっています。ムエタイだと足をバタバタ動かすとポイントが取りづらいですが、RIZINのキックルールに関してはよりアグレッシブに、相手の攻撃をもらわないように意識して。採点基準の違いがあると思うので、その分、足(ステップ)を使おうと。そこは意識しています」と、今回のトーナメント用にスタイルを作り上げてきたとする。 「1日2試合ということで、どんなタイプが来てもいいように対処の方法をPHOENIXジムのタイ人トレーナー、久保賢司さん、久保優太選手…いろいろな方にお付き合いいただいて対策を練れたので、かなりよく仕上がっているんじゃないかなと思います」と、仕上がりに自信をのぞかせる。  今回の試合に備え、久保兄弟を始め多くの優秀なK-1ファイターを育てた矢口哲雄トレーナー(PURGE TOKYO)にも師事を仰いだ。 「僕は今までムエタイルールでどう強くなるかにフォーカスして構えやスタイルを練習してきましたが、ムエタイとキックボクシングは別競技なんですよ。使っていい攻撃はほほ同じで、ヒジ打ちと首相撲があるくらいが違いだと思われていますが。かなり違いがあるんです。距離感に応じてキックボクシングではムエタイのこの技は打てないとか。そういった細かい部分を矢口トレーナー、久保兄弟、みんなと意見を合わせて作っています。今回の試合を見ていただければ、構えやパンチの打ち方が今までの僕とは違うことが分かるんじゃないかなと思います」  当初は5月30日に行われる予定だったが、緊急事態宣言の影響によって約1カ月の延期となった同大会。梅野は「期間が伸びたことによって、よりRIZINのキックルールに適応する準備期間が増えてプラスに働いたんじゃないのかなって思います。だから結果としてはよかった。優勝できる可能性が上がったかと思います」と、かえってプラスになったと話した。  4月30日に行われた記者会見では、皇治へのリスペクトの気持ちをコメントした梅野だが、皇治はその後自身のSNSにて「今はただのひょっとこムエタイ」「おたくと(拳で)語りあっとる暇ないんやわ。サクッと次に行かせてもらう」と、挑発的なメッセージ。  それについて梅野は「どうも思わない。彼には彼のやり方があって、僕には僕のやり方がある。やり方が違うだけで、結局はお互いが求めている部分は同じ。知名度はあった方がいいし、実力も超一流の方がいい。僕は今まで超一流の選手たちとしのぎを削って来た中で世界最高峰のベルト(ラジャダムナンスタジアム認定ライト級王座)を獲りました。彼は一流を目指しながらも、口では超一流なので、そういった意味では知名度先行型になったのかなと。彼もこのトーナメントで優勝して、最強なんだぞってみんなに力を誇示したい。やり方が違うだけなので、あまり彼の言動に特に感情が動かされることはないですね」と、イラっともしなかったという。  この皇治のツイートに対して「サクッとか………やれるもんならやってみろ。分からせてやるよ」と返した梅野だが、「口でいろいろと言っても、結局は戦うところはリングの上なので。そこでどっちが強いかを決めるだけ。口ではどうにもならない世界がリングの上にはあるので、そこは分からせてやりたいなっていうのはあります。あまり口でギャーギャー言いすぎても、もう試合まで1週間切りましたし、あまりガタガタ言わずにリングの上でどっちが強いか決めようぜ、分からせてやるよって、そういう意味です」と説明した。  皇治については「気持ちで戦うファイターなのかな。前へ来て打たれても打たれても諦めずに最後まで勝利を信じて、仲間の気持ちを背負って戦っているファイター。分かりやすく言うと技術よりも気持ちで戦うファイターなのかなって印象です」と評し、脅威だと思う部分はあるかと聞かれると「彼の周りにはたくさんの応援団がいると思うので、その数が多ければ多いほど、人は基本的には期待値が高ければ高いほど成長を見せようと期待に見合った結果を得ようと努力する。そういった意味では彼一人じゃなく彼の周りにいる人たちの多さが脅威、彼は一人じゃない。そういった人たち全員を相手に戦わないといけない。そういう意味では自分にとってデカい壁になるんじゃないかなと思っています」と、地元・大阪の大応援団の後押しが壁になるんじゃないかと推測。  皇治と言えば“倒れない男”。その打たれ強さが最大の武器であるが、梅野は「ピンとこないですね」という。「倒れないって勝ちじゃないですよね。結果として勝ちたいファイターは倒れないですよ。でも人って倒れるタイミングさえ合えば倒れるんです。人が倒れないなんてことはない。倒す自信もありますが、ピンとこないですね。俺は倒れないっていうのは、俺は死なないぜって言ってるのと同じだと思いますね」と、倒れない人間などこの世にいないとし、「タイミングが合えば倒します」とKOも狙うとした。  どのような試合展開を予想しているかとの質問には「彼がどう来るかによって試合展開は変わると思います。今までの試合の進め方を見ると、彼は僕を詰められないんじゃないかな。基本的には詰めては来るでしょうけれど、彼は自分からパンチを出すタイプではなく打たれたところで打ち返す、待って返すイメージなので。そんなに待っていると待っている間に僕に倒されちゃうじゃないかな。すぐに決まるかもしれないし、もしくは彼が待ちすぎて僕に3分3R一切触れることができずに完敗するかのどっちかじゃないかと思います」と、すぐにKOされるか、完封されるかのどっちかだとする。  決勝戦に関しては「白鳥選手が上がって来るんじゃないかと予想はしています。でも、どっちが上がってきてもいいですね。今回はRIZINキックトーナメントで優勝するかしないか、僕はその結果だけだと思っているので。誰が来てもいいように、いろいろな方たちの力を借りて準備しています。どれだけ口でカッコつけようが、どんなことを言おうが、誰が上がってこようが、ベルトを巻いた選手が一番。その結果のみを大事にしたいなと思います」と、一度KO負けしている白鳥へのリベンジよりもとにかく優勝することが一番大事だと話す。 「今回RIZINのキックトーナメントに参戦する一番の理由は、ムエタイの世界最高峰のベルトを獲った男が、RIZINキックトーナメントでやっぱりムエタイってすげえなって認知させていきたいことが一番の目標。それが夢だったので。だから誰に勝つというよりも、優勝することが一番の大きな目的。そこはブレずに行きたい。理想を言えばきりがないですけれどね。もちろん白鳥選手ともやりたいですし、内容は全試合KOにしたいし。だけど僕は記憶よりも記録が一番大事だと思うので。どんなにいい試合をしようが、優勝しなかったら記録に残らない。どんなに激しい試合をしてお客さんを沸かせようが、10戦10敗よりかは20戦20勝の方が記憶にも残るんです。僕はそういうファイターになりたい」と、“記録よりも記憶に残るファイター”ではなく“記録に残って記憶にも残るファイター”になりたいとする。  13日に東京ドーム大会を観戦し、RIZINの会場の熱も感じた。「お客さんたちに、選手が倒し倒されしている中で、それが響いている、届いていると感じることが出来ました。僕は今まで一般層には響きづらいリングで戦っていました。今回はコアなファン層だけでない、いいチャンスなのでムエタイ選手の凄さを知ってもらいたいです。ムエタイ代表と言うのはおこがましいですが、ムエタイを背負って、世界最高峰のベルトを巻いた誇りを持ってムエタイ代表という想い優勝する」とし、「ムエタイの戦い方はいったん捨てて、今回のRIZINキックルールにフォーカスさせて。ドームのようにお客さんがいっぱいいる中で皇治選手に勝って、皇治選手の周りのファンも味方にできると思っています。リスペクトを持って、どっちが勝つかは分かりませんが、1回戦で僕が倒して勝って皇治選手の想いも拳に乗せて、皇治選手のファンの力も背中に乗せて優勝したいと思います」と、1回戦で皇治に勝ったら皇治とそのファンの気持ちも背負って優勝したいと誓った。  また、「試合前は煽り合いとか、攻撃性のあるのはいいと思います。相手を馬鹿にしていなければいいんじゃないですか。そういう発言をするのは試合が終わった後のリスクを伴う。皇治選手もそうですが、大きいことを言えば言うほどリスクは大きくなる。でも、いいことばかりを言っても負けたらなんだアイツって言われる。どの選手もリスクを負って必死に身体を作って戦っているので、あまりアンチなコメントは控えてください。あれだけ大きなことを言っていたけれど、あれは周りのファンを盛り上げるためにそういう選択をしたんだと思って。試合が終わった後は、お疲れさまとリスペクトを持って。それがたしなみというか最低限の礼儀だと思います」と、ファンへのメッセージも送った。
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