2月に新王者となった白幡(左)の対戦相手は、昨年4月にボクシングを引退した元プロボクシング日本ライトフライ級王者・悠斗に
2021年5月22日(土)東京・後楽園ホール『KNOCK OUT 2021 vol.3』の記者会見が、4月14日(水)都内にて行われた。
2月大会で老沼隆斗を破り、KNOCK OUT-REDスーパーフライ級王者となった白幡裕星(橋本道場)が、王者としての第一戦を迎える。その対戦相手は、元プロボクシング日本ライトフライ級王者・悠斗(NJKF・東京町田金子ジム)に決定した。
白幡はアマチュアで多数の経験を積み、2018年10月にプロデビュー。2019年12月1日にはMuayThaiOpenスーパーフライ級王座決定戦に臨み、判定勝ちで見事王座に就いた。2020年2月のREBELSでは老沼との王者対決を行い、延長戦にもつれ込む接戦の末に惜敗。8月大会では老沼に挑戦経験のある濱田巧、12月大会では元REBELS-MUAYTHAIフライ級&スーパーフライ級王者・松崎公則を破り、老沼とのタイトルマッチでの再戦でリベンジを果たした。
悠斗こと高橋悠斗は、元々はキックボクサーで2011年に国士館大学所属として全日本学生キックボクシング連盟のフライ級王者となっている。プロデビュー後はNJKFの上位ランカー(最高2位)として活躍したが、2014年にボクシングへ転向。2019年10月に世界ランカーでもあった王者・堀川謙一を破り、日本ライトフライ級王者となった。
しかし、2020年3月に決まっていた初防衛戦が新型コロナウイルスの影響により度々延期に。気持ちが切れてしまい、「自分がベストな状態で試合に挑むことは不可能だと感じたため引退を決めました」と4月3日タイトル返上と現役引退を発表していた。プロボクシングの戦績は11勝(5KO)4敗。
会見に出席した悠斗は「復帰させていただきます。復帰初戦から強い王者といきなりやらせてもらえるチャンスをいただけて感謝しています。復帰戦、キックボクシングは久々ですが、潜り抜けて来た修羅場、海外へも行きましたし、世界ランキングを取り合ったり、もみ合ってきたことはキックボクシングもボクシングも総合もやっていますが全部変わらない。僕の覚悟やそういったものを見てもらいたいです。ボクシングをやったり総合をやったりいろいろやっていますが、しがらみとかそういう格闘技の常識を壊していけたらと思います」と、幅広く活動していきたいと挨拶。
キックボクシングに復帰した理由は「コロナでボクシングを引退して、飲食店をオープンしたりジムをオープンしたりといろいろあったんですが、全部コロナでダメになりそうで(笑)。最初はお金を稼がないといけないと考えた時に、僕には格闘技しかないと思って。一生懸命に練習することなんてこれしかないと思っているので、その懸ける想いとやっぱり試合がしたいなと。そうしたらいきなりチャンスをいただけた感じです」と説明。
今回の試合はKNOCK OUT-REDスーパーフライ級3分3R延長1Rで、ヒジ打ちありのREDルールよりもヒジ打ちなしのBLACKルールの方がボクシングのキャリアを活かしやすいのでは、との質問には「おっしゃる通りです(笑)。でもヒジ打ちは総合でもありですし、キックでもやっていてタイでも試合をしているので大丈夫。ジムからも『ヒジありで決まったよ』って言われて(笑)」と、どっちにも対応できるとする。
キック復帰戦でいきなり王者と拳を交えることについては「緊張します。試合も見ましたが、強くて才能もあってイケメンだし、自分にないものを持っている選手だなって。強くて相手がいないのもあるそうなので、僕が試合をして盛り上げられたらと思います」と、対戦相手選びが難しい白幡と自分が戦って盛り上げたいとした。
「正直、復帰がしっかり決まったのもついこの間で、本格的に身体を動かしてまだ2~3週間」と言うが、「TRY HARD GYMに行かせてもらったり、新興ムエタイジムに行かせてもらったりして、朝昼と2部練でやらせてもらっています。最初の1週間は動けなかったけれど今は動けるし、スパーリングも強い相手とできるようになったので自信はありますね。あと1カ月で全然仕上がると思う」と準備には自信を見せる。
KNOCK OUTでの目標を聞かれると「最初に現役王者とやらせてもらえることがビックリですが、目標はお金を稼がせてもらいたい(笑)。僕はずっと格闘技をやってきて、その人の生き様や覚悟が試合に出ると思っていて、僕が戦う時はハズレがないと思うので、それに見合った仕事をもらえればしっかりその役目は果たしたいと思います」と、プロの仕事をしてお金を稼ぎたいと話した。
一方、迎え撃つ立場の白幡は「スーパーフライ級で相手が見つからない中、元ボクシング王者と決まって凄くワクワクしています。スーパーフライ級は他団体でも盛り上がっていると思うので、より一層気合いが入っているので楽しみにしてもらいたい」と、いい相手が見つかったことと、各団体で盛り上がりを見せている51~53kg戦線で存在感を示したいとコメント。
元ボクシング王者を相手にどう戦うかと聞かれると、「それは橋本師範の指示を聞いて実行するまでです。試合まで3カ月退屈だったんですが、追い込み期間では得られない練習で、蹴りやパンチの打ち方が強くなっていると思います。今年はあと4~5試合はやりたいですね」と、具体的には答えなかったがよりパワーアップしているという。
あえてパンチでの打ち合いをしてみたいかと聞かれると「いや、打ち合いが嫌いなので、もらわないでいきます」と、打ち合いではなく自分の攻撃だけを当てたいと答えた。
最後に、悠斗が「キックボクシングもボクシングも引退して、僕が本気で戦っている姿を見せられていない人たちがまだたくさんいるので、僕の覚悟や生き様を試合で見せたい」と意気込めば、白幡は「王者になって初めての試合ですが、特に気負うことなく堅くなることはないと思いますが、KOを狙って倒したいと思っています。あと、悠斗選手がお金が好きと言っていますが、僕もお金とベルトが好きなので、生活懸けてやっているのでそこら辺にも注目していただきたい」と、お金を稼ぎたい気持ちでも負けないと宣言して笑いを取った。