2021年5月23日(日)東京・大田区総合体育館『K-1 WORLD GP 2021 JAPAN』にて行われる、「K-1 WORLD GP 2021 K-1バンタム級日本最強決定トーナメント」に出場する大村修輝(POWER OF DREAM)が、都内所属ジムにて公開練習を行った。
大村は小学5年生でキックボクシングを始め、元K-1王者の武居由樹・江川優生らを育てた古川誠一会長のPOWER OF DREAMで練習を重ねる。キッズ・ジュニア時代から数多くのアマチュア大会に出場し、第11回「K-1アマチュア」ジュニアトーナメント優勝&MVP。2020年のK-1甲子園-55kgトーナメント決勝では野田蒼に敗れるも準優勝。今回がデビュー戦ながら大抜擢された名門POWER OF DREAM注目の秘密兵器。
公開練習には同門の先輩で第3代K-1フェザー級王者の江川優生も参加した。
大村は先輩・江川とパンチのマススパーリングを披露。江川がトーナメント1回戦で対戦する橋本実生(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)を想定してサウスポースタイルからプレッシャーを掛け、鋭いパンチを放てば、大村も臆することなく、巧みなディフェンスで江川のパンチをかわしては負けじとパンチを返していった。
公開練習後のインタビューで大村自身、今回のオファーを受けた時は「びっくりしました」という。「正直、びっくりしました。でもここで勝てば一気に有名になれるチャンスなので。記者会見でK-1のトーナメントに出ることが発表されると、周りの友達や知り合いから『頑張って』と思ってたよりもたくさん連絡が来たのもびっくりしましたけど(笑)。でも期待されることは嬉しいんで、それをどう力に替えるかは自分次第。この大会をステップにして、先輩たちに並ぶような選手になりたいです」
同席した江川も「実力では他の選手に全然負けていない」と太鼓判を押し、“叩き上げ”と評する。
「修輝のプロデビュー戦はいつかな、って楽しみにしてたので、こんな大きなイベントでのデビュー戦になって、もっと楽しみになりました(笑)。『かませ犬』と思われてるかもしれないですけど、他の選手に負けない実力があるのは知ってるので。修輝はうちのジムの“叩き上げ”なんですよ。今は人数が増えて、プロとアマで練習も分かれてますけど、昔は高校生の(武居)由樹君や、中学生の自分らと、修輝たち小学校高学年の子たとも一緒に練習していたんです。 自分らは練習でいじめるのも愛情だと思ってるので、ボディを狙って倒したりもするんですけど、修輝は倒されても倒されても向かってきました。そうやって打たれ強くなったし、普段からデカい人とスパーリングしてきてるので(同じバンタム級の選手なら)圧力は感じないんじゃないかな。本当に強いハートを持ってて、打ち合いで引いてしまうこともない。本当に試合が楽しみなんです」
大村がPODに入門したのは小学5年生の時で「最初は『プロになりたい』と思ってなくて、太っていたのでダイエット目的」だった。当時ジムには同級生が10人以上いたというものの「みんな練習が厳しくてやめてしまって。自分も最初は逃げ出そうと思ったんですけど、親に『ここを耐えて、頑張ればいいことあるから』って言われて」練習を続け、高校入学と同時に本格的にプロを目指すようになった。大村の意識を変えたのは、先輩たちの活躍を目の当たりにしたからだった。
「由樹君がKrushのベルトを巻いた時は会場にいて、目の前でベルトを巻く由樹君を見て『ああ、カッコいいな!』と思って、プロを目指すようになりました。由樹君がK-1チャンピオンになった時も、優生君が3連続KOでK-1のトーナメントを優勝した時も全部会場で見ているんですね。小さい頃から一緒にいた人が、どんどん有名になったり、チャンピオンになるのは珍しいことだと思いますし、そういう環境にいられて嬉しいです。自分も後輩にカッコいい姿を見せられたら、って思ってます」
プロデビュー戦がK-1トーナメントの大舞台。江川は大村に対して「1回戦に勝つことに集中するように」とアドバイスしている。
「デビュー戦なので、トーナメントの優勝は考えずに『まず1回戦を勝つこと』です。1回戦をクリアすれば、あとは流れなので。自分がトーナメントで優勝した時も、正直『全部KOしてやろう』なんて思ってなかったですし、何なら『優勝しよう』とも思ってなかったです。試合前の記者会見でも『優勝』っていうワードは出してないはず。あと『PODの看板を背負う』みたいなことも考えなくていい。そこは自分らで背負って、名前を大きくしていけばいいだけなので。修輝は気負わず、自分らしく戦ってくれればいいと思いますよ」 江川は、大村の長所をこう分析する。
「アグレッシブなのはもちろんですけど『打ち合うスキル』を持ってると思います。自分らにやられて育ってきたので、ディフェンス能力に長けているし、K-1甲子園に出る頃から、言われた作戦やアドバイス通りにやり通せるようになって。(2020年のK-1甲子園は)決勝で惜しくも敗れてしまったんですけど、試合を見てて『おお、いいな』って。初めての大きな舞台なので、対戦相手の橋本選手の方が場数は踏んでますけど、修輝は物怖じしないタイプ。すごいアグレッシブで、K-1らしい試合を見せてくれると思うし、熱い展開になると思うので、皆さん、期待しててください」
大村も「周りからはずっと『デビュー戦なんだし、1試合目から硬くなっても仕方ない。1試合目を大事にしていけば、流れに乗れるよ』って言われてます。だからトーナメントは意識しないで、1試合目に勝てるように。しっかりと練習していきます」と江川のアドバイスに大きくうなづいた。
大村にとってもK-1は憧れていた大舞台で「自分が夢見てた大舞台で戦えることに、ワクワクもドキドキもしてます。橋本選手はアグレッシブで、自分から前に出て打ってくるタイプ。自分は、自分の良さを出して、相手の良さを出させない戦いでやっていきたいです」
自分自身の強みは、武居や江川をはじめPODに所属している「日本のトップ選手とずっと練習してきたこと」という。
「僕は由樹君や優生君と小さい頃から一緒に練習してきてるので、そこは自分の強みになると思うし、他のジムの選手では、経験できないことだと思うんです。自分のアピールポイントは、根性です。ここは誰にも負けてないと思うので、試合で出していきたいです」 トーナメントで意識しているのは2人。昨年のK-1甲子園決勝で敗れている野田蒼(月心会チーム侍)と現Krushバンタム級王者の壬生狼一輝(力道場静岡)だ。
「野田選手はK-1甲子園の決勝戦で負けた相手なので、リベンジしたい気持ちがあります。ただ1回戦が野田選手とKrushチャンピオンの壬生狼選手で、準決勝で壬生狼選手とやれると思うとワクワクするので、どっちが上がってきても楽しみです」
公開練習が終わり掛けた頃、PODに通う小学生たちが取材を受ける大村の様子をのぞきに来た。
「自分もああやって、由樹君や優生君がジムで取材を受ける様子を見てきたんです(笑)。K-1の舞台で活躍して、有名になるのが夢だったので、夢を掴めるように頑張ります。自分のアピールポイントの『根性』をしっかり出して、まず1回戦を勝てるように頑張りますので、応援をよろしくお願いします」
名門、PODの秘密兵器が、K-1バンタム級日本最強決定トーナメントでベールを脱ぐ。