2021年4月24日(日本時間25日)、米国フロリダ州ジャクソンビルにあるVyStarベテランズ・メモリアル・アリーナにて「UFC 261: Usman vs. Masvidal 2」が、1万5千269人の観客を動員して開催された。
メインカードでは、ミドル級で元王者クリス・ワイドマン(米国)と、アンデウソン・シウバをTKOに下すなど3連勝中のユライア・ホール(ジャマイカ)が対戦した。
試合は1R、わずか17秒で決した。
ともにオーソドックス構えから、右のカーフキックを打つワイドマン。そこにスネを外に向けてチェック(カット)するホール。1発目の攻撃で、ワイドマンの足首より先が、ゴムのように曲がってしまい、明らかに足が折れたワイドマンはダウンし、悶絶した。
場内に動画が再生されると、大きなどよめきが起きるが、担架に乗せられたワイドマンが、退場際に右手を挙げると、会場は拍手に包まれた。
ケージの中でジョー・ローガンからコメントを求められたホールはしばらく無言だったが、「……ワイドマンにリスペクトしかありません。彼は真に最強の男。自分が初黒星を喫し、恐怖を覚えた相手。アンデウソン・シウバにも勝っている。最高の試合を見せたかったけど、申し訳ない。このスポーツの残念なところだけど、この仕事のひとつ側面でもある。これから何が起きても、彼が治ったらまた戦いたい」と言葉を振り絞って語った。
また、試合後、かつてワイドマンのチェックで足を骨折しているアンデウソン・シウバは、自身のSNSで「心からのお見舞いを申し上げたい。信念を持って、一日も早い回復を祈っています。この瞬間、私はあなたとあなたの家族に光と愛と知識を祈ります。このスポーツのファンの皆さん、この素晴らしいファイターの瞬間に敬意を払い、早く100%回復することを祈りましょう。あなたとご家族に神のご加護がありますように」と、早期回復を願うコメントを投稿した。
大会後、ワイドマンの妻マリヴィ・ワイドマンは、夫の手術が無事、成功したことを報告。
「それはひどい話でした。人生には不思議なことが起こるもので、計画は台無しになってしまいます。長い一日でしたが、術後の彼にやっと会えてとても嬉しいです。すべてがうまくいきました、主よありがとうございます。医療スタッフ、UFCファミリー、ダナ・ホワイト代表、リード・ハリス渉外部長、マネージメントチームのみんな、そして子供たちのために集まってくれた家族や友人たちにとても感謝しています。夫のことを思うと胸が張り裂けそうになりますが、彼が毎日トレーニングに励んでいることも、彼が素晴らしい人物であることも知っていますので、彼のために最善を尽くしたいと思っています」と献身を語ったマリヴィ。
続けて「今はまだしも、この先数週間は絶対に辛い思いをしますが、私たちは世界中から寄せられる愛とサポートに圧倒され、自分たちがいかに恵まれているかを痛感しています。そのすべてが、この状況のひどさを凌駕しています。友人や家族が何のためらいもなく飛行機に乗って助けに来てくれたことに感激しています。本当に感謝していますし、皆さんを愛しています。今年はとてもクレイジーな一年でしたが、私たちワイドマン一家は力強く、毎日恵みと慈悲に包まれています。今年は一日一日がどれだけ貴重かを思い知らされました。たとえそれが家から遠く離れた病室であっても、愛する人と一緒に地球上の別の日を過ごせることに、私はとても感謝しています」と語っている。