ボクシング
レポート

『那須川天心にボクシングで勝ったら1000万円』優勝はアウトサイダー王者の放送作家と元アマチュアボクサー

2019/05/02 00:05
 5月1日(火)都内会場にてAbemaTVの番組『那須川天心にボクシングで勝ったら1000万円』で、那須川に挑戦する相手を決めるトーナメントが行われた。トーナメントは「ボクシング経験者」「異種格闘技」の2部門で行われ、勝ち上がった2名が那須川への挑戦権を得る。3500名の応募者の中から、それぞれのトーナメントに4名ずつが選ばれた。  試合はAbemaボクシングルール2分3R、KOで決着がつかない場合は3人のジャッジによる判定で勝敗が決まる。ジャッジは元WBA世界スーパーフェザー級スーパー王者・内山高志、元WBC世界ライトフライ級王者・木村悠、元日本ライト&スーパーライト級1位・諸岡正明。 元アマチュアボクサーの藤崎(左)が元プロボクサーの村井にテクニックで判定勝ち「ボクシング経験者トーナメント」では、プロ44戦のキャリアを持ち日本タイトルマッチの経験もある村井勇希(40)と、2006・2007年インターハイ出場経験がある藤崎美樹(29)の決勝戦となり、ジャブを突いて相手が出てくるところにカウンターを合わせることに徹した藤崎が優勝。 アウトサイダーで試合経験のある大井(右)がフィジカルの強さを発揮してGACKTの付き人・田中をTKO「異種格闘技トーナメント」は、注目された総合格闘家のONE世界ライト級王者・青木真也が直前で出場を取り消し。青木の指名を受けて代打での出場となった放送作家の大井洋一(41)と、GACKTの付き人をしている田中涼(31)が決勝を争い、THE OUTSIDER(前田日明がプロデュースする不良総合格闘技大会)55-60kg級王者である大井がMMAで培ったフィジカルの強さと試合経験を見せつけ、3RでTKO勝ちして優勝した。 トーナメントにエントリーした青木真也(左)は結局試合をせず、大井のセコンドに就いた 那須川との対戦権利と1000万円獲得に一歩近づいた2人は、「(那須川は)格闘家としても芸能人としても大ファンで尊敬できる選手なので、そういう選手と拳を交わすことができるのは格闘技をやってきてよかったなと思います」(藤崎)、「1回戦の1Rで肉離れしたのでまずは治します。那須川選手をビックリさせようと思うので、頑張って練習してきます」(大井)と、それぞれコメント。  トーナメントを解説席から見ていた那須川は「自分も精一杯戦います。「次の試合が決まっているので怪我無く終わらせたいと思います。今日はいろいろな人がいて面白かったですね。次に戦う選手も面白い選手なのでしっかり勝ちたいと思います」と、挑戦者を撃退すると語った。  なお、那須川とトーナメントで優勝した2人の試合は5月18日(土)に行われる。<関連リンク>内山高志が那須川天心まさかの苦戦を予想「天心選手もラクじゃない」『那須川天心にボクシングで勝ったら1000万円』に青木真也が参戦「那須川天心を底なし沼に引きずり込みたい」 [nextpage] ▼ボクシング経験者トーナメント1回戦第1試合 2分3R〇村井勇希判定3-0●戒岡淳一  戎岡は1998年にボクシングでプロデビュー。2000年西日本新人王決定戦で準優勝し、2008年にはWBC世界ミニマム級王座に挑戦している(9RでTKO負け)。2015年にプロは引退。戦績は25勝(8KO)11敗2分。38歳。  村井は2000年に西日本新人王を獲得、2012年には日本バンタム級タイトルマッチ、2013年にはWBCユース・バンタム級王座決定戦も経験。ランキング最高位は日本1位。ボクシング歴は高校生からやっていて約20年。プロで44戦行い、5年前に引退した。40歳。  1R、村井はステップを使って早く動きながらのジャブを多用。前に出る戎岡はボディと顔面を打ち分けて強い一撃を放つ。2Rになると村井は戎岡の左フックに左をしっかり合わせていき、左ボディもヒットさせる。ボディを打ってくる戎岡の顔面を狙う村井。  3Rは両者とも勝負に出てパンチの数を増やす中、村井が右のカウンターをクリーンヒットさせ、左フックに左フックを合わせる。戎岡も左ボディを強打するが、村井はすぐに打ち返し、村井が判定勝ちで決勝一番乗りを決めた。  村井は「次は100%KOします」と決勝戦でのKOを宣言した。 ▼異種格闘技トーナメント1回戦第1試合 2分3R〇田中 涼判定3-0 ※30-25、30-25、29-28●けんすけ  田中は空手、キックボクシング、テコンドーを学び、現在はGACKTの付け人の31歳。  けんすけは人気YouTuberはじめしゃちょーの「身体能力が高い」との推薦を受けての出場で、格闘技経験は空手。試合に向けて1週間のボクシング合宿をしてきたという。21歳。  1R、見合う両者だが、コーナーに詰めた田中が右ボディブローの連打でスタンディングダウンを奪う。その後も見合いが続く。2R序盤、けんすけが思い切って攻めていくと田中がラッシュをかけて一方的にパンチを打つ。その後はまたも見合いに。  3R、思い切って頭から飛び込むけんすけだったが手は出ず、逆に田中のパンチをもらうことに。判定勝ちで田中が決勝進出を決めた。 ▼ボクシング経験者トーナメント1回戦第2試合 2分3R●テーパリット判定1-2 ※28-29、29-28、27-30〇藤崎美樹  テーパリットはムエタイで200戦以上を経験し、160勝を収めてボクシングに転向。2011年に世界初挑戦でWBA世界スーパーフライ級暫定王座に就いた。同年12月には亀田大毅の挑戦を受け、判定勝ちで初防衛に成功。2012年4月には正規王者の清水智信にTKO勝ちして王座統一。同年9月には名城信男の挑戦も退けた。同年12月、河野公平に敗れて王座を失い、現在は大阪に住んでおり、キックボクシングの試合に出場している30歳。  藤崎は2006・2007年インターハイ出場経験があり、同志社大学ボクシング部時代には関西学生リーグMVP、2011年全日本選手権に出場。ボクシング歴14年で、現在はボクシングジムを経営している29歳。  1R、テーパリットが接近戦を仕掛けていく中、藤崎はカウンターを奪う。2Rはテーパリットが左右ボディを攻め、藤崎は入ってくるところに右アッパーを突き上げて左フックにつなぐ。ボディを攻めたいテーパリットに対し、藤崎はテーパリットの入り際、打ち終わりを狙ってパンチを打ち込む。  3R、テーパリットはボディから顔面へとつなぎ、藤崎はカウンターを奪う。テーパリットの左フックを空振りさせての藤崎の右フックが顔面を捉える。パンチを的確に当てた藤崎が、判定で本命と見られていた元世界王者を下した。 ▼異種格闘技トーナメント1回戦第2試合 2分3R●山崎尚英TKO 2R〇大井洋一  青木はグローブを着けず、私服で入場。リングに上がってマイクを持つと「天心選手に伝えなければいけないことがあります。試合に出たかったんですが、5月の(ONEの)世界戦を控えていまして、あなたとくんずほぐれつすることができません。お許しください。そしてアウトサイダー王者の大井洋一を連れてきました」と、ONE世界タイトルマッチがあるので出場できないと宣言。  代わりにアウトサイダー王者の大井(41歳)を戦わせるとした。大井は41歳で、普段は放送作家をしているという。青木はそのままセコンドに就いた。  山崎はキックボクシング歴2年で、2015年A-LEAGUE31 DELUXE優勝、2016年K-1甲子園60kg級ベスト8。  1R、大井が積極的に前へ出てパンチを出していき、山崎がそこへカウンターを打つ展開。大井は接近すると組み付いていく。2Rも前に出るのは大井。顔面とボディをしっかり打ち分け、右のパンチを多く当てていく。  3Rもアグレッシブに攻めていく大井の右フックからの右ボディで山崎はダウン。続けて、山崎をコーナーへ追い詰めて連打を浴びせた大井がレフェリーストップでTKO勝ちした。しかし、大井は右足を痛めたらしく、片足をひきずって退場していった。 [nextpage] ▼ボクシング経験者トーナメント決勝戦 2分3R●村井勇希判定0-3 ※28-29、28-29、27-30〇藤崎美樹※藤崎が那須川と1000万円獲得の挑戦権を得る。  元プロボクサー(村井)と元アマチュアボクサー(藤崎)の決勝戦となった。  1R、ジャブを上手く使う藤崎は右からの左フックを当てていく。村井は手数が少なめだったが、ボディを攻めていった。2R、序盤に藤崎が右フックからの左ボディをめり込ませて一瞬、村井の身体がくの字になったが、村井が接近戦を仕掛けてショートの距離でフックとアッパーのコンビネーションを回転させていく。  3R、藤崎はジャブを多く突いてストレート系のパンチで村井との距離を取る。当てては離れるで村井に接近戦を許さない。村井はそれでも接近戦を仕掛けていき、藤崎が打ってくると打ち返しを狙う。終盤は藤崎が身体を左右に振るようなフックとボディブローを決めていき、判定3-0で勝利を収めた。  村井は勝利者インタビューを受け、「まだ実感がなくて。これが決まってから余裕がひとつもなく、ひとつひとつやってきた結果、優勝につながったと思います。このルールなので長い距離に徹してパンチをもらわないように、そして自分のパンチを当てて3Rやろうと考えていました。(那須川は)格闘家としても芸能人としても大ファンで尊敬できる選手なので、そういう選手と拳を交わすことができるのは格闘技をやってきてよかったなと思います」と語った。 ◆藤崎のコメント「最初はトーナメントに出る気もなくて、みんなが(出場申し込みを)出していたので通ったらいいなというくらいで出したんですが、どんどん進んでいって。近い距離の技術は今やっても勝てるものではないので、長い距離でジャブ主体でやれば相手が出てくると思ったので、そこでカウンターを打って。それだけをずっとやっていました。7年前に引退して自分の練習は全然やっていません。ボクシングを教えている中で一緒にやっていたくらいです。  天心選手とは近い距離でごちゃごちゃやるよりも、遠い距離で戦おうと思います。天心選手はサウスポーだから、前の手の使い方は僕の方が上手いので。あと右に絶対に左を合わせてくると思う。そこまで想定して戦おうと思っています。  自分の強いところも弱いところも分かっているので、期間がない中で勝てるようにします。変に正攻法でやるより、考えながら頭を使って相手が嫌なことを出来たらいいな、と思っています。普通にやったら負けるので。  昨日は熊本で法事があったので、大阪から熊本まで車で行って飛行機で東京まで来ました。プレッシャーに押し潰されて体調を崩したんですが、控室に入ってからはできるようになりました。ダメージと疲労が今は凄いです」 ▼異種格闘技トーナメント決勝戦 2分3R●田中 涼TKO〇大井洋一※大井が那須川と1000万円獲得の挑戦権を得る。  大井は右足にテーピングしての出場。1回戦で肉離れを起こしたという。  1R、大井は突進してパンチを浴びせ、そのまま組み付いてブレイクを待つという戦法。田中も右ストレートを浴びせるが、身体の厚みがありパワーもある大井に押される。  2Rも同様の展開。田中は組まれ際に右をヒットさせるも、パワーに押される。大井は組んだ状態から離れ際にパンチを当てるのが上手く、右のパンチ連打でスタンディングダウンを奪った。最後は大井がコーナーに詰めての連打。レフェリーストップで大井がTKO勝ち。2試合ともTKO勝ちで優勝を飾った。 ◆大井のコメント「青木さんの代打で出るので努力しました。青木さんが急遽出られないとなったので、青木さんに大井でいこうと指名してもらったので恥をかかせないようにと頑張りました。左ヒザの靭帯がもともと切れていて、1Rの途中くらいで右足が肉離れしてしまいました。でも青木さんが怖くて逃げられなかったです(笑)。今日は魅せないとダメだと思いました。時間内に終わらせようと、最後は倒して締めたいと思いました。  出るのが決まったのは数日前なので、そこから大急ぎで大沢ケンジに電話してマンツーマンで3日くらい見てもらいました。それでどうにか戦えるレベルになったのでよかったです。天心選手はこんなもんじゃないと思うので、まずは怪我を治さないとお話にならないので。実は僕、伊藤(隆)会長の元々後輩で山木ジムでした。だから厳密に言うと天心選手の兄弟子です。でも、天心選手を目の前にしたらオーラで喋れませんでした。 (天心君は)怖さしかない。強いのは重々知っている。ただ僕みたいに楽しむ格闘技の生活をしている人が、那須川天心と向き合うことはないと思う。それでもこういう飛び級で向き合えるのはありがたいこと。格闘技が本当に好きな人は納得いかないかもしれませんが、自分のためにファイトします。真面目なボクシングは藤崎君に任せます」<関連リンク>内山高志が那須川天心まさかの苦戦を予想「天心選手もラクじゃない」『那須川天心にボクシングで勝ったら1000万円』に青木真也が参戦「那須川天心を底なし沼に引きずり込みたい」
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