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レポート

【格闘DREAMERS】平本蓮を感動させた弟・丈の勝利と涙。無慈悲な「入れ替え戦」が見せた格闘技の厳しさ

2021/04/20 21:04
 格闘オーディション番組『格闘DREAMERS』の第6話が2021年4月17日(土)、ABEMAにて配信された。  番組では200通を超える応募のうち、書類審査、実技審査、面談を経て17名で行われた“地獄の合宿”と謳われる2泊3日の合宿形式の2次オーディションを通過した12名の「その後」に迫っている。果たして、プロ格闘家としてLDH martial artsとの契約を勝ち取るのは誰になるのか。  第6話では、2次オーディション合格者の12名が、GENERATIONSチームとTHE RAMPAGEチームの6名ずつにドラフト分けされ、チーム戦での戦いに向けて、合同練習に励む姿からスタート。しかし、そこに“予期せぬ来客”平本蓮&丈の平本兄弟が登場。結束を深めたばかりのチームにいきなり波紋を巻き起こす。 ◆チーム GENERATIONS1位指名 宇佐美正パトリック(20)2位指名 高木オーディン祥多(24)3位指名 齋藤奨司(26)4位指名 柳田龍彌(25)5位指名 山内 渉(21)6位指名 名津井颯(27) ◆チーム THE RAMPAGE1位指名 中村倫也(25)2位指名 鈴木崇矢(16)3位指名 岡田達磨(20)4位指名 漆間將生(23)5位指名 安永吏成(26)6位指名 八木敬志(25)  各チーム1位から6位が順に指名されるなか、チーム「GENERATIONS」の1位指名の宇佐美正パトリックは、「やるからには勝たないと意味が無い。バランスはすごくいい」と編成に自信。  一方のチーム「THE RAMPAGE」の1位・中村倫也は「気になる相手がいない」、2位指名の鈴木崇矢も「GENERATIONS、ブッ飛ばしましょう」と士気が上がるなか、チーム分けから1週間、初の合同練習が行われた。  数原龍友(GENERATIONS from EXILE TRIBE)も「ジムには来れるときには来ています。みんなの痛みを経験しておこうと思って。同じ練習で同じ釜の飯を食うじゃないけど、より結束が強くなればと思って」と視察するなか、予期せぬ客がジムに訪れた。  高谷裕之総監督が「今日、俺が2人を呼んだんだけど……」と呼び込んだのが、大晦日RIZINでMMAデビューを果たした平本蓮と、実弟の平本丈。  高谷は、「みんな練習してたのは分かるんだけど、名津井(颯)だけ、どこで練習してたか分かんないし、約束バッくれたし、何をやっているか分かんないから、お前、ちょっと戦って、ちゃんと練習してたか証明してみろ」と、平本丈との「入れ替え戦」を行うことを告げた。 [nextpage] 平本「お兄ちゃんがいたからこそ。ここで勝てば誰も文句を言わない」  合宿後、選手たちはチーム分け前から自主的にEXFIGHTジムに通い、高谷総監督のもとで練習を続けるなか、「パトリックだったらボクシング、倫也だったらレスリング、高木だったら柔道とか、それぞれの得意分野をいろいろ聞き合って補い合っている」と、強くなるための貪欲な姿勢を、高谷は見て来た。  そんななか、名津井は「こっち(東京)で練習するって言ってたのに来なかったし、地元での練習内容を送ってきたんだけど、ふざけた練習内容で、スタッフとの約束も3回くらいバッくれたみたいで、今日も遅刻してきた」と高谷の逆鱗に触れていた。  高谷から直に「お前みたいなやつ、結構いるけどさ、そんなやつがちゃんと練習やってたと思えないから、練習で(動きを)チェックするから、そのつもりでいてくれ」と通告された名津井。  高谷は「あいつ(格闘技を)舐めてるから。本当に(練習を)やってきたなら勝てると思う。強いならいいんで。その強さを確認します」と、「入れ替え戦」の選手に指名した。  一方で、17歳の平本丈にも「ほんとうに強いのかどうか、みんなオーディションと合宿とかやってきたから、それに値する強さなのかどうか示してもらいたい」と、“飛び級”で入れ替え戦に参加した実力を証明することを要求した。  平本丈はキックボクシング出身。書類審査は通過していたが、一次オーディションでのPCR検査で陽性反応が出たため、参加を断念していたという。 「もともとキックでプロになろうと思ってたんですけど、UFCとかRIZINとか、いろんな団体を見て、総合、面白いし、ここで強くなって、世界を目指したい」と意気込む。  兄の平本蓮は、弟の丈を「ずっと練習を見ているんで。強いとは思う。自分が17歳の頃より全然」と言いながらも、「格闘家は兄弟が多いし、兄弟は比べられる。なんか『俺の弟だから』とか、『俺より優れている』とか、『俺より才能があります』とか、そういうのじゃない。丈だから、自分自身でやってほしい」と、プレッシャーはかけず、サポートする姿勢を示した。  丈も兄については、「怖くないです。弟には結構優しいです」と笑顔を見せながらも、「お兄ちゃんがいたからこそ、というのもあるんですけど、ここで勝てば、たぶん誰も文句を言わないと思う」と、結果で周囲を納得させるとした。  一方の名津井は、平本兄弟のアップを見つめるも、その表情は変わらず。「まさか、自分かと」と入れ替え戦の指名に苦笑しながらも、二次オーディションでストライカー相手に2試合連続一本勝ちの余裕も見せる。 「地下格闘技に出ていた時も倒すだけ。あんまり(相手のことは)分かんないですけど、負けないのは前提で、あとは極めきれるか、倒しきれるかの問題かなって」と、勝利を前提に内容でも見せると語る。  素行不良とはいえ、ともに3日間の合宿を過ごしたメンバーは、急に現れた“外敵”と戦う名津井をバックアップ。  岡見勇信ヘッドコーチが「名津井、合宿忘れんなよ。合宿の3日間!」とゲキを飛ばすなか、同じGENERATIONSチームの宇佐美正パトリックは、「あんだけ苦しかったのにここで負けたら全部パーっすよ。せっかく俺たち2泊3日でエグい合宿やってんのに、そんなんパッと受からせたら嫌なんでボコボコにしちゃってください」とエール。柳田龍彌、齋藤奨司は「やってくんねぇと困る」、高木オーディン祥多も「気合い見せましょう」と鼓舞する。 [nextpage] 「真面目に練習してるっていうのが伝わってきた」(岡見)  入れ替え戦は、3分3R。  石田光洋がレフェリーを務めるなか、セコンドの兄・蓮とケージ中央に歩む丈は、フェザー級の蓮とほぼ同体格。名津井と向き合うとその身体の大きはは際立つ。 「リズム、絶対合わせたらアカンよ、集中」という宇佐美の声のなか、グローブを合わせた両者。  1R、ともにオーソドックス構えから、開始早々に名津井の左ロー、右ハイキックをかわす平本は、レガースありながら、右のカーフキック1発で名津井のバランスを崩していく。「いいね、カーフ」と丈に声をかける蓮。  名津井はダブルレッグに入るが、一回り大きな平本ががぶると上に。すぐに脇を差して立ち上がる名津井のバックにつくとリアネイキドチョークを狙うが、「足をかけろ」という蓮の指示通りには右足が入らない。  首を守り立ち上がる名津井はバックから崩して平本に尻餅を着かせるが、丈はすぐに立ち上がり、右で脇差す名津井に首相撲からヒザを突き上げる。  中腰の名津井をダースチョークの形に捕え、下からヒザを突く平本。スタンドで頭をがぶられた名津井は見えない相手に右の拳をボディに突き上げるが、これが股間に。  うずくまる平本。苦しげな表情の弟に駆け寄る蓮は、「ゆっくり、ゆっくり」と焦らず回復するようにうながし、「強いぞ、強い。すっげぇ強い、いいよ、動き。めちゃくちゃいい。タックルも全部見えてる。深呼吸して」と励ましていく。丈も立ち上がり、1R 残り1分から試合再開。  名津井の左ローと平本の右ローが交錯するなか、すぐに右の蹴りに繋げるのは名津井。平本の右を掻い潜り、左で差して組むと回して前方に崩すが、パワー差もあるなか、どうしても捨て身気味に。立ち上がる丈が上を取るなど、スクランブルの展開は平本がサイドを奪う。名津井は腰を切り足を戻してガードの中に入れてブザー。  両者の奮闘に「動きいいよね」という高谷。「真面目に練習してるっていうのが伝わってきた」と岡見も称える。  2R、サウスポー構えから入る平本は左ロー。さらに左の三日月蹴りに組んで行くのは名津井。しかし、がっちり平本に受け止められると尻を着いてシッティングガードに。「腹効いたな」という高谷総監督の言葉通り、動きが落ちた名津井の立ち上がり際をがぶる平本は、名津井の首を胸下に入れて右腕を抱え込んだダースの形から金網に押さえつけてチョークを狙う。  首を獲られたまま背後のケージを蹴って逃げようとする名津井をそのまま豪快に後方に投げる丈。クラッチはそのままで、回って逃げようとする名津井の足に、蓮は「足をかけろ!」と指示。最後は相手の脇の横で腕を組むアナコンダチョークの形で首を捻じ曲げられた名津井が苦しい呼吸音を出したところで、石田レフェリーが見込み一本でストップした。 「ヨッシャアーッ!」と咆哮する平本。タップしていないという仕草の名津井に「しょうがない、今のは」とつぶやく岡見。2R 30秒、レフェリーストップでの勝利に丈は金網にひざまずくと思わず涙。  完全アウェーのなか勝利した丈は、笑顔で迎える兄・連に肩を抱かれハグをすると、緊張感から解き放たれ、号泣した。  そんな弟を強く抱きしめた蓮は、「ちょっと感動しちゃったっス。(戦う)舞台がないと思ってた時も、ジム行ってずっと頑張ってたんで。いやー、マジ嬉しいですね。自分の試合以外で喜んだの初めてかもしんない。こんな心から喜べるのマジで初めてです」と、弟の勝利を祝福した。 「このあと所属を勝ち取る自信はありますか?」と問われる丈に、「こいつは行くっスよ、もうこうきたら」と割って入る蓮。兄と拳を突き合わせた丈は、「DREAMERS」に乗り込んだ“外敵”から、兄弟愛で入れ替え戦の一発勝負をモノにし、「DREAMERS」の一員となった。  一方、「DREAMERS」を去ることとなった名津井は、チームメイトに「すみません」と一言。「いや、お疲れ様でした」「気合入ってたっスよ、マジで」と声をかけられるなか、指導陣にも「すみません、自分の実力の無さで」と挨拶。  岡見ヘッドコーチは「気持ちは良かった。タップはしてないし。まあ……負けは負けだから」と、評価とともに結果を出せなかったとし、高谷総監督は「何も出せないで負けちゃうことなんか余裕であるから……しょうがねぇよ。結果だから」と、格闘技の厳しさを伝え、脱落を告げるのであった。  帰り支度をする名津井は、「やっちゃったなとしか言いようが無いっス」と言葉にしつつも、27歳での挑戦に「格闘技もたしかに好きでやってはいたけど、それにプラスα、このEXFIGHTというのが、めちゃくちゃデカいんで、自分がやる気が出たという部分もあった。続けるのは続けるけど、プロの道はもういかないと思う」と、勝ち上がることの厳しさを痛感。最後に「こんな所でか……」と悔しさをにじませながらジムを後にした。 [nextpage] 1位指名の中村倫也と宇佐美正パトリックがMMA公式戦デビューへ  辛い合宿を共にした仲間が去り、「悔しい」と口するチームメイトたちだが、「強い人だけが残ると思っている」と宇佐美が言う通り、結果を残した者だけが生き残る現実のなかで、彼らもまた「生き残り」の戦いに向かっていく。  新鋭の平本丈が加入したGENERATIONSチームに、高谷総監督は「彼は合宿を経験してなくて、複雑な気持ちもあるだろうけど、ここからから一緒に練習していって強くなって、チームとして頑張っていきましょう」と、平本をあらためて紹介。平本も「一生懸命、頑張ってついていくのでよろしくお願いします」と頭を下げた。GENERATIONSチームは、どんな進化を遂げていくのか。  激動の入れ替え戦から2日後、チームGENERATIONS、チーム THE RAMPAGEの双方から選抜された5名が、プロMMAファイターになるための登竜門「アマチュアパンクラス・横浜ケージファイト13」に出場し、初の対外試合に挑むことに。  出場選手はみなプロに迫る実力者ばかりというなか、安永吏成が先陣を切って登場。二次オーディションでは怪我を押して試合形式のスパーに出場も、漆間將生に腕十字で一本負けしている悔しさを、対外試合で晴らせるか。  岡見HCから「自信を持っていけ、組みだって強いよ、出来上がって来ている」と送り出され、フェザー級で吉崎塁(総合格闘技ジムmove)との対戦に臨んでいる。  サウスポー構えで左ミドルから入る安永は、吉崎の右ミドルの蹴り返しに右ストレートを合わせて、さらに左ストレートをヒットし前進。終始圧倒しながらも極めきれず判定3-0で初陣を飾った。 「いつも練習している仲間が強いんで、自分のレベルも上がっている。このまま切磋琢磨して上を目指していきたい」という安永。  2人目に登場したのはバンタム級の山内渉。これまで三角絞めでの一本勝ちなど、安定した強さを見せたきた山内は、前田壮吉(リバーサルジム横浜グランドスラム)と対戦。  回転の速いパンチで前田を追い込むと、2R前の高谷総監督の「倒しに行っちゃっていいよ」の声に、金網に押し込んでの放し際に左フック、さらに右フック・右ストレートを連打し詰めると、前田の低いシングルレッグも切り、すぐさまバックテイク&4の字ロック。パームトゥパームで、2R 2分42秒、リアネイキドチョークを極めている。  3人目の柳田龍彌はフェザー級でこの日、2試合目となる吉崎塁との対戦に。先に右ローを蹴っていく柳田。圧力をかけて金網に詰めると、安永を判定まで持ち込んでいる吉崎を左フックでダウンさせ、レフェリーを呼び込んだ。ボクシングやRISE ZEROで活躍してきた柳田の打撃について、岡見は思わず「柳田は試合強いな」と笑顔を見せた。  快進撃が続くなか、両チームでともに1位指名された中村倫也と宇佐美正パトリックがMMAデビュー戦に臨む次回。レスリングの中村、ボクシング&空手の宇佐美は、エリートアスリートの強さを見せることが出来るのか? 次週、4月24日(土)の第7話にて、試合の模様がABEMAで放送される。 ◆第1話 レスリングU-23世界王者の中村倫也、高校ボクシング6冠・宇佐美正パトリック、DEEP2戦目で高塩竜司を下した山本歩夢、IGLOOの鹿志村仁之助、RISEからプロシューターの齋藤奨司、勅使河原弘晶に挑戦した元ボクサー入口裕貴も参加 ◆第2話 岡見勇信「覚悟なんて簡単に人を裏切るから」──“地獄の合宿”2次オーディションへ ◆第3話 2日目グラップリングスパーは、中村倫也vs.岡田達磨のレスラー対決、山内渉vs.鈴木崇矢の極真対決も ◆第4話 那須川天心がマススパー「試合だったら、1人1回は倒れてる」。中村倫也、宇佐美正パトリック……最終日の試合形式スパーでは名勝負続出! ◆第5話 高校6冠ボクサー宇佐美の進化と叩き上げレスラー岡田の再試合は衝撃KOに! 柔道の高木オーディンvs.マッチョ八木、そして合格者の前に平本蓮と弟の平本丈が「入れ替え戦」を要求
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