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【RIZIN】“シン・ミクル”朝倉未来の目指す“その先”にあるもの──クレベル・コイケ戦は「俺しか日本に倒せる人がいないから、俺がやるしかない」

2021/05/05 19:05
 2021年6月13日(日)東京ドームで開催される「Yogibo presents RIZIN.28」で、元KSWフェザー級王者クレベル・コイケ(ボンサイ柔術)と対戦する朝倉未来(トライフォース赤坂)が、“シン・ミクル”への進化と“その先”を語った。  5月5日に「クレベル選手、俺がフェザーのチャンピオンだって。リスペクト感じたよ。俺も謙虚な気持ちで、格上に立ち向かうつもりで試合までを過ごす。必ず倒す!」と決意をツイートした未来。 前日の会見でも、YouTubeで対談した魔裟斗からのアドバイスもあり、フィジカルトレーニングを本格的に取り入れたことを明かし、「今までミット打ちとかランニングとかウエイトトレーニングはあまり取り入れてこなかったんですけれど、そこからミット打ちを始めたり、走ったりというのを続けていますね」と語っている。  そこには、未来が「とても危険な相手」と評するクレベルへの敬意と警戒がある。  MMA27勝のうち23の一本勝ち、そしてKO負けが1回もないクレベルとの試合は、「俺が倒すか、相手が極めるか、すごい緊張感のある戦いになるんじゃないかな」と語る。 “シン・ミクル”ともいえる進化の取り組みはどのようなものか。  柔術で、2019年のIBJJFアジア柔術選手権アダルト黒帯ライト級準優勝・無差別3位、ヒクソン・グレイシー杯2014同級優勝などの実績を持つクレベルの寝技に対し、未来は立ち技勝負。グラウンドになっても極めを防ぎ、削って立つことに徹するだろう。  それは2018年の「KSWフェザー級王者決定戦」でサウスポー構えのマテウス・ガムロが示した戦いにほかならない。クレベルのガードワークに付き合わず立ち上がるというファイトで判定勝ちしたガムロは、KSWのベルトを手土産に、UFCに駆け上がり、2021年4月に30歳にしてオクタゴン初勝利を挙げている。  その寝技パートで現在、未来は“イワモッティ”こと岩本健汰(IGLOO)から指導を受けている。  ADCC(アブダビコンバット)2019日本代表で、全日本ノーギ柔術選手権でも二冠達成、ZST GTF.3グラップリングトーナメント覇者の岩本を招聘し、「いま日本で寝技で一番強い岩本くんにお金を払って週3回練習パートナーになってもらいます」という通り、強くなるために、自身への投資を増やしている。  岩本も「新しい環境、挑戦は自分を強くするはず。週3で朝練に参加させて頂きます」という朝練習には、現在、トライフォース赤坂と協力関係にあるBRAVE GYMの宮田和幸代表が、武田光司らとともに参加しており、寝技のみならず、広く「組み技」としてのグラップリング、そしてレスリング技術も、朝倉兄弟のトレーニングに新たに導入されていることは間違いない。  寝技について未来は「アマチュアから27戦やって、極められたことはTHE OUTSIDER時代に1回しかない(※2013年12月の樋口武大戦のトーホールド)。寝技で獲られない自信はあるし、テイクダウンデフェンスも強い、ここはやってやろうかというところ」と、大一番への自信をのぞかせている。  一方で、未来は打撃面での進化も怠らない。 “寝技師”と呼ばれるクレベルだが、近年は得意のグラウンドに持ち込むためのトランジションや、スタンド打撃での成長を評価する声も高い。寝技に絶対の自信を持つがゆえに、思い切りのいい打撃を効かせており、元SB世界スーパーライト級王者・鈴木博昭代表率いるBELLWOOD FIGHT TEAMでの出稽古では、プロキックボクサーのスパーリングパートナーが手を焼くほどの打撃の動きを見せている。  そんなクレベルの打撃について、未来は、「完全にグラップラー? いや打撃も結構、強いみたいで変則的。KO負けが無いのも目がいい証拠だし、打撃も地元の有名なキックボクサーを失神させるくらい強いらしい」と警戒。  現在、これまであまりやってこなかったという「フィジカルトレーニング」、そして「キックミットも同じくやってます」というように、YouTubeで交流のある久保優太・賢司らが所属するPURGE TOKYOのトレーナーの小倉將裕を招き、ミット打ちを行う動画もアップしている。「朝練習で筋肉痛もすごい。期待してもらえたらと思います」と、充実の表情を見せる。  本誌の取材に榊原信行CEOは、「(SNSで未来と舌戦を繰り広げてきた)萩原京平とドームで勝負するにはちょっと弱いだろうと思った。未来がよく(クレベル戦を)受けてくれたなあと思いますね。このカードは、ファンの誰からも後ろ指を指されることもないし、未来の本気、RIZINとしての本気も伝わる一番説得力のあるカードになった」と、その覚悟を評価している。  なぜ、未来は斎藤裕(パラエストラ小岩)へのリヴェンジ戦に執着することなく、クレベルとの試合を選択したのか。 [nextpage] 「俺が極められて失神するかもしれんし、腕とか折れるかもしれん。でも──」  自身のYouTubeで未来は、あらためてその理由を説明している。 「チャンピオンにリヴェンジしたいという気持もあったけど、勝ったところでやっぱりクレベル選手のことが脳裏をよぎる。結局、いつか戦わないといけないので、ここで俺が潰そうかなということでやることを決めました」  本誌の取材でも未来は、「仮に斎藤選手とやって俺がベルトを獲ったとしても“自分より強いやつがいる”と思われるのは気持ちよくない。それにクレベル選手とかヴガール・ケラモフって、斎藤選手よりワンチャンあって強いんじゃないかなと思って」と、“強さ”という評価基準へのこだわりが、今回の選択に繋がったと語る。 「ぶっちゃけ、斎藤選手ともう1回やっても勝てると思っているし、ファンのみんなも最強の俺を期待している。その期待に応えたいなっていうのはある。そこだけかな、そこだけのために今回は頑張ります」  魔裟斗から「まだまだやることはある。世界最高峰を目指すべき」と激励された未来。新たな強化に取り組み、“最強の俺”への期待は、ファンのみならず、自身のなかにもある。 「ここで勝ってタイトルマッチに挑戦してベルトを獲りたいですね。まずはRIZINのチャンピオンにならないと、“その先”も見えてこない」という未来は、「あと1年半から2年」という引退までに、“その先”の「世界」に挑戦したいと考えている。 「今回は、俺のキャリアのなかで一番強い相手。クレベル選手に勝ったときに、俺の世界での評価ってめちゃめちゃ上がるよね。世界で戦ってた選手だから。でも俺は勝てると思っている」  現在、海外サイト「FIGHT MATRIX」の世界フェザー級ランキングにおいて、日本勢ではクレベル・コイケが54位、斎藤裕が62位、朝倉未来が68位、74位にISAOがランキングされているのが現実だ。それは北米基準においては、UFCやBellatorの上位選手とからまないと、評価のポイントになりにくいことを示している。  その「世界」では、1位がUFC世界フェザー級王者のアレクサンダー・ヴォルカノフスキー(豪州)、2位がマックス・ホロウェイ(米国)、3位がブライアン・オルテガ(米国)とUFC勢が上位陣を占めるなか、4位に現Bellator世界フェザー級王者のパトリシオ・“ピットブル”・フレイレがランクイン。7位にBellatorフェザー級GP決勝でパトリシオと対戦予定のA.J.マッキー(米国)、8位に唯一のアジア人ジョン・チャンソン(韓国)が名を連ねている。  彼らと拳を交えるためには、ベルトを手に海を渡り、列に並ぶしかない。あるいはワールドGPで迎え撃つか──。それがファイター未来にとって、“最後のチャレンジ”のひとつであることは疑いようがない。  その挑戦を実現するためにも、クレベルとの試合は、未来が真にワールドクラスと戦えるかどうかの試金石となるだろう。両者ともに北米基準では異質な、特化した武器とともに発展途上の部分も併せ持つファイターだが、どんな進化を見せるか。  今後は、YouTuberとしての活動も撮り貯めていた分を配信したら、週1回ほどの投稿に頻度を落とし、試合に向けて練習に集中していくという。 「俺が極められて失神するかもしれんし、腕とか折れるかもしれん。クレベルはそういう危なさを持っている。でも……日本のフェザー級に、俺しか勝てる人はいないと思う。俺のテイクダウンデフェンス能力と打撃力、俺しか倒せる人がいないから、俺がやるしかない。地上波の放送もあるし、東京ドーム大会で気合も入っている。いままで以上に格闘技に本気になっている。またカッコイイ朝倉未来を見てもらいたい」。  対するクレベルは、「半年くらいでスタイルを変えることはできない。私は1回のチャンスを逃さず極める」と、出稼ぎから日本で柔術を始め、ようやく掴んだ成功のチャンスを必ずモノにする構えだ。「神は、実現不可能な願望を心に置かない」と、今回の試練も越えられると考えている。  路上の伝説から日本のスターとなった未来は、ハングリーなクレベル・コイケを凌駕することが出来るか。朝倉未来は“本気”だ。
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