Cage Fury FCのinstagramより。上が負傷したヘタグ・プリエフ。
2021年4月1日の「Cage Fury FC 94」のセミファイナルで、デヴィン・グデール(米国・3勝無敗)とヘタグ・プリエフ(カナダ・5勝1敗)が対戦。
2R中にプリエフが左手薬指の第2関節上を失った試合について、ESPNのマーク・レイモンディ記者が、失われた指がグローブの中から見つかり、緊急手術の結果、薬指が繋げられたことを報告した。
Good news. I just spoke briefly to CFFC fighter Khetag Pliev. He’s in the ER now and his finger has been re-attached. More coming soon to @espnmma.
— Marc Raimondi (@marc_raimondi) April 2, 2021
UFC FIGHT PASSで配信された「CFFC94」で、プリエフは左で差して金網に押し込み、マットにヒザを着きながらもダブルレッグでテイクダウン。グデールの両足を束ねて寝かせようとしたが、グデールは対角の左手でプリエフの左手のグローブを掴んで引っ張り、クラッチをさせないようにした。
反則のグローブ掴みに、プリエフは片手で足を持ちながら頭を胸につけて押し込み、レフェリーにグローブを掴んでいるとアピール。ようやく気付いたレフェリーを見て、グデールは左手を離すと、金網を背に立ち上がり、四つ組みに。残り10秒の拍子木に両者、打ち合いのまま、2R終了のゴングが鳴らされた。
インターバルでコーナーに戻り椅子に座ったプリエフは、自身の左手の薬指が欠けていることに気付くと、周囲のインスペクターたちも確認。セコンドが試合続行不可能であることを告げた。
映像を見たコメンテーターのジョン・モーガンとCMパンクも絶句。「何てことだ……指はどこだ?」とコメント。プリエフは痛がるそぶりも見せず、自ら歩いてケージの外に出ている。
いったい何が起きたのか。米国の格闘技サイトも検証を掲載している。
ESPN MMAによると、プロモーターのロブ・ハイダック代表は、プリエフは1R目の段階で指がずれ、2R目にグローブを引っ張られたことで「指がパチンと鳴って完全に外れた」と説明したという。
米国のフィジカル・メディスン&リハビリテーション(PM&R)を専門とする医師でYouTuberでもあるブライアン・ステラー氏は、今回のアクシデントについて、「指の周りのバンテージとグローブを引っ張られたことによってほとんど止血帯のようになり、その止血効果によって麻酔がかかった状態で骨が切断され、関節が外れたのではないか」と推測。
さらに動脈や静脈、神経の構造について説明し、今回のように指が切断された場合の注意点として、「傷口を止血し、切断された部位は湿らせたガーゼで包んで、ジップロックの袋に入れて完全密閉。 氷水入りの袋や容器に入れて、傷病者とともに医療機関へ搬送する」よう勧めている。
また、その際に大事な点として、「切断指を直接氷水に入れて冷やしてはいけない。細胞が破壊され再接着の可能性が低くなる」と語っている。
北オセチアで生まれ、2012年ロンドン五輪ではカナダ代表として、フリースタイル96kg級10位の記録を持つプリエフ。“ライオン”の異名を持つ男は、今回の試合で、指の負傷により2R TKO負けと記録されたが、グローブ掴みの反則もあり、ペンシルベニア州アスレチックコミッションに、試合結果について上訴するという。