キックボクシング
レポート

【RISE】一馬が戦慄の新必殺技「上弦ノ三日月蹴り」で47秒KO、タイトル奪取をアピール

2021/05/23 20:05
RISE1492021年5月23日(日)東京・後楽園ホール ▼メインイベント(第7試合)スーパーフェザー級(-60kg) 3分3R延長1R〇一馬(MONSTAR GYM/同級1位)KO 1R 0分47秒 ※上弦ノ三日月蹴り×ノラシン・スペチアーレジム(タイ/Speciale gym/元ルンピニースタジアムライトフライ級王者、元ルンピニースタジアムフライ級王者、元ラジャダムナンスタジアムライトフライ級王者)  一馬は中学時代に野球で日本代表になった経歴を持ち、海上自衛隊・航空士として体力測定で全隊員中トップの成績を収めたという身体能力を持つ。早くからYouTuberとして活動していた選手で、2018年6月にはボクシングからキックボクシングにカムバックした白鳥大珠の復帰第一戦の相手を務めた(1Rで白鳥がKO勝ち)。前戦は2020年12月に前口太尊を右フックでKO。1年に1~2試合しかしない“RISEのレアキャラ”。  ノラシンは2007年のムエタイ最優秀選手賞にも輝いた名選手で、ボクシングでも4戦目でPABA王者、12戦目でWBCインターシルバー王者となっている。2009年6月の初来日では、全日本キックで寺戸伸近を2RでKO。2010年8月にはムエロークに再来日し「ヨードムエチャンピオンズカップ51kg級」で優勝している。当時のニックネームは“ムエタイ軽量級の壊し屋”。4年前までボクシングの試合をしていたという。RISEには今年2月に初参戦し、梅野源治に判定で敗れたが好戦的なスタイルで印象を残した。  1R、右ローを蹴るノラシン。左フックも繰り出す。すると一馬が意表を突くアゴへの三日月蹴りをヒットさせ、ノラシンが崩れ落ちる。そのまま立つことができず、一馬の秒殺KO勝ちとなった。  一馬はマイクを持つと「最後の技は僕の切り札、上弦ノ三日月蹴り(本人命名)です。他に使う人はいないんじゃないでしょうか。どうでしょうか。年内に僕がベルトをもらいます。間違いなくKOで勝てる実力が付いているので超期待してください」と、タイトル奪取をアピールした。 [nextpage] ▼セミファイナル(第6試合)バンタム級(-55kg) 3分3R延長1R△京谷祐希(山口道場/同級5位)ドロー 延長R判定0-0 ※10-10×3△寺山遼冴(TEAM TEPPEN/DEEP☆KICK -53kg王者)※本戦の判定は30-30、29-29、30-30。  京谷は強打と当て感の良さで連戦連勝。2010年に『DEEP☆KICK』で皇治と対戦し、当時無敗だった皇治に初黒星を付けた。2012年6月には『Krush』で武尊と対戦し、当時5戦5勝の武尊から2度のダウンを奪った末にドクターストップでTKO勝利、武尊にプロ唯一の黒星を付けている。2016年10月には『HOOST CUP』にて玖村修平からも勝利を収めるなど実力者ぶりを発揮した“伝説の壊し屋”。その後、怪我のため試合から離れたが2019年9月のRISEで約3年ぶりに復帰。いきなりRISEバンタム級8位・金子梓をKOした。2020年は1月に志朗に判定で敗れたが、8月は知花デビット、11月は鷹介から勝利。戦績は16勝(10KO)7敗1分。  寺山は昨年7月から開催された「DEEP☆KICK53kg王座決定トーナメント」に参戦。準決勝では京谷の同門である勇馬を強烈な顔面前蹴りでKOし、王座決定戦ではOISHI GYMのルーキー・HΛLからダウンを奪う完勝で、わずか5戦目にしてDEEP☆KICK王者となった。昨年11月に有井渚海よりプロ初黒星を付けられており、今大会より階級を上げての再出発となる。  リングインすると、セコンドの那須川天心と最後の動きのチェックをして試合に臨んだ寺山。  1R、サウスポー同士。寺山はジャブ&ロー、京谷はジャブでけん制してワンツーで追っていく。寺山は左右ローキック、京谷は相手の動きをよく見て左ジャブ、右ストレートを打ち込んでそのまま連打に繋げていくが、寺山もそれをかわしていく。  2R、待つ寺山と前に出るがカウンターを警戒してあまり手が出ない京谷。前進しての連打を何度かかわされた京谷はその傾向がさらに強くなり、両者手を出さずに見合いが続く。  3Rも同じ展開が続く。前に出て連打を繰り出す京谷が、クリーンヒットは奪わずとも攻撃の姿勢を見せる。寺山は左ロー。京谷が飛び込んでの左右フックをヒットさせ、そこから一気に詰めていくが寺山はクリンチ。両者見合いのまま本戦終了。  判定はその通りドローとなり、延長戦へ。始まってすぐ、京谷の放った左ローがローブローに。京谷にはイエローカードが提示されて試合再開。京谷が右を伸ばしてきたところへ左のカウンターを入れた寺山。京谷はワンツー連打で前へ出るがクリンチになってしまう。京谷が踏み込んではクリンチ。寺山が入り際にカウンターを合わせる場面もあったが、両者攻撃を当てられずドローに終わった。 [nextpage] ▼第5試合 ライト級(-63kg) 3分3R〇稲石竜弥(Team OJ/第2代Bigbangライト級王者、第19代MA日本ライト級王者)判定3-0 ※30-27×3×杉本卓也(WSRフェアテックス/元J-NETWORKライト級王者)  稲石はレベルス、ビッグバン、Krushなど様々なリングを渡り歩き、3本のベルトを腰に巻いた。“変態的”と称されるバックハンドブローやバックスピンキック、ジャンプしての攻撃などトリッキーな動きが持ち味だ。2020年7月にKENTAに判定負けして以来のRISE参戦。戦績は25勝(6KO)16敗。  杉本もパンチを武器にKNOCK OUTやJ-NETWORK、REBELSなど様々な団体で活躍。打ち合い上等のスタイルで特に右ストレートは必殺の威力。2018年3月にJ-NETWORKスーパーライト級王座にも就いた。RISE初参戦となった2020年2月は、かつて勝利した実方拓海にリベンジを許した。今回が再起戦となる。戦績は14勝(3KO)12敗3分。  1R、稲石はグローブタッチするとすぐに左ロー。左ジャブからの右ストレートでグラついた杉本に右を打ってダウンを奪った。どの角度から飛んでくるか分からないようなガチャガチャした動きの稲石に杉本はペースを握られっぱなしとなる。変則的な角度で来る左右フックを浴びる杉本は打ち合いに行っても稲石の回転力に対応できずフックを浴びる。  2R、単発で右ミドル、前蹴りを当てる杉本だが、打ち終わりに飛んでくる稲石の連打をもらってしまう。1Rよりは手数の減った稲石だが、杉本が後手を踏んでいるのは変わらず。攻撃の手数が圧倒的に少ない。  3R、杉本が蹴りを出すとすぐに左右フックを返してくる稲石。蹴るとパンチをもらう杉本はなかなか攻めることが出来ず、杉本の蹴りを空振りさせた稲石はトリケラトプス拳のポーズをとる余裕ぶり。右ローにもバックハンドブローを合わせてヒットを奪い、再びトリケラトプス拳で場内を沸かせる。  稲石が終始自分のペースで戦い、判定勝ちを収めた。勝者の記念撮影では、ラウンドガールを跪かせるポーズ指定もした。  たくさん笑わせた稲石だが、マイクを持つと「私事なんですが、ずっと前に大切な友人が亡くなってしまって今も実感が沸かないんですが、試合の時にたくさんの仲間を連れて応援に来てくれる友だちで、この勝利をその友だちに捧げたいと思います。ありがとう。いつ亡くなってしまうか分からないので、皆さんも今の仲間を大切にしてください。皆さん大好きです」と語った。 [nextpage] ▼第4試合 -83kg契約 3分3R×小西拓槙(フリー/元ISKAオリエンタルルール・インターコンチネンタル スーパーウェルター級王者)判定0-3 ※27-28×2、27-29〇武来安=ぶらいあん/上州松井ジム/WMCインターコンチネンタルライトヘビー級王者、WPMF日本同級王者、元J-NETWORK同級王者)  小西は大阪体育大学浪商高校日本拳法部出身。全国高等学校日本拳法選手権大会で個人有段の部3位入賞の実績も持つ。卒業後は消防署員となり、プロのキックボクサーとしても活動する。2011年にACCELミドル級タイトルマッチで平尾大智に勝利し、第5代王者となる。2013年にはリレオ・ズーリック(ドイツ)を判定で下し、ISKAインターコンチネンタルスーパーウェルター級王者に輝いた。REBELS、シュートボクシング、RIZIN、Krushと様々な団体を渡り歩き、RISEには2015年11月以来5年半ぶりに登場となる。  武来安はアメリカ北西部のモンタナ州出身で、留学生として日本へ渡りキックボクシングでプロデビュー。ヒジありのムエタイルールで活躍し、2018年9月にはK-1 WORLD GP初代クルーザー級王座決定トーナメントにも参戦。2019年7月に本来のムエタイルールに戻ってWMCインターコンチネンタルライトヘビー級王座を獲得した。  1Rからお互いに声を出しながら重い一発一発を打ち込む。武来安の右ボディ、右フック、右ローは迫力満点。小西もヒザを返すが、武来安のパワーに押される。小西の右フックに合わせた武来安の右フックでグラつぐ小西。そして右ストレートで押されるようにダウンする。すぐに「ダウンじゃない」との意思表示を見せたが、ダウンとなった。  2R、左ローを蹴りながら左フック、右ローと上下に散らせる武来安。強烈な右ストレートを何度も浴び、後退する小西。武来安は声を上げながら前へ出て左ミドル、ヒザ蹴り。小西はパンチをもらいながらも前へ出るが、武来安の迫力ある攻撃が目立つ。小西が右フックを一発当てると、すかさず左右フックを打ち返す武来安。  3R、反撃に出た小西が左右フックで前へ出ての左フックをヒットさせてダウンを奪い返す。武来安も強気に打ち合う。両者のフックが激しく交錯。武来安の左フックに身体が泳ぐ小西だが、右を打ち返す。しかし、武来安のヒザ、前蹴りでボディを攻められると後退し、防戦一方に。最後は一方的に武来安が攻めるシーンとなり、判定3-0で武来安が重量級対決を制した。  武来安はマイクを持つと「僕のキックキャリアは全て日本でやっています。日本のファンの皆さんは最高だと思います。ずっと日本でキックボクシングをやらせていただいて、最後まで頑張ります」と流ちょうな日本語で語った。 [nextpage] ▼第3試合 フライ級(-52kg) 3分3R×聖愛(魁塾/ミネルヴァスーパーフライ級王者)判定0-3 ※29-30、28-29×2〇YAYAウィラサクレック(WSRフェアテックス幕張/初代J-GIRLSスーパーフライ級王者)  聖愛は関西の名門・魁塾所属の女子大生。2020年2月にNJKF ミネルヴァ・スーパーフライ級タイトルマッチに勝利して高校生の内にチャンピオンになるという目標を達成したが、同年9月の初代RISE QUEENフライ級王座決定トーナメントではまさかの計量オーバー。トーナメントは失格となり、陣内まどかとワンマッチで対戦したが判定負け。2021年2月の『ミネルヴァ』ではIMARIの挑戦を受けての初防衛戦に臨んだが、ドロー防衛。今回のRISE“みそぎマッチ”でスッキリした勝利を目指す。  YAYAはタイでプロデビューし、7勝1敗の戦績を残して帰国後は5戦負けなし。2019年10月に初代J-GIRLSスーパーフライ級王座決定戦を制し、王座に就いた。力強い右ローと右ストレートが得意で、手数も多い。2020年はNJKFの「S1レディース バンタム級ジャパントーナメント」に参戦し、11月の決勝へ進出するも☆SAHO☆に敗れて準優勝に終わった。  1R、飛び込んでの右フックをヒットさせたYAYAが一気にラッシュ。前蹴りで体勢を立て直した聖愛はミドルで距離をとり、突っ込んでくるYAYAにフックを合わせて回り込む。その後もYAYAが前へ来るところに右ミドル、ワンツー、右フックを合わせる聖愛。  2Rも前へ出てくるYAYAに右ストレート、左右フック、ヒザを合わせる聖愛。自分からはジャブ。突進してパンチを出すYAYAに対して聖愛は待ちの戦法。突進をかわしての右ストレートもヒットさせるが、YAYAはものともせずにフックを振って突進を続ける。  3Rもガムシャラに突進するYAYA。右ボディストレート、右フックが聖愛の顔面を捉える。聖愛は待ちの姿勢で右を何度も突進に合わせるが全体的に手数が少ない。  判定は3-0で終始アグレッシブに前へ出て攻めの姿勢を見せ続けたYAYAの勝利となった。 [nextpage] ▼第2試合 スーパーフェザー級(-60kg) 3分3R延長1R〇常陸飛雄馬(TARGET SHIBUYA/同級7位、2016、2017年全日本学生キックボクシング連盟フェザー級王者)KO 2R 2分37秒 ※右フック×駿(FASCINATE FIGHT TEAM/DEEP☆KICK60kg 1位)  1R、2人とも思い切りのいいフックを放ち、常陸は強いロー、駿は左ボディも打つ。前へ出て右フック、右ストレートを当てていくのは常陸。右ローも強烈に決まる。常陸の攻撃力に押される駿。  2R、常陸の左フックに一瞬遅れるような左フックを合わせる駿。常陸は左三日月蹴りを出しつつ、駿の左フックに左フックを合わせに行く。足を止めての打ち合いが何度か行われ、駿が右フックを空振りしたところへ常陸がフルスイングの右フック。これで駿がダウンし、そのまま立てず。常陸のKO勝ちとなった。  常陸はマイクを持つと「久々の復帰戦でとりあえずKOで勝ってとても嬉しい。今年スーパーフェザー級のベルト獲りたいので、ランカーの人たち、楽しみにしていてください。倒しに行きます」と王座獲りを宣言した。 [nextpage] ▼第1試合 ライト級(-63kg) 3分3R〇樋口知春(極真会館/第35回全日本ウエイト制空手道選手権大会 中量級優勝)判定2-0 ※30-28、28-28、29-28×塩川琉斗(TOP STAR GYM)  また一人、極真空手の猛者がキックボクシングに転向。樋口がライト級(-63kg)3分3Rで、塩川とプロデビュー戦を行う。  樋口は極真会館総本部の指導員で、2013国際親善空手道選手権大会高校1年生+65kg優勝を皮切りに、全日本ウェイト制空手道選手権大会中量級では2016年3位、2017年準優勝、2018年優勝。2019第12回全世界空手道選手権大会に日本代表として出場し、ベスト16入りをしている。2018年の全日本ウェイト制決勝では、現在キックボクサーとしてすでに活躍中の与座優貴と決勝を争い、再延長まで戦うが決着がつかず、試割判定で樋口が勝利した。ラッシュ力には定評があり、キックボクシングでもダイナミックな動きで頂点をとることができるか。  対する塩川はアマチュアで6勝3敗。今年1月のRISE EVOLオープニングファイトにてAmateur RISE Nova ルールで参戦し、同じく今回がプロデビュー戦となる。  1R、両者蹴りが多め。樋口は塩川の蹴りをかわしての右インローを多用。塩川はよく動いて蹴りを放つが、樋口はしっかりブロック。塩川の右ローを一瞬キャッチしての右フックでダウンを奪う。その後も右ロー、右インロー、右フックと右の攻撃が冴える樋口。  2R、サウスポーの塩川は横構えになってのサイドキック。組んでのヒザ蹴りに活路を求める。樋口は右インローと左ロー、右フックの強打。表情に余裕が見えてきた塩川は前蹴りで突き放し、ワンツーから組み付いてのヒザ蹴り。樋口は出鼻をくじかれる展開に。  3R、顔面前蹴りで大きく下がらされる樋口。手数が減った樋口に塩川は細かく連打、樋口も右フックを返すが振りが大きくかわされる。残り時間わずかで勝負をかけて前へ出る樋口は塩川の細かいパンチをもらって見栄えが悪いが、前へ出て攻撃を続ける。  判定は2-0で樋口がデビュー戦勝利を飾った。
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