2021年6月13日(日)東京ドーム『RIZIN.28』にて、「RIZIN JAPAN GRAND-PRIX 2021 バンタム級トーナメント」の1回戦をHEAT MMAバンタム級王者・春日井寒天たけし(志村道場)と戦う扇久保博正(パラエストラ松戸)が、5月24日(月)千葉の所属ジムにて公開練習を行った。
最初は真面目にミット打ちをしていたかと思えば、同トーナメントにも出場する同門の岡田遼とのスパーリングでは突然プロレスが始まり、最後は岡田にフォールを奪われた扇久保。「さっき急に言われたので…(岡田が)無茶ぶりしてきたんです。(負けを受け入れたのは)先輩の器の大きさです」と笑った。岡田によれば、UFC世界ミドル級王者のイズラエル・アデサニヤが公開練習でやって盛り上がっていたのを見てインスパイアされたものだという。なお、打ち合わせ時間は僅か10分。
東京ドームと言えば「ヴァンダレイ・シウバvs吉田秀彦」(2003年11月9日のPRIDE GRANDPRIX 2003準決勝)を思い浮かべるという扇久保は、今までで一番大きな会場にも「不安より楽しみの方が大きいです」とワクワクしている様子。
春日井とは2014年2月に『VTJ』で対戦し、判定2-0で扇久保が勝利している。「パンチで攻めてくる印象がありますが、基本は変わっていない印象です。前回みたいになるかは分からないですね。また違う展開になるかと思っています。打撃も全部レベルアップするように練習しているので、どの局面になっても圧倒する」と、今回は圧倒して勝つとした。
警戒すべき点を聞かれると「春日井選手はスタミナが凄いある選手なので、そこはかなり警戒しています。気持ちも強い」と評しながらも、「でも自分は打撃も寝技もレスリングも優っていると思うので圧倒できる。最近は判定が続いているので今回はKOか一本で勝ちたいと思います」と、フィニッシュすると言い放つ。
前回の対戦もトーナメント1回戦での対戦であり、春日井は5月21日(金)に書店やネットショップに並んだ格闘技雑誌『ゴング格闘技 7月号 No.314』のインタビューにて、「これはもう運命ですね。扇久保さんと僕は何かあるのかもしれない」と“運命”を感じているとした。扇久保はどうかと聞くと「頭のおかしさも似ているかな。僕もシンパシーを感じています」と似たようなところがあると話した。
しかし、約7年の時を経て「全然自分の方が成長している。凄く成長しています。今まで戦った相手もレベルが違う。全然レベルが違うと思っています」と、その差はさらに大きく開いたと断言した。
今回のトーナメントについては「これまでの敗戦も全部払しょくできるので最高のチャンスだと思っています」と全てを取り戻せる大きなチャンスだと思っている。
本当は「1回戦で井上(直樹)選手とやることしか考えていなかったです」と打ち明け、2nd ROUND(2回戦)では「やるなら井上選手とやりたい」と、井上との対戦を熱望する。だが、「石渡(伸太郎)さんと井上選手は石渡さんが勝つと思うので、朝倉海選手ともう1回やれればいいなと思います」と井上の1回戦敗退を予想し、朝倉海とのリベンジマッチをやりたいとした。
今回も前回同様“背水の陣”の気持ちで臨むのかとの質問には「すぐ辞めようとするので(笑)。でもそれくらいの覚悟は持っていつも戦っています」とトーナメントに懸ける気持ちを表現し、同門の岡田とも「お互いに決勝で戦う時は全力で戦おうと言っているので、そこは覚悟しています」と同門対決も辞さないとする。
当初の5月23日から1カ月延期になったことは「自分はそんなに(影響は)ないです。練習が3週間伸びたので追い込みが3週間できるとプラスに捕らえています」とし、「1年は長いので自分はそこを見据えてスパーリングの数を減らしています。実力もそうですが怪我とかメンタルもあるので、そこも含めてのトーナメントだと思っています」と、怪我をしやすく消耗するスパーリングを控えて今後に備えるとした。
「練習時間は日によって、コンディションによって違いますが、5分3Rは全力で集中してやる時間を設けて、それに加えて補強をやっています。食事もジャンクなものは食べず、クリーンなものを食べて身体をしっかり作り上げています」と万全だ。
そして「修斗は打・投・極って言葉があって、打撃も投げも寝技も極めも途切れなく、一個一個が別に動くのではなく全てがつながって行くのが修斗だと思っています。僕が打・投・極を一番表現できる選手だと思っています」と、修斗でキャリアを積んできたシューターとしての完成度の高さに自信をのぞかせた。