2021年5月23日(日)東京・大田区総合体育館『K-1 WORLD GP 2021 JAPAN』にて、亀本勇翔(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)とスーパーファイトK-1フェザー級3分3R延長1Rで対戦する斗麗(=とうま/WIZARDキックボクシングジム)が公開練習を行った。
斗麗はオランダの名門Mike's Gymでも練習を重ね、2018年12月に16歳の若さでプロデビュー。5連勝で「第5代Krushフェザー級王座決定トーナメント」にエントリーされ、優勝候補と目されていたが、右手首キーンベック病(手首の月状骨がつぶれて扁平化する病気)で全治2カ月のため無念の欠場。2021年2月に6戦無敗でKrushフェザー級王者・新美貴士に挑んだが、判定で初黒星を喫した。戦績は6勝(3KO)1敗。
公開練習では、同じくK-1 GROUPで活躍する弟=“狂拳”迅の持つミットへ的確なパンチを放ち好調な姿を披露した。
斗麗を語るときに欠かせないのはMike's Gymへ出稽古をしたエピソードだ。斗麗は中学卒業後に自らMike's Gymのマイク・パッセニール会長にアポイントメントを取り、単身オランダへ渡った。
「オランダに行ったきっかけは、中学を卒業したら高校に行こうと思っていたんですけど、将来の夢がK-1のチャンピオンだったので、高校へ行くより自分の夢に向かってやって行くならオランダで修行して早く世界一になりたいと思ったからです」
オランダでは言葉も通じず、携帯電話もないままジムを訪れるなど苦労の連続だったようだが、いざジムで練習を開始すると選手とも交流を深め、全てがいい経験になったと話す。そのオランダで印象に残った練習を聞くと、返ってきた答えは階級を超えたガチスパーだった。
「週一回のスパーリングがあるんですけど、それがほんまに地獄でしたね。階級関係ないし、どんなでかいやつともやらないといけないし、めっちゃしんどかったです。日本に帰ってきたときのみんなのパンチが軽かったですね」
オランダ修行に続く、斗麗らしいエピソードが“狂拳”竹内裕二との交流だ。竹内といえばkrush草創期から活躍し、倒し倒されのファイトスタイルで人気を博した。その活躍からファンになった斗麗の弟・迅から竹内に宛てたファンレターがきっかけで交流が始まる。
(写真)渾身の左ストレートを叩き込む斗麗「もともと迅が狂拳のファンで、狂拳にファンレターを送ったんですけど、そうしたらダンボールで狂拳の昔履いていたキックパンツが送られてきて。野杁(正明)戦のやつとか4枚ぐらい入っていたんです。そこに電話番号も書いてあって、迅が電話番号からLINEを調べたら狂拳が出てきて(笑)。そこから仲良くなりました。いつも試合前に『斗麗ならいける』と褒めてくれるし、すごくありがたいです。(技術的には)狂拳は近い距離のパンチがうまいので、練習の時にそこも教えてもらってます。次の試合も近い距離になったら倒れるんちゃいますかね」
今大会で斗麗はスーパーファイトで元Bigbang王者の亀本と対戦。試合発表の会見では2月の敗戦を受けて「死人に口なしだと思ってる」と厳しい言葉で意気込みを話したが、この日も「今回はどんな相手でも、どの大会でも出ようと思ってオファーを受けました。僕はK-1 JAPAN GROUPで世界一になるためにやっているので、世界一になるためにここから頑張って行こうと思っています」と引き締まった表情で気合い十分。
対戦相手の亀本の印象をひと言「上手い」と評しつつ「他団体でもチャンピオンになってるし、実績もあっていい選手だと思うんですけど、僕のオファーを受けたということは僕に勝てると思っているということ。自分のことを舐められていると思いますが、オイシイ相手なんで倒します。うまく戦うことはしないし、最初から倒しに行こうと思っているので試合を楽しみにしておいてください」。
斗麗のいるK-1フェザー級では『K'FESTA.4 Day.1』で椿原龍矢が江川優生を下し、王座を奪取した試合が記憶に新しい。その椿原の出場が同じ大会で決まっているが、斗麗は新王者をどのように分析しているのか。
「この世界は勝ったやつが強くて負けたやつが弱い。確かに椿原選手は強いんですけど、僕は世界一を決めるK-1の舞台で椿原選手みたいな戦い方はできない。僕は倒しにいくことしかできないので、僕はもっと倒しに行ってほしいなと思います。僕の試合は椿原選手より前なので、フェザー級の倒しに行く試合をして椿原選手にプレッシャーをかけようかと思ってます」
椿原戦が実現したら「捕まえますよ、僕は。作戦はまだですけどイメージはできてます」と、自信も伺わせた。
新王者誕生で「戦国時代」と評されるK-1フェザー級。その中にあって斗麗は「椿原選手とやる玖村(修平)選手もそうだし、最近上がってきた軍司選手もスーパー・バンタムから上がってきた選手なので、フェザー級が舐められてるなと。全員倒しに行こうかなって」と怒りを露わにする。
最後には「昔の熱かった時代のK-1を思い出させる」と、若くしてK-1への熱い想いを語った。